謎解き企画を用いた書店への集客マーケティング

実際に参加して面白かった事例を共有します。

丸善にて開催されていた謎解きイベントに参加してみました。集合して一斉に解くタイプでなく、個々で参加して楽しむ形です。非常に面白かったのでこれをうまくお伝えできればというところです。

謎解き本屋の誕生

丸善で行っている謎解きイベントです。

正確には「フシギ書店の謎めく物語」(名古屋編)ということで、2020/2/28~6/30までで、丸善名古屋本店で開催されていました。

A5サイズの冊子が店頭設置されている

謎解き希望者は、上の冊子を手に取り、丸善名古屋本店を巡るということになります。

スマホとhontアプリ登録も必要ですが、鉛筆(店頭にある)が必要です。あったほうがいいのはバインダーなどですね。書くときが書きづらいので。

口コミもこちらにありますが、高評価ですね。多分ですが無料で参加できて質も高いと僕も感じました。

何が狙いなのか?

謎解き企画制作はタカラッシュが行っています。

一参加者としては、僕自身は実は隠してもないのですが謎解きが嫌いなんですね(笑)あえてやるという感じですが、本屋や書店というところでやっているのが新鮮だからやったということです。とはいえ、謎解きイベントは何回かやっています。多分ある謎解きイベントに初めて参加して思ったのは謎が解けなくてイライラした経験が強かっただけで、謎解き企画自体は全く悪くないです(笑)

それはおいておいて、狙いは、書店マーケティング、本屋にお客さんを呼ぶということと想定しました。そこでいくつか考えられるのが以下の効用、ベネフィットです。

1.滞在時間が長くなることで購入単価が上がる

謎解きが得意ではないものの、冊子にある参考時間を合算しても75分で1時間はかかります。早く解ける人はもっといるでしょうが、実際にフロア移動もありこれが結構時間を使います。これによって必然的にいろいろな棚をウロウロするので購入につながります。

ウロウロするのでついでに本も買おうかというところになり(書店をウロウロ謎解きだけ解いて買える人もいてもせっかくなのでという人が多そうという読みです)、レオ・レオニのグッズを見つけて買ってしまったところでした(笑)

また見かけた本で面白いものも買ったりということで、目的買いでない、ウロウロ買い、なんとなく買いを誘導することにしています。

文喫などのユニークな本屋があるわけですが、状況もありますが、商業施設等でも滞在時間が長くなると、疲れるので休んだりするので、カフェや飲食、その他のアイテムも売れやすくなると言えそうです。実際には顧客が買い物に満足しているという裏付けになるわけですよね。

2.本を読む体験が生まれている

冊子の表紙にあるのでネタバレにはならないと思いますが、hontoアプリを使うことになります。これは書店でいえば本を読むという体験をこの企画に入れたということになります。アプリなので電子書籍ですが、書店といえば本を読むことである、という本質を突いています。

本を読むという体験を参加者に提供することで、ある種の追体験や本を読むという状況を増やします。

コーヒーの試飲ではないですが、試飲する人のほうがコーヒーを買いやすいはずでしょうから、同様に本を読む体験をした人は本をもしかしたら読みやすくなっているかもしれません。すなわち本を買いやすくなる土台や状況を作った、ある種のモーメントを作ったといっても言い過ぎではないと感じました。

本を全く読まない人にも、謎解きという形で入っていけるのが強みで、本を読む人も謎解きってそういう切り口かと驚きがある可能性が高いでしょう。

3.書店に何度も行くことになる

コロナ禍というところもあり、書店にある椅子等は撤廃されているので店内で解くのはきつくて諦めました(笑)結構最後のところでプレイしている人はパラパラいて、やっている人いるんだなと思いました。

実際に、丸善だけではないのですが、丸善も遊びにいきつつというところで、実際に1,2,3回行ったことになりました(笑)毎回本を買ったり、楽しんだりして、ロイヤリティが急上昇したといっていいでしょう。実際に丸善は行くのですけど、一方で「そういう切り口で楽しめるのはポテンシャルがあるなあ!」と面白かったわけですね。

いつもあれば飽きるのですけど、そういう切り口もいいよなあと。ジュンク堂で泊まる企画もありますが、そういう感じの面白いアイデアだなというところでした。

結果的にこれは1の購入するところに結びつきますよね。

本企画の成功ポイントはどこか?

成功と僕は捉えましたが、おそらく丸善側の狙いは想定ですが、普段本屋に来ない人が「謎解き」という手軽に参加できそうなフックで来て、本屋にあるもの、本を見る読む、気づく、本を読むという体験を通して、認知を増やす、買ってもらう、気づいてもらうということでしょう。

これは本好きや本を自分で選んで買う人にはノイズになるかもしれない、つまり一般客には邪魔になる可能性もあるのでそこの配慮は必要でしょう。が、騒いで良い本屋でもないので、ここはまあOKだったのではないかというところです。

つまり、普段来ない人が来ているというデータが取れれば成功です。それはhonto会員増加でもいいですし、謎解き企画への口コミとか、SNS等のつぶやき(ソーシャルリスニング)であったり、手応えで見ていくかもしれません。あと、わかりやすいのは冊子裏にある電子書籍クーポンです。

冊子裏ではクリアした人向けにhontoで使える電子書籍500円クーポンが貰える

これは分かりやすい特典ですが、本を普段読まない人、本屋に来ない人には「このエサ」ではきついわけですよね。あくまで、謎解きがあって、本屋がそのイベントの場であった。そこで遊んでいたら解いたらもらえた。しかもまあまあ面白かったイベントだし(質は高い)、ならばちょっと本でも買うか、またはhontoで買うかというシナリオです。

こううまくいくかはおいておいて、一定程度これはイケてるのではないかと感じました。実際に参加者からヒアリングしたり、タカラッシュ自体がやるのかもしれませんが、リサーチすれば色々見えてきそうですよね。あくまで想像ですが、これは一定程度成功したと僕は思いました。

少し笑ったのは、店員さんに答えを聞かないでというところですが、聞きたくなる気持ちはわかります(笑)ヒントをみて頑張ってとしかいえないですしね。

まとめ

満足して面白かったので、これは集客マーケティングとしても成功したというネタでした。

ただ、コロナ禍ということもあり、全く仕方がないのですけど「椅子」がないのに、椅子で座ってというギャップはあります。実際に立ちながら解くのは辛いので、今後コロナ禍ということを考慮すると色々と解き方を考える必要性がありそうですよね。

一方で、書店の集客マーケティングとしてこのやり方は面白く、謎解き「も」できるので、ある種エンタメとして、本屋の棚を見ることで、ECで買う目的買いとは違う体験をやはり訴求できるのではないかと、書店のポテンシャルを改めて感じた限りです。

本屋や書店での集客は簡単ではないと考えているとなかなか出てこないアイデアです。ここでは謎解きというエンタメや楽しみを掛け算することで、意外かつ本質を突く読書体験を提供することに提供しているといえます。こういう外から攻めると意外にいけることってあるんですよね。

筆者プロフィール

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。

違和感で発想のやり方が学べます

日常生活で感じる違和感を用いて、アイデアを出すやり方が学べます。「違和感発想法」は誰でも気軽に出来るサービスです。

LINE公式アカウント登録で無料で学べます。気になる方はチェックしてみて下さい。