広告映像のコンテストサイト「レッドロック」を弔う

redrock

シゴトクリエイターの大橋です。

6月のサイト運営報告での気付きにもあったのですが、アイデア発想コンテンツなどがあるというところで、今回新しく、発想というよりも終了したサービスに対してフィードバックをすることで、より学ぼうということをやっていこうと思います。

他者サービスへの突っ込みで真実は不明であり想定の域を出ません。全く異なった見解または事実とは異なる可能性もありますが、目的としては後学のためにというところで、対象サービスを蔑む的なことはありません。

なお、このサービスを弔うという視点は、misocaの豊吉さんがやっていた自分サービスの墓場みたいなプレゼン資料があってそれをヒントにしています。正確にはこちらです。僕が作ってきたWebサービス追悼式

アイデア、映像制作のコンペプラットフォーム

今回弔うのはレッドロックです。レッドロック自体は自分もヘビーにユーザーとして使わせてもらって稼がせてもらいました。また今一緒に活動している友人の出会いもこのサービスがなかったらありえませんでした。

そういう意味ではサービスが与えてくれた僕への価値はとても高いですし、今でも有り難いと思っています。

レッドロック自体は2016年の4月頃にサービスが終わっています。サイトも見えなくなりました。雰囲気としては他のプレスリリース等などで知るしかありません。

Wantedlyの人材募集記事が結構面白いです。かなり優秀な方が運営されていたんですね。また「誰でも参加出来る動画広告コンテスト」というのがキャッチフレーズでした。

僕が参加したのは2014年くらいだと思いますので、まだ当時は映像コンペがありました、と思います。実際に、映像制作クリエイターが数百万の制作費をゲットして作れるわけですが、アイデアステージがあってその次に制作ステージがあるという流れでした。

ただ、僕自身はアイデアを試したかったので、制作ステージは関係なく、アイデアステージでチャレンジしていたので、どこまで制作案件があったかは不明です。が、参加者としてコンペエントリーした感じではほとんどなかった印象です。

レッドロックの課題は何だったか?

実際にスタートアップというカテゴリでは、会社や事業を売り抜けたり、上場等する、他にも色々な道があるのでしょうが、多くはその2つになりそうです。

今回は、サービス停止になるまで、案件が全然出てこないのでこれは怪しいな?(笑)と思っていたらやはりサービス停止しました。これは閉店前の小売店舗などが商品補充をしないので、どんどん売り切れになっていくあの状態が近いと思います。

大きく課題は2つあったのかなと思います。

1.広告コンテストでは映像制作スピードが遅かった

映像制作ってめちゃくちゃ時間がかかる、労働集約的な印象です。ですのでお金もかかる。コンテストっていうことで、色々なクリエイターが登録して作っていくわけですが、また今度検証しますが、dmm.makeクラウドソーシングのようなものづくり系のクリエイターとも同様で、クリエイティブのアウトプットはネットでいいんだけど、ネットでクリエイティブを受注するとクラウドソーシングの影響もあって「安い」イメージになっちゃうんですよね。数百万自体は安くないですが、まともなものを作るともっとかかるんじゃないでしょうか。

同時にスピード感は数ヶ月かかるとかだと、雰囲気だとyoutubeなどお手軽にあげられる、プロのコンテンツが要るのも当然なんですが、大衆としてはリアルタイム性や見られるもののほうが受けるというのがあります。もちろん、プロが要らないということじゃないですよ。そういう時代の流れとはややアンマッチな印象でした。

じゃあ低価格帯でスピードが早い映像広告というと多分違うんだろうなあというところでしょうね。

2.アイデアステージの場合、売上がスケールしない

スケールするしないって個人的にはそこまで興味がないんですが(笑)、それはともかくスタートアップという概念自体が、小さく作るが、どんどん規模が大きくなるものという前提があります。というかそうでないと誰もお金を出してくれないですよね。そこがスモールビジネスとの大きな違いですよね。どっちが悪いとかいいとかでなく。

アイデアステージの場合、大手企業だから多いと20万くらいまでコンペ賞金が出ていたわけですが、実際には当然売上はもっとクライアントフィーが出るわけです。ただ頻度としてコンペ回数を月に10回もできるか?できないですよね。頑張って、2,3回ではないでしょうか。

盲点ですがこのクライアントのオファーをどう伝えるかのコミュニケーション作成などが結構コストかかります。コストというか人ですよね。人が作って伝わるメッセージにしていく必要があります。という意味では、アイデアステージだけで回せたらいいんでしょうけど、おそらくそれは立ち上げの思想とはずれていて、これではジリ貧というところでサービスをクローズというのかなというのが見立てです。

最も、並行してシステムを博報堂のイノベーションクラウドに提供しているのですが、こちらもサービス停止とともに運営会社が変わっています。今後どうなるかという話はサービスが終わった以上は不明ですが、やはり、それ以上にプラスとなる材料が見えなくなったというところではないでしょうか。

どう今後に活かすか?

僕もアイデアシェアなんてサービスを立ち上げているわけですが、スケールとかを狙うとまあ失敗しそうです。少なくとも現時点で、こうすれば成功するなんて絵はありません。ただニーズやどういうところが刺さるかの検証をせずにできるとは思ってなくてそこはやっていきたいところですね。

少なくとも、大手企業自体はプラットフォーム価値というところで、自分たちのユーザーや自社サイトや様々なメディアがありますよね。だから、そういう層とは違う人達にアクセスできたり、それをコミュニティ価値というんでしょうけどそこに価値を見出すからお金を出して募集依頼が来るんだろうと思います。それ以外にもあるんでしょうけど、メインはここでしょう。

そして大手企業をクライアントとすると、一回あたりのフィーはデカイですが、それ以上に質も見極めもシビアだろうと思います。もちろんこれは中小企業なら適当でいいなんて話ではないですよ。自分たちでもある程度出来ている人たちが依頼するのと、できないですという人が依頼するのは全く意味が異なります。

提供価値を、コンペやコンテストとすると、大手企業のフィーから人件費等の経費を引いた売上になりますが、仮に個人事業レベルで年間1億としても、月額800万近い売上が必須です。1オファー数百万(映像があればもっと)だとしても、200万だとしても4件。参加者への賞金は1割程度とすると、回ったかもしれませんが、多分これであればスモールビジネスになってしまって、スケールしたかった、広告市場、映像広告ではないってことになっちゃうんですね、きっと。

よって、コンテスト開催フィーだけを純粋に増やすとか、そういうのは筋が悪いと言えそうです。少なくとも、ある程度集めたら回るみたいな単純な感じではないと言えそうです。よって、コンテスト開催以外の収益構造やマネタイズアイデアが必須となります。例えばアイデアシェアでは会費形式でいわば有料コンペ、または会員間での交流的なコンテンツがあると面白いと考えています。もちろん、有料は価格によりますが、それくらい本気度があったほうがいい、または価値として交流や幅を広げるみたいなことが出てくる成長への投資をある程度共有出来る人でないと、例えば懸賞サイトでお小遣い稼ぎで無料でしかやらない人は門前払いということになりますし、ターゲット外となりそうです。

まとめ

簡単にまとめてみます。

レッドロック自体はエッジが効いた面白いサービスでした。しかし、映像広告市場自体は成長していたとしても、実際に映像制作案件やアイデアステージからの映像制作ステージというプロセスの長さ、時代や社会がややお手軽映像の簡易性に流れていたこと(スマホファーストなんてあまり想定していた人いないと思ったり)、そして単一のコンペ開催フィーだけではスモールビジネスならいいかもしれないが、そういうことをやりたいわけではない、というところからスケールしないと見切った。

のではないかなと思います。

逆に言えば、

  • 一定のアイデアマンや場を活用して発想やチャレンジをしたい人はいる(登録者ランキングなどがあって、数百名はいました。ただこれはプラットフォームやサービスの法則ですが、100名いたら100名アクティブではなく、貢献する人は1割り程度で投稿者自体が少ないのが実際ですよね。これは仕方がないかなというところです。高い方がいいわけですが)
  • コンペフィー自体が高い、大手クライアント向けというところであればそれ以外、個人、零細、中小企業のニーズはどうか、ターゲティングを変えることで出来ないかという検証仮説が立てられる。実際に今度挙げますが、コトナスなどはサービス停止しており、それでもうまくいかない印象です。現実は厳しい(笑)
  • アイデアコンテストをやって終わりではなく次のステップやフロー、ワークショップやややアナログな手法やツールを入れることで、もっと価値を高めたり独自性はもたせられるのではないか?

などが言えそうです。

レッドロック自体には冒頭に書いた通り大変お世話になりました。レッドロック出身者(笑)はレアかもしれませんが、レッドロックなファンキーさというかロックンロール精神を受け継ぎ、規模は小さくても何か社会に投じていきたいなあということは実際に思っていることです。もちろん思っていても出来ないので何がどうできるんすかね?というのがシゴトクリエイターの課題であり、かつアウトプットが問われることですね。

サービスは終わってもまたご活躍されることをお祈りしつつ、レッドロックありがとう!

 

 

筆者プロフィール

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。

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