アイデアを揺らして企画を作り出す

最近読んでいる本で気づきを得たのでその共有をします。

いくつかありますが、アイデア出しや企画というところでの気づきを中心に書いていきます。

企画とはアイデアをゆらして根に近づける行為

空気読み企画術というもう10年くらい前の本になるのですが、著者の考え方、企画に関する感覚はとても共感できました。最も共感というか気づきを得たのは、葉→幹→根という企画の考え方です。

葉→幹→根という形で、ざっくいえば、「見聞きした事象」→「考えられるスタイルや考え」→「コンセプト」にまとめられたものとなるといえるでしょう。詳細は本書を読んでもらえればですが、これらはまさに、帰納的に葉から根を想像していく。そしてまた、演繹的に根から葉を作り出すイメージでしょう。

著者的にはこの葉などを空気と称していて、これらの葉をしっかりと観察して見ていって、根にしていく「読む」ことで、企画ができるという主張です。

この考えにとくに違和感がない人は本記事を読むことはないのですが、違和感がある人、つまり本書でも書かれているような「アイデアが出ない」という人は「自社シーズ」であったり、「自社業界」しか見ておらずというところでしょう。

結局は顧客を見ていくことにまとめられるのですが、それだけでも何を考えていいかわからんというときに「空気読み」という視点は参考になるかもしれません。

さて、この葉→幹→根の移動といいますか、矢印の移動ということで、読者でカンの良い人は以前の記事に気づくかもしれません。僕も同じことを感じました。アイデア出しも具体と抽象を行き来する行為だという記事では、具体→抽象としたり、抽象→具体として概念を動かすイメージ、これを「ゆらす」と僕は命名しましたが、それをやることとほぼ同様です。

つまり、葉→幹は抽象化でもありますし、幹→根も抽象化です。ただ概念を一言でいうまとめ的なグループ化、または共通化みたいなものは微妙に違う感覚があります。とはいえ、ニュアンスはあれどほぼ一緒と捉えています。

逆に、コンセプトである根が出来たら、読み取れたら、そこから根→幹として展開して、具体的に葉レベルに落としていくと。この移動はまさに抽象と具体を行き来する行為にほかならないです。

またアイデア出し自体を葉レベルの根がない状態で出していくことは誰でも出来ますし、コンセプトも実際は出せます。ただトレーニングをしないと、葉が幹に、幹が根に紐付かないのでふわふわしてしまうというところでしょうか。

ここまで考えると、本書的にいえばですが、葉をゆらして幹にまとめつつ、そこから根を見極めていく。ということになります。そしてこれも重要な知見かなと思うのですが、アイデアレベルといわれるのは、やや揶揄というか否定的な文脈ということですが、葉のもので終わっているというところでしょうか。最も、葉→幹→根→幹→葉という意味で「2回めの葉」なら全然問題ないとうか、それこそ素晴らしいアイデアでしょう。つまり、概念の変化がない「アイデア」というのが思いつきかつ価値が低いというものになりそうです。逆に上の思考や概念を経て「しょぼいアイデア」というものになるのはあまりなく、その場合は評価する相手や課題自体の捉え方になりそうです。ここらへんがアイデアが難しい理由かもしれないですね。

着地点を共有するのはコミュニケーション能力

これも何度も書いていますが、上の話から、例えばアイデアや企画を考えて提案しても通らないということはあるわけです。完璧な企画=通る企画とか色々あるとしてもまあないわけですね。

ここで冷静に考えると、ある人が、例えば僕が考えたアイデアでも企画でも必ずいいわけではないです。と断言できます。なぜなら、相手の期待や求めることは常に変わるからです。仮に法律レベル?で定義をしつつ言葉を慎重に規定したとしてもずれるはずですから、ある種の運もあるでしょう。

ただ再現性という意味では、結局は型であったり、お手本またはパターンにあてはめていく(そのとおりにやるというよりも、結果的に筋の良いパターンをつくってアップデートしていくイメージです)ことになります。

コミュニケーションとは、葉レベルのものに対して根レベルを提示すると「求めているのはもっと具体的なもので、抽象的なものではない」といわれるでしょう。ただ、ここで一言だけいえば「葉レベルのものは、最も次元が遠いので思考レベルが高い」わけですから、抽象レベルが価値が低いわけでなく、より思考されたアイデアということで、より価値が高いと僕は考えています。

ですが、商売やビジネスという意味では、葉を求める人に根はミスマッチです。逆も然りです。というところを丁寧に伝えられるか、それは根です、葉ですと「解像度レンズ」をもって見極められるかもポイントでしょうか。

このあたりのことを大体分かる人は、アイデアというふわっとしたものももちろん提示可能でしょうし、様々な組み合わせで「アウトプット」という葉にこだわらず、根レベルでコンセプトを作れると思います。というので自信を持ってください(笑)僕がいっても駄目かもしれませんけどね。

着眼点と切り口も同様のことがいえる

アイデア練習帳という本も今読んでいて、これは面白いのでブログ上でお題を解くということを実際にやってみます。これは読者というか、本書を買ってもらって一緒にやりませんか?という体験学習も可能な気がしますね。20題あるのと、使うアイデア視点も異なるのが面白いかもしれません。

さて、この本では著者が自ら経験した、アイデア出しの話があります。詳細は本書に譲りますが、それは着眼点と切り口という話です。すごく簡単にいえば、着眼点はアイデアを広げることで、切り口はアイデアそのものという感じでしょうか。着眼点があれば切り口が出てくる=アイデアが出てくる感じです。

実際に言葉的には僕の中では、アイデアを広げる視点=着眼点=切り口という形で使っている気がするので、分けて考えることはなかったんですね。これは手前味噌ですが混同しているのでなく、なんでも「切り口」になるし、「その視点が面白い」と言っているからだと思います。本ブログの観察ノックなどみてもらえれば、それがどう使えるかなどで実践していますから。

一方でアイデア出しが得意でない人は、これらを一緒にしてしまって、結局葉であるアイデアという量を出すことで、終わってしまうということなんですね。量が悪いわけでもないですが、空気読み流にいえば、葉→幹→根というところと重ねると、葉=切り口→幹=着眼点→根=コンセプトというところでしょうか。

もっとも本書では、ゴールのためのアイデアブリーフということで、きちんと狙いを定めてそれに合わせたものならどんなアイデアもいいということが仕事柄やられていると明示しています。逆に設計書としてのアイデアブリーフとずれていれば、どんな良いアイデアも採用されないとあります。なるほどなあと感じます。

話を戻すと、根でも幹でもいいのですが、根っこを押さえておけば、アイデアはそこから出るということ。本書でいえばもうちょっと次元が高くて、着眼点というナビゲートアイデアがあればそこから広げられる。だからそこに価値があるということなんでしょう。確かに苦いチョコ、辛いチョコ、などの味だけのチョコアイデアを出しても「広がらない」のでこれらのアイデアはまとめられてしまいます。つまり、着眼点が「味付け」なんですよね。味でまとめられると。もちろん、ゴムのようなチョコということで噛み切れないものという一見面白そうなアイデアを出したくなるのも分かります。ただそれが狙いがなんで、どういう意図で、見合ってるか、ゴールに近づいている、誰が買うの?みたいなことを丁寧に「収束」させる必要があります。

とはいえここではアイデアを出すというところでいくと、収束を無視すると、着眼点自体が複数あればそこからアイデアは芋づる式で増やせます。逆に視点が1つだとそれまでです。少なくとも自分、違う人、また別の視点の3つくらいはほしい感じがしますよね。

プロとしてはこのアイデアに対する量も質も、そして解像度もどうアイデアが出るかもですが、全くやったことがないなら知見0経験0です。しかし一定程度、つまり一般の人よりやっているから、これらについて「うまく語れるか」はおいておいて、説明ができるなら教育や指導ができそうです。逆にアイデア職人みたいな感じであればその人のやり方を磨くだけでいいわけですよね。僕は当然前者のほうがいいいとか思ったりしますが、まずは自分でアイデアが出せないと始まらないわけなんですけどね(笑)

また紹介しますが、気になったらぜひチェックしてみてください。本書はプロ向けでなく、非プロでアイデア出しどうやるんだという人にはかなりおすすめできると思います。と、1章でエッセンスは書かれているのでそこだけでも十分元は取れた感じですね。

アイデアという言葉はかなり誤解しやすい

以前も書いたのですが、「アイデア」単独では、そのまま使えないという感覚は定義はわりといい気がします。そういう性質ものだからです。一方で「企画」というのは、アイデアをレベルアップさせているので、実現度が高いまたは実現性がまあ成功云々はおいておいて、高いでしょうという認識をしています。

ここで問題なのは、「企画アイデア」みたいな言葉です。これは末尾の「アイデア」を、冒頭の「企画」で修飾していると考えられるわけですが、「企画」の「アイデア」となります。では、「企画」とはどんな企画なのか?となっていって、よくわからないんですね(笑)

事業アイデアは事業のためのアイデアといえるでしょうし、ビジネスアイデアはビジネスのためのアイデアとなります。企画自体も何を企てるか、形にするか、起こすかということになりますから、そこがないとアイデアというのも決まってこないんですね。幹がないけど、根から葉が生えるみたいな感じですか。そういう植物もあるかもしれませんが、まあ考えづらいというところで。

空気読みでもですが、アイデアを昇華していくことで、企画になります。それがどんな企画か、つまり商品企画なのか、プロモーション企画なのか、サービス企画なのかで変わるわけですね。ただアイデア自体はどこに適合していくかというわけで、上のくだらない「ゴムのように噛み切れないチョコ」みたいなアイデアも、商品企画としてはありえないけど、「永遠にチョコを味わえる」という切り口ならありかもしれないわけです。プロモーションとしてはありでそこから広げていくという起点にしてもいいし、サービス企画としてどこまでニーズがあるか検証してみようというプロトタイプ、プレトタイプみたいなものでもいいかもしれません。

すなわち、アイデア→企画にしていくことは、結果的に次元があがり、抽象度が高くなります。より概念としては複雑になると思っていますが、難しくうんうん唸ることでは決してなく(当然これらは今次元がこのくらいだなとかは考えてなくて、直観レベルでなんか違うなという反応がリアルタイムにある、またはいいかもという感じで進むだけでしょう)、楽しんで結局なんのために企画するのか、アイデアを考えるのか、どこに行きたいかというだけになります(笑)

アイデアという言葉は簡単に使えますから、「アイデアがほしい」なんてのも簡単です。ですが、「アイデアが欲しい」人は実はアイデアではなく「企画」コンセプト自体が欲しいとか、「壁打ちして頭を整理したい」というところだったり、いわゆる相談するとより細かくコミュニケーションできるので「アイデア」でないこともよくあります。アイデアってそれくらいふわっとしているんですね。もっともこれは相談であぶり出す話であって、「アイデアが欲しい」という全ての人に言えることでもなく、相談したから見えただけかもしれません。他の「アイデア」でない相談もそういう傾向があるはずです。

「アイデアがない」というのも簡単に言えちゃいます。でも、アイデアがないって本当は違っていて「アイデア」はあるけど、みえてないことがまあ普通でしょうか。アイデアはあるんだけどみえない。まるでとんちですから、思考する、視点を切り替える、上の練習帳をやるみたいに、自分で思考しないとまあ「アイデア」なんて出てこないんですね。アイデアって落ちてないんです。葉は自分で見つけたり人から聞いて自分で生み出す。楽して得られる葉っぱってやっぱり誰も見ていて、同じような葉っぱしかならないです。ですから、幹も根も、コンセプトも企画も同じものにしかならないと。

一見同じようで違うものは、関わる人が誰でもいいので考えているはずです。そうでないと「アイデア」が生まれないわけですから。

筆者プロフィール

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。

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