Vol.9 スペシャリスト利益モデル

スペシャリスト利益モデルは、専門家の強みを説明したものです。今回は生徒であるスティーブが回転率をあげてきていて、しっかりと最後にまとめてくれています(笑)

それに乗っかってこちらも濃い目で考えてみました。

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スペシャリスト利益モデル

結論的には、スティーブが最後にまとめている説明でばっちり決まっています。本書としてはチャオでなくスティーブがまとめたということで、物語的には今後違った展開を見せそうですね。

一つ、よりよいナレッジから生じる低コスト。
二つ、業界内での高い評価や製品・サービスのユニークさによって可能になる有利な価格。
三つ、販売サイクルの短さ。
四つ、その分野に張り巡らされた密接な関係による迅速かつ全面的な市場への浸透。
五つ、高付加価値、高収益の製品を何度でも売れることから来る棚ぼた式の利益。

(ザ・プロフィット P.129より引用、改行は筆者注)

なんか分かったような分からないような感じですよね(笑)というわけで、本章にあるものから出来る限り考えてみましょう。

話の中で事例として出てくるのは、EDS(エレクトロニック・データ・システム)社のシステム・インテグレーション事業です。SIとか言われますが、要するにシステム屋さんです。お客さんの要望を聞いて、設計したり、開発したり、運営したりをやるというビジネスです。このEDS社はヘルスケア、銀行、製造業など色々な分野のスペシャリストとなって、積み重ねて業績を高めてきたという話です。対比としてIBM社が損益分岐点トントンに対して、13-15%の売上高利益率があったとEDSの有利さを述べています。

また、別の事例では、ビジネスフォーム(業務用帳票類)の世界でウォレス社が電気通信業界に特化することで高収益性を実現。これはライバル社が他の分野に手を広げる中で専念したという話です。

ヒューレット・パッカードのグローバル・アカウント・マネジメントプログラムも事例として出てきますが、ほとんど説明はありません。

本章の流れとは前後しますが、チャオはこのモデルが「提供するサービス・メニューと価格設定の算法(アルゴリズム)こそが決定的要因」と言っています。また他の事例で、ABBというヨーロッパのエンジニアリング企業もさらっとスペシャリスト利益モデルとしています。

チャオが他にはないかということで、スティーブが出したものに、「チャオの会社にいるような独禁法専門の優れた弁護士、心臓科医、エンジニア」と挙げています。さらに「学校教師、カテゴリーを絞った小売業界、専門分野に特化した建設会社」と答えていていつもの宿題がこの場で終わったというオチです(笑)

では、上の5つの特徴を考えてみましょう。

1.よりよいナレッジから生じる低コスト

ナレッジとは知識です。スペシャリストの知識があることで、費用がかからなくなっていくということです。ここでは専門家視点の知識がそのままコストを下げるということになるわけですね。

このコストを下げるというのは、顧客を知り尽くしたからこそ出来る最適な価格設定やメニューというものがあるということでしょう。

例えば塾講師という専門家を考えてみます。彼ら彼女らは教えることの専門家です。教える対象である生徒、学生、子どもたちに対して例えばどのようなやり方をすると伸ばせるかを理解しています。パターンによって簡単に分けられるわけではないでしょうが、それでも自身のやり方、経験、他者のやり方から学習し、最適な学習プランを提案したり、やる気が限りなく低くてもそれらを一定程度やる気にさせることが可能でしょう(全くないなら駄目だと思いますが)。

この塾講師でいう価格設定やメニューとは、例えばやる気がない子にはいきなり「押し付けても」仕方がないので、まずは学習する習慣をつけていくやり方、プランを提案できます。一方で自分である程度出来てしまう子にはより一人で出来るプランを提案します。塾というのはお金を出すのが親で、子どもが受益側という構造ですから、そういう意味で親への理解を促すスキルも含まれているでしょう。

実際に手がかかるから費用を請求できるかは対象である生徒と塾の実績や講師の実績、または相場観などにもよりますが、単純に手がかからないなら塾に来なくても良いため、このあたりの駆け引きやバランスこそが、チャオのいう「アルゴリズム」ではないかと思います。

塾講師でないならこれらの妙やバランス感覚、現場、親との話、実際の生徒の感覚は分からないからです。もっといえばどれだけ優れたノウハウがあっても、価格設定でアンマッチならそれはサービスとして売れなくなります。

と書いていますが、単純に専門家だからこそより学習の仕方、覚え方、学び方に関して理解が深いという感じで捉えても良さそうです。少なくとも心臓外科医に心臓手術をしてもらいたいですし、歯医者に歯の治療をしてもらいたいですよね?逆に、心臓外科医に歯の治療をお願いすると、仮に出来ても相当コストが高くなりそうです。

2.業界内での高い評価や製品・サービスのユニークさによって可能になる有利な価格

長ったらしいですが、要するに「業界内という閉ざされた環境でNo.1」になるようなイメージでしょう。そうすると、「業界で実績をあげているからこそ、ある程度融通が効く」とも言えそうです。

1で書いた塾講師のくだりと重なる部分もありますが、例えば「やる気を出す専門塾」みたいなものはニッチですが結構いけるかもしれません。

アイデア次第ですね。例えば「一度塾にいったけど1ヶ月持たなかった子が通う塾」とすれば、そういう人しか来ないので、諦めたり挫折したり駄目だった体験がある子に向けて特化した学習方法を期待出来ます。

これは一般的に塾にいけば良いというところでそれで駄目だった人には救いとなりそうです。もちろんこれで成果をあげられたらということになります。

スーパーでもディスカウントストアは普通にありつつも、ディスカウントする分野を大量に仕入れて大量に売る、飲食店など業者さん向けの卸売り事業者がやっているスーパーとか、カテゴリが色々あります。こういったところでユニークなものになりやすくなりそうですね。

3.販売サイクルの短さ

1で心臓外科医が歯の治療という例えをしましたが、例えばWebデザイナーにプログラミングをお願いする時、ある程度プログラミングが出来ても苦労しそうです。

一方でWebプログラマにプログラミングをお願いすれば、早いはずです。少なくとも品質が高くかつ納品が早いから満足です。

このサイクルの短さは、専門的だからこそ出来るわけですね。専門家といえる量はとくに決まってないですが、少なくとも一般の人が考える単純な考え(素人的というのが文字通り)でなく、それとは違う、異なる意見が言えるかどうかです。この話は本ブログでも何度もしていますが、アイデアの専門家という時、そのアイデア発想でもいいですし、アイデアと企画の違いでもいいですし、それらは言葉の話でなく概念や実際に経験として異なるということが言えれば、専門家に近づきます。この差異がわかれば専門家と考えています。

納期が早くて質が高いなら専門家に頼みますよね。ここでは割愛しますが、専門家が絶対正しいということはなく、バイアスがかかったりします。ただ専門家とは良い意味でそういうバイアス、例えば税理士なら税的な見方をわりとするからこそ税理士といえますし、これらは何でもそうでしょう。

4.その分野に張り巡らされた密接な関係による迅速かつ全面的な市場への浸透

これは人的ネットワークとか、顧客との関係から新しいことをしたり、再度リピートすることで強力なファンが生まれているというイメージです。

特化した建設会社の例もありましたので、例えば建設でも解体専門業者というカテゴリーがあります。この解体専門という場合、建設はしません。建設をせず解体をし続けることで、コストが下がりかつ専門知識が蓄えられ、最適なパートナーも見つかり、その業界での地位を気づくことが出来ます。また解体専門事業だから、あの会社にお願いしてみようという頭に浮かべる認知度も高まります。

もちろんこれは顧客満足度が高いならではです。上での悪い医者ならいかないですし、解体の産廃の処理が不適切なら二度と頼まれないでしょう。逆にいえば、満足度が高いことでリピートして、圧倒的に解体事業ではシェアを握れたりするということになりそうです。

5.高付加価値、高収益の製品を何度でも売れることから来る棚ぼた式の利益

最後は、カジュアルな日本語「棚ぼた」式です。

プログラマであれば一度作ったソフトを再度販売することが出来ます。Webデザイナーであれば例えばWordpressのキレイなテーマを作って販売していってその知識で再度新しいテーマを作れば更に売れそうです。

これらの細かいモデルは他のモデルと重なる点もありそうですが、ここで言いたいのは「専門知識」で作ったサービスや製品が高い価値で高い収益となっているのを何回も売れるということでしょう。

美容師という専門家であれば、技術と接客などのサービスが総じて高いのであれば、どこでも仕事が出来ます。所属する店が変わっても極端に環境が違わないのであればいけそうです。

専門性が高いことで、例えばカットだけでなく例えばシャンプーやリンス、コンディショナーなどの物販も合わせて売る技術も高まります。それらの商品知識も増えることで、例えば髪を切るということでなく、お客さんがリラックスしてリフレッシュ出来るというサービスにも特化出来ます。その場合のコストというのはもちろん設備や学習などがあればコストはかかりますが、基本的な専門知識はすでに習得済みなのでそれを少しだけスイッチする、または形式を変えるだけで出来るわけです。

棚ぼた的にいえば、例えば美容師が磨いたり製造したわけでないけどハサミ職人さんとコラボして作ったカリスマ的な美容師がつくったハサミは相当売れるはずです。知名度でいえばこれらは美容師さん向けに売れる可能性が高く、棚ぼた的です。もちろん必ず売れるわけではないでしょうが、一定数カリスマであれば売れるでしょうし、単に芸能人や有名人モデルというのはどこでもありえる話です。

本章から学べること

今回は長めでしたね。今回は分かりやすい専門家であること、専門家集団であることから利益率を高めてライバルが苦戦する中で、売上高利益率が15%も高いという話でした。

もちろんこの話から専門家になればいいとか、専門家集団ならビジネスに成功するというのは短絡的です。あくまで、ケースとしてそういう立ち回りであったり、姿勢があるし、そういう「利益モデル」もあるよねということです。

そういう意味で、システムインテグレーションとは確かに専門家集団だなあといえますし、士業もそうだなあと感じます。最も社会は変化していて、専門家だから食いっぱぐれないということはまずありません。専門家であることで満足するのでなく、ここでいう事例に出てきた話は利益をどうすればあげられるか、ビジネス的視点があるからこそ出来たといえそうです。それは顧客の理解然り、サイクルの短さ然りです。

それこそ資格を取れば安泰ということはないですし、資格を持つ専門家でさえ食いっぱぐれる時代です。またニッチニッチといいますがニッチであれば必ずいけるということもでないでしょう。例えばお茶メーカーが透明なお茶飲みを作るとしても売れなくなったら(トレンドとしては今透明ブーム)終わりですからね。

こう考えていくと、今までもですが、本書のモデルがあるから大丈夫とかはないわけです。またいつも書いていますが上の僕の解釈は間違っている可能性も高いです。ぜひあなた自身でどういうものが考えられるかを考えてみてください。

一つ言えるのは専門家でもあまり稼げない(ここでは利益があがらないということ)人と、稼げる人(利益率が高い)という違いが出てくるわけです。専門分野の違いなのか、どこまでひたむきにやったのか、専門として特化している部分で磨き上げたのか、色々といえそうです。

最近話題のプロゲーマーも、磨きあげたのであれば他でも通用するはずです。コントロール捌きは分かりませんが、研究スタイル、メンタル、勝ち方などは色々な試合や勝負で使えそうです。他ゲームというのも分かりやすいですが、教え方がうまいとか説明が上手というのも大きなスキルです。キャラクターもありますが、人を魅了するキャラクターであれば色々な仕事が出来るはずです。

今回はたまたま専門家という点が分かりやすかったので色々と解釈ができたと言えそうです。

おわりに

先回あっさりだったので濃い目となっていい感じになったでしょうか。

ぜひ気が向いたらでもいいので、これ何か使えそうだなと思ったらネタとして、考えるキッカケに使ってみてください。一緒に考える人がいたり、考えたものを出し合うというのも面白いですね。

次回は、インストール・ベース利益モデルです。

ビジネスって面白い、アイデアの価値ってもっとある。そんなことを自分なりに伝えられないかという思いから、シゴトクリエイターをやっています。一緒に楽しいビジネスを生みだしていきましょう。

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