Vol.5 時間利益モデル

半年ほど先回から経っていますが気にせず行きましょう。世の中そんなものです。

今回は5つ目の利益モデルです。今まで4回分を見たい方はザ・プロフィットで学ぼうPJからどうぞ。

先回は物語過ぎて分かりづらかったみたいなことを書いていますが、今回は分かりやすい方かなと思います。

時間利益モデル

今回のストーリーは半分くらい、フェルミ推定の話かなと思います。富士山の土をトラックで運ぶにはどれくらいかかる?みたいなやつです。ざっくりでいいので「数字」で出すところやそれらを考えることに意味があるとチャオもスティーブも言っています。これらはスルーします。

メインの話は、テリー・アレンという女性が、投資銀行であるウォーターストーン・ブラザーズに入社するところから始まります。そしてバリバリと仕事をしていくうちに課題が見つかります。それは会社でいくら新商品を出しても他社に模倣されるということです。それを防ぐ事ができないかと上司にかけあっても、金融商品や投資情報サービスのイノベーションは保護されないというところで、話が終わってしまいます。

そこで明らめずになんとかできないかと粘ると見えてきたのは「インテルの利益特性と当社は同じだ」ということです。

ざっくりいうと、インテル半導体メーカーで有名ですが、最初のスタートで新商品を高価格で売るけれど、次第に時間が経つとコスト以下の価格になり回収できない。よって、真っ先に市場で新商品を出していくモデルだということになります。

これが、チャオがいう時間利益モデルです。インテルは2,3年新製品がかかるけれど、ウォーターストーンは半年から9ヶ月という話です。そして、その限られた時間で「吸い尽くす」ためにやられたことが以下のことです。

新製品を発表する二週間前に、200件のクライアント新製品を予告する手紙を出す。一週間前になると、今度は電話で翌月曜日に売り出す旨を伝える。そして、週明けに発売開始という木曜日の夜から、社員全員を対象に新製品に関するトレーニングを開始する。細かいところまで徹底的に網羅する短期集中トレーニングだ。これが徹夜で金曜の朝まで続き、そこで出た質問で答えられなかったものはその日の午後までに調べられる。土曜の朝に再び社員全員が集まり、週末を使ってトレーニングを続ける。この頃には、みんな寝言でも新製品を説明できるようになっている。月曜朝になると、クライアントからの電話が鳴り始め、その週の終わりには50件から60件の問い合わせがあり、売り出し後二週間でその数は100件に達する。

(ザ・プロフィット P.74より引用)

つまりスタート2週間で吸い尽くすということなんでしょう。結果的にこれは3回ほどやってから効果が出たとあり、今までは売上が3000万ドル、利益が1500万ドルだったのに、今回の時間利益モデルの仕組みであると、売上1億ドル、利益7000万ドルという上昇を見せたというわけです。

面白いのはこのテリーの粘り強さに言及したチャオが、レイケムという電子部品製造企業のポール・クック氏の話を引用しています。一言でいえば「イノベーションにおいて単調な仕事をどうマスターするか」となります。アイデアを出したり仕組みを考えるのは楽しいんですよね(笑)でsも、それを実現化していくと単調でやりたくないことが山ほど出てくると。確かにそういう面は多いだろうなと感じます。

ここでは「アイデアを反復生産可能な製品に転化しようとする過程で、人々は穴蔵に潜り込んだような仕事を長期間続けることになる」なんていう表現で書かれています。これはハーバード・ビジネス・レビューの1990年7月号からの引用と書かれています。

本章から学べること

  • 結局実現するときはモデルとか美しい論理よりも情熱という粘りみたいな属人的なものがめちゃくちゃ大事になってくる
  • フェルミ推定とか論理も大事だし、概ねこれくらいやればいいという目標設定も大事
  • チャオが言っている「テリー自体は飽きっぽいはずなのにシステムを作り上げるためにはめちゃくちゃ粘った点に驚き」は確かにその通り。なぜ彼女は粘り強くできたかについてはそこまで書かれてない。強いて言えば、ライバル他社に模倣されることが我慢ならないし、創業者トップもそこにあぐらをかいている(仕方がない)という点が気に入らなかったのかなという推測
  • 時間利益モデルは、模倣されてもいいから最初にガチッと利益を得てあとはくれてやるという感じのもの。まさに大きな獣を狩って大きな部位は自分が食うけど他はやるよみたいな感じに近いかも。

仕組みを作る上で、時間利益モデルを構築するにはよりシステム化されたものが使えそう。ただ同時に模倣されてしまう場合という点が悲しい気もする。

とはいえインターネットのサービスも模倣されるし、このあたりは結果的に先行者がどう振る舞うかというところで、きちっと利益を先行したところで吸い取れるか。例えば昔のAppleはめちゃくちゃ高かったはずでその時に投資として買った人は当時はそのAppleがあるだけで仕事が回せるし来たのではないかと思う。他に持ってる人がいないから。その分のAppleマッキントッシュを買うことで仕事を得られるから十分投資が回収できたけれど、コモディティ化して誰もが持つようになるとそうは問屋が卸さないと。

もっともこれはもっと早いライフサイクルであるから話は違うと思う。けれど、時間先行してばばっと利益を回収、投資回収するのは面白いし、ライバルが模倣している間にさらに新製品を開発していくという開発能力も必要となる。

そういう意味ではインテルのビジネスモデルはもっと勉強してもいいのかもなと思ったり。

あとはイノベーションといわなくても、アイデアを形にするのって口では簡単にいえますけど、やるの結構たいへんです(笑)そこのあたりはやっぱ多くのチャレンジした人は分かるところなんだろうなと思います。実際に仕組みにして回り始めるところまでは忍耐ですし、回り始めたといっても全然想定した量でない場合焦りしかないですからね。

とはいえ一方で単調なところを粘って形にしていくこと、仕組み化する胆力があればそれは半ば成功しているといってもいいかもしれませんよね。

おわりに

今回の時間利益モデルはどうでしたかでしょうか。基本的に先行者利益で逃げ切るというよりも、最初だけ食える分だけ食いちぎって終わるという感じです。だからこれで継続するには、新製品の開発力とそれを最初に市場に投下した時に圧倒的に買われる仕組みが必要なわけですね。あと真似されてしまうのも保護できない領域というのもありそうです。このあたりは細かく分かりませんが。

次回は、ブロックバスター利益モデルです。

エイドリアン先生のザ・プロフィット本が欲しくなったらこちらからどうぞ(笑)

 

筆者プロフィール

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。

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