タチヤ(バローグループ)の純利益率がすごいので調べてみた

タチヤという激安スーパーが春日井市にある高蔵寺駅構内に出来たというニュースがありました。地元でないと全く分からないネタですが、名古屋のベッドタウン的な春日井市という感じです。ただ高蔵寺は3大ニュータウンというところで、高蔵寺ニュータウンが有名なので名前は知っている人が多いかもですね。

ソースはバローグループの食品スーパー、タチヤが初の青果専門店です。

タチヤとは

まずタチヤを調べてみます。タチヤは名古屋市の八事が創業でそこから始まっています。愛知県の激安スーパーみたいな感じでいいかと思います。

会社情報から現在18店舗あり、2009年125億円の売上が今2020年で310億円という成長具合です。

売上高純利益率が高い

先の会社情報にさらっと書かれている、売上高純利益率が7.8%となっていて、日本食糧新聞の調べではSM(スーパーマーケットのこと)では1位となっています。

ここでおさらいですが、そもそも売上高は売上とか収益自体でOKだと思います。では、純利益、または純利益率とは何を指すかです。正解というか知識として、営業利益でもなく経常利益でもなく、最後に税金やら特別損失やら全部入れて、最後に残る利益が純利益となります。

日本食糧新聞のデータが見つけられなかったので他競合と比べてみます。

利益率ランキングで一位は4.4%の神戸物産

業界動向サーチのスーパー業界では、2020-2021年で神戸物産が4.4%で1位でした。1位で4.4%というところです。

ここで「利益率」とあるので、この値は営業利益なのか、経常利益なのか、純利益なのか気になりましたので、タチヤの親であるバローがあるので見てみましょう。

バローHDは1.7%となっています。バローの2021年3月期通期実績では売上高が7301億円で、当期純利益が125億円でした。2021年3月期
決算説明会資料

ちなみにulletなどでも同じようにすぐ分かるので見てみると面白いかと思います。バローホールディングスulletでも、同じ値となっています。

ここで125億円÷7301億円=0.017となり、これは1.7%です。つまり、業界動向サーチの先の「利益率」は「純利益率」と考えられそうです。他調べてないのでたまたまということも留意してくださいね。

当のバロー自体もバローというスーパーを経営しているわけですが、HD全体ということですが、1.7%まで下がっています。そういう意味で、タチヤ単独では7.8%というのは4倍以上あるので、驚異の数字と僕は感じました。

そして他競合もまあ軒並み高くないわけですね。

タチヤのビジネスモデルは?

ではタチヤはなぜそこまで純利益が残せるのか?これは軽く調べた限りですが、以下のことが言えそうです。

仕入ロスはなく仕入れて売り切る

現場担当者が仕入れてそれを売り切るモデルがワンセットとなっています。なので、基本的に売り切れる量として仕入ロス=売れなくて廃棄されることがないと言えそうです。これは言うは易く行うは難しかなというところです。

では、一般的に仕入ロスってどれくらい起きているのかですが、スーパーマーケット統計調査事務局 商品カテゴリー別ロス率でみると、ここでは青果、水産、畜産、惣菜あたりが生鮮スーパーという感じなので(日配品、非食品や一般食品は一旦スルーします)3~10%が平均値となります。惣菜はやはりロスが多いんですね。タチヤは惣菜があるかもしれませんが(現場見てないです(笑))あってもロスが多くなりがちといえると少ないかもしれません。

仮に5%とすると、5%のロス=売上にならない、仕入や経費分ロスになるのでかなり痛いわけです。仮に1万円仕入れて2万円で売るつもりが、1万円仕入れてその分売れない=文字通り廃棄なので、マイナス一万円となります。これは痛いですよね。

このロスがほぼゼロとすると、売上におけるロス率5%がなくなる=そのまま売上に転じるのでそれは強いわけです。仮に310億円の5%は15億くらいなので、そのまま売上になると。

一方で、廃棄になるものは、廃棄処分やその費用があるわけでそのコストはロス率だけでは出ない気がしますから、こういう関連費用も浮くことになります。

広告チラシは0円

チラシ自体は価格設定をして撒くわけですが、それをせず現場の裁量=しかも1人の商品担当が専任でいるような細かさ、大胆に値段を変えているようです。これはお客の認知も大事ですが、安いものがあるので「店頭に来て」それを元に食べるものを考えるみたいな層に刺さるわけですね。

チラシって来てもらうために、買ってもらうために撒くのですが、それがないとなると広告宣伝費が削れます。

バローHDの最新の四半期報告書では、第二四半期累計の業績が書かれています。P.13では販売費及び一般管理費として、899億円あります。いわゆる広告宣伝費もこれに含まれます。さらに注記を見ると、P.18にありますが26億円相当が広告宣伝費のようです。第二四半期累計の売上高は3555億円でしたから、26÷3555=0.007なので、0.7%程度が広告宣伝費相当と言えそうです。分かりやすく1%としましょう。

タチヤが仮に一般的なSMのように広告宣伝費をするならば、310億円の売上で1%は3.1億円相当です。それが浮いているというわけですね。たった1%という無かれです。それがなくても回るのがグッドということですね。

サイエンス経営

タチヤのサイトトップには、「物売りはサイエンスだ!」という力強いメッセージがあります。多分先程のロスもですが、どのタイミングで値引きするとか、声掛けをするとかってかなり科学的にやっているのではないかと推測します。(現場行ってない(笑))

その蓄積が純利益率に出ているのではないかなというところです。

このあたりは推測なので何かネタがあればいいのですが、それくらいというところです。

参考

他サイトも参考になりました。ありがとうございます。

機会があれば現場に足を運んでみたいですね。

東海地方で「最強のコスパ」誇るスーパー…「タチヤ」はナゼここまで安くできるのか 仕入と売場の仕掛け方

異色のスーパータチヤ、生鮮品の大容量販売で高利益率

おわりに

スーパー業界とか興味があるかないかはおいておいて、こういうデータを調べていくと蓄積されますよね。自分の中にです。営業利益率でもいいですし、色々な目安があると視点が増えて楽しいなあというのが共有できれば嬉しいです。

筆者プロフィール

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。

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