京丹後市丹後町でのライドシェアの取り組みが面白い
シゴトクリエイターの大橋です。
ライドシェアのネタとして面白い記事があったので、取り組みや丹後町、Uber等ささーと調べてみました。ライドシェアが過疎地を救う面もあるわけで興味深いですね。
目次
京丹後市丹後町でのライドシェアの取り組み
参考にしたのは、日経MJの2016年11月18日号4ページ「ライフスタイル」のコーナーです。ネットでもありますが、こちらのITmediaのUber、京丹後市で「自家用車タクシー」提供開始 過疎地の新たな交通手段になども同じネタですかね。
要はUberというライドシェアなアプリ、サービスが、過疎化の地域に適用したというところです。Uberというとタクシー業界と喧嘩をしているイメージですが、そうではないと。そこが面白いところです。
上の記事でも、2015年の福岡市のライドシェア実験は中止となったそうなので、実験とはいえUber最近どうなってるんだという意味で知るに良いネタでした。
運賃自体は1.5キロまで480円で、以降1キロごとに120円というところで、タクシーの半分くらいという感覚のようです。
ライドシェアの規制緩和
あと、全く知らなかったんですが、過疎地でのライドシェアは規制緩和ということでオッケーのようです。こちらのライドシェアリングの基本からトラブル、法規制についてまとめ決定版の中で、
政府は2016年3月2日、国家戦略特別区域諮問会議を開催し、訪日外国人観光客などの受け入れに関する規制改革案を提示しました。そのひとつが、過疎地での観光客に対する自家用車を使った有償運送サービスの制度拡充です。
(同上、3.ライドシェアに関する国内の法律や国家戦略から引用)
ということで、白タクとならないという形で出来ると。もちろん、他事業者との協議であるとか、運転者の免許保持などもちゃんとやってねというところががちっと入っているようです。
今年から改正されたので、早速やろうというわけで、丹後町は始めたという流れです。ちなみに、2008年にはタクシー事業者が撤退したそうです。辛いですね。
(このあたりは丹後の山奥で火蓋切ったタクシー業界・Uber戦争の記事では、そもそも2006年には白タクは交通空白地では特例制度としてオッケーということのようです。全く知らなかったです。)
地元NPO法人の気張る!ふるさと丹後町が、Uber側にシステムで協力を求めて実現ということで、このあたりはNPOの頑張りが素敵ですね。
ドライバーは60代を中心とした18名
現地のドライバーもシニアになるわけですが、元気な人が行ってサービス。それらの健康チェックもNPO側がするみたいです。
今後はこういった過疎地のライドシェアというのが大きな流れになっていくのかというところを感じた記事というわけで紹介してみました。
丹後町がうまくライドシェアを取り入れた工夫
日経MJに書いてあるものをちょっとまとめなおしてみます。
1.無駄な投資をしない
丹後町は人口5,000人の小さな町なので、そもそもスマホやクレジットカードがないというわけで、タブレット端末を貸出をしているようです。代理人として、近くの人に電話してそこからスマホで配車。その代理人に3日以内で現金を支払うという仕組み。
つまり、現地ではそもそもスマホやタブレットというのを投資する余地がないんですね。だから、貸し出してそこで共有する形でつなぐと。空港のハブみたいですね。
ちなみにUber自体はクレジット決済ですのでそのあたりは対応できないわけですね。
2.乗る側、お客側の視点でチェック
ドライバー向けの講習会や管理者による対面点呼など。ライドシェア向けの保険加入。Uberらしい乗る側と乗せる側の相互評価システムで、不安を取り除くということです。
実際に、過疎地でいきなりタクシーの運ちゃんでない人がやったら怖いので、そういう仕組をきちっとやったというところですよね。
3.助け合いの精神
ドライバーや運行管理人、代理人は支え合い、助け合いで確保されているようです。確かにお互いが社会で生きていく中では必要で、そうすれば、ちょっとしたおでかけが町民ひとりひとりに出来るというわけですね。
こちらの記事京丹後市がUberの仕組みを採用、移動弱者救済に向け有償輸送はもっと詳しいですね。5月なのでスマホ普及が課題とありますが、見事に克服したというところでしょうか。
ライドシェアという技術や新サービスが、社会課題を解決する
ライドシェア自体はUber等でわりと知られているわけですが、日本では普及というよりも既存業界や事業者と折り合いから、やはり敬遠されがちです。
しかし、文脈を変えればめちゃくちゃ使えるわけです。都会では絶対無理でしょうが、田舎では救世主ですらある。どこにターゲットをもっていくか、スキル×ターゲット=アウトプットということで、全く違うサービスになるなあと痛感しました。
ちなみにこういった視察は悪くないんですが、なんでもそうですが、結局実践しないパターンも多いわけで、そのあたり見ていくのも面白そうですね(笑)
利用者、ドライバー、自治体。三方良し
もちろん事業者としてのタクシー業を営む人がいないので、町民で助け合うことになるわけです。そういう負担がないわけではない。ただ、それぞれのプレイヤーはメリットを得られます。
利用者である町民
前導入していたデマンドバスのようなものは1台しかないし、使い勝手も悪い。しかし、今回はタクシーほど高くないしサービスもいい。しかも手軽に使えるので満足。
ドライバーや管理者、代理人で協力する町民
これもUberのシステムで決済ができるのと、ドライバー自体への報酬が入り、かつUberにも配車手数料が入るということで、仕事になっています。素敵ですね。管理人や代理人自体はボランティアだと思いますが。そのあたりは支え合いなんでしょうね。
自治体である丹後町
結局デマンドバスでは町民の要望に応じられなかったわけで、コスパが良いものを作れたということで、グッドなんじゃないでしょうか。
一見完璧に見えるけど
ただ面白いのは、丹後の山奥で火蓋切ったタクシー業界・Uber戦争では、Uberは社会実験が失敗したので、どこかで足がかりのための京丹後市であり丹後町であって、経済合理性はないという話。
同記事の網野タクシーという交通空白地をなくすという(Uberを防ぐ意味で)タクシー事業者の思惑もあるので、どちらも五十歩百歩で地域の足の課題を解決しているわけではないという意見があります。
確かに、引いてみれば、自治体ではどうにもならない課題を、NPOがどうにかできないかと奮闘した。また京丹後市の行政の狙いもあったんでしょうが、特区的にやっていこうとか(タクシーでは地域の足としてコストが保てないから、頑張ってもバス。そのバスは結局駄目だったので)。そこから、Uberのシステムを使っていくと。
uberは過疎地で遊びたいわけではなく都会を狙っている。タクシー業界は交通空白地を抑えるオセロをやっている。自治体はどちらかというと、民間では辛いからNPOや市民ベースのもので、uber歓迎というところ。という思惑が揃いますよね。
ここから考えると、uberもバカではないので、期限や見極めがあるのではないかと思うわけです。uberが丹後町地元企業だったりすればそういう見切りって「地域企業!」で残るかもしれませんが、そういうことでもなさそうです。タクシー業界はオセロをやっている場合ではないはずですが、そういうことをしないと防衛できない。
そんな風にも十分考えられますよね。面白いところです。
おわりに
ビジネスという意味で、戦略的赤字ではないですが、経済合理性が見られなくても、投資としてやる場合があるわけですよね。実際にUberって、手数料モデルであると思うので(ドライバーが語ったUberのビジネスモデルが持つ3つの成長ポイントが面白いです)、運賃の30%で回せるということは、システムだったり、アプリ自体のプログラムだったり、サーバの運営費だったりというところを賄う必要があります。
つまり、Uber的にはガンガンマッチングして、ドライバーが稼いでもらう(利用者がタクシー半額で乗っていける)ことを繰り返して稼ぐわけですね。過疎地では・・・そう、日経MJでは1日数件とありました。これではきついというのが経済合理性がないという話ですね。
Uberがどれくらいの規模なら見合うか・・・は分かりませんが、中規模都市あたりを攻められれば、過疎地もやるよーくらいなのかもしれません。シェアリングサービスのプラットフォームまたはシステムを自治体が安価に借りられるとかそういうのであればいいのですが、まあそこは全然別問題かもしれません。
これというアイデアはありませんが、ビジネスで社会課題を解決するという社会起業を少し懐かしく思いました。僕がやっていたわけではないですが、興味をものすごく持った時期があったので(笑)
色々な事業がそういうトライをしているので良いのですが、ゴールとして行政や自治体や国、または大手企業とタッグであったりしますよね。社会を変える、良い形で変えていく。今後も注目していきたいところですね。
いやー勉強になりました。ライドシェア、丹後町の取り組み、Uberのビジネスモデル。色々と勉強になるので気になったらもっと調べてみてはどうでしょうか。
筆者プロフィール
- 「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は400超。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介、仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューやお問い合わせはお気軽にどうぞ。
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