柔軟的思考本が面白かった

柔軟的思考という本が面白かったのでメモしておく。

アイデアを出す過程で報酬が出まくる

まずは衝撃的だったのは、アイデアを出すだけで快という話と解釈。

 このような思考プロセスに備わっている一つの特徴として、その過程で何かアイデアが生み出されるたびに、脳が感じる喜びの信号によって内部から報酬が与えられるということがある。到達点ではなく過程が重要だという格言のとおりだ。(略)

柔軟的思考 困難を乗り越える独創的な脳、P.88より引用

これを見て、もうこれなら「過程」が意味ないとかぶった切れる(笑)のではないかと思ったんですね。そのとおりと言えます。

確かにアイデアを出した、そのアイデアが評価されないとやる気起きないなんて人もいるのでしょうが、僕の場合は違います。つまり、「アイデアを出したものが評価」されれば嬉しいですが、それはオプションみたいなもので。つまり「アイデアを出す過程でこれはどうだろう」ってことを出していく「過程」自体で、脳は喜んでいるようだと。そういう話です。どうりでその作業が、つまりアイデア出しが面白いのだなということで、もうこれだけで満足しちゃいました(笑)

そういうことをどこかで言ってくれていればとか一瞬思いましたが、この小見出しは「発見の喜び」なんですよね。つまり、アイデアを出すところで、小さいだろうが大きいだろうが、発見がある。アイデア自体が生まれるって、「ハンドクリームないけど手を潤すにはどうすればいいだろうか」みたいな時の、そのやり方を考えるだけで発見ってわけです(笑)

これはもうかなり良い気づきでした。

なので、僕がトレーニングとしてやっている地道なアイデア出しもですが、ブログのアウトプット(アイデア出し)もですし、お客さんに出すアイデアも全て、過程でかなり得るものが多く、脳の報酬系としては刺激されていて(全部ではないんでしょうが)そこでかなりいい感じになっていると。もちろん脳的な話なので、カウンターとしてしっかり脳は疲れるので睡眠したいし、休みたいとかもあるわけですよね。

なので、この話からして、アイデアの結果がどうとかいう場合は、まず過程でその生成過程で脳的には嬉しいってことを覚えておいて損はないかってところでした。

なぞなぞの効用

謎解きとかなぞなぞの話が出てきます。これはフレームワークの話として最近考えていることですが、ざっくり言ってみます。

つまり、フレームワークに脳がハマっていると「分析的」な考えでは無理というか、答えは出せない=解決アイデアは出ないって話です。ちなみにあとがきにありますが、訳者の方が「柔軟的思考」としたのは素晴らしい訳だなと言えそうです。つまり、本書は合理的なわりと考えていけば詰めていけば出る分析的な思考と、それに対して本書はエラスティック的な、柔軟的思考が肝だよという話を色々説明する本なわけです。

フレームワークにはめるとは、ある種の社会通念、固定概念を生成させてそれを脳にイメージさせることで、違う切り口を「思い浮かべづらく」することです。それによって、新しいアイデアや違う切り口を否定するわけです。なぞなぞとして出てくるのものそれですね。

その気付きはありそうですけど、僕が思ったのは、謎解きの見解です。謎解き自体は実はめちゃくちゃイラっとしていたんですよ(笑)とはいえ解いたりするのですが、苦手とかそういうのもあるんですが、解いてみたいというのがある。本能的なものですよね。

ただそこである「出題者がこれ解けないでしょ」みたいな(そう思っているわけではないのですけどね(笑))妄想があって、イラっとすることが多いなと。当然解けると嬉しいのですが、解けるのはおいておいて、「なんでイラっとするんだろうか」が疑問でした。

あなたはどうですか?イラっとしますか?謎解き(笑)

僕が考えたのは「あーもしかして、このイラっとするのは、フレームワークにはめるぞという出題者がいて、しっかりはめてくる。それで違う切り口が出せないストレスを弄んでいることに対して僕は苛立ちを覚えるのだろう」ということです。

別に謎解き生成者に苛立ちはないんですよ(笑)むしろ頭いいなって思ったりする、作るわけですからね。むしろ称賛です。ただ解くと解けないという感情、状態にイラッとするということです。冷静でしょ?(笑)

この時、「フレームワークを生成」すること、それを見事にハマることというところで、ある種の挑戦なんだろうなと。つまり、僕は自己理解として、自己認識として「頭は柔らかいはずだ」というのがあるわけです。明確になくても、だからこそ「解けるはず」の課題が出されて「分からない」というのがより苛立ちを悪化させるというか、増幅させたと。

これが分かったので、謎解きのストレスがなくなったというか、完全には消えないのですが、「あーフレームワーク作りがうまいな」という神の視点(笑)出題者の視点となったわけです。もちろんそれで「解ける」かは別です。なぜならフレームワークにはまらないようにしていても、Aというフレームワークを突破できない、Bという視点で見えないから、ハマるんですね。より知っているけどハマるというのも面白い。つまり、知っているから知識としてハマっているというのも分かっても、そこから「違うアイデア」を出すのは別なのだろうとも思ったんです。

かなり解像度は高い話ですが、待てよと。これを応用すれば、アイデアを出しやすくなるのではないかと。つまり、トレーニングとしてはこういう謎解き的な(謎解きでなくていいのですが)ものがいいなと。つまり、柔軟的思考を鍛えるトレーニングって出来そうですし、それこそまさに求めているものだなと感じました。とはいえ、これすぐ身に着けられるものとは全く思わずです。

だからこそ、フレームワークとして既にある固定概念なりバイアスを外すことが求められる=それこそがアイデアを出しやすい状態となる。でもですね、これは違和感発想というところでも分かったのは、あまり外していくと社会生活を営めないわけですよ。例えばスーパーでお金を出すのはレジでですけど当たり前です。ですが、お金を出さずにレジを通るのは万引ではないですがやはり後ろめたい。例えばこれはAmazonGoみたいなやつならお金出さなくてもネットなり勝手に引き落としするわけですよね。無人レジも若干それに近いですけど、とはいえそういう誰かに払うみたいな感覚が手触りがないと「なんか怖い」んですよね。

これは冗談でなく、そういう染み付いた固定概念(商品を買ったらお金をそこで出すこと)をアンラーニングするのは超難しいです。当然慣れれば無人レジも支払いなしもいけるんですけどね。ただそれを謎解きよろしく、概念で外すのはわりと至難って思いませんか?だからこそ、アイデアが出せない人というのはあ、分析的思考は得意か出来ても、こちらの柔軟的思考にたどり着けないというか、「天才」「天性」のものとラベリングする(まさにこれも分析的思考)ことで諦めてるのではないかって仮説も生まれそうです。

 知性の勝利について語る際には、優れた分析的思考、つまり強力な論理によって生み出される思考に焦点が当てられるがちだ。しかし、思考のための枠組み、つまり問題をどのような形でとらえるかをイメージし直すという能力については、めったに採り上げられることがない。それは柔軟的思考の産物であって、<判断力>という漠然とした能力を必要とする。新たな状況表現を自動的に生み出すのは難しく、ほとんどの動物にはなかなかできないが、人間の世界ではそれが問題解決の鍵になることが多いのだ。

柔軟的思考 困難を乗り越える独創的な脳、P.122-123より引用

ここで著者は知性の素晴らしさの話において、分析的な思考はよく言われるけど、こういう柔軟的思考は結構見落としがちだということを言っています。確かにこれらは判断力とかもそうですが「ひらめき」力みたいな、「創造力」とかいってもいいですが、それで終わると。なんか「思考」じゃないみたいな話とすら思われると。でも、ここでは明確にですけど、柔軟的「思考」があると。ここがやはりしびれるというか、ポイントだと思います。

結局フレームワークで規定されることが悪ではないんですよ。社会生活を営むとはそれをまさに学ぶと。挨拶をするとか、お礼を言うとかあったほうがいいじゃないですか(笑)でも、挨拶をなんでするんだろうと。挨拶をすべきときではないときもあるわけです。落ち込んでいる人がいて声をかけないほうがいいみたいなこととかでいいでしょうか(笑)

当然そういう「状況をイメージしてください」と言われてしてしまうと、そこの分析的思考はできても、「突然その人が元気になった」理由なんて分析からは分かりづらいんですね。例えば「落ち込んでいたのはペットがいなくなったからだけど、実は病気で家族が入院させていて連絡が遅れたメールをもらった」みたいなのがあるとして、病気は心配だけどさっきよりは元気になったと。こんなの分からないじゃないですか(笑)分析しても。みたいなことです。

人ってそういう文脈やルールを解釈して考えられるからこそハマるんですね。

だからこそ、これはフィルター具合の問題とも言えますよね。分析ゼロでも怖いし、柔軟ゼロでもまた行けないと。

ポジティブな心理は基本柔軟性を高める

色々ヒントにはなることが多いですが、本書にはあまり似合わないものの、やはりポジティブな心理とかはアイデアを高めるっぽいです。最終あたりに色々と書かれていました。これは脳的に良いって感じですかね。

面白いのは認知フィルターの話です。ざっくりいえば、分析的思考=認知フィルターが強いわけです。前頭前野みたいなところでそういうトップダウン的につまりルールがあるし、演繹的といえそうですが、こうやってなってるからそうなるんだみたいな指揮官と言って良さそうですがあると。それで縛られると、柔軟性、つまり柔軟的思考はしづらいと。

でもですね、薬物、それこそマリファナとかLSDとか出ていましたが、研究としてですよ、そういう依存者はアイデアを出していたりするんですね。留意として副作用がやばいので、当然やめろと書いていますよ(笑)ミュージシャンが良く薬物中毒とかハマってとかってないですか?あれはスランプとか、何かアイデアが出せない時に合理的という意味では意味があるんですね。認知フィルターが外れるからです。それによって、外れる故に柔軟的に考えられると。絶対ではないですよ(笑)

この話を見て、アルコールはどうなんだって思った人は鋭いです。僕も思いました。アルコールもやりすぎれば駄目ですが少しならやはり緩まるので、認知フィルターが弱まるので良いアイデアが出るかもです。ただなんにせよ、その手法に依存して飲みすぎるとかがコントロール出来ないならば辞めたほうがいいです。

僕もアイデアを出す時に酒を飲んでいるとかはなくて(笑)まあ色々頭の回転は早くなりますが、僕らしくやるなら「ノンアルコール」でそれを気分で味わってやるほうが「創造的」だなと感じました。ノンアルメーカーの人が読んでいたら一緒にそういうの作りませんか?ってまあ冗談ですけどね(笑)

まあそういうライフハックみたなトピックを扱うのが本書ではないですが、一部そういうのもあるから使えるかもよってことで。

僕としては認知フィルターを弱めるというところが結構使えるなあと。ただ道具や手段があっても依存すると危ないので、副作用で身をガチで滅ぼすので辞めておいてくださいね、まじで。

あと単純作業をして脳を疲れさせるのもありみたいです。まあ単純作業自体嫌ですけど(笑)ただそれで実際に動きが鈍る、直接認知フィルターがどこまで弱まるかはおいておいて、でも疲労している時って「まあ面倒だからこれでいいや」みたいなのありますよね。あれに近いかなと。そうなると、普段ならやらないことをやってしまう=これがミスにつながることもありますが(笑)ここでは、分析的思考に出来ない思考をすることが目的なので、そうやって疲れた時に出るアイデアも多分柔軟的であるのも、経験からしても納得できました。

だから無理やり疲れさせてってのもどこまで採用出来るやり方かは分かりませんが、そういう考え方や視点もありってことですよね。

他の面白かった点

機能的固着は心理学用語だけどまさにこれもフレームワークといえそう。ろうそく、画鋲問題みたいなのが有名であるので体験してみるのがいいかと。

青色スライドの話も良い。P.208-209あたり。要するに自分と違う考えとか意見を受け入れなくても無意識に緩まると。つまりここでは青色と緑色の判断基準が緩まって、青色なものも緑かも?と思ってしまうこと。コレは面白くて、違う意見とか考えの人も「同意」しなくても、緩まるということになる。まあ悪く使えば洗脳とかもそりゃできるんだろうけど、逆にそれこそ柔軟的思考の余地が誰でもある(全く意見が逆の人もそれで影響を受ける。正確には受け合う?)ってことでもあるので。

アイデアに関する解像度が上がった

本書はかなり面白かったです。目的がアイデアのとくにアイデア出しの解像度を上げることだったのでほぼほぼ達成できた気がします。

とくに報酬がアイデア出しの過程で出ることは嬉しい気づきでした。具体的な物質とかは分からないですがなにか神経物質が出ているのだと思います。このあたりも余裕があれば調べてみます。

他には、謎解きのいらだちですよね(笑)これがスッキリしたので、うまくフレームワークを作ってそのギャップが見えないことで「いたぶる」(笑)のではなく、そこをどうすれば突破できるか。アルコールはちょっとおいておいて、疲れたり、別のよくあるもの「リラックス」ですよね、これがまさに認知フィルターの切り替え、モードが切り替わることで良いアイデアにつながることも体験と合致しました。

というわけで、まだまだこうすればいいなんてことは言えないとは思いますがそれでも、ポジティブなことは多分柔軟性にプラスだろうし、色々と言えることはあるなあと感じました。

あと、トレーニングはあまり言及がなかったとは思うのですが、柔軟的思考は思考であって身につけられるのだろうというのもより強く感じたところです。すぐ身に着けられるものではないが、身に着けられないものではない。この気付きをさらに強化して調べていきたいところです。

筆者プロフィール

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。

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