何度も使える濃いアイデアがやはり面白い

前から思っていてうまくまとめていなかったのですが、濃いアイデアというものがあります。ありますというか自分があると思っているという意味です(笑)

アイデアが薄いから悪い、濃いから良いということでなく、濃いものは薄めて使えるし、便利だなと。

そういった濃いアイデアについて考えてみます。ネタ自体よりも、メタ的にアイデア自体の捉え方です。

コンビニ、働き方、劇団四季という3つの例を挙げています。バラバラなネタでまとまりはなさそうですが、濃いアイデアとして自分が好きなネタの紹介です。

月末にコンビニ利用者数は増える

月末になると、

  • コンビニで給与を下ろしたり、公共料金を支払ったりなどでATM回数が増える
  • 当然コンビニ利用者数が増える
  • ついで買い(例えば仕事帰り後の夕食やおつまみなど)が起こりやすい

らしいです。日経MJあたりで見たネタですが、これは多分事実です。そしてそれに応じてコンビニ各社は、25日以降あたりにプレミアムと名付けたちょっと高めの商品を売ったりあの手この手です。コンビニ自体はさすがに市場飽和感が見え隠れしますが、それはおいておいて。

このネタですが、ものすごくシンプルでありながら何度も使えます。というのは、

  • コンビニを使う人は多い。全く使わない人もいるかもしれませんが。
  • 月末になると伸びるという動きは面白い。人は財布が豊かになるとつい紐が緩む(逆はあまりなさそう。お金なくても使う人は少なそう)
  • コンビニ回数が増えるということは、そこに訪れる人を狙ったキャンペーン等がやりやすい。心理状態が良い中で何か提供しやすい

すでにやられていると思いますが、商品を高めにするだけでなく、合わせ買いやついで買いを訴求するのもいいですよね。プレミアムフライデーは完全にこけてしまいましたが、すでに定着しているプレミアム月末とか、プレミアムコンビニのほうがコンビニ価値を高めつつ、体験や少しいつとも違うものを提供する工夫や商品力が強いので色々できそうです。あと何よりコンビニの数が多いので一気にということも、できそうですしね。

こういったネタを濃いネタと呼んでいます。要は自分が気に入ったネタで、何度でも使えたり、そういえばといって自分の話にでてきやすいものです。面白いのは話す回数が増えると、相手からフィードバックが得られるのでまたさらに気に入ります(笑)

気に入った本なども同じことが言えます。気に入ったアイデア、気に入ったネタって強いなあと。鉄板アイデア、濃いアイデア、何度も使いたくなるアイデアって感じですね。

給料日が25日あたりでないとか色々な違いがある人もいそうです。こういうのは覚えるのでなく考えていくと広がります。当然気に入ったネタならそこから色々と調べて派生していくので面白いです。

雇用形態別 給料日は何日が多い?徹底調査という記事もありました。面白いですね。コンビニ自社スタッフに買ってもらうとかも馬鹿にならない金額になりそうですね。あと公務員は16-18日なんですね面白いです。あなたはここまでで何かヒラメキましたか?そうです、雇用形態別にアプローチしたいとかがあれば財布の紐が緩むであろうときを狙うのは論理的に正しいといえます。もちろんそれで必ず売れるわけではありませんけどね。

ここで思いついたのは、年金です。年金受給日は決まっているようです。日本年金機構によれば、2,4,6,8,10,12月の偶数月で、2月なら12,1月の2ヶ月分が支払われるということですね。(参考:Q. 年金の支払月はいつですか。)そして、支払い日は、Q. 年金を銀行で受け取ることにしましたが、支払月のいつ頃振り込まれますか。によると、15日となっています。つまり、偶数月の15日は、シニア世代の年金受給者の財布の紐がゆるくなると言えます。くどいですが、シニアターゲットであれば年金受給者を狙うとすると、15日以降でやると購買されやすいかもしれません。全く関係ないかもしれませんが、考えていくだけで面白いですよね。

営業時間の縮小という変化

経済コラムみたいな形タイトルですが、営業時間というとお店例えばカフェや飲食店などの営業時間です。これらが縮小したり、もっと店が「わがまま」になっていくと良いと思っています。小売店などスーパーや百貨店なども同様です。

カフェで読書をしたりよくする方なのですが、そこで感じるのは遅くまで残っている人は少ない、つまり立地等により全てこの通りではないでしょうが、ざっと考えるとカフェのモデルは以下のはずです。

  • 朝、出勤時などの朝食、モーニングでの混雑。当然コーヒーとサンドイッチなどのセットが売れる
  • ランチ時、昼飯として混む
  • 夕方、会社帰りなどのお客さんで混む

田舎の喫茶店や昔ながらの喫茶店だと早朝にゲートボールや農作業を終えたシニアが団らんしていたり、ご飯を食べているかなと。早朝時間帯が混雑し、おそらくこのお店は夜に営業せず夕方には終わっていたりする気がします。

さて、そういう中で、夜の時間帯に人があまりいないけど「2時間営業時間を伸ばす」というのは社会の流れに乗ってない印象です。もちろん減らせばなんでもいいとか、増やしては駄目ということでなく意味を考えた営業がより求められるし、その判断で色々と経営も変わってくるということです。

人がほとんどいないなら2時間伸ばしても意味がないので、逆に早く終えて、他の時間帯で2時間伸ばしたほうが効果がありそうです。平日と土日で弾力的にできればいいのですが、多分アルバイト等スタッフのシフトを考えたりすると、バランスが悪くなって、例えば勤務出来る時間が減る=給料の減少を感じると離脱する人もいるかもしれません。難しいですね。

土日にはほとんどいないお店は営業する意味がなさそうです。しかし、営業をしてもしなくても家賃を支払うならやったほうがいいという判断はありえますが、これもどこまでやれるかです。

そういう意味では新規店舗なら定着して人が来るまで粘る必要があるだけといえばそれまでですが、一定の定着がなければビジネスとして成り立たないのも明確に分かります。

儲かっているところはすでに我がままさを感じます。それに怒ってるとかでなく、「それに合わせてこっちも合わせるよ」という感覚です。常連とかではないです。そういうお店だと理解するだけです。同時にこれらのお店はお客さんがしっかりいるので成立します。いくつか例を出しましょう。

  • ランチ時の早い時間帯でハンバーグが切れてランチの遅い時間帯に行くと売り切れ御免で食べられない繁盛店
  • 午前から昼過ぎの限られた時間だけオープンする、昔ながらのうどん屋さん
  • 惜しまれながらも愛された洋食屋さん。コックの高齢化で店をたたむ。

最後の例は関係ないと思いがちですが、これも「わがまま」です。惜しいと思うけれど、跡継ぎがなく、または意志がなければやる意味がありませんしね。

1つ目は、何度も食べそこねた記憶があります(笑)ランチ時でしか食べられないからこそ人がそこに集まります。またランチで混むので食べたらさっさと出る人が普通です。これぞ究極の回転率かもしれませんね(笑)

2つ目のうどん屋さんは、営業する日は多いものの、昼過ぎには終わるので時間が短時間です。3つ目の例は、お店がどうしたいか、どうしていくかを決めた良い例ということです。

これらのお店はいずれも繁盛していますし、今もあったり、なくなったりです。その中で、自分の店の繁盛時間というか、混雑時間をきちんと決めてそこで集中的にやる。家族経営などがやりやすいかもしれませんけどね。限られた時間に人がきちんと来て成立する。こういう客商売はすでにお店兼店舗のように購入済み物件の可能性も高いのでその場合だと経営はより安定しそうです。

そしてこれらのお店に感じるのは、自分たちの時間ややり方を押し付けるというわけでもなく、申し訳ないけどこれでやっているというバランスです。失敗すればこだわりが強すぎて入りづらくてとなりますし、主張がなければダラダラやって結果的にお店もなくなってしまうことになりかねません。

最初からこんな繁盛店は作れませんから長年の経験と実践の賜物でしょう。一方で、時代が変わっていく中で営業時間をうまく調整してきたとも言えます。

働き方改革とはかおいておいて、こういった形で営業時間が減っていくと効率性が求められます。一方で何でも効率化できるかというと出来ないものもあります。端的にシステムやコンピュータなどを使う必要があるならそれらの予算やスキルがなければ出来ません。また効率化をすることに関心がないという人たちも多そうです。良くも悪くも現場で回っていれば現場主義となりそれで終わるということですね。

営業時間が増えることは今後なさそうです。増えることがないと言いすぎですが、緩急をつけていくこと、さらに労働環境が良くなること、効率性が増すこと、働くひとがより楽しくなること。ごくごく当たり前のことを当たり前にやるということが求められる時代となってきたといえるので、これは良いことなのかなと思っています。

このネタは重いというか濃いもので、色々な部分から変化を感じ取れます。上のように食べに行くお店の変化でもいいですしね。他にもそれっぽいかなというものを書いておきます。

  • ラーメン屋にいったら研修のためしばらくお休みという掲示があった。スタッフの士気も高まるので良いのではないか。怒る客はそういう人だと。
  • 仕入れのためにしばらく休むという案内。仕入れて売るというシンプルな服屋さんだが、おそらく店頭での売上でなく、リピートやそれ以外での売上が多いのではないか。
  • ぼちぼちやるお店。決められた曜日だけ喫茶店を行う。無理してやらない。ほかは別の仕事をやっているお店。当然、行きづらい(曜日を確認したり、時間を確認する手間がかかる)が、継続出来るという点が強い。
  • 店長やスタッフなどの状態に合わせて弾力的に永承時間を変更し、業務にメリハリをつけていると推測できるお店。
  • 営業時間を地下街全体のお店で短くしている。早く終るから早く帰れる。お客さんも早く帰る。」

もちろんバラ色ということはありません。スタッフ的には給料が減る(時給制)ことになりますから、別の仕事をする必要が出てきます。またお客さんでも単身世帯だったりであれば、夜お店がやってないことに不満となるかもしれません。

これらはバランスの話なので、単身世帯や遊びたい人は夜に消費してもらって、家族や複数世帯では早く帰るみたいな流れがイメージ出来ます。もちろん世帯の人数だけで全て切り分けられるほど簡単ではないのですが。

こんな形で、世の中の働く時間の減少について見ていくと面白いかと思います。今ではモーレツに働く人がワーカホリックとして奇異に見られるかもしれませんが、仕事が好きな人を否定するつもりはないです。むしろ好きなのはいいことではないかと。ただそれが他の人でも同様ではないという理解をしていく必要があるだけですね。

劇団四季営業マンの取った戦術

確かライオン・キングだから、劇団四季だと思います。日経MJで見かけたネタです。劇団四季の営業がわりと好調みたいな話の中で、当団体がライオン・キングをもっと売り込みたい、特に学校などの団体客にという思いがありました。

営業担当者が考えたアイデアが秀逸です。それは「東京ディズニーランドに来る団体バスの学校名をメモしてそこに営業する」というアイデアです。素晴らしいアイデアですね。

僕のメモでは、学生団体などの学校向けのお客さんが8万人に増えた(トータルか、このアイデアだけでかは不明です)とあります。

このアイデアが面白いのは、

  • 東京ディズニーランドに来る学校などは、団体旅行などに力を入れている可能性が高い。見込みが高いとにらんだ
  • 実際に予算がある、または一定の予算を組んでいるところであれば話が通しやすい
  • そもそもコンテンツの関連性として、東京ディズニーランド=ディズニーであり、ライオン・キングはその作品なので、興味を持つ人が多い。
  • 例えばライオン・キングという切り口から話をまずしてそこからニーズを聞き出したりはしやすそう
  • バスを見れば学校名などは一目瞭然なので分かりやすい

というところでしょうか。当然ですが、本ブログの読者なら「団体相手に売りたいなら団体バスをメモれ」とおぼえて欲しいとか、それをやって欲しいという意味ではない、ことは明確でしょう。

ターゲットである学校を考えていくとたまたまか忘れましたが、TDLに来る学校はどうなんだろうかというとき、それらのリスト自体はバスを見に行けばリストアップ出来る。これらは賢いアイデアといえそうです。

当然考えただけでは駄目なので、リストアップして営業をかけて良いならさらにやるなど行動が大事ですよね。

こういうアイデアがものすごく好きです。小さなアイデアが良いというよりも、小さなアイデアでもこれによって劇団四季のライオン・キングが売れることで、さらに当団体にとっては、若いうちに演劇や劇団四季の作品、世界観を認知することが出来ます。これは非常に強力なマーケティングといえると思いました。

濃いアイデアとは

ここまでで何か伝わっていると思いますが、改めて考えてみました。

僕が言いたかった濃いアイデアとは、

  • 見た目は一定の情報や状況、現象に過ぎない
  • 丁寧に考えていくと色々なものにつながる
  • 考えていくと他のアイデアに派生しやすいし、浮かんでくる
  • 人に話したくなるネタ(伝播率が高め)

ということになりそうです。

カルピスの原液は濃いから普通はそのまま飲みません。薄めて飲みます。秋元康氏も確か企画脳という本で企画のやり方としてそういった「カルピスの原液を作ることが企画だ」みたいなことを書いていたはずです。うろ覚えですいません。

薄める+ソーダでカルピスソーダですし、今はカルピスウォーターという薄めた状態のいわゆる飲めるカルピスが普通に売っている時代です。手間に対するコストを払う時代になったといえます(昔は水を買うことも抵抗があった時代ですしね)。ぶどうやオレンジなどフレーバーや果実を入れればまた違うカルピスが出来ます。

若干強引ですが上と比較していくと、

  • カルピスは見た目はただの飲み物に過ぎない
  • 薄めたり、炭酸で割ったり、飲み物として色々作れる
  • 飲み物だけでなく、料理やちょい足しのアレンジに使える(やや強引)
  • カルピス自体は変わらなく、カルピスに付与することでまた違うものが出来る(カルピスを何度も使いたくなる)

というまあ強引ですがそんな感じです。

つまり、濃いアイデアとはその濃さがあるからこそ、薄めて他で使ったり、取っておいて混ぜて飲む、飲み物でなく料理に使うなど違う使い方をするというものです。

実はこれ自体はシーズとか、ビジネスの種というほうが適切かもしれません。ライオン・キングのネタはアイデアっぽいですが、営業時間縮小はシーズっぽいですかね。コンビニ月末パターンは世の中の動きとか現象の見方、データの捉え方って感じに若干あるのでどちらとも言えるかもしれません。

どちらにせよ、これらは日常にアイデアは落ちているという証明でもあり、また他人の視点から見たニュースや事実や見方は気づきを与えてくれ新たなアイデアになります。同じような現象や見え方が多発しているのはバイアスとして自分がそのように見ているだけとも言えますが、一方で自分のバイアスでないところで、他人が同じことを言ったりしているならそれは社会の流れとか、トレンドなのかもしれません。

おわりに

ちらっと書いたと思いますが、お気に入りということで、何度も同じことを同じ人に、または別の人に言っている可能性もあります(笑)鉄板ネタとして使い倒せばその視点をさらに磨いて得られるものも多くなります。

例えば教育関係の仕事をしているなら、団体客に売る視点は面白いと言えるし、そのまま使うのでなくどうすれば良い切り口となりえるかという点で面白いはずです。コンビニのネタは小売などの商売でなく、例えばSNSのキャンペーンとしても面白いですが、結局すぐ思いつくものは真似されるし出来てしまうのでさらにそのネタに自分の気づきを掛け算していくことが大事です。

長くなりましたが、濃いアイデアということでやっとアウトプットできたのでスッキリしました(笑)

アイデアの考え方、濃いアイデアとは何か、そこから何かヒントになれば幸いです。

筆者プロフィール

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。

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