駐輪場シェア、ライドシェア、その他自転車ビジネスを調べてみた

自転車に関するシェアリング系サービスを調べてみました。駐「車」でなく、駐「輪」場です。自転車が主で、バイクはどっち扱いかといわれると、駐車場でしょうね。
それだけだと物足りないので、自転車関連ビジネスもわりと新し目のものを発掘してみました。
目次
駐輪場シェアリングサービス
みんちゅう
駐輪場と駐車場もですが、駐輪場がメインのようです。
神奈川県大和市との連携があるようで、これは不法駐輪の対策となる期待があったようです。実際にどうかはおいておいて、不法駐輪をする人は「止めるところがないから」なのか、「止めると料金が発生するから」なのかでいえば、後者かなと。
大和市と「みんちゅう」が全国初となる駐輪場シェアサービスの協同運用を2月15日より開始
よくあるのは有料駐輪場でエリア管理+無断駐輪は撤去ですけど、このあたりがどこまで有効かどうかなんでしょうね。
基本アプリから利用となるようです。
Charippa(ちゃりっぱ)
シンプルに空きスペースを駐輪場でというものです。登録数は32件とこれからですね。
駐輪場シェアはいけるか?
駐輪場シェアは駐車場シェアがあればいけるという思いつきやすいアイデアだと思います。
実際には、以下の点が課題になるかなあと感じました。
- スペースを増やせるか=利用者の利便性がネットワーク効果(多ければ多いほど便利に感じる)
- 単価が車に比べて安い(オーナーが儲からない)
- 多人数が出入りするため、トラブル可能性が高いかもしれない(車は事故とかありそうですがこれもデータがあれば検証できそう)
- スペースにおいて立地が不便なら無理。
- 他のスペースシェアリングと被らないか、ライバルや競合との戦い
というところですね。
スペース増やせるかどうかって、結局利用者とオーナーが便利で見合えば使うわけですからそこですね。直感的にオーナーが儲からないからそこまで固執しない(例えば自販機置いておけば平均5万売上て1,2万くらい入るならそっちにする?)ので、1回100円とか、1ヶ月3,000円とか分からないですが、それで仲介手数料が1、2割だと、定期で5台くらいのスペースで1万ちょっとくらい。そういう小遣いくらいにはなるかだけど、立地が大事なので駅前駐輪場には勝てないか?というところですね。
ライドシェアサービス
分類が難しいですが、駐輪場スペースというよりも、自転車またはスペースを作ってそれらを行き来できるようなサービスですね。コミュニティサイクルとか言ったりするかもです。
HELLO CYCLING
自転車に管理端末などをつけてライドシェアサービスを提供するものです。自治体などに提案していくようなビジネスかなと感じます。
多分IoTとしたつけるハードが高いとか、初期投資わりといるよねとなって、広がるまではないのかなあと。もちろん導入するところはあれど限定されるかもしれないというところですね。
メルチャリ
メルカリのシェアリサイクル事業です。
現在福岡や東京都国立市とかで試しているようですが、これは自転車専用のを用意して専用のスペース(駐輪場)に停めるモデルですね。
2018年2月から福岡で試しているのでまだ1年も経ってませんが、今後どうなるかですね。
都市部の違いはあれど大型都市でもうまくいけばそのノウハウでいろいろ展開できるというのが魅力ですね。もちろん、上手くいかなければ即撤退だとは思います。
名古屋のコミュニティサイクル
わりと気になって追ってたのですが、2009,2010年あたりでコミュニティサイクル(名チャリ)についてがありました。今は栄エリアだけのでらチャリが近いですね。これらは多分社会実験を繰り返した結果、現在どう判断したかというと、今無いので栄の中心エリアのみでしか回らんかなという判断なのかと思いました。
気になる人は、名チャリ社会実験2010の実施報告についてとか読んでみると良さそうです。2010年のやつは、確か有料でも使った気がしますが、60日だから2ヶ月くらいでサービス終わってるんですよね。あー終わるのね、で終わってそのままどうなった?という感じです。時が過ぎるのは早い。
ライドシェア系はどうか?
自転車自体は便利に借りれて一定の集客施設や駅など利便性の高いところにいければ、都市部向けのモデルとして機能しそうです。
駐輪場スペースシェアよりも初期投資がいる分、積極的にコントロールできる印象です。ただ自転車自体の製造か設計、あとポートとか駐輪スペースの確保、現状は自治体行政などとの連携や自治体向け提案とかになるかなと。大学など学校と連携もありそうです。
2017年のわりと新しいデータですが、東京都の自転車シェアリングユーザーに調査!47%が「自転車を保有する代わりに利用」では、利用者がなんと5%とかなり少ないですね。実際に東京ではサービスがあるはずで、使ってる人でも利用料を安くとかポート増やしてですし、止めたり知ってるけど使わない人は、ポートがいいところにないというのが共通してあるようです。
結局、ライドシェアのデメリットというか、かなりエリアを絞り込んで特定の利用が盛り込めるところしか当然できないんですよね。インフラ投資っぽい性質もあるので、自転車+駐輪スペースが出来ることで、近隣エリアの店やサービスの売上があがることで、街のバリューがあがるイメージです。
逆に事故が増えるとか、違法駐輪が増える(これはシステムである程度防げる時代ですかね)とかデメリットより、メリットが上にいくはずということでしょう。
ドコモのバイクシェアも都内で見かけた気がしますが、「シェアサイクルがポートに無い」をAI予測で解消へ、ドコモが実証実験というのがあり面白いなあと。ポート確かに埋まってたら探さなきゃいけないので、AI予測である程度分かると便利ですね。面白いアイデアです。
ちなみに自転車に広告つけてとかいうモデルはどこまで成り立つか分からないです。自転車の数と広告効果がある業態でないと駄目かもですね(自転車利用者にアプリを通して周知できるのは強いかもしれないですけどね)。
渋谷区の事業はドコモのやつを使ってるんですね。コミュニティサイクル事業を開始します 2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、コミュニティサイクル200台を導入します
結論的には、都市部の一部で成立するというところかなというところです。面白いけど自転車持ってたら使いづらいので、徒歩通勤や郊外から来て移動したいケースでその数が一定数あれば成り立つということかなと。
そういう意味で公共施設と組んで行政とタッグを組んで儲かるビジネスかというと、例えば駐輪ポートの製造とか設置、管理サービスとか、上のAI使うシステムや仕組み、IoT的なデバイス、の周辺で儲ける感じかなと。自転車の利用料ではそこまで儲からないはずという見立てです。
シェアサイクルの普及状況
国交省のコミュニティサイクルの取組の資料から見えそうです。
資料1P.13にあるように「全国87市町村で本格導入、13市町村で社会実験」という状況のようです。と思ったら、これは2016年時点っぽいので、資料2のP.4にある「2017年で110都市」のほうが最新ですね。
面白いというかやはり「約6割の都市が事業の採算性の確保が課題」とあるので、まあ儲からないというか事業性が課題なんでしょう。
資料3は面白く千葉市が協賛金で回すモデルとレンタル式で有料でやったモデルともどちらも微妙だったので、民間に任せるけど丁寧にやる形で今トライ中という話です。と思ったらHELLOCYCLINGのOpenstreet株式会社が公募提案に成功したということのようですね。千葉市シェアサイクル実証実験にある中間発表が面白いです。千葉市全域では自転車回転数が1回程度(1日に1台の利用数)となっていて、実証実験中なので何も言えないですが、千葉市の以前のトライアルでは、広告協賛金モデルでは無料だから3-4回で、利用料徴収モデルでは0.2-0.4回だったので、良い感じの間くらいに落ち着くと良さそうですね。とはいえ、当然企業がこれでちゃんと儲からないとまあやらないわけですが。
資料5はでらチャリもありますが、都市のシェアサイクルのデータが載ってて面白いです。でらチャリは0.3回くらいでかなり苦戦している感じですね。金沢、鹿児島、札幌とかと比べて観光利用でなさそうなのと、あとエリアが近すぎて「歩ける距離」なので、メリットがない感じがしますね。伸び悩みとあるので多分きついかもですね。
シェアサイクルは今後増える傾向にあるのでどうなるかはまた見ていきたいですね。
他の自転車ビジネス
駐輪場シェアも結構難しいし、大手資本でわっしょいしてライドシェアはある程度行政と組んでいけるくらいか、というところでしょう。インフラとかわりと大変なわりに、儲からない印象です。それだからやる価値がないとは言いませんが、ビジネス的には厳しいかなという感じを受けました。
それでは面白くないので、他に何かないかを探してみました。
自転車定額レンタルサービス Sneecle
ちゃりカンパニーという自転車買取会社が行うサービスです。自転車レンタルして乗るの?と思う人は多分ターゲットでなく、わりと高めの自転車とか最新のモデルが試せることがメリットですね。
全車種一覧では、約50台ちょっとはあるのでこれで空いているものが借りられるということですね。で、借りて良さげなら中古のものなり、買うという感じですね。面白いですよね。
多分中古自転車販売という事業ノウハウがあるからこそ出来るわけですね。新車試乗について店頭で乗るのでなく、しっかり試せるというイメージで捉えて、かつ「中古自転車の広告宣伝」と捉える視点ですね。
フリーパワーというペダル技術と販売
サイクルオリンピックが売り出している楽にこげるペダルです。ペダルは1万円前後しますが電動アシストが要らないかもというくらい楽なようです。このあたりにどこまで投資するかですよね。
パンクしないタイヤとかもありましたが、新しい技術の製品をつくるってまだまだあるもんですね。これは分かりやすいビジネスですね。
多分電動アシストを買うほどではないが、楽ならそれでいいという人は一定数はいそうですね。
自転車盗難対策アプリ
Seekerというアプリで、盗難自転車協力をして報酬をもらえるというものです。自転車乗りがお互いの目でネットワークを張るのは面白いですよね。ペダルノートはどこかで見たことがありますが、こんなアプリ出してたんですね。
cyma(EC通販)
エイチームのチャリ通販事業です。エイチームはゲームやアプリでわりと有名ですが、どこかで自転車売ってると聞いて驚いた印象です。2014年くらいに新規事業として立ち上げて、2018年では25億の売上に達しています。現状利益は出なくて赤字ですが、来年で黒字化を目指すようです。(参考:2018年7月期決算資料)
普通に通販して儲かるというか自転車を売るというのはECでやるのはエイチームっぽいかもしれませんが、面白いですね。
結構あるもんだ
こうやって探せば自転車ってコモディティ化していて何か差別化しづらいと思いつつも、結構アイデアが溢れているものだなと感じました。
おわりに
当初は、駐輪場シェアサービスだけで終わる予定でしたが色々調べたらわりと長くなっていました。
調べた結果ですが、駐輪場シェアサービスだけではつらそうな印象です。それよりもライドシェア/シェアサイクル/コミュニティサイクルがきちっと回るか、自治体からどんどん広がるのかもという印象です。とはいえ大きく言えば人口減少の中では、都市部しかまず成立しづらいモデルといえそうです。
他の自転車ビジネスは、現在なかったものをうまく見つけてきて事業化しているのが面白いですね。自転車で何かしたい人は探せば何かあるかもしれませんね。
筆者プロフィール

- 「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は400超。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介、仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューやお問い合わせはお気軽にどうぞ。
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