タカラトミーのハッカソン。話題になっていたので気になって調べてみた。

タカラトミーのおもちゃハッカソンネタ、これはツイッターのまとめあたりが面白いのですが、googleサイト検索とかだと募集情報とか、プレスリリースしかないですね。ちなみに、タカラトミーおもちゃハッカソンの結果報告(PDF)はこちらから。

ハッカソン、アイデアソン結構好きなんですが、どちらかといえばイベントとして面白い人に出会えるとか、議論できるとか、アイデアが出せる雰囲気でしょうか。もちろん賞金ナッシングだと遠方だと行かないとか、遠方でもテーマが微妙なら行かないとか、減点方式にはなっちゃいますけどね。

そういうところで、今回は、タカラトミーのハッカソンに対する話をちょっと書いてみます。

結論からいうと、結局自分で考えてジャッジしてねってことにしかなりません。何か法律や理論武装とか考えてる人はミスマッチな情報です。そっとブラウザを閉じましょう(笑)

権利の帰属条件が一番の関心

Twitterまとめが興味深いです。

見てもらえると分かるんですが、ハッカソン面白そうとか、そういうのは普通の反応で、アイデア出す場って楽しいですよね(基本的には)。今回は、主催者側に全部持ってかれる条件があったと。

あと感情的になるのが、参加費を参加者負担で2000円払うと。予選、本戦2日間全部で6000円と。まあ予選通過しないとダメなんですが、当然イベントとして「運営コスト」はかかるので、単に参加者としては2000円の価値があるかどうか(もちろん時間かけて参加したいかですが)ですよね。

実はアイデア出し系イベントはこの手のカウンターはあるなあといつも思ってます。カウンターというのは、イベント側からみてです。例えば僕がアイデア出しイベントをやってそのアイデアを参考にさせてもらうだけだと、「え、何時間使ってあんたのアイデアのためにやったんすか?」みたいになるんですね。

だからアイデア出しイベントってワークショップである時、参加費をもらうのであれば、アイデアなどに限らず、参加者の満足度って設計すると思うんです。ここ外すと印象悪いし来ないですよね。今回がそうって話ではないですよ。

かなりデリケートな部分なので、推測に過ぎませんが、やはり色々面倒なので、最初から条件提示、ばしっとやっとこうって感じになったんだろうと思われます。自分が逆にタカラトミーだったり会社でやるならそうするんじゃないかと。

そうそう、それでやっぱり権利の話ですよね。

タカラトミーハッカソンの参加規約から引用

6.作品の権利帰属及び利用

①本イベントで作成された作品のうち、受賞作品を利用する権利及び受賞作品に係る特許権、実用新案権、意匠権(各権利の登録を受ける権利を含む)、商標権、著作権(著作権法第27条及び第28条の権利を含む)、その他の知的財産権の一切は、主催者に帰属するものとします。

なお、受賞作品を作成した参加者に対しては、受賞時の賞金以外の金銭的対価は支払われないものとします。

うーん、これ見るとはじめて見ると、なんかGoogleでしたっけ、全部データつかわせてもらっちゃうし、異議ある使わないでねみたいな「WOW!」みたいなの見たことが有りましたが、そんな印象です。つまりオドロオドロしいなあと。

なんですが、コンペとかだとこういうのが普通ですね。ここでの普通は、コンペは競うわけですが、そのアウトプットや成果物に注文入れられると、その人と専属契約とか、色々契約しないといけないですし。例えばそれをアウトプットのみに限定して、譲渡してね、もちろん対価は払うよと。これがコンペティションですね。

スラドなんかでは、「主催者に成果物の権利のすべてが帰属する」ハッカソンの是非なんかで議論されていますが、確かに名前が違うかなというのもありますね。要は「ハッカソン」でなく「コンペ」ってやれば、参加費用もかかるけど、多分それあると競合も減るだろうしとか考えられます。「タカラトミーアイデアコンペ」とかという名前で、「ハッカソン形式」(多くは2日程度、アイデア出しも含め、開発とか制作があるそういう形式だと思ってもらえれば)でやればよかったかもですね。

ただ、なんとなくそれって名前が普通なんで「ハッカソン」って銘打ってやろうって感じでしょうか。悪くはないと思います。

よって、ここまでの印象はそこまで言うほどもない、むしろ明記しているのでそれが嫌なら参加しないという話になりそうです。実際に参加出来る人は限られるわけで人気で盛況で終わったって感じじゃないかなと思われます。

権利の話は結論があんまりない、というか裁判等でリアルタイムで更新される

権利関係に詳しいですよ!という人、本業が弁理士とか、士業なら法律とか関わるのでその専門分野は詳しいでしょう。ただ士業であってもかつ弁理士であっても、得意分野が異なると。こうなるとなかなか一般の人では分からない世界です。

確か自転車でイヤホンつけて音楽つけて信号無視で突っ込んで女性が死亡したニュースがあったんですがこれも有罪で、当たり前かどうかはおいておいて、事件やニュースのところで、Winnyとかの話も懐かしい部類に入りつつありますが、更新されていくものですよね。

反応としては、そういうコンペかなと思って参加したり、一般の人向けでは「タカラトミー」の開発に関われる感覚というのでしょうか、それはごくごく当たり前の感覚で良いと思います。そんな機会なかなかないですからね。

一般の方も参加できるわけですが、こういうハッカソンは猛者が集まる印象もあります。それで、猛者というのはエンジニアならそのプロですよね、プランナーも、デザイナーも。またはセミプロとか。そういう人にとっては、「うーん」って感じになりやすいかもしれません。

僕の意見としては、嫌なら参加しない。おもちゃ開発とかやりたいとかそういうのなら別にそこまで気にならないかなと。当然おもちゃや権利で食っていくまたはそれこそが大事だと思う人はまずこれはNO!だと思いました。

ややこしくすると、ではアイデアの価値って何か。実はアイデアは特許とかで守られないものはとくにノーなわけで、著作権が文章では発生するので、それを買い取る形や譲渡になりますよね。それは仕方がないかなと思いつつも、そうではないやり方もないかと考えたりしたいですね。

企画とは企てること。その裏には何があるか?

もちろん今回の素朴な反応で、別にそんな参加規約さらっとよんで飛ばしていたって人もいると思うんですよね。それはそれでOKだなあと。僕も読んでないこと多いです(笑)

もちろんこれは不動産賃貸の契約とかではやっちゃダメですし、ちゃんと説明するし義務付けられているわけですからね。規約も色々ですが。

一方、「おいおい」って思う人はその裏に何があるか、または何を主催者やイベント側、または企画側、会社側が考えているかが少し見えたりするわけですよ。想像の範囲内かもしれませんが。

僕自身もとくにタカラトミーがどうってこともないわけですが、とはいえ、民間企業ですので、このアイデアコンテストみたいな企画をなぜやるかー、そういう稟議を通すのか、知らないですが、進めた担当者がいるわけですよね。どこの部署か分かりませんが、マーケティング部なのか、イベントやってるところなのか。

そうなると、必ず思惑があるわけです。思惑っていうか、狙いですよね。一般の人に自社の製品をハックしてもらって楽しんでもらいたい。それくらいな気がしますよね。まあそれだとあれなんで、賞金もつけちゃうと。

ハッカソンって名前はなかなか解釈しづらい(一般の人には)わけですが、オープンイノベーションとか共創みたいな考え方って、少なくとも今これからできる会社ならプリインストール済ですが、そうでない古い会社、昔からある会社はそれはそれで経営者やトップの感覚で変わるのでしょうが、多くは昔のやり方を継続するとかもあるわけですよね。

どういうことかといえば、ハッカソン=アイデアコンテストでいいんだよね?わかんないな。みたいなのがほぼ確実にあったといえます。つまり、少なくとも、ハッカソンという一緒に作ったりするものとか、何が出てくるかが楽しいところに委ねるかどうかというのが大きなポイントです。

それと、全部出したものはウチのものになるので注意してねっていうのは、企業が営利企業としてきちっと存在する「ビジネス文句」みたいなもので、これはこれで会社は譲れないわけです。が、これを一般の人が見ると、おいおいって思うんですよね。

過去の話にどーってのはあまりなのですが、仮に今後の未来に向けていくならば、やはり「企業」が共創のようなことをやる、つまり一般参加者を巻き込んでイベントをやる時は、まずここをきちっと議論をして、企業の特定の範囲内でテストしてみたり、影響のない部分でやって検証するのがいいような気がします。

具体的には、共創という理解を社内的にちょっとずつ進めていくとかでしょうか。要は、タカラトミーであれば別に外部の素人さんにアイデア欲しいなんていってない、一緒にやろうとっていってるのになんでずれちゃうの?

ってことでしょうか。ここをうまく舵取りしたり、慣らしていく人が、もっと必要なんでしょう。僕は全くやる気が起きませんが、こういうやり取りやならし、または色々面倒だよね、というところのストレスや関係性の部分にビジネスチャンスはあるようにいつも思います。そういう意味で何かやっても面白そうですね。

まとめ

タカラトミーハッカソンの募集ページからみる印象と、SNSで議論されているものなどは違う印象を感じました。とくに、単純に個人のイベントであれば目くじらが立たないが、単にタカラトミーっていう大きなおもちゃ会社だから適当に言っているというのもあります。これが企業の風評リスクみたいなものなんでしょうか、仕方がない部分がありますが。

コンペ的なアイデアコンテストという感じの中身なので、名付けが失敗したという印象もあります。肉まんっていってるのにピザまんだとちょっとヤですよね。

一方で、ちょっと今後もありそうで、既に感じていたこととして、ハッカソンに含まれる共創など一緒に会社だけでなく一般参加者と共に作ることみたいな文脈もあると思っています。少なくともテーマがあったり、個人のチームを即席で作っても何か関係性が生まれるわけで、そこから生み出すってなかなかこの時代でもあまり見られるイベントではないかなあと思っているので。

そこを踏まえると、単に企業側のハッカソン理解は追いつかない、または全然違うベクトルや枠組みでやらないとできない。むしろ、企業がハッカソンといって、一般の人を巻き込んでちゃんと形はどうあれやるだけ評価してもいいかもしれません。これは相当企業側視点ですが、企業は企業の論理や考え方があるので、自分が企業側でやるとそうなるなあって感じも分かります。

しかし、ハッカソンとか名前はいいとして、じゃあこの企画で何をやりたかったの、どうしたかったの。例えばその狙いが共創にあるならば、ちょっと違う形になったのかもねーという印象です。これは企画側の視点であり、企画をするのは良く分からんという人はわかりづらいかもしれません。

ただ、何かイベントをするというだけでにとどまらず、意思を表明するというか、こうするんだ、ああするんだっていうのはそれだけではなく、仕組みや裏の流れ(裏っていうと印象悪いですが、見えない水面下の部分)もどんどん想像して、何が起きているか見ていく必要があるなと感じました。企画をするならそういう視点が大事だと思います。

そして、シゴトクリエイターとしては、著作権系の権利とかそこらへん強化してみるきっかけになるなあと思いました。そういえばクリエイター向けの著作権とかそういう本もニッチですけど、出てますよね。みんなの著検なんて面白そうですが、知財スペシャリストとか業務で使いたいって感じではないのでずれますが、強化には良さそうかなと。考えるきっかけになりますしね。

確実に時代の流れは個人と企業、法人の関係性も変わってくるかもしれませんね。良い意味で。ではこんなところで。

筆者プロフィール

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。