自分の仕事をつくるを再読する

西村さんの自分の仕事をつくるを再読した。軽くレビューとしてブクログを見ていたのだけど、評価が低い1,2はほとんどないのだけど、合わない人はやはりいるのは確か。それは気にならないのだけど、着地としてクリエイティブな人とか、一部の人しか生き方と働き方を一致させていく(近づける)のはできない。というのは、違和感を覚えた。

クリエイティブに生きよう!みたいな感じではないけれど、とはいえ実際には、自分の仕事を「つくってみよう」という、問いかけ、そして投げかけ、出来るところから始めてみようと受け取ったのが僕の解釈だ。これは再読しても同じように感じていて、最初に読んだときもおそらく近い印象を受けた気がする。

色々な視点で読めるのだけど、感じたところを切り取っていきたい。

クリエイティブ的な仕事を目指そう、ではない

これはミスリードと感じていて、どうしても著者がデザイン、建築設計というところでいるからそのような「興味」があるだけで、別に興味の話だ。僕は建築にそれほど興味があるわけではないが、面白いものなら見たいくらいである。

ここの本に登場する人がそういうクリエイティブっぽい人だったからそういう印象を受けかねないが、とはいえそれは本質ではない。

どちらかといえば、クリエイティブとは何かから始まり、自分の仕事を作る感じとは何かを考えるということに尽きる。そこが届かないなら、というかそのモードに入れないなら(そもそもそんな答えはないし、回答する本ではない)本書の価値は魅力を失うのだろう。

例えば、インハウスデザイナーとして会社員のデザイナーはクリエイティブではないと思いこんでいれば思考が浅いといっていい。逆にフリーランスのデザイナーだからクリエイティブかというとそういう話でもない。雇用形態、就業形態は見える一部でしかないのだ。よって、何が決めるか、またはどう考えるかは、自分の思考となる。では思考ってなんだとなっていくが、結局哲学となる。見聞きした経験、感じたこと、笑ったこと、興味関心、面白いと思ったこと、学んだこと。それら全てを統合(無理にまとめるということでなく)することだ。

統合したものがあなた自身となる。僕とあなたは違う。同じような働き方でも仕事でも全く違うことがある。それと一緒だ。

タイトル云々として、タイトルから自分の仕事を作りたい人が読むとずれるケースとしては、おそらく「ノウハウ本として読もうとした」→そんなものはないというケース。他には、「作り方の事例を得たい」→作っているが、非常に泥臭くて参考になりづらい→分からないでもないが、そもそもその人、あなたがやることは全て泥臭いので、それを見せてくれているだけなのだが、というケース。

それは分からないでもない。ただそれは期待値が高いか、ズレているのでそこはまあよくあることとしても、本に書かれた世界観なり情景、つまりそれは著者の自分語り、考察、積み上げていった知見に対してということだが、僕においては共感する部分が多かった。

そして、見出しにあげた「クリエイティブ的な仕事」とは、そういう風に言われるような、デザイナーとかイラストレーターとか漫画とか、映像作家とかなんでもいい、表現的なやつのことですよね、があるとか、イメージとしては確かにある。

でもここではそういう既にあるラベルがついた仕事の話をしているのではない。そういうものから何か来るものを著者なりに編集した、視点を再構築したというのが本書の価値となる。

そもそも仕事ってクリエイティブなものなんだ→自分でも作れるということ、その作り方は多分「会社に行って買う」感じでは少なくとも違うかなと。もちろんそこから始まることを否定してはいない。というところを受け取った。逆に会社にいって仕事を買うと、著書では時間を差し出すと書かれている。その通りなので、時間を授けてお金を得ているという発想がある限り(結果的にそうなってもいいが、まずその考えがあるという意味合い)結構仕事の高まりってないんだろうなと思う。もちろんこれは仕事をもっと考えたい人の話だ。そうでなきゃめちゃくちゃ受け入れがたい話だと思うけど、そんな人はまずこのブログ読まないからいいでしょと(笑)

解像度の話

イヌイットの雪100種類の言葉があるという話がある。そこで思ったのは、例えばアイデア出しをしてる人なら、良いアイデアとか悪いアイデアがいかに乱暴かとか分かる。それが分からないのであれば解像度が低い。

仕事でもなんでも解像度が高いと細かい違いが見えるようになる。それを専門家というという定義はしたけど、自分の仕事においてその解像度が高くならないのであれば、何か疑ったほうがいいか、そもそもの仕事を考えたほうがいいとなる。もちろん専門性を高めたいとか、何か考えがあっての話となる。

施設のデザイン設計

高齢者施設の設計。クライアントと本を回し読み、三ヶ月はスタディ。北欧から国内までの51箇所を見る。見学、体験。入浴装置、寮母の仕事をする、入居者と同じ部屋で泊まる、食べる、同じ生活をする。これを建築にまとめる。

そんな仕事の仕方があるというところで、ここまでやるかということでなくて、そういうことをしないと「デザイン」も設計もできないということなんだと思う。つまり、自分に置き換えれば、何を食べるかとか、お客さんと同期するみたいな感覚に近い。アイデアに困ってないならアイデアに困った人の話は分からないはず。もちろん、価値観で全く分からないこともあるのでその場合は想像力で補完はできる。

このスタディは面白いし、価値になる。時間資源を持つことで厚みがうまれる。インスタントとの違いか。ここでいうスタディは勉強というのもありつつも、視察でもいいし、インプットの旅という感覚が近いと思った。こういうのを意識的にしなければ、おそらくインプットがなく仕事は高められないかなとも感じた。

効率的に得たお金は質的価値を生み出せるか?多分質的価値とはならなくて、虚しい気持ちになりそう。多分人をこき下ろすとかもそうかもなあ、そのための自衛も愚かな感じがする。ここでいうお金なんて色はないとも言えるのだけど、やはり得方はある。あとお金は記号といってもいいし、手段でいいのだけど、ではそれを得てどう使うかもストーリーは必ず個別具体的になると思う。そうなると、やはり得る→お金→使うというところで、苦労して買ったものは大切に使うはずで、という当たり前のことになる。だから「苦労」しろとは言わないし思わないのだけど、なんでも簡単に得られればそりゃそうならないということがいえる。

だから、質的価値は存在しているけれど、それって目に見えないし、自分が思うかどうか、感じるかだからめちゃくちゃ分かりづらいし、それは宗教でもない。もっといえば、そういう人と一緒にいたいかみたいな信条となるという感覚だ。

ゲームプロデューサーの水口氏もゲーム作りの前にまず体験旅から始める。これらをチームで共有して話し合う。これも面白い。

柳氏の話も面白い。めっちゃ時間かけてるからこそ儲かるものではない。そこかなかなかたが、スケッチとか、なんかから作るものではないとなるほどなあ。

良い仕事

簡単にいえば、自分をごまかさないってことかなあと理解。それから遠くなるとまあむなしいわけで。

つまり、自分から遠い、ごまかしてもいいっすよねという仕事は良いとはならない。悪いというと怒られるけれど、ここに倫理や社会的にどうかとか色々出てくる。簡単に言えないのだけど、ごまかしているかどうかを誰かが判断するんじゃない。自分が考えるということになる。

そういう意味で他人が自分の仕事を「ごまかしてるんですね」というのは筋が悪いし無視すればいいのだけど、本書は「自分が仕事をごまかしているかどうか」みたいなことは自覚的になってもいいのでは、という問いかけと感じた。これは自分、読者がどう思うかだけなんだけど、結構そこがポイントだと思う。

それが仕事の内容というのは表面的である。例えば、その仕事をやっていて楽しいかどうかでもいいし、なんかもっとやりたいという感覚でもいい。言われたことはここまでだけどというところでもいい。そこを飛び越えていけるものが結構価値があるし、それが多分「良い」と感じる。

自分で良い仕事をしているとは言う必要もないし、良いと言うことであまり面白い結果にはならないかもしれないが、自分にごまかしをしてない人はやはりそういうオーラや仕事になっているのでそういう人と仕事をしたほうが断然楽しいなあと感じた。

モチベーションリソースの話

モチベーションリソースという話が出てきて面白い。簡単にいえば、ある仕事において、仕事をする人が面白いというポイントを見つけられるということ。リソースとは、レジ打ちなら楽しいポイントがお客さんと話すこと、その人の手助けをすること、レジ打ちの範疇を超えてくることみたいなのがあれば3つもあることになる。

その3つが面白いなら、単に精算をする単純作業とならないということ。レンガ造りの職人の話というよりも、これは他の仕事でも、その人が見つけていけるかがポイントとなる。なければあまり仕事は面白くならないのと、仮に「レジ打ちはスピードが命だ」という人とは「スピードもいいですけどね」となって、ずれてくる。つまり人によって異なるので、自分が見出す必要がある。

当然ながら、このように考えられる人は人材として他の仕事もできたり、高い視座があるのでどんどん出世するか、本人がそれが嫌でも頼られる存在というところに帰結すると思う。

僕にとっての仕事とは

再読しても読み応えがある本だった。やはり、自分で仕事を作るということを仕掛けていってそこでどうできるか、何を工夫できるか、唯一の価値とかそういうことはいいのだけど、楽しく、ワクワク、持続的に、ということはやっぱやりたいし、どんどん仕掛けたいっすねと感じましたね。

本ブログの読者で未読ならぜひ読んでみてくださいね。オモロですよ(笑)

筆者プロフィール

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。

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