アイデアは売れるというお話

ZOZOTOWNで有名な株式会社スタートトゥデイテクノロジーズが、ZOZOTOWNの改良アイデアに3億円を出して買ったというニュースがありました。

スタートトゥデイ研究所、アイデア買い取り第1弾を発表

全然キャッチ出来てませんでしたが、ZOZOSUITよりも簡単で低コストかつ高精度で測定できるというアイデアだったようです。今年1/31にできて、2/15に買い取りというのはスピード感がありますね。

今回はこういうアイデアを売ることについて書いてみたいと思います。

実際にどれくらいで売れたりするかの相場観みたいなものや僕の見てきたものをまとめてきたものは、ビジネスアイデアはいくらで売れるのか?が結構人気記事になっていて、参考になるかもしれません。そちらも併せてどうぞ。

特許なら誰にも言ってはいけない

ZOZOSUITよりも優れたアイデアということで3億円で買われたようですが、これらの提案者は研究者3名の匿名チームとなっていて当然詳細は不明です。研究者ということから、求めるパートナーの中には様々な研究、学問、最先端のものを追っている人が対象ですから、これらの研究者が考えたアイデアが非常に優れたものだったと言えそうです。

非常に夢がある話です。ここでのアイデアは研究成果から裏付けがある仮説だったのか、それとも実証がされたほぼ出来るアイデアだったのかなど粒度は不明ですが、3億円で買っても元が取れる、価値があるというアイデアだったというわけですね。

また特許である可能性もありえるので、それらを売ったのかもしれません。そのあたりは分かりません。

アイデアの買取。知的財産を「売買」するビジネスモデル – ZOZOTOWN関連会社 #ニュース拾い読みで書かれていて面白かったのは、特許に関してはインターネットで書いてしまったら「自分しか知りえない」ことの根拠が消えるので、誰にも言ってはいけないという話です。特許レベルのものはそのまま自分でモクモクと作っていく感じがしますね。

一方でアイデア自体を僕はこのブログに書いているわけですが、当然特許を主張するようなアイデアがあると思ってませんし、むしろアイデアを活用頂いてという感じです。多くはアイデアを活用できない=それを適切なアウトプットに出来ないほうが壁になるからですね。

一瞬応募してみるかと思いましたがやめました。課題が設定これとされるわけでなく、情報資産としてZOZOTOWNが持っているものがあり、それらに求めるパートナーは研究者であろうということが読み取れたかたです。「一緒に実験や研究をしてそれらのアイデアを形にしていこうと思える人」でないといけないでしょうから、「軽いアイデア」で試すのは微妙な感じを覚えました。

ブログにアイデアを書いて、企業に買ってもらった話

僕の話ではありません。

ビジネスプロデューサーのすずりょうさんが、書かれた本の中で、以下のような記述があります。

私はブログで、自分が考えた新規事業のアイデアを無料でどんどん公開したことがありました。するとある会社から連絡が来たのです。「そのアイデアを買いたい」と。

本当に契約してくれるまでブログの記事を削除しない旨を伝えると、契約書が送られてきました。私がその記事を即刻削除したのは言うまでもありません。

(100の結果を引き寄せる1%アクション 鈴木領一著、P.138より引用)

この本自体は「アイデアをブログで売れる」ということを言いたいのではなく、「ビジネスにはお金がかかるのが普通」というバイアスを外したり、そうでないやり方もあるのではないか?ということを伝えています。それを「フレーム」と呼んでいるんですね。

著者はフレームである固定概念を全て駄目だと言ってるわけではもちろんなく、ネガティブだったり、自分の可能性を狭めるもので縛っていないかというところに対して、1%アクションという、要するに少しずつやるということですがそれで変われると提起しています。

それはともかく、ブログに公開してアイデアを売るとは夢のような話だと思われるかもしれませんが、実際にアイデアが良かったり、具体的であったり、光るものがあれば買う人がゼロとは思えません。もちろん値段だったり、社会の変化によって廃れるアイデアもありますし、これがいくらとは言えないでしょう。

ただここで思うのは、実践してみることの大切さがあり、自分のアイデアが駄目という思い込みも良くないということです。同時に、自分のアイデアが優れていると過信しても意味がないので、試していこうよということになります。

この本面白いので、どんどん行動出来る人はそこまでプラスではないかもしれませんが、詰まったり、ちょっと視野狭窄になりがちだという人には非常におすすめです。

ビジネスアイデアネット広場で自分のアイデアを試す

株式会社SHAKコンサルタンツが運営するビジネスアイデアネット広場は、ビジネスアイデアを投稿しその詳細版が140円ほどでダウンロードして買えます。つまり、ビジネスアイデア自体の売買ができます。

現在開始2年ほどで、掲載は20件ちょっとのアイデアがありますが、閲覧で140円というところがどこまでいけるかという感じですね。(ちなみに提案者には140円のうち60円が入るようです。一定の購買がなければまとまったお金にはなりません)

このサービスも、そんなの売れるわけがないと思う人は試しませんが、一方で良いアイデアを思いついたから投稿してみたら「売れた」人がいるかもしれません。そのデータはありませんが、これもちょっとしたチャレンジですから、アイデアを持て余しているものがあるなら遊び感覚でやってみるのが面白いかもしれませんね。

1アイデア60円のみだと安いから意味がないと考えるのも普通な感じですが、一方で「自分の使わないような、または実現も難しいしというアイデアが眠っている」ところで、「1本なら60円だけど、アフィリエイトのように何度も売れていけば」と夢が膨らむかもしれません。

それよりも、ビジネスのプロが審査評ということでコメントがもらえるのが良い気がします。こちらのほうがアイデアが売れる以上の価値なのでここに目をつけた方が投稿されているかもしれませんね。

未来工業の社内では、アイデア提案でお金がもらえる

これは外部の人は関係がないのですが、未来工業という会社の話です。この話夢物語ではなく実際の企業が、社内制度としてやっているわけですね。ここから感じて欲しいのは、アイデアをちゃんとお金を出す人や会社が存在し、かつそれらが有機的に機能しているということです。

もちろん真似すれば全てうまくいくわけではないので、そのあたりは留意しながらですね。

楽園企業は「改善提案」だけで25万円もくれるでは、1件500円となっていて、どんな提案でもとなっています。アイデアが良いならというケチな事は言わないんですね。これめちゃくちゃ大事です。

社員というよりも、人の育成を考えるという意味では非常に安いコストであり投資だと思いますがそれが出来ないのは、まず出すということがないのか、そもそも社内組織として無理という大前提があるかもしれません。

ここで大事なのは仮に価値がなさそうなイケてない改善でも場所によっては買い取ってくれるというケースがあるということです。これはビジネスライクというところで、あなたのアイデアが商品なら誰でも売れるのでなく買いたい人がいれば売れるわけです。この基本ルールは外したくないですね。

ヨクスルが面白かった。1件10円から20円で生活の気づきを買い取る

過去に少し参加していたサービスで現在はサイトがないので、企画概要ページがありそちらが参考になります。既にクローズしていると考えられます。

新しいサービス「ヨクスル」を始めます

著者の思いとしては、小さな改善アイデアとか多分価値があるんだろうけど、届け先が分からないとか、手間とか、そもそもそこまでせんでもいいじゃないかというところがある。逆にそれを生活者から集めて企業に届ける(一方通行というのが味噌)ことで価値を出せないかというところでした。

逆パターン、つまり企業からお金をもらったり、またはそのアイデアを単に集めて売るだけだと面白くないというのは非常にわかります。よくマーケティング会社なのでデータをいろいろ売るビジネスがそれはいくらでもあるから他の形を模索されたというものです。

アイデアをいくつか投稿した覚えがあり、本当に1アイデア20円を頂いた覚えがあります。生活していて気づいたことを出すだけで面白かったですが、とはいえ単純にそれ以降の仕組みがなかったか、こちらもモチベが上がらずそのまま投稿はやめてしまったことを思い出しました。

Amazonギフト券で手軽に送れるのは便利だなと違うところに関心しましたね。

完全に忘れましたが、どこかのNPOで商品に対して改善アイデアを受け付けていてそれを企業に届けるという協働をやっているところがありました。今の感覚ではマーケティング会社でしかないですが、うまく社会貢献ということと結びつけていたはずで面白かったですね。

コピーライティングに1案500円というのもあった

今はありませんが、昔ある企業の方がコピーライティング案件で人の手が欲しいということで、最初のたたきとなる案を書ける人を募集していました。ここで大事なのはコピーライター募集というよりも、最初のコピーを書いてくれる人ということですね。

あるクライアントのお題がありそれを読み込んで、Excelにコピーを書いてきます。面白かったのはそれはどういうパターンややり方なのかを説明する項目があったりして、コピーを書く練習にもなった気がします。それで500円という対価はもらいすぎかもしれないと思ったこともあり、楽しい仕事でした。

そのアイデアがそのまま採用されるとかでなくあくまで叩きという印象です。実際にコピーライティングで1案が500円ということはまずないですが、仮にコピーライティングにおいてアイデアを何案も出す時に出てくるものをメモしていくとそれくらいが妥当かもしれません。クライアントが大手企業とかでなければ、1案数万円くらいが相場じゃないかと思えるので、そのアイデアレベルものを買い取る感じになりそうです。

ここでいえるのは、あなたが例えば書くキャッチコピーや商品をキャッチに書き表す言葉自体が価値があるかもしれないということです。書くのに自信があるなしでなく、これではどうかと提案していくと面白い未来が開かれるかもしれませんね。

ちなみにこのサービス自体は何か名前がついていましたが忘れてしまいました。サイボウズライブなどのグループウェアを使っていたはずで、クローズドなものでしたね。

ある企業のアイデア出し1件1080円での買い取り

こういった事例はいくらでもあるということを知って頂き、あとはあなたのアイデアに対する愛と希望でいかようにもなるはずです。

最後に僕の実際に体験した事例で締めたいと思います。

クラウドソーシングサイトを使い、アイデアコンペ提案などもしている中で、コンペでなくプロジェクト案件として受託したものがあります。それはアイデアをなんでもいいから出してくれ、その件数で1,080円を支払うというものでした。

この案件自体いろいろと突っ込みどころはありましたがとくに改善はされず、1年間アイデアをとりあえず100件ほど出し続けました。総額10万円ですね。

こちらの不満は簡単にいえばフィードバックが一切なく、そのまま放置だったということです。こういうフィードバックはめちゃくちゃ大事です。何かの映像で「企画書を上司に出すが全てダンボールに捨てられていた」のを思い出しました(笑)つらいですね。

1案の要素は簡易企画書というものです。タイトルや概要、ターゲット、類似事例、課題、業種やジャンル、実現できそうかなどの主観値で構成され、結構企画書としては普通かなと思います。実現性が高くなければいけないとかそういうことはなく、それで買い取りということだったのでその点は良かったかもしれません。

練りに練った企画が1案1,080円なら安いと怒る人がいるかもしれませんが、アイデアがある程度ぱぱっと思いつけば書く時間くらいで出来ます。実際に1案で15分程度で書くことが出来ました。が当然アイデアを出すために考える時間がありますし、それらのネタ収集があるのでそこらへんはお察しください。

ここで大事なのは、アイデアとして考えたものを買い取る企業が実際にある(その会社は仲介であって、自社クライアントのためにということでしたが)ということです。

ここまで読んで頂ければ、アイデアは売り方であって、売れないわけではない。あとはやり方と知恵を考えていくだけとなります。

アイデアを活かすやり方を追求してみる

アイデアは売る人(あなた)が、買いたい人(企業)とマッチングすれば成立します。内容や価格もすべてオーダーメイドです。

ZOZOSUITのアイデアが特許レベルかもしれませんが、3億円で売れた話がありました。そのアイデアを実現したく、かつ保有したいなら売るべきではありませんが、そこまで思い入れがないなら売るのも一つと感じます。3億でやりたいことをやればいいですしね。

アイデアを売った話やアイデアを買い取る話、僕の話も入れてみましたがこれらは事実です。自分がアイデアを売ったことがないし売れないからといってそれらが「売れない」と決めつけるのはよした方がいい。とはいえ、人は自分の経験から何かを考えるので、それがゼロになることはないでしょう。僕も分からないものはいっぱいあるのが実際です。

ここでいえるのは、アイデアを売りたい人はそのモチベーションに応じて行動を最適化していくのが僕は良いと思っています。

具体的には、

  • アイデアがあってそれを自分でやりたいと思う人→パートナーなどを探して一緒に形にする人を探す
  • アイデアがあるけど自分では実現する気もないし、多分できないし、そこまでやりたいわけじゃない→誰かに託すか、売ってやってもらうなど
  • アイデアはあるけど売り先が分からない→アイデアがどういうものかによりますが、発明商品なら発明協会とか弁護士に、サービスなら自分で開発かだれかに頼むかでそれっぽいものを作って検証してみる→買いたい人とのマッチングという視点で客観視するのが良さそう
  • 小さなアイデアがあるけど誰に売れるか分からない→例えばキンドルやブログなどネットでまとめてそれを売る形もあります。売り方としては無料で見られる可能性も高いので、無料なら手応えを得るため、有料ならコンサルや追加情報というのが定石でしょう。ただそれに縛られることがないアイデアを考えても面白そうですね。
  • 個別に相談があってそこで売りたい→アイデアを売るというよりも、依頼があってそこからアイデアを提供する、売るというよりも相談にのる形ですね。これはクライアントに気に入られれば継続案件となりやすいと考えています。

人によって、商品アイデアを考えるのが楽しいとか、サービスを考えたいとか、一発で改善したいとか好みがあるんですよね。実際に僕は発明系アイデアは正直良くわからないので、そこまで燃えることがありません。

一方で人が何か新しいことをやるときは応援したいし、然るべき情報やアイデアを投げつけるように(笑)提案したくなります。同時に安定してアイデアが実現できたり、アイデアを得られる仕組みがある人には僕はあまり価値がないというかお役立ちが出来ないんですね。

悪く言えばアイデアがない人のハイエナです(笑)よくいえば、アイデアを自発的に提供できるアイデアエコシステムそのものといっていいかもしれませんね。

ですから、アイデアの質とか量とかいろいろあるんでしょうけど、まずはそのアイデアの手応えとか、どういう形で売れそうか、そこで駄目なら諦めるというのも一興ですが、粘って違う形にしていくのも一興です。

一度のアイデア人生だから、アイデア満載のアイデア人生でいっちゃいましょう。

おわりに

今回はZOZOSUITの3億円のアイデア買い取りが面白く、もっとそういう事例が増えればなんか楽しいなあと感じました。アイデア自体を売買出来る仕組みは考えるだけで楽しいですよね、マッチングも水面下で粘れば多分いけるはずですが、単にオープンマッチングでは駄目というのは既に経験済みです(笑)

一方でそういう億単位ではないものの、小銭と侮るなかれ、アイデアが売れる、買い取られるというのはダイナミックで大変面白いことです。

アイデアを売りたい人目線で書いていますが、僕も良いアイデアを買い取りそこから何か事業を起こせたら面白いなと考えていたりします。まだ道半ばですが諦めずふんばっていきたいですね。

筆者プロフィール

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。

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