Vol.10 インストール・ベース利益モデル

インストール・ベース利益モデルは、売り手が主導権を握ると説明がされています。詳しく見ていきましょう。
目次
インストール・ベース利益モデル
まとめてあるわけではないので、断片的なものを簡単に整理してみます。
- ハードウェアと消耗品の利益率は、前者が2%から5%、後者は10%から15%
- ベースが大きいほど、ハードウェアと消耗品の需要の差は顕著になる
- ハードウェアは価格が高いため価格に敏感だが、消耗品は価格が低いためそこまで気にならない
- ハードウェアは最初に買い手に選択肢があるが、購買後は売り手が主導権を握る。消耗品でロックされるため。
基本的に、かみそりの刃モデルといわれるジレットとかですかね、カミソリというハードウェアを買ってもらったら、あとはカミソリの刃で稼ぐ。カミソリ=ハードウェア、刃=消耗品ということですね。コピー機もコピー本体がハードウェア、トナー・インクや紙などが消耗品となります。
最初にインストールしてしまえば、後は売り手が主導権を握れるというモデルです。実際にはスティーブが指摘するような、価格を高く設定してしまったりすると顧客は離れてしまうでしょう。これは何でもそうですけどね。
このモデルはかなり知れ渡っているからこそ、ぱっと思いつくものは多いかもしれません。
インストール・ベース利益モデルっぽいものを考える
今回はこのインストール・ベース利益モデルと思われるものを考えてみます。
キンドル端末と電子書籍
Amazonの電子書籍端末Kindleはハードウェアです。そこに電子書籍データを消耗品として売ることで(本の消耗とはおかしいですが)、利益をあげていきます。とはいえキンドルの電子書籍自体は作家の収益がメインです。専売であれば7割なのでアマゾンには3割、専売でないなら35%なので65%がアマゾンの手数料となります。
端末の粗利が仮に本書に書かれているように数%しかないならば、PaperWhiteなどは数千円で買えるので、仮に5,000円とすると、多くて500円程度です。一方、電子書籍データなら、色々な人が売るので500円の本を専売でも1冊で150円ですから、4冊売れれば端末一個を売るよりも利益額が高くなります。
もちろん電子書籍データとして売るためのシステムやら諸々があるのでこの算出はやや乱暴ですが、そのシステムコスト自体も見えないくらいに大量のデータを売るというイメージです。
シャンプーと詰替え品
ハードウェアではなく、シャンプー自体も消耗品ですが、小さく見れば、シャンプーケースとその詰め替え品はロックされています。これらはどちらかといえば詰替品が安価にすることで、リピートを促す施策という感じもします。
そういう意味ではちょっと違うかもしれません。
電動歯ブラシと替えのブラシ
電動歯ブラシは多分普通の歯ブラシより高く、消耗品の歯ブラシ部分だけを変えるはずです。これは多分それっぽいですね。
ぱっと思いつくのはこれくらいでした。色々メンテナンスが好きな人はもっと出るはずです。パソコンも消耗品という人もいれば、パーツを買い替えていく人もいるはずでこれらは見方次第となりそうですね。
気になったらぜひ他にもたくさん挙げてみてください。
本章から学べること
利益モデルではないですが、ストーリーとしてスティーブがいきなり自分の仕事について気づきを共有しています。本講義が始まったのが9月21日で、10番目の本講義が12月21日と3ヶ月経っています。3ヶ月くらい経つと色々と応用がきいてきて、自分の仕事に活かせるようになるのかもしれませんね。
さて、インストール・ベース利益モデルですが、ハードウェアと消耗品という形だけだと学びが浅くなりそうですが、ロックインやスイッチングということで、何をお客さんが選ぶか、その後のリピート消耗をどこまで受け入れるか。これって色々なことに言えそうです。
例えばオープン認証として、SNSアカウントの認証で様々なサービスログインが出来る仕組みがあります。一昔前はSNSを使う人が少なかったので価値はそこまでありませんでしたが、今ではSNS認証が普通にある時代です。認証として使われるほど定着したといえますが、一方でこれはロックインとしてサービスを使っていなくても使わざるを得ない空気的な存在にもなってきます。むしろSNS認証がないならログインが面倒なので使わないということも考えられます。
自社サービスを使って欲しいのは分かる一方で、それを使うのはたくさんのサービスがある中で選んでもらう、または出会う必要があります。そう考えると言うは易く行うは難しで、ロックイン出来るほど魅力的か、または選択肢が少ないか。それほど信頼できるものなのかが問われてきます。
例えばリクルートが無料でサービスを提供してある程度ベースを気づいたら次はそれに関連する商品を投入していく、または固めていくことで顧客はそれを選ばざるを得ない。LINEのようなSNSでもその膨大な数の顧客が使っている前提で関連サービスを投下出来ます。面倒からLINEの使うかとなりやすいです。
自社が使っているグループ管理サービスなどがあれば社内サービスとしてすでに導入しているもので関連性が高いならそれを使ったほうがスムーズです。
これらは囲い込みといえそうですが、本書の例のように「製品」というメーカー的なモノでなく、サービスで考えれば色々と出てきそうです。単純にiPhoneユーザーはiOSアプリは使えますが、Androidアプリは使えません。今では二つあることがやや当たり前ですが、少し前ではどちらかしかない、またはiPhoneが普及する前は使えるアプリが少ないとかそんな時代もあった気がしました。しかし普及していけば、ハードウェアとしてのスマートフォンが普及しそこで粗利を得つつ、iTunesでは音楽でなく映画などの動画も買えたり、またはアプリ制作者への開発手数料として売上の3割または2年目以降は15%などのソフトなところでビジネスをしています。
消耗品ではないものの、メインに紐付けられた関連したアイテムが売れると考えると面白いですね。一方で関連して売れることで一定のビジネスになるなら、それは一定の成功と考えられそうです。
おわりに
今回はやや軽めでした。インストール・ベース利益モデルは、ジレットモデルなどで有名なものです。個人的にはコピー機モデルのほうがしっくり来ます。
当然このモデルを知っているからといって、ビジネスが出来るとか成功するわけではありません。そういうモデルで稼ぐことができるんだなあという理解をしつつ、例えば飲食でこういうことはできないかと考えてみる。すると、例えばパン製造機を作ってそこに小麦粉を特注していくスタイルとかはどうだろうか。コーヒー豆を売ってそのコーヒー焙煎機を売るとかもいいかもしれない。今どきでいえばシェアロースターとかでしょうか。
料理自体は作る道具と材料があるので、これらはハードとソフトに分解しやすいかもしれませんね。
次回は、デファクト・スタンダード利益モデルです。
筆者プロフィール

- 「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は400超。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介、仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューやお問い合わせはお気軽にどうぞ。
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