フリーランス(自営業者)はどれくらいいるか

どれくらいいるか気になったので調べてみました。

フリーランスとは?

自営業とか個人事業主とかって言葉と僕は同義で使っています。個人的には副業で業務委託をする人は、本業があるのでフリーランスではないよねという考えです。別にそれを含めてもいいけど、その場合はきちんと分けた方がいいかなというところです。

フリーランスは業務委託で仕事をしたからということでなく、ある程度食えるか食えるために時間を割いてやっているか、というところがある感じというところです。あくまで僕の感覚です。

フリーランス人口の各所データ

それでフリーランス実態調査はランサーズがわりと出しているのでそれを目安にしたいところですが、この調査は精査すると肌感とずれるので批判的に見ています。その上で他データとも重ねていくとより見えていくと思います。

ランサーズ フリーランス実態調査 2021

ランサーズの資料では、フリーランス人口は2021年で1,670万人となっています。さすがに多くない?ということで、実はこれは4区分の合計値です。4区分とは、ランサーズの分け方ですが、副業系すきまワーカー、複業系パラレルワーカー、自由業系フリーワーカー、自営業系独立オーナーの4つです。

P.12のその説明もあります。細かい話は資料を見てもらって、ここで僕が考えるフリーランスとは、自営業系独立オーナーです。なのですが、そのオーナーは40代以上でかなり偏っているのでなんともというところです。実態としてはそれが正しいとすると、若い人でフリーランスで稼ぐ人は相当レアとも言えそうです。

副業系すきまワーカーはいわゆる会社員などで本業がある人が副業をした人です。広義のフリーランスとして入れていいかはかなり疑問だと思っていて、439万人いますが、フリーランスとしては僕は入れないという考えです。次の複業系パラレルワーカーは雇用契約を2つ以上とか契約が2社以上とかいわゆる本業=勤め先1個ではない人です。なんかかっこいいんですが、実際の年収ベースではとてもきつい感じです。多分ですが、複業としてパラレルでやるというのは、実際かなり能力値がいります。雇用形態に捕らわれないので、雇用があってもいいし、契約として業務委託で継続とかかもしれないし、実態は良くわからないです。年収ベースで108万円が平均となり、50万以下年間が55%もいるので、これもフリーランスで一本という形ではないですよね。

自由業系フリーワーカーはこれもかっこいい響きですが、雇用がないので業務委託系です。ただ、このタイプも年収が57.8万円と副業系より低いです。実際に10万未満の率が60%もあります。実態は主夫や主婦という人が週10時間未満(1日でなく週です)なので、1日1,2時間働くというスタイルでどちらかというとライフスタイルとして今の家事の間に働くという感じでしょう。生計は家族で、世帯でって感じがしました。仕事は事務や店舗接客、マーケティングなどですが、想像に過ぎませんが、店舗だと雇用のアルバイトやパートなのでそうでなく、例えばアパレルで以前の勤め先から業務委託でたまに手伝うとか、マーケティングもSNS運用みたいなスキマ時間でやれるものという感じです。ただこれは時間をついやせないのでかりに高価値でも一定の売上に結びつけづらいのだなと感じました。ここではばっさり、週10時間未満で稼ぐは何かビジネス的な仕組みを作ったりという人なのであって、フリーランスというよりも、実態は主婦・主夫が、業務委託をしているというほうが正しい言い方な感じがしました。これも今回はフリーランスとしてカウントしません。

最後の自由業系独立オーナーは、経営企画や営業、経理財務や新規事業などが伸びているようです。それで、このタイプだと平均年収が354.8万円となるので、これらは給与所得者の平均が436万円(中央値が370万円)なので、給与所得者よりは稼げてないがみたいなことになりますが、リアルな数値だと感じました。参考:【2021年最新】日本の年収の中央値は?年齢・雇用形態・業種別でも解説

それで、自由業系独立オーナーは551万人もいるのですが、これは他のデータからすると、業種の区分けがないため、下手すると農林水産業なども含むかなと。農林水産業も確かに自営業者ですが、ここでいうフリーランス的な感じではないという意味です。ここでのフリーランスとは、農業でなく、IT寄りであったり、サービス業のイメージです。ただこれはこちらの考えであって、含めてもいいなら、551万人は一つの目安となるというところです。

それでこの実態調査から分かるのは、シビアな現実として、フリーランスという業務形態や業務委託というところで、仕事をしてもまあ稼ぐのは大変ですよねというところです。また、自営業系独立オーナーも年齢層が高くなっているので、今の若い世代はどうなのかというところはかなり気になりました。

もっといえばこの実態調査からフリーランスが儲かるという、トップ1割とか狙えるならいいのですが(笑)多くはそうはならないか、違う仕組みや仕掛けを作らないといけないですから、もしフリーランスになりたい!って人がいたらこういうデータを見てみるといいでしょう。

内閣官房日本経済再生総合事務局 フリーランス実態調査結果 令和2年5月

フリーランス実態調査結果のデータです。業務や年収、色々なデータがあって面白いですね。P.25のデータが参考になります。

まず内閣官房による統一調査は、462万人フリーランスがいると試算しています。対象として定義もあるので分かりやすいです。内閣府も、中小企業庁も同じ定義ですが、厚生労働省は少し違っていますが、概ね一緒ですね。

フリーランス試算だけでは、統一調査が462万人、内閣府が341万人、中小企業庁が472万人、厚生労働省が367万人となっています。調査時期が2019年/2020年なので最近の調査といって良さそうです。

先のランサーズの調査に比べると少ないですよね。

さらに、この数字は「副業」フリーランスも含んでいます。つまり、本業はそれぞれ、214万人、178~228万人、324万人、厚生労働省は不明、となり、かなり下がります。

この調査での副業の定義はこの資料では分からかったです。

よって、本業フリーランスとは、200-300万人くらいが妥当ではないかなーというところでした。副業フリーランスというのが半分くらい含まれるか、その副業の定義、本業対象の定義によっては大分ずれるので、ランサーズデータも参考程度で見るというところでした。

雇用的自営業が増えている

雇用的自営業ってなんだ?ということですが、いわゆる特定の企業などに依存しやすい形態です。まあ3社くらいに分けていれば特定ではないかもですが。

政策課題分析シリ-ズ 17 日本のフリーランスについて
―その規模や特徴、競業避止義務の状況や影響の分析―

2015年時点ではフリーランスは396万人と試算されています。これは雇人なしの数です。そのうち、雇用的自営業は、164万人と実は年々ふえていてこの割当は4割近いというデータです。

それで、雇用的というのは、ここでの説明では「建築技術者、システムコンサルタント・設計者、保険代理人、調理人など特定の発注者に依存する自営業主が多く含まれる職種」とあります。要するに発注者が特定されていてそこで実態は「雇用」に近いから「雇用的」と呼んでいるのだと思います。

僕の肌感ではそうだろうなというところで、この雇用的自営業が多くなっているのであって、他の伝統的自営業はあまり大きな変化がないのではないかというところです。とはいえ、士業は増えているし、飲食店や小売は半減しているし、農林漁業なども3割は減っていると思われます。その中で増えたのが雇用的自営業です。

このグラフでは5年で6万人程度増えた、つまり年1万人ちょっと増えた。実際にこれらは副業でなく本業フリーランスといえるので、なかなか面白いデータだと感じました。

それでこの資料では、2005年で483万人、2010年で412万人、2015年で396万人とフリーランスはむしろ減っているんですね。10年で90万人程度減っています。だからこそ、先のフリーランス調査は農林漁業を含めないとか、商店主を入れないとかってしてたんですよね。そういう意味で164万人ってかなり妥当な数字な気がしました。

起業家の数はどれくらいか?

ところで、世の中には起業をする人がいますよね。こういう人は一体どれくらいいるか。フリーランスになるというのも起業ですが、中小企業庁のデータからすると、16万人程度でした。

第1部令和元年度(2019年度)の中小企業の動向 第3章 中小企業・小規模事業者の新陳代謝より

起業家の定義は、過去1年間に職を変えたり新たに職についた人で、現在「会社等の役員」「自営業主」と回答して、かつ「自分で事業を起こした」と回答した人で、かなり厳密ですがそうなっています。過去1年間なので、2017年時点なら2016年からそのような行動をとった人が「起業家」数となります。隔年でばらばらですが、5年毎で、18.1万人、16.9万人、16.0万人と減っている感じです。ただし、希望者も減っている、準備者も減っているので「やるぞ」という準備する人で起業する人の割合は増えているなんて面白い視点もあるようです。

フリーランスというのが業務を雇用でなく業務委託として受けることとすると、それは起業ではないはずです。自ら事業を起こすとは業務委託をするぞ!ということでなく、自分のアイデアや仕組みで考えて仕組みを作るとかってことですよね。そのレベル感が難しいのですが、ITプログラマーが勤め→フリーランスで再契約は多分起業ではないですよね。そこのあたりがふわっとしていますが、起業する人は16万人くらいは年にいるということが分かると。

逆にいえば、おそらく起業よりもフリーランスの方が難易度は低いはずで、実際はフリーランス的に業務委託を受けつつ、自分のビジネスをやるとかそういう混在があるわけでしょうけど、フリーランスは16万人以上はいるんじゃないかということは想定できそうです。

新設法人数はどのくらいか?

よく会社を作ったという言葉を聞きますが、正式には会社登記をしたということになります。これらのデータは、2020年「全国新設法人動向」調査で分かります。

2020年は13万社が出来たようです。休廃業や解散も5万社くらいありますが、ここでは新設だけ見ると、13万くらいは会社が出来ていると。この数字は2011年では10万社とかなので、10年単位で見れば増えているんですね。ただそれが経済に影響を与えているかどうかはちょっと分からないところです。

先の起業家数は2017年で16万人でした。全員が法人設立をしないとしても、なかなか手ごたえがあるデータのように感じます。

株式会社は8.6万で、合同会社は3.3万社程度のようです。これらの合計は12万社程度で、ほぼ9割を占めるといって良さそうですね。

クラウドソーシング大手のアクティブなユーザー数

ざっくり上の数字をインプットしたところで、今度は大手クラウドソーシングの数字を見てみましょう。

その前にまず整理すると、

  • 本業フリーランスは200-300万人程度が妥当。副業フリーランスはほぼ同数と捉える。合計で400万人くらいが妥当と想定。
  • 雇用的自営業(特定の取引先に依存しやすい仕事)は2015年で164万人。このタイプの人はむしろ増加している。
  • 自営業主=フリーランス自体は、2005年から2015年で90万人減少し、2015年で396万人程度。
  • 起業家自体は年16万人程度、会社は13万社程度増えている。

という数値感でした。ランサーズは自営業的独立オーナーが多分最もここでいうフリーランスに近いですが、551万人はやはり多すぎるのではないかという感じがします。年収ベースであれば、このタイプの人で200万円以上稼ぐ人が63%程度なので、「稼げてないからフリーランスではない」というわけではないですが、実際にそれで食える本業レベルですよというのは、この63%とすると、551万人×0.63=347万人となり、ここからどういう職種とか形態があるか不明なので、そこを除くともう少し落ち着いた数字になりそうです。

まあ色々言っていますが、給与所得者=雇用者が5800万人いる中で、4600万人と圧倒的に多いわけです。役員が288万人で、自営業者は394万人程度。これは国勢調査のデータですから、2020年のデータが出てくるとまた色々と分かりそうですね。ともかくも、5800万のうち400万人って、14.5%程度です。4600万人のサラリーマンと比較すsると1割くらいです。だから10人いて、1人がフリーランスくらいってことです。周りにフリーランスが多いのは全体を正確に表してないし、だれもフリーランスがいないってことも同じことが言えますよね。

参考:国勢調査 平成27年国勢調査 就業状態等基本集計(労働力状態,就業者の産業・職業など)従業上の地位(8区分),産業(大分類),男女別15歳以上就業者数

その上で、ランサーズ、クラウドワークス、ココナラの3者のデータを見ます。

細かい計算は省きますが、ランサーズとクラウドワークスはランサーズとクラウドワークスの戦略違いで僕が算出したものを、ココナラはココナラのIRから色々考えてみるからのデータです。

ユーザー数、受注者数、平均報酬

クラウドワークスは、450万人の登録ワーカーがいて、年受注者は25万人程度、年間報酬額は5.1万円となっています。

ランサーズは、登録者130万人、受注ワーカーは不明ですが、信頼ランサー数で2.1万人(受注者の8割と思われる)、これらの受注額は年23万円程度となっています。

ココナラは、登録者200万人、出品者数30万人、受注者は5.6万人、販売額は17万円程度でした。

平均報酬に愕然とした人もいるかもしれませんが、平均なので中央値は不明です。これらのプラットフォームで食える人は相当限られるというか、レアだと思いますが、その上で、これらのプラットフォームに登録している人は副業フリーランスというか、多くは本業ではないということも言えるわけですね。

登録者数では迫力がありますが、実際の受注社数となると、この3者で30万人程度とかなり減ります。また報酬額平均も5万から23万円と、かなり幅がありますけど、これらの額はあきらかに副業レベルといっていいでしょう。

そういう意味では、確かにこれらのプラットフォームは副業をする人や業務委託をするという選択肢が出来たのは確かと言えます。一方でまだまだ本業であったり、これで食べていくレベルには厳しいので、これらのプラットフォームではないところでどう活動していくかがポイントとなります。

フリーランスの生存戦略としても、本業者であれば副業なので安く出来ますし、そことコスト競争をすればまあ同じ質となるとまずきついですよね。そこで戦わないことをまず意識する必要がありますね。

この受注者数30万人程度からすると、副業系や業務委託としての数は増えるけれど、本業にはそこまでというのが僕の見立てです。

各社どう未来を描くかですが、クラウドワークスは将来像として、受注ワーカーが160万人くらいつまり7倍くらいに増えて、報酬も140万円まで増える、これは30倍近いですが、実質210倍程度の成長をイメージしています。プラットフォーマーにとっては、成長すれば、確かに上がると。ただ一方でこのクライアントとしては、発注者は10倍程度で、一社あたりの発注額が30万円から400万ベースで、費やすという未来です。なかなかの契約額となりますが、どうなっていくかは面白いところですよね。

とはいえ、実際は副業ベース、業務委託の隙間ワークが多く、本業フリーランスがやれるというところではない。仮にやれてもレアに近いというところなんですよね。

おわりに

ざっと見てきましたが、やはりフリーランス自体は世の中の政府主導ワードとして「働き方改革」がしれっと言われましたが、実態はフリーランスはレアですし、副業として色々やってみることで業務委託というのも面白いというワーカーが増えているというところでした。逆にいえば、経済成長出来ないところで、雇用者も給与が上がらないし、かなりきつい社会もはっきりと見えています。それこそ自分で考えていく、会社で依存しないとか、どうしていくかのライフプラン、生存戦略を考えないと結構つらいというのが僕の見立てです。

ただ、ハードな世界を作りたいとかは全く思ってなくて、どうすればいい感じに出来るのか、フリーランスというのは働き方に過ぎず、憧れもいいけれど、国内ではまだまだレアな働き方で、対等に見られるとか、市民権を得るというのは遠いのだろうなというところが印象でした。それは数だけでの話もありますが、今後数が増えても、本業フリーランスが増えない限りあまり意味がない(結局本業は勤めているとかで、複数契約もかなりのハイポテンシャルが求められるはず)ので、今後どうなっていくかというところですね。

フリーランス人口などのデータなどの参考になれば幸いです。

筆者プロフィール

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。

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