クラウドソーシングでユーザー獲得タスクは有効か
Webサービス限らず、新規サービスリリース時のユーザー獲得の方法について考えてみます。
とくにクラウドソーシングなどのタスクでユーザー増加をするアイデアはわりと見ます。それらが有功かどうか考えていきましょう。
結論としては、ユーザー数は集まるけれど、それのみに頼ると微妙だねというわりと月並みな話です(笑)
目次
ユーザー獲得の方法
一つ有効とみられるのは、クラウドソーシングなどでアンケートやユーザー登録、またはコンテンツ投稿を促すというものです。ただそれぞれにコストがかかるのと、それらのタスク系で得られたユーザーがどこまでロイヤリティがあるか(要は継続して使ってくれるか)は微妙というところを踏まえた上です。
賑やかしとしては有効というところでそれぞれ考えてみましょう。
1.ユーザーへのアンケート
新規でリリースしたりこれからリリースするサービスのアンケートを取ります。タスク形式がベターかもしれません。
アンケートは登録必須とすればハードルは高くなりますし、手間も増えます。登録せず簡単に使えるサービスなら利用者を多く見込めそうです。
ユーザーとなるターゲットとはずれる可能性もあるので、その場合「ターゲットは男性」などと明記して弾く必要があります。これらを無視するケースもありえるので、結果的に質よりも数でカバーしたり、アンケート回答から読み取るしかなさそうです。
アンケートにより登録ユーザーが増えるか、または認知を増やすことが出来るのでグッドです。
ただ、ロイヤリティとしては「アンケートしたから終わり」という人も多いでしょうし、使ってくれる人がそこから継続出来るかはかなり微妙だと言えます。
ユーザー増加:○
アンケートに得られる視点:△
ユーザーのロイヤリティ:△あるいは✕
というところで、結果的に一時的なユーザー増加から賑やかしは期待できるし、コストも1万円もかけずに出来るのでやってみるのも良さそうです。
2.ユーザー登録をしてアイデア出し
1のアンケートと違うのはとくにアイデア出しを訴えるというかメインにするということです。
よくあるのがアプリを使ってみて改善アイデアを出すとか、サイトを見て改善アイデアを出してというパターンです。
URLやアプリを開示したほうがスムーズですがそういうサイトで募集した形跡を残したくない発注者もいると思うのでその点は登録した人しか見えないようにする、別途送るなどですが、ここは気にするかどうかでしょう。
アイデア出しをするためにもユーザー登録が必須なのでとくに自然にユーザーになります。ただ改善アイデアを考えるなどの意図があるため、そのユーザーが使うかは面白ければ使うくらいで多くは継続されないでしょう。
アイデアを出すために登録してくれるため、一般ユーザーのように面白いから使うという入り方でないため、ミスマッチなユーザーともなりかねません。
ただアイデア出しは別枠で使えるものも集まるかもしれないですし、これは求める改善やダメ出しや見られるところによるというところでしょう。
ユーザー増加:○
改善アイデアの価値:○
ユーザーのロイヤリティ:△あるいは✕
3.コンテンツ投稿を促す
ユーザーに利用サービスの投稿を促すものです。最近見るのは、動画投稿だったり、ユーザー投稿型サービスなどの記事などでしょうか。そういうユーザーが投稿して成立するサービスは最初の出だしが大事なので一定の投稿数を集めたいわけですね。
この場合コンテンツ投稿を促すとはいえ、動画や文章、コメントをするなど実に様々なものがサービスによって想定されます。
当たり前といえば当たり前ですが、登録でもメールアドレスやパスワードのアカウントよりも、SNSログインがあれば手軽ですし、登録なしで使えるほうがより手軽です。アカウント作成を省いて、コンテンツを考えると、文章を送るだけか、写真を送るのか、動画を送るのか、項目数が増えれば増えるほど報酬等が魅力的でないとやる人は多くないでしょう。
金銭的報酬でなくても、そのサービスに対する思いや協力してくれたらこういうことが起きるとかある種のプロジェクト感を出すのも有効だと思います。が、これはクラウドファンディングぽい文脈ですね。
コンテンツ投稿においては、そもそもただの感想コメントであれば楽ですが質自体に影響をあたえるかというと微妙であってもなくてもいいかもしれません。ユーザーがどこまでサービスにあったコンテンツを投稿してくれるか、条件を色々盛り込めばやりづらく、盛り込まないなら精度が低いコンテンツになり悩ましいところだと考えられます。
ここではコンテンツ投稿はユーザー登録後可能だとした場合で考えています。
ユーザー増加:○
コンテンツ投稿:○
ユーザーのロイヤリティ:△あるいは✕
お金で買ったユーザーはロイヤリティは低い
上記3つを見てきましたが、共通するのはお金で買っているというところです。心理的にはアンケートやユーザー登録やアイデア出し、またはコンテンツ投稿というサービスに付随する「タスク」を行ったから貰える報酬であって、ユーザー登録とは厳密には結びついていません。
ただユーザー登録をそれによってすることは実際に多いとするならば、結局お金で買ったことになります。少なくともここで大事なのは、ユーザーが自ら登録したり使いたいから使ったわけではないという意味で対比できます。自然ユーザーと報酬ユーザーといっても過言ではないでしょう。
どのケースも、やはりお金やタスクありきなので、ロイヤリティとしては低いと考えられます。そもそもたまたまタスクとしてやっただけでそれ以上でも以下でもないというところがいえそうです。稀にそこからコアなファンが生まれるかもしれませんが、それは広告宣伝として費用対効果がどうかで分かりそうです。例えばリスティング広告とくらべてユーザー獲得にどれくらいかかるか、ユーザー獲得はさらにいえばどの程度ロイヤリティがあるかなどです。
例えばロイヤリティは頻繁にログインするなどアクティブさだったり、投稿コンテンツの数やアクション(いいねなど)などで測れるはずです。
ユーザー増加は多分やればやるだけ増えるでしょう。ただ問題はそういうサービス認知が、ターゲットがズレたところで広がってもただ「烏合の衆」としかならず、結果的に数はあるけど自然ユーザーではないというのは痛い問題となります。これは設計として、賑やかしのユーザーが最初いるけれど、あくまでサクラ的であって、そこから自然ユーザーが増えるアイデアを実施しなければいけないということがいえます。例えば1000人ユーザーがいるのに、賑やかしが比率が多ければ結局それは自然なサービスではなく、不自然なサービスとなってしまうでしょう。
これは少し考えると分かることなので、仮に報酬ユーザーが一時的に多くなったりサービス初期で多く集めてもそれ以上に自然ユーザーが集まることを企画しないとダメかなと言えそうですね。
付随するタスクの価値はそこそこ
アンケートやアイデア、コンテンツに対する価値は賑やかしという意味ではオッケーだと思います。ただそれらが人々の声かというと、結構疑わしいです。
例えばネットアンケートがネットに慣れている人が取っているという偏りがあるため、ネットに慣れている人の属性でしか取りづらいのと、そういう結果になりがちです。例えばネットアンケートに答えられる人はSNS利用も高いでしょうが、そもそも紙のアンケートでネットについて答えてる人はSNS利用度は低い傾向があるといえるでしょう。
そのようなバイアスというものがかかるので、報酬ユーザーというかなり限定されたユーザーに対して、アンケートはどこまで価値があるかは分かりません。アンケート項目やそれをどう使うかということによるかなというなんとも歯切れのわるいことになります。
アイデア自体も改善自体を活かせるならいいですが、新規サービスやこれからというところでは課題も多いため、総花的になりがちですので、改善アイデアよりも一点突破でここを特徴としているからそれを伸ばすアイデアを求むなどのほうが良さそうです。
最後のコンテンツ投稿も特に最初はサービス自体が分からないため何をどうしていいか分からない場合、突っ込んで行ける人が価値があります。だからこそユーザーに対してコンテンツの価値を求めずになんでもいいからまずはやってもらうことが大事です。とはいえ何でもいいから投稿してでは微妙でしょうから、あまり制限や条件をかけないほうがコンテンツは増やせるはずです。
コンテンツ自体は制限すれば増えないし、緩和すれば増える。でも、結果的にそのコンテンツ自体をコントロールすることってできないのがユーザー投稿型の真理です。だからこそ、運営側の基準や前提などで変えていくことをユーザーとともにしていくことになります。だからこそ、ユーザーロイヤリティがユーザー投稿型サイトはより求められる気がします。普通のサービスよりもですね。
このあたりが罠だと思っていて、ユーザー投稿型サイトなどを作る場合「ユーザーが勝手に投稿してくれるから楽」という楽な部分しか見ずに企画してしまうある種の罠にはまりがちです。それは逆で自分で作るわけではないので、よりロイヤリティや濃いファンがいないと成立しないので、コミュニティやユーザーとの関係性が求められるサービスとも言えるわけですね。
おわりに
基本的な考え方としては、報酬ユーザーがダメということはないでしょう。ただお金を出すから高評価にするなどはステマ領域になるので、タスクをかますことで一定のタスク化案件として認知を増やすことが出来ます。
ただ認知を増やすとはいえ、それらも報酬ユーザーであることに限りはないので、限界が来ます。
結論としては、クラウドソーシングでの賑やかしユーザーを募集しても一時的な賑やかしにはなるけれど、それ以上にはならないというところです。少なくとも報酬ユーザーだけで運用されて回るサービスがあればいいですがまずなさそうです。
最も広告宣伝費として考えるならば、広告宣伝の費用対効果としてはどうなるかというところです。実際に検証はしたことはないですが、例えばリスティング広告ならキャンペーンや報酬を与えるようなものでない限りは自然ユーザーですし、ユーザーがどの程度自然にサービス自体に興味を持って登録しているかが問われるという気がします。
とはいえリスティング広告でも広告をやればユーザーが集まるというよりは、登録までいくけどそれ以降何もないかもしれませんし、これはもう広告→登録→手応えの計測の運用などの話になってきます。
僕としては、一つの手法としてクラウドソーシングでユーザー増加を狙うのもいいけれど、あくまで賑やかしであってそこからどう自然ユーザーを増やすかということがアイデアがなければロイヤリティ低めのユーザーが蓄積されてサービスとしては回らないだろうなと考えています。
これらも正解というわけではないので、また考え方を逐次検証して見ていきたいですね。
筆者プロフィール
- 「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介、仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューやお問い合わせはお気軽にどうぞ。
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