レンタルサーバービジネスの市場予測から今後を考える

今回はレンタルサーバービジネスって今どうなってるんだろうというところから考えてみます。少しはアイデアも入っています。

ビジネスよりの話となります。

レンタルサーバーのビジネス市場規模

IDC Japanが市場予測として発表している国内データセンターサービス市場予測を発表というものがあります。このプレスリリースからは、2021年まで成長市場という感じですね。

レンタルサーバー事業やレンタルサーバービジネスというのは、ここでいう国内データセンターサービスを3つに分けていますが、その1つとなります。コロケーション、クラウドデリバリー・ホスティング、従来型ホスティングという分け方で、レンタルサーバービジネス=従来型ホスティングとなるわけです。

参考資料でグラフがあります。これを見ると、左紺色のコロケーション(データセンターへの移し替え)が伸びています。そして、水色のクラウドデリバリー・ホスティング(クラウドサービスでのホスティング)もどんどん伸びて、2021年ではコロケーションを超えています。

そして、橙色の従来型ホスティング、つまりレンタルサーバー事業は2021年で2000億円を切っています。2021年時点で、1兆6000億の市場があるのに、1割程度が従来型ホスティングとなり、残りの9割を半分ずつ、コロケーションとクラウドで分ける形になります。

クラウドホスティングって何かは後で書きますが、ここで言えるのは、いわゆる従来型ホスティングといわれる、レンタルサーバ(共用サーバであり、専用サーバであれ)事業は成熟して衰退していく流れとなります。

よって、ビジネス的に従来型ホスティングを今からやろうというのは考えにくいのですが、一方で既存の従来型ホスティング事業者はおそらくクラウド型へ事業展開や拡張をしているはずです。

クラウドホスティングと従来型ホスティングの違い

こちらの説明が分かりやすかったです。

「クラウド」と「レンタルサーバー」の違いとは?から言えば、クラウドはアクセス量に応じて柔軟な対応ができるが、レンタルサーバーは予め余裕を持って確保しておく必要がある、というところでしょうか。最も、料金や向いている規模なども違ってきます。用途はやはりプログラムなど変化があるものやアクセスが大量発生するなど予測しづらいものはクラウドが向いているというところでしょうか。

逆に従来型ホスティングのレンタルサーバーであれば、小規模な個人のブログやサイトであれば全然問題ないでしょう。もちろん専用サーバや共用サーバでも変わるでしょうから、クラウドが絶対いいとかではないですよね。

やはり従量課金といえどコストはかかる。ただ投資にあったパフォーマンスがあるというところで伸びているのかなと思います。今までなぜなかったかは、単純にハードウェアやHDDの容量アップやテクノロジーの発達だと思っています。

従来型ホスティングの生き残る道

では、既存レンタルサーバ事業がいきなり全て駄目になるとかはないでしょう。ただ市場が小さくなると、シェアが小さいとか優位性がないとか、単純にクラウドサービスに乗り換えるお客さんが出てくるでしょう。そうすると、売上が全体の市場に応じてまたは小さい会社であればより端的に減ることになります。もっとも予測が絶対正しいわけではないでしょうが、クラウドサービスが消えることは考えにくいです。

レンタルサーバ事業者にとって、例えばお客の構成比率が小規模事業者または個人が多かったり、ブログやホームページ(コーポレートサイトなど静的なもの)が主体であれば、あえてクラウドへ行くことはないでしょうから、大きな変化はなさそうです。

逆にECサイトだったり、より動的なサイト、例えばゲームサイトやWebサービスなどで環境構築が簡単だったり(プラットフォームサービス)すればそちらを選びますよね。amazonのAWSを少しさわってみましたが、もちろん知識はいるし誰でも出来るとはいい難いのですが、とはいえプラットフォームである環境構築をやろうとしたらめちゃくちゃ学習コストもハードウェアコストもかかり現実的ではないんですね。だからこそクラウドが流行っているともいえます。

そういう動的なサイトが多かったり、より成長させようとするお客さんが多いとクラウドへ一気に流れている可能性が高いです。つまり、当たり前といえば当たり前ですが、既存のお客さんがサービスの何に満足をしていたり、どういう用途で使っているかの確認が大事となります。

ただそういった従来型ホスティング事業が今後増えることは考えにくいでしょう。時代の流れというところです。ゲームでいえば、ファミコンがスーパーファミコンになったり、ハードが変わっていく感じに近いですね。今だと何でしょうか、PS4に変わったり、パソコンになったり、NintedoSwitchになったりとかでしょうかね。

少しのアイデアを加えるならば、簡単に言えそうなのは、

  • 何か特定の用途に特化する、またはターゲットを特化する
  • 連携や他の拡張が容易。ソフトウェアやオープンソース等が使える
  • サポートやフォローが手厚い、初心者も出来る

それくらいな気がします。価格も相当安価になりこれ以上安くすることはほぼ出来ないでしょう。もちろん新しいビジネスモデルを作るということなら別ですが。

用途やターゲット特化は、イラストを描いている人向けのレンタルサーバとか、入門者向けとかでしょうか。ただこれらもやり尽くされている感が否めません。標準で多言語対応するとかも強みになるかどうか。

連携や拡張というのは、ドメインが取りやすいとか、Wordpressなどが簡単に入れられるとか、そういうスタンダードになりつつある、ユーザーが多いものを取り入れていくことでしょう。ただこれも既にやられている気がします。もっとやるなら、ブラウザなどで映像、写真、イラストなどが作れるようなWebサービスと連携して、そのままサーバへ保存出来るとかですが、そんなのあるんでしょうか。ちょっと分かりません。

サポートやフォローは初心者向けです。ただこれもどういうお客さんをターゲットにするか抱えるか、教育コストやサポートコストも馬鹿になりませんからそのあたりが課題ですね。

こういった衰退傾向や微減になってきた時の打ち手が事業の命運を握ることになると思います。僕がレンタルサーバ事業者であって業界No.1でなく、10位くらいの中堅または中規模程度であれば何をするか。まあ会社のやり方によりますが、Webサービスを作りレンタルサーバのホスティングに依存しないサービスで顧客を増やすか、価値を提供します。例えばホスティング事業者なら顧客の声がある程度見えるはずなので、例えば「2つ目のブログ用ホスティング」など絞り込んだりとかもありでしょう。

また、Googleアナリティクスであったり、Web運営に必要なものが最初から全て入っているとかそうなると楽ですよね。Wordpressはプラグイン等でそういうことが可能だと思いますが、まるごと入っているものを見たことがないので、結局設定が個別にいるのが手間だなと思ったりします。これはやや中級者向けかもしれませんが。

WordPressならインストール後のサポートがどこまであるとか、チュートリアルが充実しているとかそういうことがもしかしたら価値になるかもしれません。

事業投資をして経営を持続する

ものすごく当たり前のことですが、市場が成長しまたは衰退し、または市場でなく単に自社ビジネスが売上が上がらない、頭打ちになったらどうするか。改善出来ることは改善しということですが、例えばこれ以上スマートフォンの端末を売るのは普及前に比べ難しいでしょうし、同時に2台目需要までいったらあとは買い替えくらいしかありません。劇的な変化があればいいですが、まあ厳しいだろうと。しかも買い替えは買い替えの期限またはハードウェアやソフトウェアの性能アップからある程度見込めるわけですね。

買い替えくらしか見えない時その率も高くなってきた時では遅いのですが、そうなる兆しが見えたら次の新規事業を育てるということになります。または既存事業のノウハウを活かしてやるとなります。

ただこれは言うは易く行うは難しです。既存事業と新規事業を比べれば多くは、何やってんの?みたいな売上、または売上が上がればいいほうで赤字というか売上がないことも投資段階や初期段階では普通でしょう。もちろん、既存顧客をハウスリストとして提供できるサービスがあればいいですがそうは簡単に行かないかもしれないですよね。例えば従来型ホスティングのレンタルサーバ契約者で小規模事業者が多いところに、ペッパーやスマートスピーカー(AmazonEchoとか)を売れるかですが、売れない感じもしますよね(笑)

つまり、既存事業が良い時にさらっと新規事業の種まきをしておく。そこで試せる体力がある時にやっておくことが鉄則になりそうです。つまり気づいて対応していては遅いという感じでしょう。

一方で新規市場としてはクラウド市場として、例えばIoTなどの小さな製品がネットワークでつながるという切り口が既に出てきています。従来型ホスティング事業のノウハウが何かは分かりませんが、ビジネス的には土地を持っていて欲しい人が入れば売る、またはマンションを建てておいて欲しい人に賃貸するものが近いでしょう。不動産賃貸経営ですね。

クラウドビジネスへ行くのも成長市場としてありですが一方でライバルも多いというところです。出版業界が衰退産業であり、電子書籍市場が成長しているものの、衰退を吸収できる規模ではなかったかなと思います。単純に考えても人口減を防げないですから、一人または一社あたりの使えるインフラやホスティング容量などは今後さらに豊かになっていくと言えます。

クラウドホスティング×電子書籍市場というように成長市場をかけたところでかつ、自社の強みを入れるなどで面白い切り口があるかもしれません。例えば、電子書籍を読むので課金配分されるkindle unlimitedがありますが、映像や動画などの埋め込みにも対応してより柔軟な電子書籍サービスを作るなどです。もちろんyoutubeを埋め込んだら終わるとか代替出来てしまう面もあるのでこの粗いアイデアをどう調理するかというところでしょう。

おわりに

今回はレンタルサーバービジネスが今度どうなるかという興味から考えてみました。クラウドが流行っているというのはよく分かりますが、やはり市場は加速する流れと言えそうです。

一方でマスの流れでなく、やっぱ従来型ホスティングがいいんだよという懐古的というと怒られますが流行りに乗らないという人もニッチで存在するでしょう。そういうニッチを攻めるのも面白く、流行りとかトレンドとかいいから、アナログで昔風で分かりやすい。そんなところも一つの切り口となると思います。

今回は以上です。

筆者プロフィール

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。