ブルシット・ジョブイベント参加してみた
酒井さんが書いたブルシットジョブ本と勝手に読んでいるが、その刊行記念イベントに参加してみた。オンライン形式で丸善ジュンク堂のイベントとなる。
そのざっと参加してみた感想をメモしておきたい。
イベントに参加してみての感想
まずシンプルに面白かった。
参加したイベントは、『ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか』刊行記念オンラインイベントだった。
ブルシットジョブ自体は読んでないので、デヴィット・グレーバーという人類学者であり経済学者の入門的な印象となる。
イベント参加時には、本書自体は半分くらい読んでいたが、社会思想となるとやや難しくて、グレーバーの意見をただ出しても分かりづらいので、それを解釈するために、参照する他の考えをさらに参照するという構造となると、わかりづらさが出てくる印象を持ちつつ。
著者の酒井さんはわりとフランクな方の印象を持って、ところどころ分からない点もあったが、それは本書の内容理解とほぼ比例しているといっていい。感覚的には3-4割くらいの理解度というところ。
これは本書が、イベントが悪いということはなくて、単にこちらの勉強不足であり、またはその理解が出来ないというだけだった。もちろん、より勉強したいというところを残した形であった。
オンラインイベントの魅力
書店イベントとしては、東京など都心でしかないような著者イベントがこのようにあることで、手軽に参加できる。しかもこの日は日曜の夜で、なかなか渋い時間帯でもある(笑)自分も参加していて思ったのは、こういった形態でさくっと参加できるのはやはり良いなと。ある種良い意味で大学講義の1コマを受けた感じであるともいえる(90分なので)。
そういう意味で、書店イベントに気になる著者、または本を理解を深める意味では大いにありだなと思う。当然気にならないとか、無理して参加する類のものではない(笑)
他にも、本を読んだ著者と間接的な対話ができるのは良い。間接的というのは、質問を受け付けて聞いてもらえる時間もあるので、それを示している。Twitter等のSNSではつぶやくと著者が反応する世界観もあるが、それに限りなく近い。ただSNSでは議論はあまり向かないので、リアルタイムでオンラインでやる形がいいのだろうなあとも思う。
リアルの臨場感はもちろんないのだけど、リアルの代替ではなくて、つまりリモート参加で今まで来れなかった人が参加出来るのがやはり良くて、そうでないなら自分も気軽に参加しなかったからだ。そういう臨場感でなく、イベントの選択肢として大いにありだなと感じられる。
学んで行きたいことメモ
イベント的な感想はそれくらいで、やはり本書を読み終わってからも、分からない点は多かった。色々あるのだが、ざっと書いておく。
- いわゆる社会主義共産主義的な仕事観は破綻したとはいえ、未だにそういった国はある。例えば全ての人が国家公務員であるキューバのような国があるが、幸せかどうかはおいておいて、結局は不正、汚職などとなり、資本主義ではないのに=自由度は低いのに、所得の差が出てくる。結果的にこれらは批判されつつあるが、一方で資本主義自体も格差が生まれまくっていてなんだかなとなる。この本は正解をあたえてくれるような生易しいものでも著者もそれを意図していない。しかし、その上で読者がどう考えて動いていけばいいかはわからない。だから考えなくていいわけではなくて、むしろどういう思想があるかあ、社会思想があったか、世界史も含めて、もっと勉強してみたいと感じた
- BSJ=ブルシットジョブは構造的に入り組んでいてメタ的なイメージを覚えた。つまり仕事的な価値はないのだけどブラック的なことではなく、むしろ実入りが良い、しかしその仕事自体の実質的価値は超絶低い(なくてもいい、逆に価値があるのは社会的価値があるといえるようなエッセンシャルワークといえるものと対照的だ)。そういうBSJを批判しただけでは議論価値は低いので、ではその構造に気付いてどうしていくと良さそうか。これは詰めれば革命であったり、社会運動となると思うのだけど、一方で革命を起こしたいとかはないのだが、世界的なアンチ資本主義=これは社会主義を目指すわけではないというのが分かりづらいのだろうが、というものに対してやはり面白さを感じる。例えばアンチワークというものがあって、これは日本でも働かないことを目指すというとニートだ!といって批判されるのだけど、そういう意味でなく、資本主義社会の構造に入ってしまうと結果的に搾取されるだけとなる。ここでの搾取とは資本家=要するにお金持ちであり資源を持っている資本を持っている人たちをより豊かにするだけだからだ。それを意識するかどうかはおいておいて、結果的に資本家が豊かになって、例えば社会的価値が高いエッセンシャルワーカーが給与が低いというのはなんとも言えない気分となる、つまり悲しい。ではこれを社会的問題としている、したとしても給与反映されないのはなぜか?というと、そもそもとして、そこに資本が流れてないから=例えば利用者がお金を出せないなら負担は税金=保険制度とか、になるわけで、それを高くすれば結果的に国の負担も増える。そうでないような、例えば広告代理店のような仕事は社会的価値があるとは言えないがしかし高給取りとなりやすい。それはお金や資本が流れるからでしかない。つまり、仕事の価値自体は無視して、単にそこに資本性があるかどうか、もっと俗にいえばお金があるところにいるかどうかだけなんだとも思う。そこまで詰めれば、BSJがあるところは実はお金にはなるのだろう、けどむなしいから事例にあるようにBSJの人は辞めていくのだと思う。このあたりはスッキリした見解があるわけでもなく、かなりもやっとしているところ。
- 資本主義社会を脱するところをスローライフとか、降りる、減速するというのは分かる。一方でこれは社会的な意味で、経済を追求しないということになり、なぜか「清貧」という考えに極端になりがちだと思う。バランスなので、二択しかなくて、共有財しかないお金がない社会とお金があるが資本家が強い社会って、かなり極端だということだ。どちらも結果的に前者は汚職で社会が乱れるし、後者も汚職はあるし格差もある。どちらも問題があるし、どちらが良いとは言い切れない。一方で、現状の民主主義を貫くなら相性が良さそうのは資本主義となる、のだけど、そっちはそっちで資本の力でコントロールされるということを拭えないので、なんともなあというところがある。ここで、第三の社会みたいなものがあるか、あったとしてもどう構想するかとなるのだけど、それはもっと勉強して考えないときついなあというところがある。
- BSJがあってもその処方箋はない。というと冷たいのだけど、BSJの対応策を書いているというのは本書ではない。哲学的といっていいとおもうけど、哲学書にその答えはない。人生の答えはカントは教えてくれないし、デカルトも教えてくれない(笑)これは抑えつつも、一方で難しいよね、分からないよね、で終わるわけではないけど、とはいえ著者のメッセージとしてもあったが「すぐ答えが出て結果が出るなにかはない」ということとなる。つまり、BSJ対応ソリューションみたいなものがあるわけではないし、仮にあってもそれはどう誰が検証し議論されたのか、ということになる(笑)例えば、BSJを排除して合理主義を目指すなんてありがちなんだけど、そもそもBSJの判断ができるか、あと合理的ではないとBSJは含まれているわけで、そこが一番分かりづらく特徴的ともいえる。つまり、楽して価値がないけどお金がもらえるのは合理的なわけだ。しかし、それはむなしいと思う。実際にそのようなお金をもらっていると、スキルにはならないし、そこにずっといることになるが、そういうBSJ的な仕事をやって楽しいかどうか、楽しくはないだろう。そしてスキルもだけど、自分の成長にもならない(笑)悲しい。しかし、それはなくならずあるだろう。
- 対極としては、自分が楽しいことを社会的価値をあげつつ、それに金銭的価値も増やしつつということになるが、これはまあ至難とはいわないが、なかなか難しそう。しかし、そもそもBSJ自体は被雇用者であって、自営業などであればそういうものはそもそも「存在しづらい」し、時間が有限リソースと考えると、ある種の反乱という意味では、自分で仕事を作るということが解決アイデアにはなりそうだ。もちろんこれは副業でもなんでもいいのだけど、出来る限りコストをかけず工夫をして生み出したサービスやアイデアで資本を得る=ここではお金、をすることで、一つの裁量を得られる。裁量があるからBSJとはいわないが、BSJ自体は仕組みに絡め取られる、どうしようもないというところがあるため、ある種ストレス対抗策としての自営業はありだと感じる。
おわりに
BSJ自体は色々あるとは思いつつも、結果的に社会構造や社会思想を踏まえつつ、あとは自分がどうやっていくかと哲学すること、考えること、戦略を立ててサバイブしていくことにつながっていくのかなと感じた。
これは別に希望がないとか、面白くないみたいなことでなく、どうすればより良い社会を築けるだろうかという、ある種社会構築論というのが仕事というある種近い材料となるので、面白いかもなというところにポテンシャルを感じる。
今はグレーバーのブルシットジョブを見る気力はないのだが、また機会を見て、それこそ長期的に、しぶとく考えていくというところが大事かなと考えている。
筆者プロフィール
- 「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は400超。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介、仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューやお問い合わせはお気軽にどうぞ。
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