Cansellはホテルのキャンセル枠を売買出来るサービス

2022/3/18でCansellはサービス終了の模様です。お疲れ様でした。

今日は、ホテル予約のキャンセル枠を売るという面白いサービスの紹介です。

日経MJでも最近見かけた気がしますが、席予約や飲食店のチケット販売など面白い仕掛けがでてきていますね。視点は、キャンセルや売上ロスの保険とか補完に近いですね。

Cansellとは

Cansell(キャンセル)

Cansellは、行けなくなったホテル予約を売買できるWebサービスです。キャンセルしなきゃいけないという人が売って、空いたキャンセル分を買いたいという人のマッチングサービスです。

Cancelと、can sell(売ることが出来る)と掛けてるんですよね。うまいネーミングですね。

プレビュー版が2016年9月にリリースされたのが始まりというところでしょうか。やむを得ないキャンセル時に宿泊予約の権利を売買、「Cansell」がプレビュー版をリリースが詳しいです。

こういう権利系のマーケットを二次流通といういうんですね。なるほどなあと思います。

ビジネスモデル

基本的に二者のマッチングサービスとなります。

予約を売りたい人(当日予定が入りホテルに行けなくなったなど)がいます。そのままキャンセルするのはもったいないなというわけですね。

一方、当日でもいいしキャンセル枠でもいいから安くホテルに泊まりたいという人がいます。

これらをマッチングすることで、その手数料を受取ることで収益を上げます。出品されたキャンセル枠が成約時に15%手数料を受け取るようです。

本来ホテル予約などではキャンセル料が発生します。当日行かないなら100%でしょうし、数日前で50%など段階的になっているのかなと思います。ホテルによりけりでしょう。1泊1万円のホテルを取ってキャンセルして100%負担なら「行かないのに1万円」払うことになります。しかし、そのキャンセル枠をそのまま売ることで、少しでも返ってくるのがメリットということでしょう。

キャンセルの売り方は2つある

現在、買取と出品の2つがあるようです。買取でCansell側が買い取って換金が確実なものと、出品して買いたい人を待ち高値で売れる(損を取り戻せる)売り方があるようです。

キャンセル枠で1万円損が少しでも補填されれば嬉しいというところの心理をうまくついているなあと思います。自分なら買取を選んでさっさとキャンセルとはケリをつけたいなあと感じますね。わざわざフリマっぽくなるべく損を取り戻すとかは面倒そうです。これは考え方で変わりそうですね。

売上を安定させるための買取

おそらく売り方として買取を進めているのは、スピーディーに売買出来るのと同時に安定してキャンセル枠を売買出来るので売上が安定するのではないかと思われます。

例えば、1万円のホテルを50%オフで買い取って5000円。そこで買取希望者とのやり取りは終わるわけです。その後運営側がその枠を7000円で売れると見込んで無事売れれば2000円の収益となります。買い取るためすぐ売れる見込みがある、人気度などで判断するのかなと思います。予約日が先であればより売れやすいのかもしれませんね。そのため買取リスクが高めだけど、売れると売上単価が高くなります。

これが出品となると、1万円のホテルを例えば50%オフで5000円で出品。購入者が見つかったので、成約手数料15%として750円を得られます。買取リスクがないため、リスクなしで手数料が得られます。ただし単純に買取と比べると約37%の売上となり売上単価が低くなります。また、この出品の場合、売る側がなるべく元を取ろうとするためギリギリまで売れない、例えば前日まで粘るとかそういう人も出てきたりして、予約日間近にならないと売れるのかどうか、また金額の変動も読めません。最悪売れないとかとなると、単なる機会損失になりかねません。

そういう意味で買取というのがあるのかなと想像します。当初はなかったかなと思います。

ホテル掲載数/出品件数

数字を見ていきましょう。

ホテル掲載数は現時点で約25,800件でした。国内ホテルのみです(海外ホテルはそのうち対応されるようです)。ただこの数字は「キャンセルがある」ホテルではなく、一般掲載情報であり、対象ホテル数ということです。

現時点で、33のキャンセル出品がありました。ホテル全体数からすれば、0.1%という割合です。そういう意味では、LCCなどの予約に近く、オトクな出品があればすぐメール等で受け取って対応するという体勢が買い手側には求められそうです。

出品件数にこちらの記事宿泊予約売買のCansell、自社買取で取扱拡大、航空券にも関心によれば、月間数十件となっているようで、この33件の出品は激減でもないということでこれくらいが今の規模ということですね。

ホテルのキャンセルポリシーなど

公式ブログに面白い記事がありました。キャンセル料などの細かい話について調べた記事です。ありがたいですね。

ホテル・旅館のキャンセル料の現状によれば、キャンセル料は4つの要因があるといいます。1つはキャンペーン等で安い価格自体のものは「予約した時点で返金不可」などの価格自体が要因となるものです。2つ目は、施設の形態です。旅館などは地方であり食材等の調達もあるため1週間前から発生、都会のビジネスホテルは前日から発生などです。3つ目は季節要因で、夏休みやGW等の大型連休などで書き入れ時はキャンセル料をしっかり取ることで空予約対策としているなどです。4つ目は、ホテル周辺のイベントに行く場合で予約だけ取っておいてライブなどチケットが取れないなどの場合に備えてキャンセル料をしっかり取るというものです。

いやー色々あるんですね。

おわりに

こういった権利の二次流通はあんまり日本だとないサービスな気がします。今後色々と育っていくと面白そうです。

一方で、上の記事にあったように「売り手や買い手が慣れてないので価格ギャップがある」のは仕方がないんでしょうね。ホテルキャンセル権利を売れるなんてなかなか思いませんからね。

目の付け所が面白いなあというのと、転売的な行為は禁止されている(予約販売以上に出来ない)ことで、キャンセル側もホテル側もそれを買う人もハッピーになれるというところがやはり特徴的だと感じました。

権利ではないですが、Webサイト売買サービスなども少しずつ拡大していく予想があり、それ売れるの?買えるの?というものがお金になったりするのはなかなか刺激的ですね。何でもお金にすればいいわけではないですけど、要注目のサービスかなと思います。

個人的には代表者の山下さんがドリパスの創業者の一人ということで、ドリパスというサービス(映画館などでリクエストのある映画作品をDVD上映して、映画館とお客さんをつなぐ)も面白かったので、次改めて調べてみたいと思います。こちらのヤフー元社員たちの挑戦。国内初、宿泊予約の“権利売買”サービスで高級ホテルが格安に!も面白いですね。

筆者プロフィール

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。