最終面接落ちをカバーする「ABABA」

ABABAはユニークなビジネスです。神戸新聞NEXTで知りました。就活「お祈りメール」活用 最終で不採用、他企業に仲介 学生起業家に経産大臣賞

記事内容を拾いつつ、公式サイトを確認して図解をしてみました。

ABABAとは

最終面接落ちの就活生に対して、不採用通知企業の心象悪化回避と、他社企業への採用を促すモデルです。極端にいえば、人材のリサイクルみたいな感じです。

そんなことできるのか?というところは実証や稼働後に明確になるのでここでは課題感というところで拾っていければと思います。

図解

ABABAがない世界図解
ABABAがある世界

2枚で表現してみました。1枚目は従来の世界観です。つまりABABAがない世界ですね。

この場合は、最終面接で落ちた学生は、そのケアもないため、「不採用」=お祈りメールで心象が悪化する可能性があります。確率的にどれくらいかは不明です。

2枚目はABABAがあったらという世界観です。つまり、ABABA登録を促してタレントプールに入ると、別企業からオファーが来る(かも)ということですね。

面白そうなポイント

お祈りメールに注目した点

まずお祈りメール自体は儀礼や儀式的であるのでそこにヒントがあると思う人はなかなかいないのかなと感じました。そこに注目したのは素晴らしいというか、端的にいって賢いと感じました。採用ではなく仕事であれば「検討しましたが・・・今回は・・・見送らせてください」なんて山程見ていますので(笑)なんとも思わないのですが、経験値が低い学生だとセンシティブになるのは分かります。

この敏感さは学生にもよるのですがどの程度心象悪化するかは気になるところでした。とはいえ、このお祈りメール活用的な感覚は面白いです。ちなみに面白いとは、それがビジネスとして「イケる」という意味ではないです。

次につなげる仕組みにつなげた

お祈りメールで終わった!という人に対して救済措置ではないですけど、次があるという流れを作ったのが良いと感じました。

一方で、ここでは優秀人材は一社しか受けないわけはないのでは?というツッコミも可能ですので、一社以外受けてない人ってどれくらいいるかです。本音と建前はありそうですが、「御社しか受けていません」って信じきれる採用担当がいるか、僕には分からないです。僕は信じないですね(笑)

そういう芝居なのかその駆け引きはおいておいて、そうやって凹んで終わるみたいな人を救済的に次があるさといける仕組みはやはりいいですね。

ビジネスという仕組みにした

粗い感じは受けつつも、やはり採用企業からの報酬というところでマネタイズにしたのはいいと思います。実際に採用企業がどこまであるかと、何人採用するかによっちゃうのでなかなかそれだけに依存しちゃうのもなと思いますが、この世界観でマネタイズが出来るのはいいなあと普通に思いました。

失敗というかうまくいかないと、ソーシャルビジネスっぽくなって収益が上げづらいみたいになるからですね。

図解を通して気になったこと

最初見た時は、アイデアが秀逸というところでしたが、冷静に図解を書いてみると、粗いというかここはどうなのだろうかという課題が見えてきました。課題って僕がそう思っているだけなので参考程度に。

最初のトリガーが不採用を貫けるか

これはもうしょうがないですけど、「不採用学生」が多いことが良しとならないかということです。こういう論理のずれはありえるので、まあそういうことはなさそうですけど、回すためにどうすれば?というときに、壊れるかもしれないです。

つまり、ABABAに登録する人が増えることがタレントプールとしての一応の価値となるという前提があると、採用希望企業は色々選べるのでいいわけですよね。最も質もあるのでなんともなんでしょうが。

その上で、ABABAに登録する人はどこから増えるのか?そう、不採用で最終面接落ちたという証明ができる=実際に嘘はまあほとんどないでしょう(cashアプリとかの偽登録みたいな人がほぼいなかったみたいな肌感からです)。そうすると、純粋に増える導線が、不採用学生が多い状態となって、それはどうなんだ?ということですね。

これは始める起業家が想定できるかというとしづらい気がしていて、やると見えてくる系の課題な気がします。というかやらないと分からないというか。実際に望んでいなくても「就活」する人の数だけ毎年あるので、そこをどう見ていくかですよね。

例えばビッグイシューなどはホームレス支援のための活動をしていますが、販売者であるホームレスが減ることは良しですが、そうすると団体の維持が大変という矛盾構造を抱えています。ボランティアではないので、事業としてなのでそこが難しいですよね。

ソーシャルか?というと分からないのですが、こういった事業構造の矛盾にならないかというところが気になりました。どう乗り越えるか、違う切り口が出てくると幅が広がりそうですね。

マッチングの精度は高いのかどうか

これは運用してみないと分からないのですが、仮にコアなアイデアトリガーである不採用学生というのを外すと、単なるタレントプールになります。もちろん動きや属性などを想定しやすい一定の層がいる、ということはありますがそれも他とどこまで違うのかになりそうです。

そこまでいくと、あとはABABAのデータベースにある人材と、採用希望する企業が採用できるかどうかとなります。

採用企業からすれば、ABABAでの採用体験自体が、他サービスとは一味違う何か=それが提供価値となる、とできれば成長が見えそうですし、それがまさに改善されていくことが成長といっていいわけですね。

逆にそれが見えないか、あまり価値が薄かったりする、例えば代替サービスと結果的に変わらないのであれば使いづらいですよね。

あとデータベースと就活生という関係は、毎年更新される?ということだと、そういった年次といいますか就活の時期だけが繁忙期になるかとか、そういう1年におけるサイクルも気になりました。どこで最も価値が高くなるかとか時期もあるのかなと。

採用マッチングの課題感に解決になるか

そもそも採用とは不採用も含めてという概念だと思います。合う合わないというシンプルに考えると、誰もが合う、最適なマッチングって出来ないと。でも、その精度を高める工夫が今までもあるし、今もされているわけですね。

そういったところを考えていくと、そもそも不採用率を減らす方がいいわけですよね。不採用率が減る世界では、ABABAの必要性は相対的に減少します。上で書いた通りです。

それで、そもそもなんで採用とか不採用とかが起きるかというと、求人に対して求職する人が多いわけですよね。論理的にいえば、人気企業はみんな応募すると。でもそれ受からないわけじゃないですか。だから不採用が生まれる。

このあたりの構造はどうなんだろう?と思ったわけです。つまり、不人気企業(それがなぜかは分析必須ですが)があるわけで、そういうところではお祈りする人もいない。ないと考えたいけどありえるのは、不採用先の採用企業が不人気企業というパターンです。つまり、不採用×相対的に人気がないとなると、踏んだり蹴ったりであり、泣きっ面に蜂の様相です。ここまでひどいことはレアケースだとは思えど、そもそも採用企業がどこか?となってきます。

つまり、不採用企業と採用企業がある程度違っていなければ成り立たないのと、そうであるからこそ出来るのかなと感じました。

このあたりのパラメタや要因は何になるのかとても興味深いですね。

課題やマネタイズ

課題感

課題感は上に書いた図解を書いてみて気づいたところでいえそうです。短期的には不採用学生を救いそうではあるが、長期的にはどうか。長期とは毎回学生が変わるのであればそこでの肌感が大事になってくるわけですが、それがどの程度再現性があって、世界観が構築できるかですよね。

シンプルに不採用とする企業は別に悪意があるわけではないので、また採用企業は別に不採用とか関係なく優秀なら合いたい=うちに合うなら採りたいって、ものすごくシンプルです。でも介在する人が多かったり、情報や様々な思惑?で難しくなっているかもしれないですね。

あと、ライバル企業を意識した場合、つまり競争ですから、あえてライバルに渡すを選べるかは結構倫理っぽい話だなあと。そこを企業がやれるかは分からないですね。渡してたまるか!と思えばABABAは使わないので、まあ逆にABABAを使うこと=最適な道というサジェストを示すことになるので良いともいえるわけですね。

マネタイズ

マネタイズは情報も限られるのであまりいえないですが、採用報酬以外がないとタレントプールサービスみたいになるのでどうなのかというところですね。転職等ではない就活生かつ不採用というところにフォーカスを当てると、ボリュームが増えないですし、毎年更新されるし、というところを考慮する必要があるわけです。

ジャストアイデアですが、不採用学生の心理や考え方を得たとしてそこから改善した採用活動につなげるみたいな、採用アドバイスとかは考えられそうです。とは採用のプロはそんなことはとっくに考えているはずなので、どの精度や価値になるかですよね。

まとめてみて

初めてABABAを知って調べつつとはいえ情報は公式と記事くらいですが、図解を書いていくと色々なことが見えてきました。つまり、なぞってみると見えるということですね。

これって模写とは違うのですが、何か対象を知るのにはまず描いてみるとか、身体感覚としてはありだなと感じました。書いてみると見えるというやつですね。絵でも、コードでも、文章でも、クリエイティブから作業でもなんでもという感覚です。

自分で考えながら図解を書くので学びにもなりそうです。同時にふわっとしているところ(情報的なものもありますけど)はそれで保留して、推測や考えを入れていけばいいわけですよね。まさにそこが鍛えるポイントとなります。想像力と現実性みたいな狭間ですね。

ABABA自体の目の付け所はやっぱ面白いのでうまく発展するといいですね。一方で面白いアイデアだからいいのかというと、アイデアに寄りすぎると仕組みや構築が難しかったりもしますし、ここが最も面白いところではないかなとも感じました。

筆者プロフィール

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。

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