地方の卸業ビジネスにおける得意先視点アイデア

質問

Q.日本のある地方で、水回りと家電商品の卸業を営んでおります。
主に、工務店、水道屋、街の電気屋が得意先です。
基本的には、各々の営業マンが任された得意先に御用聞きという従来の形を取っています。

工務店、水道屋、街の電気屋の立場に立った場合、新しくどういったニーズに応えていけばいいのか、IT技術も含めて、何か良いアイディアがあれば、教えて頂けないでしょうか?

よろしくお願いします。

回答

A.以下で回答致します。

1)成立するならそれでいい

新しいニーズや立場にたったというところですが、その前に現時点で地方で成立するビジネスとして回っているならそれでよしという考え方も可能です。

課題が明確にあることは分かりませんが、仮にそこまで深刻でないなら継続できるということもいえそうです。

もちろん従来のやり方を変える必要がない、新しいことをやる意義はないという
話ではなく、現時点で課題を明確にされたほうがいい気がしました。

もちろん質問にいれたくないということもあるとは思いますが。

2)仲介としての強みを考える

卸というところで強みはやはり何かを考えることです。

紀伊國屋書店が新刊等の配本をネットにあまり回さないようにするなど、リアル書店囲い込み、またはそちらに誘導するというアイデアがあったようです。

それ自体どうということはありませんが、書店でいえば、卸となる問屋の強みは、個別に出版社と書店が契約しなくても、一定数の本を配本できる、またはラインナップを揃えられるということです。

調達能力といってもいいですし、信頼能力(ビジネス慣習上新規お客さんと取引しないというところもありますしね、つてであればOKなど)を証明するということもできます。

これらの強みを一度整理してみてはどうでしょうか。

御用聞きという立場が悪いわけではないですが、御用聞きでは出来ない視点というのも存在します。

例えば、得意先の視点が絶対でもないわけでして、どうしても同じビジネスを継続すると見えてこなくなるもの、常識化してしまうものがあります。
魚の釣り堀がありそれを釣って調理してもらうという居酒屋がありますが、この発想は、お好み焼き屋で自分で焼いて食べるという体験を売る、またはそれを価値だと思うお客さんがいて成立します(フルサービスで、焼いて欲しい、魚は全部調理済みでいいという人には成立しません)。

つまり、得意先が見えない視点もどこかにあるはずです。得意先を見るだけでなく、得意先のさらに潜在的な課題やその得意先のお客さん、つまりエンドユーザーになるとは思いますがそれらも考えてみると良さそうです。

ただ、BtoCでなくBtoBの性質上そこまで考える必要性がないケースもあります。

3)売れ筋や現在の環境を教えてくれる

地方で何十年とビジネスをやっていればその知り合いやビジネスネットワークが強固になり、信頼も獲得し続いていく商売となると思います。

その中でもさらなる工夫として、例えば売れ筋の商品が知りたいとか、新しいトレンド、それら得意先の動きなどが卸だからこそある程度把握できといえそうです。

例えば、アスクルや大塚商会などのビジネスでは、オフィスへ事務用品の通販という部分があります。

これは強固に関係がある場合はなかなか取引先を変えるのは難しいですが、通販システムや新しい切り口から崩していく、切り替えていくということができます。

オフィスに例えば冊子がありそこから選ぶという習慣になれば、手軽に頼むことができます。既にそのような冊子や卸用のパンフレットがあるのでしょうが、それでも売れ筋であるとか、どういう傾向のアイテムが流行りになるなどは、卸として扱う商品やサービスが多いほうが分かりますし、地方での強みとなりそうです。

いわば情報として、卸の強みを活かしてそれらのランキングでもいいですし、週刊レポートそういったものを配信するということで得意先を逃さないというのもありかもしれません。

4)POSネットワーク

小売等ではないのでそこまでPOS等の意味合いがないかもしれませんが、3のようなものを得意先をまとめてつなぎ、例えば工務店の中でいくつかのシステムを
こちらで構築する。まだ水道屋の売上管理システムを構築する。

卸で培った管理技術などをシステム化して使うということです。

ではいわゆるパッケージである販売管理システムとの違いは何か、差別化は何かですが、当然今まで関係性があるので業務をよく理解していること、顔が見える関係なのでサポートもしやすいこと、かゆいところに手が届くという感じでしょうか。

そういったシステム構築を提案したり、業務を改善してくれる、効率化してくれると得意先は喜びそうです。もっともそれほど業務がないと提案の価値は薄くなるわけですが。

その場合のITシステムとは、小規模であればAccessなども使えると思いますし、
クラウドパッケージソフトをアレンジして使うとか、オープンソースとなっているものをアレンジして販売するなど、色々とやり方はありそうです。

5)ニーズを聞く

既にされているかもしれませんが、得意先に御用聞きという形でいっても、そこは会社の応接室でしょうか、担当者の机でしょうか分かりませんが、現場ではありません。

得意先の現場に同行してそこでニーズを聞き出す、見つけるというのはどうでしょうか。御用聞きの時間を割いて一度トライしてみて効果がでそうなら継続する。

またニーズを聞き出すことが御用聞きの普段のやり方で出来てない部分を発掘するのが狙いです。

6)アフターフォローを充実させる

売りっぱなし(買いっぱなし)でなく、フォローがあれば得意先からも覚えてもらいやすいです。とくにシステムなど高額なものだったり、広告だったりするものでも、意外とフォローがないことがあります。フォロー自体は電話一本でもいいわけですが、それらがあるかないか、またそれらを御用聞きの中でやっているとみなすのか、それともできていないのかは実際の業務次第だと思います。

膨大な数を販売していても、お客さんメールに名前が書かれていればそれは機械的であれ嬉しいものです。そういったあなたのために考えた、これは見せ方でもありますが、実際に得意先のことを考えているんですよということを出していくのも良さそうです。

これは別にお歳暮とか贈り物をするということでなく、サービス、販売した商品などのフォローをしていく、そこではないでしょうか。

仮に不満があっても関係があるから使うというのは悪くないですが、それを相手からいってくれたらいいやすい、というのはよくありそうです。

7)新商品の提案、新サービスの提案

新しく卸している商品や技術を使って新サービスや新商品を考えたとします。
例えばAmazonでやっているようなレコメンド機能で、これもどうですかというものです。アップセルとかクロスセルということでも良さそうです。

それはいいとして、そのサービスを説明にいくだけでも、得意先には印象に残りそうです。とくに卸というのは安定したら特にビジネスを変える必要性がない、むしろそれを構築したら終わり、であるので、どうすれば得意先により満足してもらえるか。その説明になっていくからです。

得意先とのビジネスだけでなく、得意先のビジネス業界を調べたり、卸の業界をさらに点検して最新のシステムや情報がないかを調べます。それらを提供するだけでも、コミュニケーションの一つになりそうです。

例えばSNS等で、FacebookやTwitterを導入しようというのは未だにありそうですが、それらの使い方を教えてくれる、または導入して効果が出たとかそういったノウハウを教えてくれるなどであれば卸という存在とはまた違ってきそうです。

これらをサービス化して提案しても面白そうです。

8)需要予測などをサービス化する

国が自治体向けにリーサスというシステムを提供しています。一般でも使えます。
https://resas.go.jp/

ただ、これもそうですがシステムはあるが使い切れる人は少なく、また自治体=企業ではないので、効率的な使い方を業務に入れる、または自治体が戦略を考えるには悪くないのですが、結果を出すのは難しそうです。

このようなシステムを使う、またはどういう得意先がいて、または得意先のビジネスはどうなるかを予想したり、考察してコンサルするというのはありえそうです。

システムを作るのは大変ですが、どうすれば得意先のビジネスが儲かるか。それを考えるだけでも新たなヒントにはなりそうです。

例えば、推測に過ぎませんが、水道屋さんにとって冬はおそらく、とくに水道管が凍る、水が凍る地域は破裂があり大変かもしれません。もちろん温かい地域ではありえない話かもしれません。最近は水害、または突発性の災害で保険なども相当上がったり、安価に提供できない状況もあります。

これらは常に一歩先を読まないと成立しえないので自社と得意先でなく、地方運命共同体という形でまとめて考えるのもありかもしれません。

9)ITニュース等を伝える

例えば、IoTなど、ものがIT化するというのがややトレンドになっています。
これは、例えば水道がIT化するとどうなるかですが、例えば水が出しっぱなしだったら、それを検知してスマートフォンで教えてくれる、または水道屋さんがそれをキャッチしてその自宅に連絡してくれる。

これはそれぞれの得意先であり得る今後の話です。今できるかどうかもありますが、例えば工務店にとっては玄関先の鍵も、スマホでロックできるものが好まれるかもしれませんし、それが対応できるところのほうがお客さんがやってほしいのであれば答えざるを得ないでしょう。

こういったIoTに関するニュースを得意先に出していくことで一歩先を提供する自社の立ち位置も気づけるかもしれません。

10)業務を減らす

既に出ているかもしれませんが、得意先の業務量に注目し、それらを減らせないか。または業務削減コンサル、サービスをするなどを考えます。

担当者がどう頑張っても10時間毎日かかっていたのが8時間で定時で帰れるようになった。そうなれば非常に感謝されることは間違いありません。

商品に削減効果を込みで提案してもいいし、別途サービスを提案するのもいいと思います。とくに、同じ業務を何度もやっている場合、ITの提案がもっとも力となりそうです。

具体的には例えばExcelのマクロを提案するだけでも、仮に同じことを毎回やっていたら非常に喜ばれると思います。

他にも得意先毎の業務や特殊業務があればそれらを減らすという視点です。

11)まとめ

得意先から見れば、卸である自社を使うのか、それとも他の先を見るのか。
しかし長く続くビジネスはお互い様という関係もあり、ご縁であったりもします。何が良いか悪いかは一概に言えませんが、業績が悪化しており売上を作る必要があるのであれば、全く違うジャンルにチャレンジするのもありだと思います。

例えば、地方において就職が困難かもしれませんが、それらの就職支援をそれらのツテでするなど、それだけではビジネスになりづらいですが一つのきっかけにはなるかもしれません。

以上一つでも参考になれば幸いです。
ビジネスのご発展をお祈りして失礼致します。

筆者プロフィール

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。

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