creww studioのアイデア起案者としてプロジェクトを振り返る
creww studioでやっていたプロジェクトが終わりました。前書いたかもしれませんが、半年間でアイデア→事業売却できるかどうかというものです。
結果的に失敗ということに終わったんですが、成否ももちろん大事なんですが、ラーニングとして学びがあるかどうか、いや正確には何を学べるか、そして次にどう活かせるかが大事だと思うので振り返りをしてみます。
アイデアはもちろん、事業を作る、ビジネスをつくる、シゴトをつくるなどに興味あればヒントになるかもしれません。
ちなみにこの手のスタートアップスタジオでアイデア起案をしてそこで関わった人はあまりいないと思っているので、そういう意味でも面白いかもしれません。僕も初の試みでした。関わった皆様おつかれでした!
目次
基本的な前提や条件等
まず本プロジェクトとしては、petipという店員さんに飲食店で良いサービスを受けた時にチップを払うアプリ、というものを実現することを目指しました。
細かい何をやったとかは公式サイトを見てみてください。わりとまとめられていると思います。
スマホで「ありがとう」を届ける「ぷち」な「チップ」サービス
期間は半年なのもあり、あとコンセプト固めて実証実験みたいなところでアプリでなくランディングページと既存サービスの組み合わせでプロトタイプを作った形で検証しました。
売却に成功すればそのリターンの一部がメンバー(運営のcrewwも含む)に入る形ですね。またコミット感として全てのメンバーはこのプロジェクトに複業として関わっています。しいていえばcrewwは本業ですかね、とはいえ試験的にかつチャレンジングなのでこの時点でマネタイズできないので投資プロジェクトということでしょう。
期間は半年で、週1でリアルミーティング(僕は名古屋なのでリモートです)、あとはSlackでやり取りをしていた形となります。
プロジェクトのゴールはこのサービスを売却可能、つまり買ってくれる企業等を探して売ることになります。そういう意味ではハードルが高いなと思いましたが、メンバーつまりこの時のチームは独立していて、アイデアを売る、アプリやサービスを売るという形で想定されていました。
やる前の仮説等
まずなんでこの取り組みに参加したかというと、わりと簡単でして、アイデア活動の一環として応募したら採択されたからです。採択されたからやるってのはちょっとおかしいですが、通過率は3%くらいなのでかなりの運なんですよね(笑)
僕としても通ると思ってなかったので驚きと同時に嬉しかったので、これもご縁だと思い参加しました。
なお関わり方はアイデア起案者でかつリモート参加が基本なので、まあそこまでコミットはできないけどやれることはやろうって感じでした。
仮説として、持っているのは「アイデア自体は売りづらい、または評価されづらいので、それを事業化または直前やいい感じに仕上げていく過程に興味がある」というところでした。細かくいえば、コンペ等で課題やアイデアの細かい設定があり、クライアント等の着地点がはっきりしている(例えば実現性といっても、A社はできるが、B社はできないというのは普通でしょうが、そういうブレも含めて)ものでしか売れない、評価されないと感じていました。
もっとシビアかつ乱暴にいえば、アイデアが欲しいのでなく、お金になるアイデアであり、人が使ってくれるアイデアであり、魅力的なアイデアが欲しい。ビジネス的にいえば元も子もないというかそれまでなのですが、それを満たしつつ、どう他の要素を入れていくかが味噌となります。
ここでいう事業化前のいい感じとは、プロトタイプのレベルやアプリのレベルなどそういう作り込みとして見える形もですが、ユーザやデータとして何があればいいのだろうかという点も含みます。
それを個人でなくチーム、今回はcrewwのサポートがあるわけで良いチャンスだと思いました。
事業売却の成否はおいておいて(結果は必ず出るので)、どう半年でコミットメントしてラーニングできるかがポイントだというところでした。あとは、自分としてもこういうチャレンジングなプロジェクトは面白いのでやる価値はあると考えました。
やってみてどうだったか
これは振り返りとしてばばばっと書いていきます。
リモートだけはきついかもしれない
アイデア起案者としての関わりはやはり辛いものがあった。辛いとは、東京メンバーが中心に動くので、リモート会議は週1ペースでほぼ参加したものの、多くはメンバーの話を聞くということが多かった。とはいえ逆に何かを提案できたかというと結構きつい。
具体的なタスクではないがやれたのはアイデア出し、何か情報リサーチまたはSlackに投げるくらいで、資料等は作らなかった。実際に資料を作りたいということはなかった。
これはリモートが無理というわけではないのですが、メンバーとの距離感よりも、実際に動く動けない、そのリアクションや実際に検証段階等は店の開拓も必要でそうなると「祈る」形しかないのでこれは弱みになりそうだって話です。
逆にいえばベターなのは、最低一度はオフラインで顔合わせ、かつ何回かは都度オフラインで合う。その上でコミュニケーションをオンラインでしていくのがいいかなと。ただ僕自身が出来ることが「アイデア起案」の段階で9割終わっていたというところだったので、執行者やプロマネは別の方なので、ここが面白く作用するかなどうかでした。結果的には熱量が僕に正直高くあるわけではなく、コンセプトベースの絵はあるから練ってくれという感じでした。
これは共有されているわけで、そういう姿勢や立場が駄目でなくむしろこれは僕でなく、アイデアやコンセプトが面白いと思ったメンバーが集ったので、ここで失敗しているということはなかったはずです。
逆に僕がオフラインでがっつりやりたかったというとそこまではなくというのも仕方がなかったことでしょう。これは嘘は言えませんしね(笑)
やれる検証はやったと思う
アイデアの検証ということで、チップを店員さんに支払うということで、業界や業種などを一度ずらしたものの、基本飲食店向けでテスト(LPと既存サービスの組み合わせ)も行い、やることはやったという気がする。
とくに、実証実験までこじつけやれたことは大きい。そういう開拓をしたのはすごいことだと思う。こっちは何もできなかったの。
その結果からニーズ自体の薄さは分かったものの、ではそれを早くピボットできたかどうかは怪しい。なぜなら簡単に出来るプロトタイプでは意味がなく(実験室でなく)、通常の状態でそれがどうなるかを見たかったためだと思っている。
例えば良いサービスなら店頭にある小さい模造花を出すとかそういうことはやれるが、それは本当のチップではないというニュアンス。
マネタイズ案はそこまで固まらなかったものの、そもそもマネタイズ以前にこのアイデアを受けきれる、または受けてくれるという企業や団体がなければ話にならない。そこがうまくマッチできなかったといえる。売るという場合は相当イケてるか、ユーザーがいてうまく加工できそうか、色々なウリがあるがそれが結果的にうまく半年ではきつかったといっていい。
運営的な課題はあるかもしれないが、どちらかというと無茶な設定だったのかなと客観的に考えられる。一方で、ある種のクローズドなつまりある会社の組織内で立ち上げたらどうだったかという思考実験をしても、そう変わらないのではないかなと。
総じてフルコミットではないし、軽めのコミットメントで僕は動いてないが、メンバーまたはチームはよくこの状態でやりきったとすら思う。総じて問題はチームでなくて、アイデアコンセプトのニーズやタイミングも、あとはチップを払うというところが結果的にズレていたというところでしかないと感じた。
起案者と執行者は違うほうがいいか
これは分からない。多分それがうまくいくのも、うまくいかないのもあるのだろうと。ただ、僕としてはアイデア活動というのは、その実行にまで関わらないスタンスであって、これはそのアイデアを実行したくないのでなく、実行自体は別でという前提だからだ。
一方で反論として、それではアイデアを考えた人の熱をうまくいかせないし、モチベーションなどで持続や継続ができないのでは?という考え方だ。
よく分かるが、そもそもアイデアを出した人がやらなければならないのと、アイデアをうまく組み立てるのがうまい人がいるはずで、単なる役割分担やチーム編成またはやり方の問題くらいにしか思っていない。
もっといえば、起案者と執行者が違っていたら失敗したとは思ってなくて、僕がやったらそもそもやりきれないし、その前にやめているというレベルだ。だから比較しようがない。
結果は失敗だが学べることはあった
ラーニングとしては、ビジネス的な意味でなくても、プロジェクトとして半年で何か成果を出すのはちょっとむずかしいというか、それだけをやってかつ相当知れた仲で集中環境があればワンチャンというイメージだ。
だから、複業またはサイドプロジェクトとして関わる中で、リソースがちょっとで、かつチームビルドした仲間で、プロトタイプを「ある程度コミットはする」とはいえ、きつい印象を受けた。
これは自分の経験から、リアルの仲間でも半年で何か結果を出すのはきついところで、売却というさらにハードルが高いものを設定されたというのもある。まず半年で出来るかどうか、その上で出来たら売却という2段階だったかもしれない。もちろんもちろん、売却経験が豊富にあったり、ノウハウがゴロゴロしていてみたいな状況ならまた違うのだろうが、今回はそこまではないはずだ。
少なくとも初見のトライとしては、そもそもコンセプトを固められるかで1段階、そこで何かプロトタイプを作れるかで1段階、次にそのプロトタイプで実証実験までいくかで1段階、そしてユーザ獲得なりある程度回せるかで1段階、それをやりきって成長できるよねというので1段階、さらにさらにがあって売却ではないかなという印象。もちろん連続起業家なり実績がある人は考え方や組み方が違うかも知れない(ノウハウもあるので)が、結果的に自分としてはちょっと背伸びではなく、失敗すると腰を体を痛めるゴールになってたのかなともいえる。
とはいえ、どこにするとストレッチして伸ばせるかは自分が決めることなので、これは僕の話でしかない。少なくとも、面白い体験は出来たという意味では良かったという着地だ。
アイデア→事業化のプロセスなら個人開発とかでも似たようなことはできる
これは否定的な意味でなく、こういうチャンス、少なくとも起案側は3%くらいの確率、またはメンバー参加ならその情報をキャッチして応募していく姿勢があるということをせずともできるという話だ。
アイデア→事業化における様々なプロセス、とくに一人ではないならチームを作ること、アイデアを固めること、コンセプトをぶれないように共有すること、上でもかいたようなプロトタイプを作ること、どうユーザを獲得していくかを検証すること、なんか間違ってるかもというとき戻れること、試してみること、ヒアリングすることなどはばばばっと一連の中で体験できたので(僕が手を動かしたわけではないが)、また売却の難しさも垣間見えてよかった。
これを逆に言えば、Webサービスを個人で作ってもこれらは体験できるといえる。売却までいく人は限られるかもしれないが、それならビジネスとしてマネタイズ出来るところまではどうか、または趣味でもなんでもいいしお金を稼がなくても学びとしてやれるかどうか、目標方向や設定をずらしたり近づけたり色々調整すれば、ラーニングは得られるともいえる。
むしろ個人またはチームでそれがプロジェクトとして回している、できるならあとは想像力やアイデアの問題となってくる。それが出来れば良い意味で自分でもできるし、むしろそういう具体的なことを自分が前のめりになることをやったほうがいいともいえる。
シゴクリ的にはそっちをおすすめしたいところ。もちろん人によってはサポートがあるほうが安心という人もいるからそこは使い分けるべきだ。
もちろん個人開発をする人は孤独みたいなところで、チーム云々はできないとか、コミュニケーションが取れないとかなら話は別だ。あくまでチャンスが閉じられていて出来ないということではない、ということだ。
終わっても全然次をやりたいみたいなテンションが残る
チームでの振り返りはわりとポジティブでもちろん駄目だったんだけど、それを冷静に受けつつどうしていくか。出来るメンバーばかりだったのでそういうところは根底にあるのだろう。
僕はアイデアを売るのは難しいというのは十分理解していてその上でアイデア活動をしている。それもやり方もそうだが、タイミングや運もあるし、アイデア自体の問題もあるし、そこへの情熱もあるだろうし、色々と要因はある。一方でそういうことを体験した経験した上で、アイデア活動は衰えないし、むしろもっとやりたいと思うので、これは自走できるモチベだなあと思っている。良い意味で。
自分の中ではもっとガツンと来るかと思ったものの、実際にコミットメントの具合もあるし、リモートでやってたのもあるので、まだまだ消化不良だったのかもしれない。が、消化をこれ以上しようにもできなかったのでそういうものだとして受け入れるしかないし、そう受け止めた。
ここで最大の気付きはそういう体験をしても全然やれるというか、やれてないんだけど(笑)まだまだ伸びしろやポテンシャルはあるぞ、という姿勢だろう。まだまだ数が足りないと思うし、まだまだというところ。ちなみにチップサービスをやるということはあまり頭にないので、全く別の何かやりたいということですね。
今後どうするか
以上がざっとして振り返りで、要約すると、
- アイデア採択→事業化していく流れをざっと体験したのは良かった。それが失敗であっても失敗体験からこうして学んでいる。むしろやったという勲章だ。
- 起案者と執行者が分かれていてもうまくいくかどうかは分からないが、多分できたりできなかったりではっきりしたことはいえない。
- 半年かつ複業メンバーでしかもボランタリーベースでここまでやれたのは僕はすごいと思う。もちろん成果を出せないなら駄目と言われれば終わりだが、実際にリアルベースかつ1年でここまでできるかどうかくらいな感覚という比較。
- アイデア活動に対するモチベは全然消えずにむしろ単にプロジェクトが終わったので次またやるぞという感じ
というところですね。
今後ですが、しばらく同様のプロジェクトサービスをやることはない気がする。内容や何か違いがあればやるかもですが、アイデア→事業化というところでいえば、こういったサポートで走り抜けるよりも、じわじわやっていて試すとか、もっと緩急がいるような気がするからだ。
もちろん投資する側は一気に投資してどこが抜けるかって観点になっちゃうんだろうけど、投資でなくプレイヤー側なので、あと投資を受けてやるという意識はないので、あくまでシゴトづくりというスモールビジネス規模になるのだと思う。
さらにいえば、同じやり方や似たやり方では、多分ラーニングがほぼ変わらないので、次は自分がもっとコミットしたり、コミットレベルを低めても長期で関われるとか、人自体でつながってAさんがやるなら手伝うという手伝うサポートモデルでいくか、もっと個人的にやりたいのでという個人モチベでやるかなどそういう感覚でやってみたいと思う。そうしないと多分やれないので、そういう意味で今回の経験は生きると思う。話のネタにもなる(笑)
現時点で、いくつか関わっているサポートプロジェクトみたいなのはある。それらは人づて、リアルベースだ。リモートやオンラインでうまくいった経験がないし、自分でやっても上手くイメージがなかった。逆にそれでうまく回したり形にしているものがあればぜひ教えてほしいと思う。
そういう意味で、もっと色々なプロジェクト、0→1が特に面白いので、そこを懲りずにやっていくことが関わる人に自分の価値を与えられると考えているし、自分もそれが面白いのでそうやっていきたいと。
というわけで、次のプロジェクトなり試みにご期待くださいませ。
筆者プロフィール
- 「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は400超。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介、仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューやお問い合わせはお気軽にどうぞ。
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