企業のアイデア提案制度まとめ

企業内で行われているアイデア提案制度を調べてみました。面白そうなものがあれば追加していきます。面白そうな企業があれば情報頂ければ嬉しいです。

アイデアの提案制度

未来工業の1提案500円制度

未来工業公式サイトによれば、業務改善などのアイデア1件で会社から500円というものです。毎年5,000件集まるようですので、これだけで会社買取額は250万円ですかね。なかなかの金額ですね。

小林製薬の提案制度&全社員アイデア大会

小林製薬の提案制度では、提案件数や内容に応じてポイントが付与され、上位者などには会長や社長との夕食会があるようです。なかなかリッチですね。アイデア大会で賞金はなさそうですが、誰でもアイデアに関与し、ユニークな商品開発に寄与していくということが全社で形になっているのがすごいですね。アイデア数は2020年度だけでも5.8万件という数です。やばい数ですね。

従業員と共に:全社員参加経営

全社員アイデア大会発 漢方薬『テイラック』がヒット
~“あったらいいな”を生み出す全社を挙げたアイデア創出の取り組み~

SRGタカミヤのアイデア提案制度「Share!」

社内システムとしてShare!というもので、月に600-700件が集まり、評価も全社員が行うというもの。従来の評価システムに課題感がありその改善としての制度。

ソースネクストのMI制度

社長の松田氏が社内で行っている制度です。要点をまとめると、

  • 社員全員が日報のようにアイデアを毎日飛ばす(アイデアは強制ではなく任意と思われる)
  • 「アイデア」となっていなくてもヒントなどもOK
  • 24時間以内に社長から返信あり
  • 良いアイデアは表彰や会食など特典あり

参考:https://zuuonline.com/archives/210342

松田さんが書いた本でも書かれていますが、2019年発刊なので、少し状況が異なっているかもしれませんが、概ね同様です。

(略)2011年10月に始めた、新しい取り組みがあります。ソースネクスト社内では「MI制度」と呼んでいます。「マーケティング&イノベーション」を略して「MI」です。社員のみんなに、マーケティングとイノベーションのアイデアをくださいと、とお願いしたのです。

 当社ではもともと、社員全員の情報を共有するためにメールで日報を出してもらっていましたが、その冒頭にマーケティングとイノベーションのアイデアを書いてもらうことにしたのです。

 強制ではありません。書きたい人が書く。どんなことでも構いません。こんなふうに売ったらいいんじゃないか。コンビニで見かけたある商品のPOPが良かったので参考になるのではないか。こういう場所でもソフトが売れるんじゃないか・・・。

 送られてきたアイデアを見て、私がいいな、と思ったものには返信をします。リプライするときに印をCCに入れるのですが、これがポイントとして貯まっていく。「笑点」でいうところの”座布団”です。

「売れる力 日本一PCソフトを売り、大ヒット通訳機ポケトークを生んだ発想法」P.167-168より引用

という感じで、日報に付与(正確には冒頭)に入れることで、アイデアを出しやすく、かつ当初は良いアイデアだけ返信するみたいな「打率」があったようですが、今は違う感じがしますね。全てに返信とあるので。

とはいえ、結果的にこれでアイデアが集まると。そして重要なことは、著書では「良いと思ったMIは全社員に公開されている」ので、どんなアイデアがいいかも伝わるということですね。ある種のアイデア教育といってもいいでしょう。

実際にアイデアを出す人は「130人社員がいて、常時出す人は半分から3分の1」くらいですが、毎日40~60通に目を通すとあります。例えばこれを勇気を持って上司に言っても上司で止まることもあるし、それを握りつぶせないようにした制度といってもいいと。逆にいえば社長がそれだけ「アイデア」に力を入れている、重視してないと出来ない仕組みと言ってもいいですよね。

モンベルの全社員参加型の仕組み

モンベルはアウトドアメーカー(外資ではない!)ですが、そもそも社員全員がアウトドアを行う人なんですね。これは盲点というか、がんばっても企画側企業って「参考のために登山家監修」くらいですけど、そういうことではないと。

モンベルの社員は全員が部署に関係なくアウトドアの達人たちです。ジャングルで洞窟のガイドをしていた人、カヌーのフリースタイルで世界選手権に2度も出場した人、さらには南極観測隊に2回参加した女性までいます。こうした強みを活かすために、モンベルは社員の誰でも商品企画を提案できるアイデアリクエスト制度を設けており、毎年600件以上もの商品企画が出てくるといいます。アウトドアの達人である社員はユーザーでもあるので、ユーザー視点での商品企画ができる(略)

世界一わかりやすいマーケティングの教科書、位置No. 1606

市場調査的なほとんどせずこれら社員がまずはアイデアを出す、社内でのアイデア生成の仕組みが出来ていると言えます。アイデア自体はその後の企画会議に掛けられることで、自分が発案したものが商品化されることもあるし、このあたりは良い流れですね。

あと当然ですが商品化したものは、自分たちが使いたいものだからこそ、丁寧に売るわけですね。それは短期で売って回収するようなもモデルというよりもロングセラーで売れ続けるものを作ると。これは一朝一夕では行かないことですが、とはいえそれを数十年前からやると蓄積が出来るのでさらに投資が出来るという循環が作れるわけです。

ここから言えるのは、アイデアの仕組みは年数がかかるし、商品化であれば尚更ですから、地道に踏ん張ってやりましょうということが「前提」としてないと、新規の取り組みとしてはまあ失敗するのではないかというところですね。

参考:がっちりマンデー「mont-bell(モンベル)」!

【本社直撃】モンベルの「お手頃」「高品質」を支える裏側に潜入してきました!

違和感報告シート

株式会社タシロの取り組みで、機械の異音などの違和感を報告すると、1回あたり100円が賞与として支給されるという取り組みです。面白いですね。

実際に故障する前に対応したほうがコストは安く済むわけですから、100円を払っても十分元が取れるわけですね。

参考:20代で町工場を継いだ若手後継者が目指す「人生をよくする会社」とは【株式会社タシロ】

製造業界のコンビニと銘打つのも面白いですね!

社内提案制度の課題

おそらくですが、こういったアイデア提案制度で良いアイデアが集まるかは別かなと思われます。要するに数はあるけど、質が高くないとかってありがちです。あとはそもそも数も集まらないとか。評価の問題ですね。

アイデア出しという見方だけでも、アイデアは発散と収束があるので、そもそも発散して数やアイデア発想そのものをして欲しいのか、収束として評価されるとか使えるとか、ルールに則ったもの、現場で使えるものが欲しいのかで変わるわけですね。それって社内というか、会社で変わるのでよく考えないといけないですよね。

他にもありそうなのは、アイデアを提案したがフィードバックがないなど色々考えられるのでざっと書き出しておきます。

1.アイデア自体が上がってこない

いわゆる提案に慣れてない、社長や幹部の一声でやったけれどというやつですね。従業員が考えて出すということに対してある程度教育が必須です。あと部門によって時間をどう使うかとかで、バックエンドの経理に対してと、営業部隊に対してでは後者が有利になるので、そのあたりをどうするかですよね。

ここでは、おそらくですが、アイデアをどう出せばいいかの教育やセミナーや研修などが丁寧に行われてない。どういうものを出せばいいか分からない。いわゆる上がなんかいっているで終わっているパターンです。

これは速く抜け出したいフェーズな気がします。

2.アイデアは集まるが質が低い

質が低い自体は悪いというか、そもそものテーマや集め方、依頼の仕方、提案の制度がバッドなこともありそうです。例えば上長など直属の上司が評価するなんて、まあ例えばですけど「お前俺の仕事を増やすなよ」なんてプレッシャーがあれば論外ですけどありそうです(笑)部下がプレッシャーになるので、もう提案しませんと。組織というか人間関係集団ってそんなものでしょうと。

評価する側が一方的にどうかと評価しているだけでは当然質は上がらないので、フィードバックしたり、適切なテーマや教育が必須かなと思います。

3.やっていたけど上手く回らなかった

他社の見様見真似でやってみたがってやつですね。多くは出して終わり、フィードバックがないとか。やっても報酬=金銭でなくてもいいのですが、何も手ごたえがないならそりゃやらないですよね。

あとノルマ化するとまあ面白くなさそうですが、新しいことをそもそも勝手に考えるのが好きな、自然状態では1割くらいもいればいいので、そうでないようにするならやはり仕組みが必須です。

結局フィードバックすれば時間がかかるので、その時間が要るのでそのために「アイデア提案制度」を作るほどの余力があるかとか、結局そこで曖昧になるところが多いような気がします。それほどアイデアを出してといって評価してというのは甘いわけではないってことですね。

他にもありそうですがひとまずこんなところで。

アイデアをどう調理するかが大事

社内において、従業員の改善アイデアなどはまあ基本的に著作権としてはなくても業務アイデアなので、会社のものかなーと想像します。それはいいとして、会社がアイデアを集める=人の知恵や時間を使うので、その仕組みと加工するとか調理するやり方がうまくないと、まあ食えないものになるわけです。

結局りんごを丸かじりでなく、アップルパイにしたいのか、サラダ風に食べたいのか、飾り切りでもしたいのか、同じりんごというアイデアも全く加工によって異なりますから。

自然状態で、アイデアが集まって、それを評価して、すぐ使えるもの(多くは新規事業)なんてまずは幻想というところから始めてもらって、うまい仕組みを作っていくといいですよね。

筆者プロフィール

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。

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