No.1調査から考える改善アイデア
No.1調査というのが流行っています。流行っているといっても、体感差はあれど、一般生活者からすると「あーNo.1のほうがなんか安心できるよね」といってうっかり購入動機にもなりがちなアイツです(笑)
No.1調査自体が悪いわけではないのですが、これもやはり使い方というところで、ちょっと考えてみます。
JMRAが怒っている
怒っているという感情は協会団体にはないのですが、まあ抗議というところで僕には怒りと読めたって話です。
というのがソースとなります。
JMRAとは、正確には日本マーケティング・リサーチ協会のことで、いわゆるリサーチ会社の協会団体です。
なんで怒るかというと、No.1調査ってのがあるのですが、それが結果的にNo.1ならいいけど「No.1]とするための調査があるんじゃないかってことを言っています。
手段と目的が逆転と言えますよね。調査って手段ですが、No.1というのを取りたい企業はそのためにNo.1調査を依頼するわけですね。
もちろんここに特定の企業団体名はないのですが、そういう情報を得ていて概ね裏が取れているから言っているんだろうなというところです。
悪貨は良貨を駆逐する
僕の見立てでは、なんで怒るかというと、まあリサーチ会社協会というところで、コンプライアンスであったり、会員(ここでは企業のことですね)のあらゆる点においてマイナスだからです。
例えば、リサーチ会社って何をするかというと、クライアント企業や官公庁とか色々あるわけですが、そこから調査業務を得ます。然るべき手法を用いて(統計、調査手法等)調査をします。その結果どうだったかは言えるのですが、例えばNo.1となったものがあればそれはそう言ってもいいわけですね。
しかし、これがねじ曲げられるとどうか。No.1となれそうなところを予め予測してやっていくはギリギリかもしれませんが、とはいえそこに余地として「手法」を乱すことがあれば、まあ捏造に近いです。数字を変えてしまったら捏造ですし、調査をしてないのにしたとか言ってもいいわけです。
つまり、悪質な調査(ここで挙げているようなNo.1調査、もちろんNo.1調査全てがではないですよ)によって、良質な調査(会員等が行う調査)が駆逐されるって感じなんですよね。まあそうなったわけではないけれど、十分そうなり得ると。だからこんな声明を出したんだと思います。
バカバカしいと笑えないのは、No.1調査に発注する企業はそういうリテラシーなんかなくて、「No.1」と書けば儲かる=客が認識しそれを信頼するから、という構図があります。でないなら、企業も馬鹿ではない(儲けたくないわけではない)ので依頼しません。依頼を受けている会社はそれで儲かるからやると。
リサーチって儲かるからやるというある種の市場性のみだけではやはりきついと思っていて、なぜならそこに研究やデータから導き出すというところの矜持があるんじゃないかと思っています。ざっと見るだけでもJMRAの会社はかなり設立年度も古い印象で、昔ながらの調査はそういう意味合いが強いかとも思いました。
もっと進めば、調査自体意味がないとか、怪しいものだとなってしまいかねないと。これはリサーチとして業界的にも痛い話なのだろうというところです。
故に悪貨は良貨を駆逐するということわざを思い出したところでした。
着地はどこになるか
では現実的な着地はどこかですが、これは結構難しいです。
まずNo.1調査を行うことは違法でもなんでも無いはずです。No.1と名乗るための調査などは当然然るべき手段に乗っ取るわけですが、それが開示されるかとなるとまあ機密情報ではないかと。もちろん結果は開示されますが、調査手法は開示されてないことが普通ですよね。
じゃあこれを開示するかというと実際に調査は項目ごとでも簡単にはだしていて、明らかにN数が足りないとか、設問が恣意的ならその質問票でわかりそうなものですから、質問項目と結果レベルの開示は今後必須になるかもしれません。ただこれをするしないの義務性はないわけで、これもいわゆる調査主体の任意になりそうですよね。
No.1調査で仮にいじりまくっている会社があるとしてそこはヒヤヒヤものだと思いがちですが、実際にそんなことは無視して営業がテレアポなり何か強引に取ってしまって、それっぽい調査をすることでまあ「無視」できちゃうんですね。まあこれは不法投棄みたいなもので、捨てたもの勝ちみたいな感すらします。でもそれが出来てしまうというところがポイントです。
不法投棄については、産業廃棄物を捨てたい企業がその業者がちゃんとしているところかを見る必要があり、それは法律で登録制にするとかはありますよね。そういう観点でどこまで法律や国の目から、違う第三者のチェックや認証機関がというところになっていくのかなとも思います。
もちろんこれは悪化したり、止められないならそうなると。一方で企業側が「怪しい調査」に気をつけてみたいな啓蒙活動も出てくるのかなと。そこで見極められないかどうかは企業のリテラシーになる、正確には担当者や担当部署などのリテラシーですかね、となってくるかもしれません。
改善アイデアは何があるか
とここまで問題というか前提を考えてみました。
最後にアイデアを少し考えてみます。
例えば一つは取り締まるというのはあまり良い方向に行きづらいです。No.1調査をやるところの売上になるからであって、主張としては自社商品と言い切れるからです。どんなやり方でさえ(笑)なので、どちらかといえば無効化するほうが良いんでしょうね。
つまり、No.1調査ってもう溢れてるじゃないですか。モンドセレクションみたいなものもあるし、結局お金かと(笑)そういうところは資本主義で否定できないのでなんともですけど、一般生活者もさらに企業も馬鹿ではないと信じて、「そんなのしても効果ないんじゃないの」というところを貫くと。
まあそう考えてもそれで騙される場合はあるのでしょうから、実際に騙しているならば(不正な調査ならば)、これは景品表示法違反とかそういう話にできるのでそっちに持っていけばいいと。
二段階で考えてみて、一つはNo.1調査に効果は分からないのに加えて、怪しいものを掴まされると逆ブランディング=企業へのロイヤリティは逆に下るみたいなリスクを示すことになりそうです。取り締まりに近くなっちゃいますけど、やれることってそんな感じですよね。
あとはもっと発想を広げて、大胆に逆にNo.1調査組織を作ってそこで囲ってしまって、不正な調査をやらせる余地をなくすって感じです。漫画村とかの著作権違法に対するアタックとして、そもそも不法で見られるとかでなく無料で見られるからそれを見てしまうと。逆に少額でいいので出すような仕組みにすると多くの人は(一部は無理でしょうが)払って読むみたいな話がわりとあります。
だからこそ、しょぼい調査でなくちゃんとやりますよ!って言い切ってそこで囲い込むってのはどうかってアイデアです。わりとイケるかもしれないですし、全然だめかも知れません(笑)
筆者プロフィール
- 「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は400超。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介、仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューやお問い合わせはお気軽にどうぞ。
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