ベストライセンスの大量出願の問題を少しだけ調べてみた

シゴトクリエイターの大橋です。

ベストライセンスが話題になりました。簡単にいえば、商標出願(出願とは出すことであってそれで審査、または商標権が得られたということではないです)の数が異常だという話です。PPAPは大分静かになりましたが、年末、年始から1月頃に騒がれた話題です。

ぶっちゃけ芸能系の話題はどうもでいいとも言えるのですが、商標権は芸能系の話題ではないのと、著作権云々からやはり興味を覚えました。

そこで何が問題かを調べてみました。

結論

大量出願は法的には問題ない。根拠は特許庁がそもそも例えば海外などからの出願で数ヶ月から半年はかかるという保留期間があるから。大量出願の保留でなくあくまで本来はそういう「時間がかかるであろう」という理由から。

一方出願する時に、先行出願されていても、そもそも商標は決められたサービスや役務で、商標を使うということで生じるので、役務提供が出来ない第三者が登録をしても行使できないため、審査でOKが出るとはいい難い。

ということになりそうです。それを通り越して、仮にこれが倫理的にはアウトでも、そもそもビジネスとして成り立つならいいんですよということを考えたとしても、いわゆる商標等の特許について詳しくない人の情報格差を活用したものになります。率直に言えば、知らない人からお金を巻き取るということでそう考えても、僕が考えるビジネスや仕事とは程遠いです。

仮にこういうクライアントがいれば不幸にも一度仕事をしてもそれっきりですし、まず近づきたくありませんね。

群馬県太田市の図書館施設名称のケース

弁理士の越場さんのブログに商標業界の厄介者(!?)という記事で紹介されています。

2015年10月頃に商標として出願しようとしたら、既に先行出願があったため断念したという話です。実際には、ベストライセンスでなくても、先行出願は意味があります。問題は、それで登録出来ないと、例えば施設があるのに商標が使うのに時間がかかる。例えば数ヶ月かかるので、そこが問題になります。またリスクが残る(ゼロではない)というのも問題です。

公募すれば誰でも見えるのでその情報を先取りして出願することが出来ます。

放置しておけば問題ではないが、関わる確率が増えることもある。なかなか厄介ではあります。

そもそもこれらは弁理士業界においても問題とされている懸念事項のようなので、何か対応を考えて欲しいところですね。ネットサービスのように1日1回までとかにするとかはありますが、本来の意味で大量に取りたいケースが有る時は困りますし。解決アイデアはとくに今のところはなさそうというところですね。

出願料を払わずに出願できてしまう状態が問題

越場さんの他の記事を見ているとそのように言えるかなと思います。日本国内で10数万出願があるのに、個人で1割近い1万を超える出願が出来てしまうということです。出願料は1万円はするので、1万×1万はなんと1億円です。

1億円を出願者が払っていたらまだ素敵ですがそうではないと考えられるようです。

PPAPの商標権を横取りした元弁理士の上田育弘、「歌いたければ金払え」では、テレビ取材された言及をしていますが、その中で3つの可能性を示しています。自分の音楽ビジネスは苦しいですし、いつか使うというのも多くは未出願(1万出願して全て出願しないなど)だと考えられます。よって、誰かにライセンスを売るのが強いと、炎上を狙うのもありですが、これでは単に問題となって終わる感じもしますがどうでしょうか。例えば1万出願して1%の100売れるかどうか。売るというのは、本来の出願者に対して交渉するということですね。

元々弁理士というのもなかなか

2016年6月頃の記事ですが、商標乱発、国全体の1割出願 男性「あくまでビジネス」では、元々上田氏は弁理士であったそうです。弁理士であればよく業界には理解があり通じているわけなので、その点も驚きは隠せません。

記事中には以下のように説明されています。

上田氏に直接、狙いを聞いた。

 「将来自分で使う、他人に権利を譲渡する、先に出願しておくことで権利を仮押さえする三つが狙い。(出願中に)権利が欲しいという人が現れれば、ビジネスになる」と売買目的を認めた。手数料を払わないのは、「権利化してメリットがあるものだけを厳選している」ためという。近く、商標を取引するためのホームページを立ち上げる予定だとも話した。

(同上より引用)

売買目的であること、同時に見込み出願をしておいてそれらを売れそうなところだけ絞り込んでやるということです。ただ絞り込むそのものはそもそも上田氏側で出願審査が通ることはまずないので、「先行出願された」と思う人を狙っていくことになります。

また商標取引するサイトとありますがこれが可能かはよく分かりません。そして近いかどうかはおいておいて、ドメイン売買ビジネスを思い出しました。売れるであろうドメインURLを取って売るとかですね。もちろん単にドメインが不要だから売りたいという人もいるとは思いますが。

PPAP等上田育弘ベストライセンスの商標料金の支払いは?では、儲かるわけでもないから、私怨でないかという話も。確かにその見立てが論理的かなと思います。ただ私怨であろうがなかろうが、迷惑を被るのは出願する人達ということで、署名運動でもやるしかないのかもしれません。が、そこまでやるのかというコストの兼ね合いで現実的にはないでしょうね。

【悲報】『プレミアムフライデー』の商標が「ベストライセンス株式会社」に出願されるからすると、プレミアムフライデーでもぶっこまれたようです。文字商標も経産省と同日という。

検索してみると確かに出願が。ただロケットニュースの記事時点ではなかった今年1月31日にイメージ商標なのでしょうか、PREMIUM FRIDAYのロゴは不気味にしか思えませんが、それが追加で出されています。

出願の世界も奥深い

今後、大量出願がどうなるかは注目です。商標と言うか、そもそも知的財産権は産業を発展させるためにあるのだから、特許庁もコストがかかりまくってるので、発展に力を使って欲しいなと思います。

上田育弘(ベストライセンス株式会社)、曽根利仁、星孝一の商標登録出願では、上田氏についてでなく、曽根さんや星さんという個人出願をされている方に言及されています。

曽根さんは恨み節があり、星さんは価値のある商標となっていないようです。いやー奥が深いというか色々あるんですね。

さて、少しだけと本記事タイトルはつけましたが、もはやこれ以上調べる気はありません(笑)良い勉強になったというところですね。

おまけ

マリカーの話

マリカーの話題は気になっていたので、中小企業がマリカー社を他山の石とすべき理由が面白かったです。他山の石とはたまに意味を忘れたりしますが、要は他事と思わず教訓としてねってことですね。

マリカーはそもそも登録商標されています。ですが、記事にもありますが、著作権などの知的財産権があるものも登録出来ます。これは著作権の理解でよくでてきたのですが、「例えばデザイン制作会社でWeb制作をする会社があるとしてその従業員Aさんが業務をサボってどらどらというキャラクタを作った」とします。この時、著作権はAさんがあります。例えばそれがヒット商品として「どらどらキャラクタ」が売れたりするとします。まあたとえの話です。

その時、どらどらを作ったことに関してそのデザイン制作会社は「業務中に何やってんだ」と怒られるわけです。でも著作権はAさんにある。厳密には、その会社がどらどらとか何かキャラ作ってねという「指示」があったりすれば会社のものになります。

もっといえば、例えば編集著作物とかデータベースの著作物というものがありますが、例えば詩集とかですが、その詩自体をどこから勝手にとってきて勝手に編集著作物として「俺の詩集」としても著作権が認められます。もちろんその編集著作物の編集独自性がないと駄目なんですが、仮に認められても、「詩」自体は著作権侵害になるので、訴えられる可能性があります(親告罪なので被害者が言わなきゃ駄目なんですが)。

要はある一定のオッケーがもらえたからといって全てオッケーというのではない。それが法律であり、ある種の難しさであると思います。おそらくプロで定評がある仕事をする人はこれらの視点をさらっと言えるんだと思います。

上の記事でも、出願代理人が指摘すればよかったけど機械的にやったというのはなるほどと思いました。彼らはその後の先まで読むとか、「おせっかい」になるということは不要で、代行でしかお金がもらえないからですね。でもビジネスや仕事ってそこで信頼を得ることが本来かなと思うのでこれらもやはり違うなあと思いました。

マリカーも今後注目ですね。

フランク三浦

あとは、フランク三浦の話も面白いです。[フランク三浦] 商標権の訴訟には買ったけれど今後販売差し止めの可能性は大!こちらも商標登録無効は阻止つまり商標登録継続なんですね、はあるとしても不正競争防止法違反という枠でアウトの可能性があるということですね。フランク三浦は記事で見たことがありますが、明らかにフランクミュラーに乗っかっているので危険ですね。正確にいえば、高級時計フランクミュラーと間違えることはありえないのですが、「フランク三浦」という語感が「フランクミュラー」というパロディであれ洒落っ気になります。ただそれも信頼を落とすとかになりかねないという判断はあり得るというところでしょう。フランク三浦、最高裁での勝利が意味するものも同様に商標権の有効性が認められただけであって、ミュラーっぽいデザインは怪しいということでしょう。もちろんミュラーがどうでるかではありますが、これも注目です。ちなみにフランク三浦自体の商品は廃盤となっているようで、近いものはもちろん販売されています。

そして上の記事で、面白い恋人の話も。確かにあれはどうなったんだと思ったら、和解となったようですね。吉本興業の「面白い恋人」はなぜ問題になったのかにかかれていました。

ところで、なぜパロディする側が商標を取るかは、おそらくパロディしたものをさらに真似されるからでしょうが、パロディは真似に近いところが面白いので、かなり微妙です。パロディ商標なるものがあればいいですが聞いたことがありません。ここは奥が深いですが、パロディが倫理的にいいかどうか、面白ければなんでもいいか、また法的にどうか、色々視点があります。

おわりに

調べていくと、結構根深いというか簡単に対応できないのかというところを感じました。最も今後どうなるかは色々と注目していきたいとより思いました。個人的にはパロディ的なものがどこまでオッケーかは分からないので、そこが難しいというか、やっぱ自分でブランドを作って真面目にビジネスをやりたいものだと心から思いました。

途中いくつか書いた気がしますが、シゴトとはビジネスとは自分は何をしたいのか。そんなことを仮に考えてシゴトをする人は僕はプロだと思いますが、そうであれば「お客様に喜んでもらいたい」などが自然だと思います。もちろんこれもそのために人を詐欺して騙したり、法的にやばいものを扱うというケースも極端にすればあります。それを笑えないこともあるし、それが人間とも言えます(例えばオレオレ詐欺は駄目だがその孫くらいの年齢を可愛いと思うからお金をあげたというのはあるのかもしれません。実際のニュースであったかは知りません)。

もちろん誤った知識や間違った理解で僕自身が誰かを傷つけること、または侵害することがないとはいい切れません。それについては無知を認めただ前進するのみです。しかし前進といってるのは、学習し何かを学ぶ、またはそれが少しでも社会に貢献するとか、誰かの役に立つとかそういう前提があってこそかなと思います。

結局、自分だけが得をしたいとか、自分だけが良ければいいというのは短期的にはいいが長期的には崩壊する。そう僕は思っています。それは信条というものに近いでしょう。そういう生き方はしたくないし、そういう生き方をした人生に残るものは虚しさではないかと思いました。

ちなみに僕は人はお金を稼ぎたいとかビジネスでたくさん儲けたいという考え方は健全だと思っています。同時に倫理観(これも時代によって変わるわけですが)や社会との関係も大事だと思います。非常にうまく取り入って擬態のように本質を見せないのもまたちょっとアレだとは思いますが、基本そのバランスなのかなと思います。

一方で何でもボランティアや非ビジネス、例えば趣味や個人の領域で語られてもなというのもあります。結局一人で成立するものは何もないし、社会的というのを重要視しているのかなと僕自身がこう書いていて思うからです。

ここまで来ると、もはやベストライセンスやパロディ商標は小さな話かもしれません。もちろん訴えるなんて度量が小さいとかそういう話では全くなく、個人の人生や生き方においては小さな話ということです。

自分のビジネスや商売に対して、自分がお客さんに提供して恥ずかしくないかだったり、または本当に役立てているか。そんな自分を見直す良い機会となりました。

筆者プロフィール

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。