【ナリワイづくりの軌跡】ページ薬局 瀬迫 貴士さん

ナリワイづくりの軌跡とは、自らシゴト、ナリワイをつくる人に話を聞き、取り組みなり、内面を思い巡らし、考えを深めるという企画です。誰得かというと、読者得です(笑)僕も得です。インタビュイーとしてお相手頂く方には、その振り返りが少しでも価値になればというところでしょうか。

「ナリワイ」とは、伊藤洋志さんが書いた「ナリワイをつくる」で示された概念です。一言でいえば、個人が充足するような仕事またはその作り方を含めたもの。あえていえば、就職して仕事をするような「労働」的なものでなく、自分で起業と大きく言わないけれどまさに身の丈なり自分のものさしで作った仕事がナリワイと言えそうです。

技術的なノウハウ的なことも確かにありそうですが、多くは自身がどう考え、何をやるか。その折り合いをつけることが多いのではないか。そしてそれこそ、まさに僕が考えている「シゴトづくり」と重なるものではないか。

そういう想いを持って本企画を始めてみました。

第一弾は、ページ薬局という本屋さんでもある調剤薬局を経営されている瀬迫貴士さんにお話を伺いました。貴重なお時間を頂きまして、ありがとうございました!

目次

瀬迫さんはこんな人

1988年生まれ。大学卒業後、製薬企業の営業(MR)として勤務。その後、薬剤師として実家が経営するら、調剤薬局へ。ふとした出会いに本屋×調剤薬局「ページ薬局」を2020年6月から展開中。noteにてページ薬局の取り組みを発信中。

ページ薬局とは

ページ薬局の簡単な説明をまずしていきたい。ページ薬局は、調剤薬局が事業的にはメインで、ただ待合室的な場所=実質お客さんからすればそこが全てではあるが、そこに本が置いてある。置いてあるというと、小さなコーナーが一つでなく、壁一面に本屋のように(本屋なのだから当然だが)置いてあるということだ。ぜひ雰囲気は上のサイトを見て欲しい。

つまり、ページ薬局とは、調剤薬局の機能を持った本屋であり、本も買える調剤薬局ということになる。僕もこれは珍しいと思うし、そこを珍しく感じる人はいると思う。ただ、それは表面的であり、本質はややずれている。

そう、瀬迫さんは別にユニークなことをやりたいとか、面白いことをやりたいという気持ちで作ったわけではないからだ。もちろん、違ったことをやらないといけないという部分は少しはあれど、それは付随的である。主の動機は違った、もっと偶発的なものにあるといえる。

それは何か?それこそがページ薬局のつくりかたであり、シゴトの作り方の本質となっていくと思う。

ページ薬局が生まれる瞬間

まずはページ薬局が生まれる前後から話を進めてみたい。

漠然とした「本に携わりたい」を元に東京で行われた本屋さんの独立開業セミナーへ

瀬迫さんはページ薬局をやる前に、漠然とした気持ちで「本に携わりたい」と考えた。これは、1ヶ月100冊読書メソッドなど、自分で本を読む取り組みなども影響をしているだろう。また、本屋さんに定期的に通っているというのもあった。

ここで本気度がある程度あるからこそ、そういった開業セミナーへ足を運んだのはまず興味深い。

ここで、一つのテーマとして、瀬迫さんは「自分の理想の本屋」というものを考えたようだ。じゃあどうしていくと、自分にとって理想の本屋さんが出来るのか?ということだ。

そこででてきたのが「薬局に本を置いたりすると面白い」かもというぼんやりとしたアイデアだった。

本屋ありきの発想で、その先に偶発的に結び付いたといえる

これらの取り組みがあって、テーマをもらって、ぼんやりとでてきたのが「薬局に本を置いたら」ということであり、そういった構想が昔からあったわけではない。短期間(1年)で動いて形に出来たのは、構想を練っていたからではない。ある種、本質的に考えていたからこそ、実現できそうなアイデアがあればすぐに動けるという準備にあったと言えるのではないか。

ここには、本屋をどうにかできないか、本屋さんをどうにかできないかという強い想いがある。実は、この頃に「クーポン付きしおり」というものを既存本屋さんに提案をしている。(詳しいは話は、クーポン付きのしおりは書店経営に役立てられないか?)これは色々あってうまく行かなったのだが、ここでも「何かできないか」という想いが、瀬迫さんを動かしている。簡単に言ってしまっているが、想いはとても大事で、同じようなことでも、想いは簡単に観察できないからだ。

本屋が最初の発想であり、起点はそちらだ。

この点はとても興味深いと思う。なぜなら、見方としては、どうしてもタイトルや看板や経歴が「薬剤師」であるし、調剤薬局の中にある本屋となるので、薬局をメインに仕上げると、「サブ」感があるわけだ。としかし、実際はメインは本屋で、どうにかしたいから、薬局部分がある。見える形と、瀬迫さんのイメージはむしろ逆というのがとても面白いと思う。

このようなギャップはナリワイやシゴトづくりに多数存在する。例えば僕であれば、アイデアを出すことを仕事にしているから、「アイデアを出すのが好き」と思われがちだ。もちろんそれはある。しかし、アイデアを出すのは手段でしかなく、本質的にはその人に喜んでもらえるならというのがある。それがあって、たまたま手段がアイデアとなる。ではこだわりはないかというと、そうでもない。色々取り組んだら意外に飽きなかったなというのが本音のところ。

この僕の感覚は瀬迫さんに適用されるかはおいておいて、このような「自分の感覚」と「他人の感覚」とのズレは、ジョハリの窓ではないがありがちなことだ。

そのズレやギャップがあるから駄目とか良いとかそういうことではない。どう折り合いをつけるか。少なくとも自分が感じている感覚を信じていけるものとして、瀬迫さんは「本についてなら自信を持っていいな」と思えたこと。この体験がとても重要なのだと思う。

あくまで本屋をどうにかしたいという問い掛けやテーマから始まって、実働部分、領域テーマとして近くに薬局があったというのが肌感として最も近いところといっていいだろう。その中で、自身の経営する薬局で、新しい店舗を作る話があった。そこに乗った形、タイミングがハマり形になったわけだ。

偶発的に出来ているが、それは探究したからこそ

偶然出来たからテキトウに生きていればいいというわけではもちろんない。

整理すると、起点であるスタートは本屋をどうにかしたいか。本ってどうにかならないか。好き、得意、苦にならないもの。そういう領域として本の勉強をする、本屋業界を学ぶ、ということを徹底的に行った。その取り組み軌跡はなかなかのボリュームがあるものの、本屋を立ち上げるまでの想い、過程でまとめられている。本屋に興味がある人はぜひ読んでみて欲しい。

まさに「本屋をどうにかしたい」のだ。その発想の上に、では現実的にどうか?当然ながら、新刊書店を普通に開くとなかなかの予算がかかる。そういう現実もリアルの話が出てきてどうしていくかとなる。そうなったときに、ふとした閃きとタイミングが、薬局でやってみるかということなんだと言えると思う。

アイデアの話としては、こういったアイデアが生まれるのは、ある程度何か取り組みをして、考えてそこで「ふと忘れたり」「ふと違うことをしたり」したときに生まれる。これはまさに、取り組んで動いたからこそ、それは本屋としてというのが重要で、かつ想いがあったからこそ、苦にならず出来た。その上で現実的な選択肢に「薬局」というのが出てきた。

と、考えていけばとても単純に「本屋」と「薬局」を組み合わせた「だけ」ではないことが伝わるだろうか。

キャリアを見つめるきっかけはコーチングにあった

では瀬迫さんがそもそも、なぜ自己内面や仕事などを深掘りできたのか?これらもいきなり出来るようになったわけでも、昔からやっていたかというとそうではないらしい。それは、2つの大きな取り組みがあると言えそうだ。

1.経営者として月1回コーチングを受けていた

瀬迫さんは経営者として、コーチについてもらい経営に関するコーチングを受け始めた。これによって、月1回で棚卸しをしていき、経営はもちろん、自己の仕事のあり方などを考える機会が生まれた。

これらは「深い内面の棚卸し」であり、いわゆる自分軸、経営でいえば経営軸となるものだ。そういうものがすぐ見つかるわけではないが、逆に少しでも手触りがあり、しっくりするものがあれば、ブレることがほぼなくなるだろう。

これによって、自身を深めること、考えていくことが生まれ、どのように経営していくか、またはどのように立ち回っていくか、自己の内面に向き合う機会が増えたという。

2.複業としてキャリアコンサルティングをやっていた

今度は自身の複業として、キャリアコンサルティングを行っていた。

薬剤師としての自分だけでは物足りなく、他にやってみたいというところから生まれた仕事といえる。

例えば、自身が薬剤師だから、薬剤師になりたいというような人から相談を受けて相談に乗る。そういったアドバイスをする中で、実は自分のキャリアをさらに見つめ直す機会が生まれる。

そう。薬剤師になるキャリアは自分は一応実現してしまったし、このような複業であればそういったキャリアのアドバイスも出来る。そうなると、他に何かやりたいことがあるのではないか、むしろ現状では物足りなさがあるのをどうしていくか。

ここで、その先にある物足りなさを埋めるとリンクするのは、本や本屋さんに関すること。それらをもっとやっていく、自信を持ってやりたいぞと思えることが、本屋なのではないかと思い至った。

長い時間を掛けて自分を掘り下げる

経営者的な立場としてコンサルされる、コーチングされることと、別視点で他の人にキャリアのアドバイスをすること。共通するのは、どちらもキャリアを考える、内面を深掘りするということになる。

心理的安全性を確保するのはやや難しいものの、信頼できる人がいれば「語り合う」とは、本音で、思ったことをが言える関係性となる。僕は自分がやっている振り返りの取り組みを思い出しながら聴いていた。

簡単にコーチングをする、されることで、見つかるというものではない。長い時間とは、数日や数ヶ月ではないということだ。人によるとは思うが、短期的に出てくるものではない。じっくりと取り組んで、考えて、結論や正解を焦らないこと。

その結果、自分の現状に対する心理や感覚、どうしていったらいいかというものに向き合うことが生まれたといっていいだろう。

自分の仕事=薬剤師に満足しない

自己を深掘りするという視点だけでなく、今をどう捉えるかという視点も見逃せない。ある程度、達成してしまうと何か探したくなるものかもしれない。

自分が何になりたいかを考える時間がなかった

薬剤師に限らずではあるが、薬剤師においては、家が医療関係であるとか、薬局であるとか、安定した資格だということでなる人は多いといえる。

そういうことを否定するわけではないが、瀬迫さんにとって、薬剤師のために勉強をした、一生懸命やってきたことは事実だ。そして時間も使ってきた。今の自分があるのもそれ故である。しかし、ふと自分が何をやろうか、何をやりたいか、今後どうなりたいかという、いわゆる長期ビジョンのようなものが、余り出てこなかった。

それは、シンプルに、考える時間がなかったら。考え方が分からないというよりも、そもそも「あれ、そんなに考えてないぞ」という感覚だろうか。

自己実現として、内面の感情に向き合うと満足できなかった

薬剤師は当然安定もしている。お金は仕事によって得られるし、満足している。しかし、自己実現という切り口として考えると、社会性というものも考えると、どうなのだろうかと考えた。

純粋に自分を深掘りしたところでは、欲求と合っていないのではないか?と疑問が生まれた。キャリアカウンセリングでもそういう人はいて、他にあるのではないかということが芽生えてきた。

ページ薬局のつくりかた

深い自己対話を通して、見つけた本なら良いと思える感覚。その気づきをもって形にしたのが「ページ薬局」だった。

1.お金と自己実現のバランスを見極め、どっちも取りに行く

人生の中で仕事における時間が長いという事実に気づく人は多い。労働など賃金獲得をするための時間を費やさなくて良い人はいなくはないが、それほど多くはないだろう。そして、仕事の時間が如何に多いかとなると、この時間を「お金を稼ぐ」だけでは良いとは思えないと考えたという。

お金を稼がなくては良いでなく、「お金を稼ぐだけ」では良くないということだ。

そして大事なのは、この逆にある「自己実現だけ」をして、お金を稼げないのも、同様に良くない。

バランスを取るというと、自己実現とお金を稼ぐ間の一点のみと考えがちだし、またはどっちかに寄せて自己実現寄りならお金は要らないとか、お金のためなら自己実現は要らないとなりがちだ。でもこれは瀬迫さん的にはどちらも否定している。そうではないのだ。

どちらにも寄らない、どっちでもない。だから、どっちも取れる。例えば、自己実現しつつお金も稼ぐなんてことが出来るのではないか。

一気にやらなくてもいい。自己実現を狙いにいく、お金も稼ぎに行く。どちらも矛盾しない。どちらかしか選べないわけではない。

むしろ、どっちを選んでもいいというわけだ。

2.お金を稼ぐだけでは悲しい。何をしたいかを考える

お金を稼ぐのは否定しない。でも、お金を稼ぐだけでは悲しさが募る。

例えば、お金があれば完璧じゃないかと思う人もいそうだが、実はお金は手段でしかなく、お金を得たところで何をしたいか、そのお金をどう使うか、何に使うかの話になる。

だから話としては「お金を稼ぐため」とは、自己目的化であり、説明になっていないというわけだ。お金を得たい、お金を稼ぎたいではなく、それで何をしたいの?と自分に問いかけをする。

お金を得て何をしたいのだろうか?と考えることがとても大事ということだ。

3.本とか本屋は、自分が自信を持って良いなと思えたこと

そう。それがページ薬局となる。瀬迫さんの言葉に耳を傾けてみよう。

そういう風なコーチングの時間の中で棚卸しをしていって。ちょっと長い作業があって、自分が自信持って進めれるものとかいいと思えるものを売りたいなとかっていう中があの本だったりだとか。

(中略)

自分の興味の中とかを深掘りしたら、本に関しては、なんかすごく自分が自信持っていいって言えるなっていうところもありまして。

瀬迫さんの言葉、本インタビューより

つまり、仕事、お金、自己実現。様々な取り組みから考えた結果、内面や自己を深掘りしていった。その結果、「本」とか「本屋」とか、そういう領域やカテゴリは「 自分が自信を持って良いなと思えた」からこそ、それがたまたま発露として、表出として、でてきたアウトプットが「ページ薬局」であったということだ。

もちろんこれは人によって感覚は異なるが、瀬迫さんとしては「好きなジャンルではあるが、その中で得意とか、苦にしないことを掛けあわせるのがいいのではないか」というニュアンスとなる。ある程度領域は決めたり(むしろ決まっていく)しつつ、その中で、これは「良いな」と心から思えること。そこがとても重要な感覚だと言える。

逆に言えば、ページ薬局は、自己内面を深掘りしたり、仕事や自分と向き合わないと生まれなかったとも言える。当然それは瀬迫さんが行動して学んだりしたこと、あらゆることがあったからともいえるが、内面を深掘りしていく作業は長期間かかるし、今日明日で結果がでて「自分の生き方はこれ」なんて分かる代物ではないのは、読者なら分かってもらえると思う。

ページ薬局は自己内面の対話、追求から生まれたといっていい

僕の言葉で言えば、このようになる。

つまり、瀬迫さんが、自己の仕事や人生における棚卸しや考える機会を持った。そこで丁寧に掘り下げた結果、内なる声は本屋だったと気づく。実際にこういうことは灯台下暗しであって、今の仕事が最適であるとか、合っているかも含めて考えていく必要がある。気づくとは、自分で違和を感じそのプロセスを省略せず、地味に向き合うことによって生じるものといえる。

長ったらしいけれども、このプロセスを手抜いて、ナリワイ、シゴトづくりの話は出来ない。

表出されたユニークな「ページ薬局」を見てそこで満足してはいけない。満足というのは、例えばありがちな解釈は、調剤薬局や薬局業界という経験と、本好きというものを結びつけたから生まれたということだ。これはもちろん「間違ってはいない」。

しかし、それはやや表層的である。少なくとも、結びつけたくてやったというわけではないからだ。実際には、それらが重層的に結びついたこと、プロセスがあって、そのようになっただけなのだから。

読者へのメッセージ

ナリワイ、シゴトづくり。そういったことは大体が新しいことだ。自分にとって新しいことだからだ。そういう新しいことをする人へのメッセージをいただけないかということで、瀬迫さんから以下のメッセージを頂いた。

1.お金になるこだわりは一番ではない方がいい

シゴトは対価をもらうことである。ただ、お金として対価を第一に考えない方がいいということだ。

先にあったように「お金を得るためだけ」だと、そこで破綻する。お金は手段でしかない。だから、なにのためにお金を得るのですか?という質問に変えられる。そこでどう自分が答えるかが問われる。

お金はもちろん、「大事」ではあるので、「お金を得なくて良い」というわけではない。

一番にしない、というのはとても瀬迫さんらしいアドバイスだと感じた。

自分がどうありたいか、自己分析を丁寧にすること。ミッションとして自分がやっていきたい方向性か、違和感はないだろうか。

今とか、今のありかたとか、なにか違うんじゃないか。またはこうなっているとか、こうなったほうがいいって意見があるけど「何か違う」んじゃないか。そういう内なる声を消さないということが重要といえるだろう。

ビジネスの主体は、スモールビジネスやナリワイ、自分の仕事ということでは、自分が主体だ。自分が主体ならば、その自分の内面が問われる。焦ってすぐなにか得ようとして、妙な詐欺に取り込まれてしまっては意味がない。僕も断言するが、倫理を消し、合理的にするのであれば、全て詐欺で良いということになるからだ。そうではない。

遠回りかと感じるかもしれないが、まずは自分がどうありたいかを考える。もちろんそれを「誰かに押し付ける」わけではないが、内面と向き合う作業はやはり手抜けないといえる。

2.儲かることがビジネスの軸なんです!はやはり違う

1と似ているが、やや違う視点として、ビジネスだから新しい取り組みとして、この事業は「儲かる」が主体なんですというケース。

1はお金になるから何をやってもいいといえるかもしれない。2はそもそもビジネスだから「儲かる」が主体なんですよという、ちょっとだけ客観的な視点だろうか。これに瀬迫さんは異を唱える。

本来自分が何者であるかというのは分からない。だからこそ、社会で色々な人と出会い、学び考え、少しずつ人格ではないがそういったものを得ていく。例えば瀬迫さんがコーチングを受けた、相談に乗ったみたいなケースでいえば、そういった自己受容や客観視から、内面を丁寧に探る必要性があるという。

ビジネスの主体が自分であれば、ビジネスの軸は自分の軸となる。そういう意味で、自分の軸を見つけていくことが、ビジネスの軸となるわけだ。

瀬迫さんであれば、本屋をなんとかしたい、そういうところでやるなら自分は自信をもって良いなと思えるからというのが瀬迫さんの軸だった。これは簡単に見つかるものではないけれど、見つからないものではない。どこかに落ちているものでもない。

3.緊急度が低いが重要である「自己対話」をしていった方がいい

自身の経験からも、自己対話的なこと、自己受容をして受け入れていくこと。自分の考えや違和感を受け入れること。それはすぐには出来ないかもしれないものの、時間を掛けていくことで可能となる。

新しいことをやるとは、実は「新しい何か」というアイデアに飛びつきたくなるが、実際は元をたどればあなたが何をやるかとなる。何かは枝葉であり、あなたが根っこで主体となる。あなたがやるというからには、あなたの意味付け、あなたがどうであるか、あなたの意見や考え、どう感じたかを丁寧に探る必要があるということだ。

これは遠回りと思う人がいるだろう。しかし、緊急度が低いが重要であるというのがポイントで、これをいつまでもやらないと、先へ進むことがなく同じところをぐるぐる回るかもしれない。

なにか書籍を読んですぐ分かる類のものではない。分からないということを何度も考え繰り返し、長い時間を経て見ていくこと。面白いのは見ていかないと見えないということだろうか。

インタビューで考えたこと

最後には、僕がインタビューを通して得たことを書いてみたい。

1.自分に仕事を合わせること

ナリワイ、シゴトづくりとしては、自分に仕事を合わせる必要がある。どこかに「ぴったりな仕事」が落ちているとか、誰かが勝手に持ってきてくれることはまずない。仕事に合わせるのでなく、自分に仕事を合わせるというのがまさに、ページ薬局ではないかと感じた。

実際に瀬迫さんは、本屋をどうにかしたいとか、本に対する感情が自分にとってとても心地よいもの、またはそれが大事なことだ気づいた。気づきは色々な内面の旅を経て得たものだ。

ページ薬局という概念やアイデアは唯一無二のものだ。当然これをコピーして真似てもいいのだけど、真似ても同じものは作れないだろう。いわゆる氷山の例えでいえば、水面下に膨大な取り組みがあるからだ。水面上の氷を真似てもそれは本質ではない。

だからこそ、自分がどういう人間なのか、人によっては苦手なことは重々承知の上で、そこを自分だけでもいいし、誰か(信頼出来る人)と探っていくのも面白い。そうすることで、自分が見えてなかった景色が見えて、そこに合うように作っていく事ができる。

強いて言えば僕はアイデアの仕事というのを、どこかにあったものとして持ってきてはいない。自分に合いそうだ、または合わせるとこうなるということを取り組み続けている。多分完成形はないのだけど、仕組み化して見えてきたらそれを手放すのかもしれない。一方で自分も変化する。変化する自分に合わせて仕事を入れることが大事と思えた。

自分が主体ではない人生や仕事はとても魅力が薄い。属人的という言葉があるが、これは批判的に使われるだろう。なぜならこれは組織や会社が主語であり、人は効率的なコマとして動くとか、仕組みを邪魔しないという合理的な振る舞いのみに注目しているからだ。

実際は逆だろう。人はもっと非合理で情緒的である。分からないけど泣くし、ノリで買っちゃうし、分からないけど楽しいなんていくらでもある。そういう自分を大事にすることからもしかしたら始まるかもしれない。

2.自己振り返りや内面と向き合うことは気づいたらやったほうがいい

自己内面と向き合うのは、実は慣れてなければとても面倒くさい。そして瀬迫さんの言葉を借りれば「緊急でないが重要なタスク」でもある内面を棚卸しし、自己と対話することがある。緊急でないからこそ、ずるずる伸ばしたりやらなくて進んでいく。しかし、中長期的なことは多くはこのような類のことになり、とても大事なことが分かる。ある種の羅針盤や方向性は、いつも「緊急でなく重要である」ということを再確認できた。

振り返りを普通にやっている自分にとっては、この下りはとても大事だと感じた。僕は誰かにそれらを提供することはないし、仕事としてはないのだけど、ある種相談サービスにおいてはそのキライがあるかなと思う。だから全く役立たないわけではない。

例えば、自分を客観視したりは、人の話をいくつかの視点で見られるし、整理もすることが出来る。逆に違和感とかなにか違う点も説明することができる。そういう解像度が高い、細かい点で違いが見えるのは、そういった自己との対話、振り返り、内面と向き合い、言語化してないと出来ないからだ。

これは遅いことはない。必要だなとか、やったほうが良いと思えばやはりやった方がいいのだ。

瀬迫さんのメッセージにあるように、新しいことをやる、ナリワイをつくる、なにかする時は、当然アイデアがあればやればいいのだけど、詰まる人は、外に目が行き過ぎて自分がどうしたいかというところで、それこそ「時間がない」とか、「考える時間を捨てて他のことをしている」とか、そういうことになっているかもしれない。そこではないのだ。むしろ自分の時間、自分で考える時間を取るのだ。

3.自分がしっくりするやり方を見つけて行くことが大事

自分なりのストーリーややり方、思いつきやアイデアを試していけばいい。例えば起業だといって変に構えたり、儲けなきゃ絶対駄目とか(もちろん収益は否定しない)、一方で自己実現ならお金が犠牲でもいいはやりすぎというような、どちらも偏っているといえる。一時的な偏りはいいし、経験がなければ偏るのは確かだからだ。

一方で、やること、試すことに関してそんな「保険」「誰かへの説得」みたいなことを一々考えてもやれることは少ない。もっとラフにやればいいと感じた。つまり自分がこうじゃないかなと思ったこと、内なる声、やってみたいと思ったことを、じゃあちょっとやってみようかということ。それがとても大事だと感じた。

自分に仕事を合わせるというと、なにかどこかにある「仕事」と思いがちだからだ。そうでなく、しっくりするものってやはりすぐ見つからない。とても感覚的で、人によって違う。例えば、僕は企画の仕事は好きだが、人によっては苦痛でしかない人もいるからだ(笑)

また、企画の仕事が好きといっても、そういう人を並べてもまた違う視点や感覚があるので、全ての人に共通するものでもない。だからこそ、あなたが、僕が、自分がどう感じたかを大事にして、何度か「内なる声」と書いたが、スピリチュアルにどこからか聞こえるみたいな意味でなく、ちゃんとでてきた感情を「捨てない」ことという意味合いだ。

やり方というのはここでは、どこかにあるやり方ではない。あなたが見つけてこれだといけそうだなという手応えやある程度見えるようにやる、どうにかそうしていくことを指すと僕は考えている。

4.瀬迫さんの取り組みはとても自然に感じた

瀬迫さんは謙虚というか、自分を色々とアップデートして、自己のキャリアを見つめて、その上で経験を大事にして仕掛けた、または仕掛けていくという姿勢を感じた。

ページ薬局はそういう意味では、ある種パーツの一部であり、見えるのは確かに物質としての「調剤薬局本屋さん」ではあるが、それは一つの過程といってもいいといえる。つまり、ページ薬局が出来ることというのもあるが、どちらかといえば、瀬迫さんが提案したいこと、仕掛けたいこと、感じたこと、または本、本屋という取り組みであったらいいいことなどで構成される。

そういったことを、仕掛ける場であり、空間でもあるといえる。当然そこは単に想いをぶつけるというだけでなく、お客さんや既存のビジネスの中に実践的に溶け込んでいくというイメージだ。そういう雰囲気が好きな人は説明しなくても理解ができるだろう。またはそこから新たなナリワイが生まれるのかもしれない。

仕事に対してのお金、自己実現などの視点のバランスが優れているように感じた。本ブログでも書いている「近いOS」の話を彷彿とさせる。自分が無意識に苦にならないようなことを何度も出来ること。それが多分得意とか好きとか、近いということなのだけど、それを瀬迫さんならではのリズムとバランスを作っていること。

以上、とても取り組みが自然でスマートだと感じた。

おわりに:自分の物語は必ずある

たまに、自分は軸が見つからないとか、得意なことがわからないとか、そこまでやりたいことがないという人がいる。そういう人はこのような物語を提示すると、「見つかっていいな」とか「そういう風にいきたい」と思ってしまいがちだ。わからないわけではない。

僕もどちらかといえば、色々興味が移るし飽き性ではある。あと単純作業が苦手というのもある。

では、僕はどのようにして物語を獲得したのか?シンプルにいって、獲得したことはない(笑)そうでなくて、自分が色々やってきてこうじゃないか、ああじゃないか、という試行錯誤はしたが、あとは振り返りをしたり、誰かと対話をして「あー自分こういうの好きかもな」とかそういうのを少しずつ言えるようになってきたとしかいえない。もっといえば、一部は分かるけど、これは全部ではないだろうし、僕も僕で自分を把握できてない部分が多いというだけだ。このギャップがあるからこそ何度もいうが、僕は僕を把握出来てない部分が多い。しかし、出来た部分もある。そういう試行錯誤であり、途中でしかない。完璧に「自分を把握している」とかって人、なんかちょっと怖いじゃないですか(笑)

こういった作業はとても泥臭いし、これも長時間かかる。すぐ分かるものではない。

だけど、一ついえるのは、あなたがあなたらしいということ、物語、瞬間、感情は僕はあるのだと思う。絶対と言わないのは、やる気がなければ無理だと思うからだ。強い自分がいるのではない。弱い自分で確認していくような取り組み、環境によって自分が規定される、社会によって自分は変化するような「弱さ」が実はとても大事な気がする。それくらいのゆるさでいいのであるといいのではないかと感じた。

インタビュー後に残ったものは、緩やかにその場を包む、温かく包んでくれるような緩やかな心地よい風が吹いていると感じた。それがページ薬局ではないだろうか。

記事を書いた人

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
ビジネスアイデアメディア「シゴクリ」運営者。まずアイデアを出すアイデアセッターであり、生まれてくるアイデアをビジネス化出来ないかを考え続け、手を動かすゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談やビジネス企画の実績多数あり。毎日生まれるアイデアから世のために貢献していくスタイルです。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。

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