英単語帳サービスの事業化アイデア10

質問

Q.現在webサービスの事業化を検討しています。
基本機能の為のテスト用サイトtangokun.com(単語くん)を立ち上げ、いろいろと検討してます。普通は、英文(雑誌、新聞、web上の記事、などいろいろ)を読むときに、知らない英単語に出くわしたら辞書を引くと言う作業をします。これはどう考えても殆どの人にとって無駄で、やりたくないことです。

単語君は、この課題をITを使い、英文を入れると即座にその英文で使われている全単語の単語帳をweb上でアップすると言う機能です。いわゆる「先引き辞書」です。

これにより、読む前に全ての単語の単語帳ができており、その単語さえチェックすれば読む為の知らない単語は0にできます。この機能を使い何か面白い事業、英語(語学)支援事業などにつなげたいと思っております。

是非アイデアをよろしくお願いします。

回答

1)先引き学習ツール自体のシステム提供

例えば、英会話教室、塾等に向けてそのシステムを販売します。問題は、先引きということが一定の学習成果が出ることや、その効率性などがある程度見えてないと導入は厳しいというところでしょう。

また、法人向けというよりは、個人で英語学習を教える方、いわゆる塾でなく、塾講師や家庭教師をやっている方でとくに英語に力を入れている方をターゲットとします。

事業モデルとしては、tangokunをそのまま活用してというよりは、事業者に利用してもらう形での課金モデルとなります。

2)学習困難者等の学習支援として

例えば障がい者向けのツールとして発達させます。もしくは高卒認定を目指す方向けなどのツールとします。

これらも直接売る、使ってもらうよりは、障がい者の施設であると、社会福祉士等の福祉分野、または高卒認定であればフリースクール等の学習機関へ提案する形となります。そこから利用者に使ってもらう形ですね。

例えば、英文の途中で意味が分からないものは健常者では大して学習の違いはないが、勉強が得意でないとか、時間がないという効率性を求めたりする場合にはかなり有効となるということがあれば、それらは相当使えそうです。

3)A/Bテスト的な比較ツールを作る

1つは、旧学習法ということで、英文を読んで分からない単語を調べる。もう1つは、tangokunシステムとして、読む前に調べるというやり方。これらを何かしら対照群として研究結果として出します。出来れば研究者とコラボしたほうがいいわけですが。

その比較ツールをtangokunをおすすめするというものよりも、第三者的に、色々な英語学習方法を比較する形にしたサービスとしたり、単にまずはそれらの情報をまとめたりすることで、集客等を促します。

4)先引きバトルゲーム

新習慣をもたらすのは困難で、例えそれが有効だと言われてもやらない人が多いです。例えば速読というのは私も聞いたことはありますが学ぼうと思ったことはありません。

そこでやや安易ですが、ゲームとして英語ゲームを作ります。シンプルな英語ゲームで、先引き要素を入れて比較学習が出来るものです。ユーザーに利用してもらいつつフィードバックをもらい検証をして改善していきます。

例えば、シンプルさはmikanなどの英語学習アプリのように、ただ右か左にフリックするだけ、そんなシンプルさがいいと思います。ゲーム感覚でやると単語帳が出来ているとかもいいですね。
http://mikan.link/#mikan

5)日本語学習者等のバーターメリット

簡単にいえば、日本語を学ぶ外国人と、英語を学ぶ日本人がそれぞれお互い学習しあうというものです。tangokunは英語と日本語というところですが、これを逆転させて、日本語を学ぶ人が使うということも理屈としては出来そうです(日本語文章をまず単語に分解してやる学習方法がいいかは別として)。

そうすることで、言語学習者のバーターサービスという切り口で提供でき、マネタイズとしてはそういう人へのサイト広告や月額会費制のイメージです。

6)ピボットする

ピボットとは転換という意味ですが、現状のサービスがうまく手応えがない、またはあまりユーザーが伸びない、市場やニーズが見えてこないのであれば、趣味でないとすると、ニーズで刺さるところを探していくことになります。

そこで、単語帳ニーズというのがどれくらいあるかです。最も単語帳を英語学習者は作りたいのではなく、英語を学んで勉強して、何か受験なり、会話なり、ビジネスなりで活かしたいということだと思います。

乱暴に言えば時間をかけずに簡単に学びたいわけですが、さすがに学習でそれが出来るかは不明です。しかし、一定の学習習慣や学習環境を作ることが出来ればそれらの「苦しさ」を味わうことも軽減されます。

英語学習等の中で多くの人が課題としたり、ネックとして進まない、そういうことは何でしょうか?

実は単語帳を作るところから挫折したり、単語帳を見たくない人がいるかもしれません。むしろ大学受験でいえば既成の単語帳が売られているわけですし、それらも根強い人気だと思います。

そうであれば、単語帳を作成するよりも単語帳を販売したほうが筋がいいかもしれません。

このように現状のサービスを変えていくというのもアイデアの一つとなります。

7)ライフログサービス

ライフログというのは、日常の会話や見たことや食べたものとかそういったものを記録することです。まさに人生や生活の記録=ライフログですね。そのように、書くとか読むということを通すことで、勝手に記録されて、自動的に単語帳や英語学習が進んでいくというのはありかもしれません。

失敗すると、ただの振り返りであの時この単語覚えたなあという日記程度のものですが、成功すれば、状況によって覚えやすい単語などのデータが取れて、学習環境を最適化出来るかもしれません。

覚え方としては分かりませんが、暗記ではないやり方としては、例えばテーマパークでジェットコースターにのって、「Exictiiinnnnggg!!!」みたいにいえば、Exiciting=興奮する、でしょうかそういう形で覚えられます。このデータを共有することで、逆転させることが出来ます。

例えば、Excitingを覚えたいなら、ジェットコースターに乗って覚えるなどです。一個ずつこれをやってはあまり効率性はないのですが、暗記を超えた定着がありそうです。またはどうしても覚えられない単語にそういう覚え方をするなどが考えられます。

ライフログサービスを一から作るのは大変なので、既存の近いサービスと連携させるようなAPIであるとか、IFTTTのような連携ツールをイメージしてシステムを使いやすく外部から使えるものにするのも一つの手ですね。

8)ターゲットを絞り込む

絞込すぎると市場がないということはありますが、個人事業でいえばそういうことを心配するよりも、まずターゲットに届けられるかというところに絞った方が良さそうな気がします。

例えば、英語学習したい人ということで、会社員でプログラマをしている人で、英語を学びたい。理由としては、英語文献や資料をよく見るけどなかなか断片的でなんとなくやっちゃってる。プログラミングで使う単語などを網羅する単語帳を作ったりしていってみんなにも使ってもらいたい。みたいな人がいればこの人に届くサービスを作るという流れです。

では、会社員プログラマは皆このようなニーズがあるかは当然そうではないと思います。

例えばQiitaというプログラマの技術ストックサイト、共有サイトは各技術者の実践や入門やメモが色々上がっていて少なくとも個人ブログよりは体裁がまとまっていたり、ある程度のSNS(コメント等)でフィードバックもあり、洗練されている感じがします。

これらは個人ブログでやればいいかもしれないが、ブログを作るのが面倒だったり、ある程度サービスでまとまっているほうが楽でいいというところでやる人がいるかもしれません。
https://qiita.com/

もしかしたら、自分が学習したいのではなく人と学習したいとか共有したいというところがあるかもしれません。

このようにターゲットを絞り込んでも、一定のニーズの膨らみがあればそれは十分に成立しそうです。どちらにせよ、ニーズというのが何かをある程度仮説を立て検証することからは逃れられないところです。

9)青空文庫の英語翻訳

非営利活動になりますが、青空文庫という著作権切れの小説等をボランティアで文章化して、それを読めるようにしているサービスがあります。
http://www.aozora.gr.jp/

これを例えば世界の英文の小説などを取ってきてそれで訳して読む
英語学習と言わずに、「世界の小説を楽しむ」というようなサイトにすると全く印象が異なりますし、利用者も異なってくると思います。しかし、内部的にはtangokunを使えばいいというところでしょうか

非営利活動の場合は寄付や会費収入も多くなりますが、事業収入という形も何ら普通です。訳してくれた人に一定の金額を支払ったり、作品をダウンロードしたり楽しんでくれたら投げ銭としてお金を払ったりするというのもいいと思います。

フリー素材の写真がダウンロードできるフォトACというサービスでは、無料でDLも無料会員として出来ますが、待ち時間等のDL制限や素材ファイル数の制限をなくすプレミアム会員というのもあります。いわゆるフリーミアムモデルと言えそうです。
http://www.photo-ac.com/

このような一部優先、プレミアム感を出すのはサービスがこなれてきてからですが、そういうやり方もできるかなと思います。例えば、無料会員は小説は1日1ファイルしかダウンロードできないが、有料会員だと無制限などのようにです。

10)登録者が学習していることをシェアするクラウド単語帳

既に類似サービスがありそうですが、おそらく流行りというか流れとしては、一人ひとりで学習するというよりは、お互いの進捗をチェックしたり見せ合うような学習系ソーシャルサービスがそこそこ受けている印象です。

例えばプログラミング動画学習のドットインストールというサービスはそんな形ですね。
http://dotinstall.com/

最近使っているみんチャレという三日坊主防止アプリというものでも、英語学習のチャレンジ(チャットルームのようなもの)があって、やはりチャレンジする人が多い、挫折する人も多そうです。上のmikanも公式チャレンジがあったような気がします。
https://minchalle.com/

このアプリも新しい習慣や自分ひとりではすぐやめてしまうけれど
誰か共通の仲間がいて励ましていけば辞めないかも、というところが特徴的です。もちろん全部習慣化出来るわけではないですが、一定の挫折防止をする力はあると思っています。

クラウド単語帳では、単語帳自体を共有、他の人のものが見えるというだけよりは、どんな目的でやっているとか、学習しているとか、この単語覚えたというようなタイムラインがあると賑やかで楽しくなりそうです。

これらに近いサービスは目標共有サービスですが、目標共有だけではうまく行きづらい印象なので、あくまで付加機能というところでしょうか。

11)まとめ

アイデアを考えてみましたが、現状そのまま事業化というよりは、ターゲットを絞って試す、または機能を盛り込まずに一点のみにしてシンプルなサービスとする、スマートフォン対応等の手軽さを打ち出す
などによって、検証しやすい形を目指すのがいいかもしれません。

ユーザーがそれならお金を出してもいいと思えるものを提供していくことを探していくことになります。

以上一つでも参考になれば幸いです。

失礼致します。

筆者プロフィール

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。