賢さとは抽象と具体の往復運動だった

本を読んでカタルシスというか、なんとも安心というか「ですよねですよね」という感じで読んだのは久しぶりです。今回は、「賢さをつくる」という谷川さんが書いた本を読んでそう感じたので、エモさが消えないうちにがっと書いてみます。

本書の言いたいことは一つ

何度も書かれているし強調されているのですが、賢さは、具体と抽象の往復運動ということを定義されています。で、まあそのとおりだなと感じたのと、他で気づいたことと、僕が述べてきたこともかなり補強されるなあとワクワクしています(笑)

この往復運動の詳しい説明はもちろん本書を読んでもらって、とはいえこれでそもそも「分かる」なら本書を読まなくてもいいような感じです。

僕が読んだのは抽象と具体をどう捉えているのかが気になって読んでみたのですが、いやーもうそのとおりっす!の連続でした。またいくつかは知見を得たのでそのあたりも整理していければと思います。

得たこと・学んだこと

ラーニングとしては以下のようなことがエモかったです。

さらに賢さを定義すると3つある

この具体と抽象の往復運動自体はいいとして、それに関して3つあると。それを鍛えればいいというのが本書の主張です。

それが距離、スピード、回数となっていて、往復運動において、抽象と具体の距離が長いかどうか、往復運動なりのスピードが速いかどうか、あとは頻度ですよね、何度も行き来するかどうか。

確かになあと思いました。著者は、スピードが苦手ということでしたが、僕はスピードは得意で、回数結構苦手かもなと、あと距離はあまり意識してないなあと。ただアイデアにおいては「ジャンプする」には距離が重要かなあくらいですね。あえて言えば、スピード→回数→距離くらいで得意ですかね、くらいです。

それでこの具体と抽象の話は本ブログでも何それみたいな感じになっていると思うのですけどしっかり書いているんですね。

まず、アイデアを考える行為が、まさに往復運動だという言い方で再定義できます。アイデア出しも具体と抽象を行き来する行為だの図解メモでまあそのままですね。考えるというか、アイデアを出すステップもまさに具体と抽象だなあという理解です。

さらに考えるというところでは、具体と抽象をぐるぐる回る旅は終わらないのほうが図解はあって分かりやすいですかね。こっちはアイデアというか考えるということで、例えば具体例を集めても意味がない(インプットにはなりますが、それをそのままでなく、抽象化して考えることをしないと応用が効かないですよねってことです)ということを書いています。

抽象でアイデア力みたいな抽象を使いアイデア力を上げる話だったり、別の本ですが細谷さんの具体と抽象では断絶みたいなのがあって、具体と抽象で考えるコミュニケーションの仕方というのも考えましたね。確かに具体でしか伝えられないとしんどいので、抽象出来る側がサポートすると。これも本書ではしっかりと経営、リーダー、管理職と偉い立場が考えるということを書いていますしね。

それくらいにして、まあ具体と抽象の上の3つを意識するのはいいなあと。距離苦手かもなので距離意識してみたいなというところでした。これだけでもエモいです。

キャリアプランの話

具体と抽象でどういう仕事をしたいか。P.140に役職と抽象度の関係という図表があります。p.156のキャリアプランを立てるときもほぼ同様です。簡単にいえば、プレイヤーなど一般職は現場作業や自分の担当や1日単位で考えればいいと言えます。もちろんそうではないこともありますが、コマみたいに動けばいいというか。それ自体がどうとかはないです。

リーダーや経営者は、理念や哲学、10年とか中長期の視点になります。マネジャーなど間の人は、部署単位とか自分の売上を確保するにはどれくらいプレイヤーを動かすかとか、育成でもいいしまあ視点が違いますよね。

ってことで、ここから何が言いたいかというと、本書は具体が左で、抽象が右となっています。これは本書が上位とかにすると上が偉いみたいになりがちなのでその回避のためです。で、右つまり抽象度が高い世界に行きたいとします。ならばプレイヤーであっても右は意識したほうがいいってそれだけです。

逆にプレイヤーでいいというかそこをやりたいならそこを深めればいいと。ただ抽象で言ってることがなにかが分かったほうが有能なプレイヤーと言えますよね。例えばサッカーでいいかはおいておいて、プレイヤーでも司令塔とか監督やコーチのことを言語化したりプレイで示して他のプレイヤーに伝えられる人は優秀なプレイヤーといっていいですよね。おそらくそういう人は監督もできる、コーチもできそうですよね。

たまにこの話をすると、一般社員は一般社員がやることを考えるだけでいい、抽象のことは経営者や上司が考えるべきだというのがありますが、これは正しい気がします。ですが、ラーニングというか学ぶとか、成長するとか、例えばキャリアプランでより抽象度高めのところでやりたいなら、抽象は逃げられない気がします。つまり、考えることですよね。だから、起業とかもですし、ビジネスモデルとかもそうですよね。

くどいですが、あなたが、僕が、つまり自分がどうしたいかであって、抽象が出来るから偉いとかってことではないです。ただ事実として、抽象で話せる方が、またはそれを具体化出来る方が、まさに往復運動というわけですが、よりスムーズな伝達、共有が出来るし、説明も上手いし、まさに「賢い」と言われることになるんですよね。

あと、もう一個だけいうと、抽象ができる人が評価されない会社とか組織はまあ中長期的には滅びると。それだけは言えそうです。あなたができているのに評価されないなら・・・まあ色々考えたほうがいいですよね(笑)

この話、えらく刺さるなあと思ったら、先回書いたビジネスデザイナーとして生きるということにつながっていくんですよね。つまり、僕の話ですが、僕は抽象が高い方がいいなあと思っていて、そっちにいきたいのでそうしようとしていますし、そうしたいと。それだけです。

あとはどういう仕事やどう生きたいかとなるので、行きたい方向や位置を意識するといいと。例えば単純作業だけのプレイヤーでは確かにバリューは低いので、より抽象が高いところで、とはいえ高すぎてもというところで、あとは自分の持ち味をどの領域だったり、踏ん張っていくというところですよね。いやあこれはキャリアプランを考えるとか、仕事について考えている人もぐっと解像度が上がる話だなあと僕はそうだったのでありがたかったですね。

例えば0→1が得意といっても、それを繰り返し続けるかというと、まあ程度は違っても自分でやっていくサービスとか、ビジネスとかがないと安定感もないのでそこはバランスです。具体と抽象のバランスといってもいいし、どこで往復運動してバリューを高めるかといってもいいかなと。いやあ面白いですね。

トレーニングの話

上の3つを意識するというのはあるのですが、本書でいくつか書かれているところでは、具体によりがちな人は抽象へ、抽象へよりがちなら具体へというアドバイスがあります。なるほどと。そして、具体に寄せるには、4W1Hがいいと。また抽象はWhy=なぜなのですが、なぜは強力すぎるので慎重に使ったほうがいいと。確かにというところです。

それで、鍛えるには、あと当然具体も抽象も往復運動すればより動く=頭が動くし考えられるってことですよね、具体寄りならWhyっぽいつまり、目的を聞いたり、確認したり、何を目指しますかとかきいたり、抽象度高めをやっていくと。

具体に近づけたいなら、いつどこでなにをだれが、どのようにみたいな聞いていくと。

例えば、アイデアも色々粒度があるので、施策レベルの具体的なものであればそこを詰める必要がありますよね。でも、コンセプト的なアイデアは「人の背中を押す」みたいなものってかなり抽象度が高いです。でもどっちも大事なので、人の背中を押す具体的なアイデアはなんだろうかとなるし、今やっていることは人の背中を押すことにつながってる?という抽象もできるわけです。

これをアイデア発想でも使えそうだなと思っているところで、次に移ります。

アイデア発想として抽象と具体

軽く整理してみようと思っていて、例えば今アイデア発想が苦手な人にヒアリングをしていたりします。具体的な支援プログラムはそこまでないのですが、解像度高く見ていってどこにいるかが大事な気がしてきました。つまり、具体と抽象のどこかにとくに具体に寄っているのが苦手な人ではないかなと思ったりします。

一旦抽象の右に寄せて、その上で、左に来るとか。少なくとも移動距離が短いか、往復運動してないか、回数が著しく少ない。といえそうです。

このアイデアレベル感もあります。例えばサービス開発では具体的なアイデアが求められるのですが、コンセプトがあるから具体的な施策ができるのであり、同時にそれらがあるからコンセプトが固まっていく。まさに仮説検証における具体的行動と、それを引いてみて固める抽象の連続であるといっていいでしょう。そのとおりだと感じました。

例えばニーズ検証というフェーズにおいて、お客さん的な人がいるか、またはいそうかをヒアリングする。またはLP作って手応えを見る。これらは具体的な施策や行動になるわけですが、それを抽象的なコンセプトや価値とまとめられないなら、文字通り固まらないです。つまり、ふわっとしているし、練れてないという感じです。

もっといえば、Aさんは見本を意識しすぎて動けなかった、Bさんはアイデアは出るのだけど次の瞬間潰してしまっているとか、そういう具体的な話になりますよね。ここで、AさんとBさんは違う意見だし感覚は唯一無二っぽいです。大事なのは、それらの共通点探しであったり、抽象としてまとめられるかですよね。自分で考えてまとめるのが大事で、それをフレームワークとかに依存すると弱い気がします。弱いとはフレームワークにまとめたからいいでしょ?みたいになるので、考えが弱いんですね。よって説得力がないかもしれないです。

これらの具体的な事実やヒアリングから、それも何人聞くかもおいておいて、まとめることが価値検証といっていいでしょう。つまり言っている言葉や表現は違うが、概ね一緒であるとかがいえるか。ここで例えば「アイデア出しが苦手な人は具体レイヤーで止まっている」ということが言えれば、言えそうならば、上の対策である「抽象」に持っていくための質問を入れたり、目的や何かで広げたり、まとめてみてそれ10個アイデア出したけど全部まとめられちゃうよね(これはアイデア練習帳でも何度も出てくる話ですね。枝葉が具体で、根っこが抽象みたいな例えで消化しています)というなら、そこをずらす必要があります。

ってことが言えるかなと。このトレーニングはやはり地味なのでなかなかすぐには短期的にもできないものの、一緒に考えていけばいけるものがあるのではないかと思っています。

数学も面白そう

数学についても抽象度を高める学問ということで、あまり得意とか好きとかはなかったのですが、確かにf(x)の世界って抽象的だし、数も抽象的だなあと。なぜか数字って具体的って思いがちですけど、全くTPOでは抽象度高いですしね。売上額見ても飲食業かメーカーでは意味が違うとかっていえば伝わるでしょうか。面白いですよね。

あまり数学をやろうとかはないのですが、抽象度を高める意味ではなんかいい感じに関われるといいかなあとか思い始めました。

具体と抽象を深めたい人は必読

まあ僕の興味は参考にならないとしても、アイデア出しでも当然使えるし、概念をどうまとめるか、話が伝わらないぞとかでも使えるし、いやあこれはメタスキルでもいいし、メタメタスキルみたいな感じですかね。

そのまま僕の仕事では、ビジネスデザインとしてはどのレイヤーの話か、どの粒度か、どのアイデアかをいつも考えるのでそのまま使えるのですね。もちろん書いたレベルでは考えていましたが、自分で終わる世界観はないので、うまくこの谷川さんが書いた考えも参考に大いにさせてもらいつつ、アイデア発想の支援、考え方をさらに理論化というか強固にできそうですね。

もちろんこれが適用できないとかずれることもあるのだと思います。けれど、その場合は修正したり、フィードバックを受けていっていけばいいと。そういう意味でアイデア苦手な人向けのアイデア発想支援サービスは形にしていきたいなあと良い気づき、ラーニングとなりました。

本書は要約するだとか、ここで書かなったことも抽象と具体という視点で書かれているので非常に有意義な本でしたね。気になればぜひぜひ。

筆者プロフィール

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。

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