インク試し書きを有料イベント化した伊東屋のインク沼イベントが面白い

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日経MJでインク沼イベントの紹介がされていました。

G.Itoya B1 INK.Ink.ink! ~インク沼へようこそ~ 9月19日(水)~26日(水)

このイベントは、一週間程度あり、1,000種のインクが展示され試せるイベントです。入場料は500円となっています。

このイベント自体は好評だったようですが、それ以上に面白さは、サンプルを試すということを有料化したという視点ですね。

簡単なメモとしては、2018年11月2日付け3面からですが、

  • 伊東屋の想定を上回る約2,000人が参加
  • 自社企画イベントで入場料を取るのは初
  • 来場者のほとんどは2-3時間滞在
  • 試したインクを合計1万円以上購入した人もあり

となっています。気になる人はMJ読んでみてください。

ちなみにインク沼とはインク好きを自虐的に呼ぶ(インクが沼のようにたくさんある意だと解釈)表現で、別にインクの沼が本当にあるわけではないようです(笑)(参考記事:万年筆に潜む「インク沼」の罠とは!? – Twitterで人気の万年筆屋さんに聞いた

試し書きを有料化する

インク自体をここまで揃えることと、試せること自体がイベントとなっています。つまりコト消費ですね。

  • 1000種ものインクが試せる
  • 試筆用ノートが配布
  • 日替わりイベントも開催

もちろん、万年筆インク自体はコストがかかるため有料にしてもいいわけですが、「買うかどうか分からない」ものに対して、「お試し料」としてサンプル料を出すのはなかなかできないものでしょう。

それをイベント化することで、そこを解消したのが素晴らしいアイデアだなと。

しかも、ターゲットは万年筆好きもですが、そうでない人もなんか「インク色がたくさんある」ことでワクワクして、試せるという人も多かったのではないかと推測できます。少なくとも僕も行きたくなりました。

参加者の声は概ね好評

銀座伊東屋~インク沼へようこそ~ 沼の入り口に立ってみて感想では、186色を試され、3.5時間滞在されたということで満喫度が伺えます。ただ荷物預かりについて貴重品を持っていくと両手が空かないのでそのあたりの工夫についてはなるほどと思いました。

銀座伊東屋『INK.Ink.ink! ~インク沼へようこそ~』に行ってきましたでは、86色試されたようです。ペンが微妙で書きづらかった点が改善点のようです。

これらから垣間見えるのは、イベントとしては面白い点は評価したい。しかし、細かい点で長時間いることになる(一個試して終わりでなく、1,000もあると100くらいは試したくなりそうだから)ので、その設計が改善ポイントとしてなりそうですね。

伊東屋のさらなる仕掛け

日経MJの同紙面に戻ります。

G.Itoya1階 PILOT ペンバイキング 10月19日(金)~11月1日(木)では、PILOT100周年ということで、パイロットの人気筆記具の詰め放題を行ったようです。文房具の詰め放題は初めて聞いた気がします。

こちらは参加費は1,080円となっていて、クリアペンケースに蓋が閉まるまで入れていいということのようです。面白いですね。

こちらも同紙では「コスパが良いということで、1日600-700人が来場」したようです。

ここから分かることは、毎日イベント化されては微妙ですが、イベント化することで確実に人は呼べるし、そこをフックとした仕掛けとなるということですね。文具自体の粗利は分かりませんが、お得感を残しつつ、口コミやブランド力を上げつつ、イベントとして疲れたけど面白かった、新しい文具の出会いなども見込めるのでより、お客さんのファン度が増しそうだなと感じました。

どうすればお客さんが興味を持つかを考え抜く

マーケティング的には一個の理由より二つ理由があったほうが来やすいようです。

逆境アイデア本と僕が読んでいる、ひらかたパークなどをV字回復させた河西さんの本の話を思い出しました。ちなみに、kindle unlimitedでも現時点では読めたので気軽に読めておすすめです。もちろんそうでなくても買いです(笑)

詳細は本書に書かれていますが、下記の記事から引用して、

そこから発見した行動心理のひとつが、本書でも紹介している公式である

「人は、そこへ行く理由が2つあると、足を運ぶ」

でした。

たとえば、温泉だけではそこへ行く気にならなくても、温泉とアウトレットの2つがあれば、行ってもいいと思いますよね?世界遺産だけでは行かなくても、世界遺産と美味しい名産品があれば行きたくなる気持ちがグンと強くなるはずです。

「ひらパー」をV字回復させた”逆境請負人”が伝授! 追い詰められていても「結果」を出す企画術より引用)

本はこちらです。読みやすくてかなりおすすめです。

例えば文具店には「文房具を買いにいくかどうか」だけでは吸引力が弱いわけですね。イベントだけでも「イベントがあるからいくかどうか」となります。ただ、「ワークショップもあるし参加できなくても、試し書きはやれるし、そうでなくても文具何か買いに行くか」となって、行きやすくなるという理解です。

他にも、ふんどしパレードというゲームで有名な山田さんがゲームで学ぶ心理学ということでまとめている点も思い出しました。

(前略)

ゲーム開発やサービス設計においては、複数の「目的」をタイミングよく提示し、「一石二鳥」に感じてもらえるよう意識すると良いです。

「ゲームで学ぶ心理学」図解まとめ6個より引用

ゲームにおいて、ユーザーは目的が1つだけで「洞窟のモンスターを倒して」では面倒になるけれど、「モンスターを倒してきて」「洞窟の石を拾ってきて」なら、一気に解決できるからやる気が出やすいという話です。

ゲームといっていますが、これはゲームをダウンロードしたユーザーがやる行動心理なので、ほぼ共通だと感じました。面白いですね。

たまたま2つの関連する話を思い出したわけですが、結局、お客さんが、ここでは文具を使う人が何を考えているか、どうしたら足を運んでもらえるかを考えないとたどり着けないでしょう。

当然有料化してもそれに見合う価値があるのではないかと感じたからこそ来ているわけで、有料化してイベントすれば簡単に集客できますよという話では決してありません。

以前書いた、ボールペンの名入れで特別感を出し集客するアイデアも文具コーナーに名入れすることでイベント感が出ていました。こういった仕掛けをして楽しませる動線づくりがポイントになりそうですね。

何かヒントになれば幸いです。

筆者プロフィール

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。

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