小さなアイデアを形にした3つの事例

アイデア自体は小さなものでも、形にして勝負すればそういうアイデアサイズはどうでもよくなります。逆にアイデアが大きい、優れているものが形にできず頓挫するほうが悲しいですよね。

今回は小さなアイデアを形にした例を紹介します。

大きなアイデアで戦わねば!みたいな方は、「そんなのでいいんだ」と思って頂き、形にするほうにリソースを割いてみるといいのではというところです。

他の方はアイデアのネタとして楽しめれば何よりです。

付箋に印字するだけで立派な商品

正確には名入れ自体を印刷物、販促グッズ、ノベルティとしてやるビジネスがあります。

もう1つはそういうものを最初から入れることで商品化するというアイデアです。馬鹿げている?そういうことでなく、アイデアを形にしたところで、あとはどう評価されるかという視点で見る癖をつけましょう。そうすると、多分あまり適当な批判はなくなるはずです。

アットホーム社は、不動産仲介サイトですが、そこが不動産仲介業者向けの商品を売っています。

不動産業務用付箋 10個

これを見て、付箋に「文字印字しただけじゃん」と思った人はある種正解ですが、それを思った人で「どこまでこれをやるか」だけなんじゃないかと思います。

不動産の契約書などで何をしたらいいか、署名なのか、捺印なのか、契約書は紙なので「何箇所か」複製もあるため必要です。その時手で付箋に貼ってーみたいなことをやるわけですがそれを効率的に出来るというスグレモノといえるかもしれません。

このアイデアは応用が効きます。

例えば、スーパーで加工品というか、調理済品でも、「味付け生姜焼きの肉」とかがあって、あとは焼くだけ。惣菜と言われるものはそんなのが多いですよね。店で食べるのと何が違うのかですが、家で食べればご飯をつけたり、スープやサラダを付けたりが自由です。このあたり自炊しない人は全く未知なわけですが、自炊をする人でも惣菜を同様に買うけれどその献立構成が異なると考えてもらえればいいかと思います。

つまり、手を入れるだけで全然客層と使い方までの幅が広がります。何も「惣菜」のみで構成しろってことではなく、手を加えるレベルを調整できるってことです。ここがポイントでしょうか。

この単純すぎるアイデアはどちらかに分かれるでしょう。そんな簡単なものという人と、形にしたすごい!という人。体感的に前者のほうが多く、後者が少ない。でも、こういうアイデアこそ形にしちゃったほうがいいと。あとはこの付箋自体めちゃくちゃ高いわけでなく、10個セットなので、1個200枚で216円程度です。印字代を入れて手間賃とすれば全然安いのではないかなと。後は自分で手で書いたりの手間と天秤にかけてどうかってことですよね。

例えば、アイデア発想シートといって紙があればできるんですよーという人と、ここに従って書き込むガイドがあってこうすればできますという丁寧なもの。多分売れるのは後者です。僕はどうも前者よりで駄目ですね(笑)ひと手間を入れることでそこで「導入が容易になる」のを馬鹿にしてはいけないんですよね。

0円ギフトでオリジナルギフト券をつくる

IT’S DEMOという雑貨屋さんがあります。女性向けですね。

このお店がキャンペーンとしてやったことは、ギフト系雑貨が多いということで、お客さんに0円のギフトを作ってもらうというものでした。

0円キャンペーンサイト

こちらのページで、0円ギフトを開始を選ぶと出てくるのはこちらのページ。要するに、自分がギフトしたいことを書いて相手に送れるわけです。TwitterやFacebookでのシェアはもちろん、画像をダウンロードしてメールで送るとか、紙に印刷してもいいかもしれませんね。

このときのアイデアというのが、送るギフトの内容です。0円というのは、つまりお金をかけないけれど、気持ちとして「肩たたき」券みたいなものをイメージしてください。

デフォルトのものだと、

  • 1ヶ月限定!カフェで一杯おごらせて
  • 5分限定!究極至極のマッサージ
  • 拍手喝采!あなたを全力で褒めます

とかがあります。(同ページより引用)

このアイデアというかサービス券面白くないですか?というところです。

ギフトショップが自社商品をアピールするというよりは、そのギフトを使ってお客さんがプラスアルファするところを狙っていると言えます。

プレスリリースを見ると、「イッツデモ」の無料ギフトサービス 0YEN GIFT (ゼロエン ギフト) Twitterキャンペーン  5/1(火)から20(日)まで、メッセージをアレンジしたユニークなギフト券を募集!には、こどもの頃に親をお手伝いする券をした点から着想したアイデアと書かれています。

子どもだからということでなく、シンプルにモノでなく、何かを相手にするという意味、相手に喜んでもらうという意味では秀逸な企画だと思いました。こういう枠組みがあるとちょっとやってみようかなと思う。当然ついでに自店舗も見てねくらいな感じで突っつきすぎないのも憎らしいですね(笑)

このアイデアも「0円ギフト」という名称が良いですが、言い換えに過ぎないということもいえます。一方で着想したら形にするには、ランディングページ(キャンペーンページ)を作り、そこで入力フォームなどを作り、かつシェア出来る機能をつくるので少しは労力がかかりますよね。それが出来るかどうか。

Webサービスをつくる人ならこういうギフトサービスを手軽に作れる機能を作ってもいいかもしれませんね。これは雑貨とかそういう関連を狙っているかもですが、雑貨とか関係なくジャンルを選べたり、人気なギフトを出したりとかで応用ができそうです。

あとは、0円といって制作費ゼロ円にはできないでしょうが、制作ができれば限りなく0円で出来ます。お金をかけないとギフトできないのではない、ということに気づけばこのようなアイデアにもたどり着くし、何より企画をした人は「子どもから送られた肩たたき券が嬉しかった」とか「またはそういえばこどもの頃にやったなあ」というアイデア会議から出てきたのかもしれませんね。何よりほっこりしますね。

ゼンリンの地図グッズ

最後は地図ネタで締めてみます。

ゼンリンは地図会社です。地図は調査員が調べて作成するということで、最近は地図という紙でなく電子データもですが、地図自体をどう最適化してそのノウハウなりを使って商品化している印象です。例えばマーケティングデータとか、自治体空き家調査とかもやっていますね。

商品というとなんだろうと思うかも知れませんが、mati mati seriesという商品群を出しています。クリアファイルで地図レイヤーが重なったり、ノート帳だったり、今どき女子は必ず持ってる!?ようなマスキングテープ、あとは付箋です。

これらにいわゆる都市の交通地図が無地で貼り付けられているイメージです。ぜひ上のサイトを見てみてください。

ものすごくシンプルだけどデザインの力で可愛さを感じる(と思う)商品になっています。

開発したのはゼンリンですが、プロジェクトチームとしては事業企画本部やビジネス企画部の女性チームで、女性視点のアイデアといえます。アイデアとして、新しい地図を使った商品を作り市場をつくるぞということで出てきたのは「地図ってかわいいよね」という話だったようです。地図が可愛く見えるのはなかなかニッチかと思いますが、可愛さを入れつつアレンジすればいけるのではないかというのがアイデアの種ではないかと思います。

「地図ってかわいいよね」女性の視点で、ゼンリンの地図データをファッションアイテムににある、かわいい地図のイメージを見てかわいいというのか普通の地図というのか正直わかりません(笑)ですが、かわいいと思える人はそのエッセンスなりなぜそうかを考えていけば、自ずと商品化が出来るわけですね。まあ簡単ではないのですが。

そしてアイデアだけでなく、これを社内企画が通り、ロフトで販売したらわりと好評で、アンケートを取ると自分に縁のある場所だといいし、地図柄自体は男性向けでなく女性向けもデザインがきれいならオッケーという貴重なデータを得ています。ここでもいえるのは、アイデアは試作など形にして手応えを得ることの大事さが分かりますよね。

地図ってかわいいというシンプルな作り手、または地図が好きな人の情緒的な点を潰さずそれを何か形にできないか。かわいい地図をつくるといってもかわいいアレンジを入れないとさすがに「そのまま」では売れないから、そこからが企画の見せ所ですよね。

このアイデアを馬鹿げているといって否定してまう人はいそうです。例えば、地図=実利的=男性が好むとかだからそんなのは売れないんだってことですね。一方でかわいい地図を形にする、それは確実に売れるし好まれるし、なんだかいいじゃないかと思えば商品化をしていけるし、何より楽しいのではないかなと思います。

一方で地図を作り続けている老舗にとって、社内にとっても「地図が可愛い」というのは新鮮で分からない感覚だったかもしれません。そういった風土や文化としてある中で切り込んでいくには、合理性よりも情緒性で「これいいよね」から突っ込んでいって、最終的には合理的に戻す、つまり情緒ファーストでいって、あとで結果を出して仕上げるほうが向いている気がしますね。硬直した組織でやれるかはおいておいて、スカッとした企画という印象を受けました。

このアイデアは個人でやると、MJでも見かけましたが、例えばツイッターを見るとこんな形のものです。

これ売っちゃうと駄目ですけど、個人で楽しむならということで面白いですよね。好きなお菓子のパッケージを袋にするということで、ゼンリンの地図がかわいいなら、自分が好きな商品パッケージもかわいいから袋にしたいというのは、わりと近いかもしれません。違うかもしれませんが(笑)

仮にビジネスとしてやるなら、ある程度いけることを証明しつつ、個人の範囲で友人らに手応えを示しつつ、あとはメーカーの商標なり許諾が面倒なのでうまく話を通していかないと萎えそうです。当然、メーカーと公式にやると時間がかかるので、そのあたりはカスタマイズやオーダーメイドをしているグッズ系が強いところと組むなどアイデアの持っていきかたを工夫するといいかもしれませんね。

おわりに

小さなアイデアも形にするとどうなるか。結局してみないと分からないというのがシゴクリ的な意見であり、この考えは変わりません。もちろん精度を上げるとか、確率を上げるのは出来ても、やってみないとわからないことばかりです。

今回見たのは、シンプルな付箋、雑貨店のキャンペーン、地図会社の新商品づくりとジャンルはバラバラで、切り口はバラバラですけど、シンプルなアイデアでもなんでも形にしてどうかということを痛感させられるものでした。

ぜひ、アイデア自体をものすごいものということで詰まりがちな人は、シンプルなものを形にすることで体をほぐしてみてはどうでしょうか?シンプルなものも形にするのは大変でしょうが、無理ではないでしょうから、踏ん張ってみましょう。

何かヒントになれば幸いです。

筆者プロフィール

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。

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