アイデアチームは創発しているかもしれない

アイデア会議的なものを普段しているわけではないのですが、形式的なアイデアの出し方ってどうやっているのだろうかとふと思うことがよくあります。

どうするのがベストというかベターかは提示できるのですが、では再現性の高い手法があるかというと、最終的には人と場に依存する、環境説となります。逆に言えば、環境さえあればわりと誰でもいけるという見立てです。

今回は、アイデア会議ではないですが、今まで僕がやったチームでアイデアを考える、というところで見つけたものを少し振り返ってみます。

アイデア集団はレベルが3つあるのかも

2015年の記事ですが古びれておらず面白く感じたのが、一人の天才に、凡人の集団が対抗する術とはで「5人で考えて、「第6」のアイデアが生まれる瞬間」という部分です。

端的にいえば、創発状態にもっていければ凡人でも天才に対抗出来るということでしょう。

上の記事で書かれているレベル1,2,3とは、レベル1がアイデアを持ち寄って発表し選ぶ、レベル2は出し合ってそれらの良いところなどを混合して作る、レベル3は誰かのアイデアなど帰属は不明だがそこで出てきた会話から生まれたアイデアとなるもの、という感じです。

以前友人とビジネスアイデアを考えるチームを即席感はあるものの(というか大体チームって即席(笑))作って活動をしていました。今はやってないのですが、あるコンペにお互いのアイデアを考えてそれぞれ出す「個人活動」と、お互い話しあって揉んでから出す「共同作業」を2つやっていました。

おそらくこの「共同作業」こそがレベルのどこかなのですが、端的にどの案がいいかを選ぶことはありませんでした。当たりをつけるということで、少なくともレベル2で「このアイデアはここがいいからコンセプトは使いたいなあ」であったり「色々時間の制約もある上では、やはりこれが最適なアイデアではないか」とわいわいやってました。

実際にレベル3の創発レベルになることを計画する、必然させるのは至難(結局そこに到達しようとして到達できるものでもなく、まさに生まれた、出てきたという状態なため)です。とはいえ、僕自身も創発というところで、想定外の気づきが得られることは何度もあるため、記事が書いていることはものすごく分かりました。

ここでアイデア会議という限定的な場の話でなく、そもそもそこで集まる人、チーム構成という意味でのチームがアイデアレベルが3つあるのではないのかなと考えました。

つまり、会議というコミュニケーションの場において、ただ選ぶだけとか、混ぜるだけとか、そういうことであればレベルが低く、そうでない高みを目指すというところにいかないと良いものって出来ない気がするということです。ここであえて会議でなくチームとしているのは、会議の2時間で出来ることではないがチームとして継続的かつ長期でやれば出来ることは多いからです。瞬発力勝負は辛いけど、長期戦なら何度も戦えるみたいなイメージです(笑)

レベルごとにアイデア集団を考えてみる。レベル0,1,2まで。

レベル0,1,2のアイデアチーム状態

レベル0のアイデア集団(不安なアイデアチーム)

レベル1の前にそもそも論として、アイデアを考えてくるかどうかです。アイデア会議を開いてもアイデアを考えてきませんでした。考える時間がありませんでした。というメンバーがいるレベルですね。

社内などでなく任意のプロジェクトであれば単なるやる気もありますが、アイデアを考えるということ、出してくる、持ってくるという意味での基本的な心理的安全であったり、お互いやその場に信頼がない状態といえます。

この場合に無理にやっても生まれるアイデアは微妙でしょう。誰か一人が頑張って何かやるというイメージがあります。

この状態を笑うということもできますが、そもそも会社などで序列があって偉い人の意見に抵抗出来ない場合にそもそも良いアイデアが生まれるわけがありません。このレベルのアイデアチーム(と呼べない状態)が多数存在しているかもしれません。

もちろん皆馬鹿ではないので、これをどう解消していくかといって、筋が悪いアイデアとしては「無礼講でどんどん出そう!」みたいなことなのですが、会議2時間内を無礼講にして、その後に何も影響しないシステムが仮にあれば「無礼講」といってないわけでして(笑)これは命令や指示と矛盾しているということでワークしません。

レベル1のアイデア集団(とりあえずなアイデアチーム)

レベル1になると、さすがにそれぞれの人がアイデアを出してきます。アイデアの粒度はおいておいて、何か考える時間や姿勢があるし、そのプロジェクトや会議なりの意義を理解している。

ここまでいくのに相当かかる組織がある時、外部から講師等を招いてアイデアをその場で出しても一瞬の体感はいいけれど、継続は困難です。なぜなら非日常体験で非日常だったということですから。

花火=非日常だから面白いという人は多いはずで、毎日花火を見る人にとって仕事であるとき、花火の意義が変わります。

それと同様で、アイデアを非日常で出していてはまさに行動として定着せず習慣化もせず、それぞれが社会的手抜きではないですが「他の人が考えるからやらなくていいでしょ」となり、それが充満して誰か得意な人がやればいいでしょモードになって、これ以上のアイデアチームにはなれないでしょう。

とはいえ、それぞれのアイデアを出せる時点でそれらの「非日常」を突破していると思われます。これが出来る組織やチームは、非常に少ないと思っています。形式的にも出来てしまうので、よくある「ブレストするけどアイデアがでない」というのはもしかしたらこの状態に陥ってるかもしれません。

ちなみにブレストすればアイデアが出るは頭から絞り出している場合かなり危険で、会話レベルの雑談=ブレストと独自定義や造語ということで使っていればいいですが、ひねり出したものってやはり悪手なことが多い気がします。

レベル2のアイデア集団(相互やりとりがあるアイデアチーム)

このレベル2では、出し合ったアイデアをお互いが検討したり、混ぜて良いところを入れるなどが行われます。このレベルにこれば、お互いの人と、その出したアイデアの分別というか分ける事ができます。

何を言っているかというと、Aさんが出したアイデアA’は、A=A’と認識してしまうことです。つまり発案者、起案者、考えた人なんでもいいですが、アイデア発案者とそのアイデアが一緒になっているということです。確かに仕事的にいえば成果としてアウトプットしたのはAさんですから、A’というAさんのアイデアが良いのであればそれはグッドです。

ただ仕事自体とその人の人格は分けたほうがいいと思っていて、雑な仕事をする人=雑な人間だと思う方が心理的にも正しいと思います。ですが、雑な対応をする=機嫌が悪いだけ、いつもは丁寧な人みたいなことも普通に存在します。

もちろんそこにあるアイデアで判断し、かつその人がどうであるかはおいておいて、どういうアイデアかにフォーカスをあてて見ていく必要があります。

このレベルであれば、アイデアに対する理解も一定程度あり、そのアイデアだけでうまくいくかどうかの判断が難しいこと、また混ぜればいいわけでもないがとはいえ、そこに出てくるもので考えなければということにもなります。

例えば、アイデアを発散し収束していくことの2つのプロセス理解が出来ているため、発散のモードや状態、そういう場をある程度理解し、収束していくこともできそうです。

記事にあるものを考慮していくと、とはいえここでは「混ぜたものを出しているので、ふわっとして平均的な尖ってないアイデア」という可能性も出てきてしまうんですね。

アイデアの一定程度の理解がありつつ、自分でアイデアを考えられる人であっても、混ぜてしまうとこんな感じなのかなと思います。

レベル3(創発集団)

中二病みたいですが(笑)実際にこの創発を意図して起こすのは大変ですが、とはいえ一定程度決めないこと、お互いを尊重することをやっていけばたまに生まれるのではないかと思っています。

勝手な憶測ですが、

  • 2時間のうち90分は雑談で、15分は最近のことで、残り15分で良いアイデアが生まれた
  • いつも雑談しているだけどアイデアが生まれる
  • 最近の話をあーだこーだいってたら、自分で自己レス(自分で自分の質問に返答すること)で解決してしまった。壁打ち大事

みたいなものが創発のかけらであり、創発そのもかもしれません。

このレベルであると、アイデアは当然持ち寄って出すけど、その出したアイデアがある種の見えない場、空気、環境、テーブル??に吸収されそのまま全体にいい感じの残る(ふわっとしてる(笑))。つまり誰のアイデアもないし、それは俺のアイデアであると主張する人はいない状態です。なぜならアイデアの主権を争うレベルではないからですね。

わくわくします。それぞれが出したものを超えているアイデアであり、かつ皆の寄せ集めで尖ってないものではない、つまり尖ったアイデアだからです。

図は無理に書きましたが、それぞれの人が参加してアイデアを見ていたのがレベル2以下ですが、レベル3になるとは、アイデアも人も一体化していくイメージです。言葉的に場が面白いとか、良い場になったというところです。

心理的安全もでき、それぞれがお互い歩み寄りつつも傷をなめ合う(笑)のでなく、お互いの主張やアイデアも混ざり、そこでアイデア自体がいきいきと生まれていき、育っていくという形です。

チームの一体感とかっていうのは大体こういう状態を指すのでしょう。そういう意味ではアイデアというものは実はチーム形成における相互信頼や作用のレベルをチェックする「リトマス試験紙」みたいなものかもしれませんね。

友人とアイデアを出した時にこのレベルに達するかは分からないのですが、想定外のアイデアが出てきて、しかも相手も想定外になっていくのはとくに「会話」ベースで起こりえます。

そのポイントはおそらくですが、会話自体、アイデア自体を楽しんでいること、深刻な状態でも笑い飛ばせるとか、お互いに対して信頼が出来ていること、会話の意味を色々解釈して遊べる状態であること。などでしょうか。

つまり、創発状態においては場が楽しくてワクワクして、だからこそアイデアが面白いんですね。ワクワクしたところで出てくるものが、全くおもしろくないことも当然あるのですが(笑)そもそもワクワクしてないアイデアを、誰かに伝えるコミュニケーションにおいて「わくわくさせる」のはまず無理です。人は合理的に動かず、感情的に動きますから。

チーム以前にアイデアを話し合える存在(どこの誰でもいい)がめちゃくちゃ大事

アイデア相談というところでも感じますし、何かしらプロジェクトを起こす場合のラフなアイデアを考えて実行する時でもですが、アイデア自体をまずアウトプットできたりフィードバックがあるか。それはあるかないかでもいいですし、あっても丁寧なものがあるか、理解されなくても意見があるかなどもあります。

そういうアイデアというものが生まれた時に、やはり「こんなアイデア考えたんだけど」といえる人がいること、言える環境があることがめちゃくちゃ大事です。

これが一人でもいれば、最後の砦になっては駄目ですが、そこからアイデアの火種を付けていくことは可能だと僕は思います。ただこれが全くない火種ゼロだと火種はどこからつくりましょうかね?となって結構しんどいです。火種があるかどうかのリサーチはしてないですし分からないです(笑)

ただ、アイデアをいい感じで出してるし、出し合える環境に投資する組織やチームや会社はおそらくアイデアレベルが最低2であり、3も相当狙って出来るのではないでしょうか。または特定の場でなくても、2状態にいれば3なんてプライベート然り、会話しかり、いくらでも環境があるわけですから可能な気がします。

つまり、アイデア会議2時間という枠でやるのでなく、あくまでチーム、組織、その構成員全体としてあるものはもはや「文化」です。そこまでいけば、会議せずともアイデアが生まれるし、隣の人との会話も楽しいし、面白くならないはずはないですよね。

僕自身は創発集団をつくりたいとかってのはあまりありません。ただ、創発モードを意識して出せるほうが楽しいし、そういう状態になるには人の理解、心理、アイデアの理解、実践などそれこそ社会学っぽい感覚から、理数系の科学ではないですが幅の広い見方や見立てが肝に感じています。

つまり、全体を通す軸がありつつも、それぞれは独立しているという時、お互いの領域、または自分の良く知っている領域がある関連によってつながります。そこがアイデアのひらめきポイントにもなります。当然ですが、それは地味に深めていくことと、通していくことがあってこそできるといえそうです。

アイデアというのは見えるからこそ見えない?

最後にアイデアにまつわる留意点です。

結局、見えるアイデアや使えるアイデアが欲しいからそれを出せということは「誰でも」言えますよね。でもその出し方ややり方が分からないのであれば、ちょっとまってそれは無茶ぶりではないかとなります(笑)

むしろ逆で、「アイデア」というのが何か見えるからこそ、それ以外見なくていいということが最大の問題ではないかとも思っています。

つまり、簡単に見えるからこそ、その深さや積み上げや思考が見えない。水面下が見えないので分からないという話です。

例えば、アイデアを出したかったら1万時間考えてみろというとき誰もというかほとんどの人はやらないはずです。既に仕事でやってないならば、あえてやる人はレアキャラですから。

一方でアイデア発想法などはそうやってアイデアを考えられるから「楽」です。ただそのアイデアがいけてるとか、うまくいくとか、それを検証するとかは本当に地味です。地味すぎて死んでしまうかもしれなくらい、が適切な表現かもしれません。なぜなら、誰も正解や答えを知らないからです。

上で書いたアイデアレベル、アイデアチームのレベルは深い意味はないです。レベル0だから駄目で、1にいこうみたいな感じには使えないはずです。むしろ0だけど粘ってそこでやる人がいて、その人が何か見つけて1っぽくなったり、無理だから出せるやつらでレベル2を作るとかのほうが楽かもしれません。

そもそも僕はスタートアップスタジオ的なアイデア起案者と実行者を分ける方がいいのではないか説を唱えていて、そっちのほうが集中出来るのではないかと思っています。担当レンジが違うのは普通だからこそ、これも創発集団つまり、スタートアップスタジオ的なものは創発集団でないとワークしないはずです。お互いをリスペクトしつつ、分担を分かちあいながら、さらに高みを目指していく。

それなしではワークしません。それでワークしているのはしているように見えるだけで、必ずボロなり悪影響が出てきて崩壊することになります。

筆者プロフィール

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。

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