集客アイデアなんてない

アイデアについての理解を深める話です。

「集客アイデア」を考えたりすることはあるのですが、実際に「集客アイデア」自体はないし、仮にあってもそれはイメージが異なることが多いので、なんだかなという話です。

アイデアに関するギャップや矛盾を考えていくことが最近の流行りですね。

「集客アイデア」なんてない

集客アイデアが刺さることは稀の稀

言葉としての「集客アイデア」はもちろんあります。また、「集客アイデア」が欲しいというケースも十分ありえますし、多くの人はそれを欲しがっています。

一方、僕の経験上、「集客アイデア」を出して喜ばれることは喜ばれるのですが、実際に「集客アイデア」が依頼者の痒いところに手が届いてしっかりかいて、すっきり!ということは稀です。また、それで「集客アイデア」が良くても、そのアイデアを実行して検証するところにいくことも稀です。つまり、稀の自乗であり、結構稀という確率になります。結構レアというのは、レアが1%なら、さらにレアなので、0.01%くらいの確率です。これはほぼ起こらないって意味と同義だと思います。

集客方法のやり方自体は少数

別の視点でいえば、「集客する方法」という意味です。実はこれは、広告であれば、新聞折込やポスティング、ポスター貼りや棚への配下などのオフラインのやり方はほぼ決まっています。最もどういう場所に置くか、まくか、チラシなどのキャッチコピーはどうかなどのクリエイティブは異なりますがソフト的な話です。ハードとしての手法は、他にもWebやSNSなどもありますが、総じて決まっています。ランディングページだとか、オウンドメディアだとか、定義を変えたりしても、昔からウェブサイトをランディングページみたいに作っていた人もいるわけで、またオウンドメディアという言葉がなくてもそういう視点の人はいたはずです。

裏付けのないアイデアは価値が著しく低い

そういった集客方法としての宣伝については手法がほぼ同じなので、手法アイデアはあまり価値がありません。正確にいえば、Webサイトを作りましょうは無価値ですが、Webサイトを作ることで一定の集客が見込める根拠とか勝てる理由を経験から裏付けするなら価値は相当あります。Web制作で終わっているのであればこの集客まで提案は無理なわけですが、ここで大事なのはどんな手法であれそれに裏付けされた何かがあるか。それがないなら、アイデアの価値は劇的に低くなる。厳しくいえば限りなく0に近くなるというところです。

依頼者側からすればお世辞としても、「アイデアが刺激になった」というメンタルに響くこともありえますが、これは狙い次第でしょう。依頼者が嘘を付いてないならば「集客アイデア」が欲しいというとき、多くはアイデアが欲しいのでなく「集客したい」というだけです。そして集客する術がわからないこそ、何かアイデアがないかなと考えるわけです。

しかし、集客アイデアがあっても、上のように「裏付け」「実現力」がなければ、それらは絵に描いた餅です。ここで、アイデアを考える時はアイデアの価値は全く誰にも分かりませんが、検証する人が自分を含めていることでアイデアの価値が出てきます。依頼者がその価値を受取るタイミングは色々ですが、一定の検証を持って価値がありそうというタイミングでもらえると最も良いのだろうなと言えそうです。これは言うは易く行うは難しですけどね。

アイデア売買に関しては全体か、切り出しの2択

「集客アイデア」を仮に最適解だとして出しても、明日にはすでに変わる可能性も多く、結果的に集客アイデアを求めてそれに対して刺さるアイデアって難しくなるわけです。だからこれらをわりと考えた人だったりが取るべき行動としては、「全体をまるっと受けてそこから考える」というようなものです。これはアイデアレベルでなく、戦略や全体を見ることになり高度となります。当然より依頼者よりになりますし、時間やリソースもより割くことになります。これは端的にいえばコンサルっぽいし、相談を受けてどういう戦略やアイデアを練っていって実現していくかとなります。これって簡単そうですけど、アイデアを実現化した経験がなければやはり厳しいですし、また戦略や実行ツールなどによって全く出来ることの守備範囲が異なるのでこれらも「コンサルできるかどうか」よりも、何をしていけるか、言葉でごまかさないほうがいいということもでもありますよね。

もう一つは買取などの割り切りとして、アイデアを売っていくというものです。これについては多くの人が考えるのですが(アイデアを売りたいというシンプルなアイデア)、結構実現が困難です。やってみれば分かるのですが、上で言う集客アイデアをどの程度「理解」して買うか、または「見せるのか」という問題がわかりやすい課題です。他には、上にも書いたとおり、「そのアイデア使えない」という話です。

アイデア自体が良くても「Webサイトを用いて…」とあるけど、そもそもサイトがある前提なの?みたいなこととなり、実現度が低くなります。仮に「Webサイトを用いた集客アイデア」といっても、これくらいの制約であっても、Webサイトで出来ることって技術的なことの進化か、ニッチな使い方以外であれば、「広告を出してランディングページをつくりましょう」という程度のアイデアであれば、そこまで価値はありません。それらを使ってどうすると、集客出来るのかというところをもっと突っ込まなければならないわけです。

これは僕の推測でなく、数あるサービスで同じような考えでうまくいってない、またはうまくいくなら「そのサービスだけで収益」というのではないなあという話ですね。うまいことビジネスが作れる人がやってどうかみたいなところで、仮にうまくても儲けが薄いならやらないでしょう。またうまくない人がやっても「収益化」は厳しいだろうというところです。収益をそこで求めないのももちろんありです。

アイデア売買のマーケットサービスを作るなら

このブログを読んでいる方には、おなじみだと勝手に思っていますが、こういうアイデアの粒度が粗いアイデア自体はほぼ売れません(ビジネスアイデアはいくらで売れるのか?なども関連してきます)。

精度を高めていけばそれは企画や事業サービスとなるため、結構大変です。誰が買うのかというところで、大手企業が粗いアイデアを買っても実現出来るというケースくらいしかわりと実現性は低く、個人が買ったり何かしても相当の実務者や実業家でなければアイデアの良し悪しやそれらを突っ込んで出来るわけではないなという印象です。つまり多くの人には使えないので、そういった創業経験がある人限定とかそんなアイデアマーケットでないとまず成立しえません。これはこれで特殊ですが、さらにいえば、そこに来るような出来る起業家はアイデアを検証していくことで形にしていくことが「普通」だからこそ、アイデア自体を買うかはかなり微妙です。買うなら事業であるということでしょうね。

簡単にまとめれば、大手企業向けの小さなアイデアをマッチングするところ、または創業経験や実業家向けのアイデア売買サービスとなります。後者は投資的な視点もあるので、投資家=お金を出すわけですが、アイデア投資家として、起業家にアイデアを出すのも面白そうですね。ですが、投資家=お金を出す人レベルなら、そういうアイデアはたくさん持つか少なくとも考えているので、あえて強調する意味は薄そうです。

魚を与えるアイデアと魚の釣り方アイデアの違い

集客方法としてありそうな「SNSマーケティング」だといってその手法を知らない人にはそれらの「SNSで集客するアイデア」は価値があります。単に情報の01という点でです。

ただこれも今までの話と同じで「新しい手法とかそういうのはいいから、それで集客できるのか」となると、結構辛い話です。質が高くなくてもいいから、切り出して売るみたいなところでいえば、これらは魚の釣り方でなく、魚自体を与えるビジネスですね。テクニックに近いアイデアといえばいいでしょう。最もそれが悪いとかダメということでなく、「へー」で終わる可能性も高く、あと根本を理解してないので「実行に移せる」人はかなり少なくなります。もしかしたら、書かれたことを実行出来ないのってテクニックというわかりやすいもので分かったつもりで「理解」はできるけど、納得や共感までいかないから出来ないのだけかもしれませんよね。

集客アイデアでいえば成功事例として「ターゲットを決めてプレスリリースを打っていったらマスコミから取材を受けてそこから広がった」みたいな事例がありそうです。で、この時「プレスリリースを打てばいいのだ」という理解はかなり浅いです。最もプレスリリースを打つことはダメではないですが、打てばいいというわけでなく、どう打つか、何を出すか、その「出す中身」を自分で考える必要があります。ではその中身はどういう視点で書くべきかとなります。これらも深掘りしても「テクニック」に変わりはないのですが、考えていくと自社が考えなきゃいけないオリジナルなことに遭遇します。成功事例はアパレルメーカーだけど、うちはサービス業だしなあという時に「成功事例と違い」を見るのでなく、「うちならどうなるか」と考えることがめちゃくちゃ大事です。ここで考えることを深めていければそれらは深いアイデアですが、「プレスリリースを打つ」だけでとどまるレベルなら浅いアイデアです。

魚を与えるとは、プレスリリースを打つというレベルのものです。魚がなくなったら次はどうなるか。次はSNSでこうやって投稿しようとなるわけですよね。ちょっとこれは筋が悪いわけですね。

魚の釣り方とは、プレスリリースを打つでなく、なぜプレスリリースを打つのか、それは自社の何を出していけばいいのか、という「打つ」という行為でなく、背景や土台になるものを考えることとなります。これが出来れば「プレスリリースを打つ」でなくても、他の手法でも同じとなるため、再度生み出すことが出来ます。生み出すとは魚を取ることが出来るということですね。

簡単にまとめてみましょう。

魚を与えるビジネスアイデア

  • テクニックや技術的なものとなりがち
  • 使える範囲が限定される
  • 短期的な視点
  • なくなったら次の同様のアイデアが必要
  • 実行精度が低い
  • 実行出来ないのは「頭で分かるレベルの理解」であって、納得や共感レベルまでは伝わらないから

魚の釣り方を教えるビジネスアイデア

  • やるアイデアの背景や土台について考える必要がある
  • 使える範囲は広く、他でも応用が出来る
  • 長期視点
  • やるアイデアがなくなっても他のアイデアで実行出来る
  • 実行精度は高い
  • 考えるなど時間がかかり、即戦的ではない
  • 実行出来る確率が高いのは「納得や共感」というレベルに考えていってたどり着くから

現実的には、テクニック的なものを試すだけでは魚を自ら得ることが出来ません。だから、釣り方的なアイデアを試し長期的に試す土壌を作り、そこから得た「テクニック」らしきものを試していって検証する。

というなんとも月並みな話になります(笑)が、これが事実というか、しっくり来る考え方です。前者の与え方ばかりに走ると多分何も残りません。なぜなら食べてるだけですからね。釣り方を知りたいしやりたいなら、どっしりと構える必要性はあります。これって最近書いてませんが「何かを得るためにはリスクを取る」とか「飛ぶには屈伸をして縮む必要がある」とかと似ているかなと思います。

考える時間がもったいないとか、長期とか言ってられないという場合に、浅い呼吸で対応しているとやはり力強さや粘りがなくなりだんだん辛くなります。パンチが軽いんですね。もちろん考えてばかりで貯めていてもダメなので、それらを解放してあげるようなテクニックや前線で使うということも必要なわけですね。

おわりに

ここまで考えれば集客アイデアという魔法はないということが分かります。とはいえ、依頼者は言葉のプロではないので正確に自分の状況や集客したい背景について述べられるわけではないんですね。逆にそこをヒアリングしていけば「集客」というよりも「課題の整理」でしたみたいな話はゴロゴロしていそうです。

確実に何かその時点で未来が保証され100%いけるという「アイデア」なんてないことを僕は知っています。一方で普通に考えれば「100%いけるアイデア」でなく、確率高めのアイデアであればまあ「60%いけるアイデア」もあればかなりいいのではないかと思っています。5%とか10%レベルだと結構辛いですが、思わぬヒットがあるかもしれませんが、まあ実行対象になるかが怪しいです。

しかし、「集客アイデア」というのは魔法に見えるため、見る人には「集客出来るアイデア」なんだなと目に映ります。これって前考えた「アイデアという言葉の誤解」とほぼ同様です。期待値が無駄に高まっているだけとなります。

正確にいえば、集客アイデアではなく、集客に関する実行したら面白いし集客につながる可能性がありそうな工夫というところが実に適切かもしれませんね。最も「アイデア」という言葉は便利だし、好きなので使わないことはありませんが、そういう誤解や不一致がある。当然理解していても、「いやいや納得できないな」というところでなかなかコミュニケーションが進みづらいところかもしれません。

最後に書いたテクニック的なアイデア=魚を与えるビジネスアイデアと、土台となりうるアイデア=魚の釣り方アイデアは面白いなと思います。テクニックを悪く言いたいのでなく、テクニックだけインストールして使うのってやっぱできなくて、コンピュータですらOSなどの基本ソフトがあってその上でアプリケーションがあり便利に使えるわけです。あえていえば、応用アイデア=魚を与える、基礎アイデア=釣り方なのかもしれません。

基礎の上に応用があるので、例えば釣り方が頭にないのであれば、全て応用アイデアとなり、これって矛盾となります。応用アイデアをやるうちに基礎に戻るとかはありそうですが、基本的に「人に喜んでもらう」とかの根本の考え方がなければ、「自分だけ得してやる」からはやはり良いビジネスは生まれないわけですね。

もっといえば、基本は哲学です。応用はそれらを学んだ上の実験といえそうですね。わかりやすいのは実験結果だけぱっとみせられることですよね。効果があった、売上があがった。分からなくもないですが、それらは刺激が強く、背景や土台、基礎や哲学を忘れがちです。

一番いいのは、そういう刺激を見ても土台や基礎はなんだろうか?と考えられることです。そうすれば多少の刺激はスルー出来ます。また基礎から導き出される応用アイデアは試行錯誤が詰まっているのでどっしりとしていて簡単に使い捨てになることはありません。

それでそんな自分がアイデア出しをするということについては矛盾を与えることになります。実際には魔法的アイデアは無理ですから、実行精度が高いアイデアを出していくにはどうしていけばいいか。それらを考えてアイデアを考えているところです。逆に言えば自分が今までアイデア出しをしてこなかったら気づけなかった課題ともいえます。当然僕が考えるアイデアは、自身の経験と見た情報を組み合わせたもので、あとはテクニックでなく、土台よりのものとなります。これは根拠やこういう風に考えられるという考えを入れられるからですね。100%それではないですが、8割近くはそんな考え自体がアイデアとなっています。最近書いた課題意識としては、アイデアがあればいいというわけじゃないで書いています。課題をどう解決していくか、またはどう検証していくかというところですね。

今回は、そんな形でアイデア自体の理解についての考察でした。

筆者プロフィール

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。

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