斬新な切り口だったアンケートサービス「ネクストサーベイ」を弔う

サービス当初は斬新でした。今も面白い切り口だとは思いますが、ビジネスとしていけるかは疑問というところです。とはいえやってみるとどうかはわからないのですけど、そのあたりも考えてみます。

面白い切り口から社会が活発になることはあるので、こういう挑戦というか仕掛けはグッドですね。運営元の会社は、今年で事業譲渡されたようで、また違う形になってくようですね。

ネクストサーベイの面白さ

サイトはクローズしているので過去のプレスリリースから雰囲気を感じてください。コストを実質無料にできるSNSのようなWebアンケートサービス「ネクストサーベイ」が新年度お試し無料キャンペーンを実施します!

簡単にいうと、アンケートサービスです。回答者は50円程度のポイントを貰えます。企業などの依頼者は1万円くらいで依頼できたはずです。つまり、依頼側は1万で依頼して、そのうち100人分は5000円なので、運営側は50%となる感じですよね。

面白いのは、商品リリースするんだけどこの写真とかチラシとかどれがいけてる?みたいなのが聴けることですね。この時に、「40文字以上のコメント」が必須という点です。このサービスを見た時、インサイトというか、なかなか鋭い視点だと感じたんですね。

つまり、適当なコメントをしてポイントが得られればいいという「いけず」(笑)な回答者も一定数いるのでしょうがそういう人だけではこのサービスの価値が消えます。しかし、40文字何かを入れることで、その40文字以上のコメントが「適当」感が強いなら、回答したフィードバックも「評価しない」とすればいいんですね。

つまり「A,B,Cとチラシがあるけど、どれなら買いたい?」というので「A。適当なコメントでーす!!!な40文字」だとしたら、このとき「この人は適当だなって依頼者側が分かるので見極めて使わない」とすればいいんです。もちろん、この回答者も真摯に答えた人も50円とはどうなんだとなるので、その仕組は改善の余地があるわけですが。

多分ですが、心理的に「40文字なら書ける」ことで、実際に書くと「文字を書いたらこういうこともいえそうだ」「これもどうかな」「あ、他の選択肢はこうだから違うぞ」というコメント文字数は長くなって、かつ的確なものが集まる傾向にあるとすると、50円って安価だと言えるわけですね。

これが当初感じた良さでした。

他にも、回答者は他の回答も見えるとか、あと依頼者は回答することでお金を得られる(1万円で依頼しても、200回答(笑)すればタダになるということですね)という仕掛けもユニークですね。

目標や運営の難しさ

アイデアシェアで経験したところからいえば、集客とそれに見合うサービスの価値を享受できるか。そしてかつ運営が持続可能か。経営やビジネスは一点だけいけるからいいというのは結構弱くて、バランスでどうかという総合力を問われるという感じがしています。

切り口は面白いのは評価できるが、やってみると難しい。それってアイデアでカバーできるとか一点突破できない、仮にしても持続力はないというだけなんですが、よくある話ですね。

まず目標です。半年で5000万の売上が妥当かどうかは分かりませんが、自社の抱える企業やテストマーケティングとしてやってみたらいけるという数字だったのでしょう。1企業1回で1万円だと5000社なので、ちょっとBtoBでは高い数値な気がしますから、個人依頼も想定されていたりするかもしれません。

他には、オプションやよりカスタマイズしたサービス、例えば依頼アンケート作成を代行するとか、コンサルするとか、アンケート回答の分析してこう捉えることができたり、グループインタビューや特定の回答者をより詳しく聞くとか。で、1企業あたり5-10万円程度までいったとしても、調査会社に発注するよりも安いというところを狙ったのではないかと想像します。

この価格帯で、1企業10万として、500件であり、1ヶ月あたり800万前後で、80件の案件獲得となります。ちょっと厳しいかもしれないですね。

次に運営の仕組みです。結局多くの人に知ってもらって、かつ使ってもらっても、依頼者がいることに依存します。もちろん回答者も必要です。回答者としていくつかやらせてもらって、あとUIUXが面白かったので、最低換金ポイントも貯まり何回か換金させてもらいました。一方で途中でいきなりサイトが消え、クローズされてしまったのが残念ですね。多分うろ覚えですが公式な発表というか、サイト自体にリニューアルかまたはクローズと書かれて終わっていった気がします。

最初にこういった流れとなるのは、案件自体を集められなかった、または集まっても依頼側の期待値に沿う回答がなかったとか、色々と要因はありそうです。

斬新な切り口として、最適解的なコメント40字であったり、気軽に頼める調査費用だったり、回答してカバーもできるという仕掛けが面白かったといえますが、その切り口を試しても結果的にうまくいかなかったというところでしょう。

何を学べるか

ネクストサーベイのクローズから学ぶことは以下のことでしょうか。

切り口や着眼点がユニークなものは、突破した後を考える

まあやってみないと分からないのは同意です。そのうえで、やって突破後にどうにかなるか?というと、僕の見立てでは「意外にも」「冷酷」ですが、「どうにもならない」ことのほうが多いです。やってみたら、うまくいったのは美談ですが、やってみたらうまくいかなかったは、単にあなたの失敗で終わり、それも責任論となります。その通りなのですが、失敗以上に責められることもなく、失敗は失敗であるわけですね。

一点突破でどうにかならないかは僕は好きな考えです。しかし、一点突破して終わりなら話が早いですが、世界は社会はそうなっていません。むしろ、一点突破だけして終わりなら経営でなく、そういう仕事を創るべきとなります(新規事業を企画するがオペレーションや運営、経営には関わらない。その代わり成功時の報酬は低くなりますよね。もちろん失敗リスクがなくなるので見合っているとも言えます。ただ全く経験がないのに想像はしづらいのである程度の経験が求められるわけですよね)。

意外にユニークだと思っている、自分では特に評価が上向きになりがちです。冷静に見ると既にあるもので失敗していたり、怪しいものもあったりするので冷静に見る、冷ます、誰かのアドバイスをもらう、などで熱を冷ますのはありですね。

見込みがないなら冷静に撤退する

回答者一ユーザーであれば、サービスが消えて困るかというと、回答者だけであれば困ることはないというのが本音です。その消えてほしくない価値であれば、あったとすれば、次のサービスが生まれたりするわけですね。

冷静にですが、ここもうまくいかないとすれば撤退するのは定石といえます。粘ればなんとかなるという執着は大事ですが、それによって「状況」が見えない、把握できなくなるのは別問題です。

これは判断の問題で、正解はないです。上で半期で5000万取れなかったら終わりでもいいですし、まだやれてないところがあってやればいけそうなら1年に伸ばしてもいいのかもしれません。ただ、だらだらやって出来るとか、状況が変わっているのに続けても意味がないとか、って実はあなたが、つまり自分が一番分かっていたりしますよね。そこで冷静に対応できるというのはやはりポイントになりそうです。

アイデアシェアでも撤退というかうまくいかないことを認めて、シンプルなマッチングはきついということを得ています。逆にだらだらとやることもできたのですが、改善見込みもないためクローズとしました。そこからも明確ですが、持続可能は大事だが、単に存続するだけというのでなく意志ある運営や継続があってこそです。ここのあたりは正解がないので、人によってブレます。例えば持続している人が持続が大事といえばもっともらしいですが、持続できていても意義がなくなっていたりするとやはり辛いんですね。

タイミングによっては成功するか

昔は駄目だったが今は違う。これは結構ありだと思っています。今やるとしたらどうでしょうか?

やはり昔よりも人がインターネットで活動するし、やりやすくなるので認知度は増えるかもしれません。ただ僕の課題としては企業依頼が見えないですね。その仕組みがある程度作れるならありですよね。ただ、1回答50円で、依頼1万円くらいがどうかは要検討です。

クラウドソーシングのタスク型となると、1回答1円程度のものもあったりして、その回答や価値があるかは不明です。例えば100人から100円で集めた意見をまとめて価値あるビジネスを作ったという人は聞いたことがないです。仮にあっても、その回答が100%使えるとかはないはずで、ヒント程度にはなって、その人の実践が評価されるくらいでしょうか。要は使い方ですが、そういうサービスとの比較となると、逆になんでも回答すればいいユーザーが増えてしまってきつそうです。blaboがうまくやったのを真似できればいいですが、なかなか難しいはずです。

情報が流通している今の価値は何か

不思議でもないのですが、結局SNSなどで簡単に一般の人でもこうだといえるようになりました 。一方で可視化されることで、謎の争いも増えたし、良くわからない匿名の人の意見の価値がないわけではないですが、その人の意図が問われます。つまり、暇だから遊んでいるのか、本当に考えているのか、単に言いたいだけなのか(笑)

そうなると、そもそもとしてバイアスがかかりまくっている情報が増えても結果的に価値とならない、つまりネットで見えるからこそ価値が低いということもいえるわけです。まあこれは言い過ぎですが、可視化されて情報が悪くなると、良い情報が「評価」されづらくなると、良い情報を出している人がバカバカしくなるというか。まあ評価されないとそうなるのは分かります。

結果的に直接話す価値、やはりその人だから分かる価値、その人が提供する価値となっていって、情報は流れてアクセスできるようで、実は内実としてそれほど変わってない。むしろ見えるようになっているだけ期待値と誤解が増えるかもしれない。最も時代を巻き戻すこともできないので、その状況としてその前提で考えていく必要があります。

例えば、アンケートサービスも重いですが、5分で終わるがZoomでつないで「話してもらう」ことで、意味のないコメントを省く(笑)ハードルが高すぎということは分かるのですが、さっとやるならありかもしれませんよね。これもコロナ禍でなら可能な気もします。人が動くのでその工数次第かもしれないし、直接「ネットに出さない」ことが価値になるのは言われてますが、それをもっとストレートにやれる時代かもしれませんね。

ちなみに、似たようなアンケート回答サービスは割と見てきたのですが、ジャンルを決めたりしても、やはりうまくいったというのは、あまりなかったです。例えば、メイン事業があって新規事業としてやってみるはありですが、メイン事業のリソースを上手く使っても、うまく燃料を供給できないとまあ難しいですよね。とはいえそこが面白さでもありますので、挑戦したい人はぜひやって欲しいですし、新しい切り口でもって見方を変えてもらいたいですよね。

筆者プロフィール

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。

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