観察ノック23本目:分譲展示場に人を呼ぶ

観察事象

ある分譲展示場、いわゆる分譲戸建てとかマンションもあるのでしょうが、そういう展示場があります。面白いのは集客アイデアとして試みをいくつかしていたのですが、ある時がらりと施策が変わりました。

簡単にいえば、食べ物屋さんなどを出展してまずは来てもらうということなのですが、シンプルですが「食べ物」に興味をもつ人は多いのでこれは一定の成果を上げられそうな反面、ターゲットとのずれがある可能性もあります。

あなたはどうでしょうか?新規の食べ物、あまり見かけないものがあればまず行きますか?そのあたり考えてみましょう。

何が面白いのか

毎回違った店が出てくる点

これは正直驚きました。そのために営業をするのか、何かしらネットワークがなければなかなか来てもらうのは大変だからです。例えばマルシェなどのイベントに色々な店が出ていますが、こういうのも皆が出たいのか、出ると売れるのか、そういう場と出展者、あとはお客との相互作用によって決まります。

つまり、出しても売れないなら来ないし、とはいえ出さないと売れないので出るというか。このあたりの駆け引きになるのですが、当然客がついた店であれば、その店が出るならその「場」にいくとなると、他の店も「場」も恩恵を受けられます。

さて本取り組みは、分譲展示場への顧客として、そのフックとして食べ物を用意したということです。タダではないですよ(笑)そういうことでなく、楽しんでもらった体験してね、というのが一つの誘導であり主な狙いと捉えられます。

そこで毎回違う店を呼べるには、インセンティブが優れているということが想定されます。具体的には出店料はかからない、売上歩合など手数料は不要、営業時間の束縛はない(例えば売りきったら終わるとか)など店側の自由度があるのではないかと想定しています。そうでなければ、売れるとも分からない新規出展スペースはリスクだからです。

ここは店側=ある種小売ですよねとの駆け引きになるでしょう。展示する場があって、そこで売るとしてもお客が来なければ意味がないですし、とはいえ新規の場ならイメージもつけやすいのもありますしね。

食べ物に絞っている点

マルシェは野菜などもありますし、またマッサージなどもありえます。ただここの施策では食べ物に絞っていて、その場で食べられる点が重視されているようです。

というのは、食べ物を持ち込んで食べることを狙っているので、食べられるものが制約といえるからです。例えばここでマッサージとか、アクセサリーとかはないってことですね。雑貨とかバッグとか服もないですね。

食べ物に絞られるという制約はあれど、逆にそこで毎回違う店、つまりメニューがあることで話題になりやすいということもあります。この施策は以前は見られなかったので、本腰を入れて宣伝したり、マーケティングをやろうというのは伺えるのでプラスな印象ですよね。

少なくともあまりうまくいってないのに、変えていかずにそのままでやるということは、結局停滞になりますしね。

ターゲットと合致するか。その率は?

最後に課題です。この施策は食べ物をフックに体験してもらうというわかりやすい施策ではあります。問題はいくつか見られるのですが、食べ物の匂いが結構きついものがあります。展示場という性質では、当然サービス側が「良い」とはいえ、ソファやクッション、安くはないのでそれらに匂いがつかないのか。まあ気になるんですよね。

仮に気にならない、サービス側がOKとするからということで、持ち込んで食べて汚した場合どうするかですよね。これに頓着がない人がお客である時、例えば購買層ではない学生であるとか、ずれたターゲットになるかもしれません。文字通りお客は色々いるわけで、自社商品を買う気がない人も来るわけですよね。そういう人が悪いわけではないのですが、あまりにズレていると効率、リソースが勿体ないかもしれないですよね。

次に持ち込んで食べ物を食べることで、周りの体験は確かに展示場ならではのUIUXに持ち込めます。なのですが、食べ物の価格は1000円以下ですから、そこで体験する安くても数万円ですよね、の家具やそれらの価値とすると、ちぐはぐさを感じます。乱暴にいえば、うまい棒10円を高級レストランや固めの料理店で食べるみたいな感じなんですよね。

これは昔僕のサービスも、回転寿司かと思ったら回らない寿司だったみたいな評価(笑)を頂いたこともあるのですが、ポップさやハードルの非草はマーケティングのタッチポイントとしてはグッドですが、それによってブランド自体も変えてしまってないか。そこのバランスを取るのがマーケターであるかなとも思いますが、ズレているように感じます。

とはいえ、施策アイデアとしてはどうすればいいかはわりと難しいのですが、少なくとも食べものと展示場の連動を、単に食べられるというストーリーでは、カスタマージャーニーとしては乱暴な気がするわけです。たとえば、自ら買ってみてそこにいくだろうか。何か障壁はないだろうか、買ったお客さんが来たら直接店内なら聞きやすいので聞いてみたらどうだろうか。押し売りはしなくても、簡単に会話するなら商品のことでないなら、きっと応えてくれる気がします。そこでの返報性の原理でいえば、お客は食べ物を買っているので、あくまで場を提供している、いわゆる高級レストスペースを無料で使っているので無碍に断る人はいないでしょう。

ただこういう場は何か押し売りされるかもしれない、何か案内があって色々と言われて帰れないかもしれない。そういう入りにくさは商材的にも潜在的にあるような気がします。

そこを丁寧に紐解いていくことで何か突破口が見えるかもしれないなあと感じたところでした。

切り口

  • 自社の行っているマーケティング施策でどこかちぐはぐなところはないだろうか?整合性といってもいいし、自分が客なら使わないのにやってしまっているミスはないだろうか?それは自分で体験したら試すことなのだろうか?疑って考えてみよう。
  • 何かをフックで釣る、いわゆる試食売り場的なアイデアは未だに効果的といえる。一方で試食的な場合も、それを食べているので買いやすいという明確なストーリーがある。ただデモンストレーターはその会話や対応というのもポイントなので、商品だけ見せてないだろうか。きちんと商品を感じる誘導や最も商品が輝くところを出しているのだろうか?

筆者プロフィール

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。

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