ジョブ理論は面白かった

ジョブ理論って良く目にするわりに本著読んでなかったので読んでみたんですね。なかなか面白かったのでメモしておきます。

ジョブって何か?

要するに、本質的なニーズみたいなものということになりそうです。というのは、ニーズという言葉がやや粒度が粗く、生活者=使う人ですよね、の目線に落ちてない、上滑りしている感がするからですね。これはもう肌感でしかないですがその通りだなと感じました。

ミルクシェイクの例が色々なところで出されていると思いますが、ミルクシェイクをハンバーガー屋さんとかなんでもいいのですがお店で買う人は何を求めているか?

合理的な人間であり、かつ合理的に行動すると思う人なら、「そりゃ、ミルクシェイクっていうものを飲みたいんだろう。甘いしね」みたいなことになりませんか?というかこう考えるのがNGで間違っているわけではないですよ。ただ、これは色々見失っていることがあると。

正解ではないですが、例えばその人が、通勤前のドライバー、つまり通勤するビジネスマンだったと。そうすると、会社行く前にご飯食べられなかったと。ご飯食べたいけど、コーラ飲んでもなあ。ということで、若干腹の足しになりそうなものを、適度に飲める(粘性があるから飲み干せないので少しずつ飲む)ので、最適だな。ということで、「ミルクシェイク」を頼むと。

これはつまり、ドリルが欲しいのでなく、ドリルの穴が得られればいいというのと同様といっていいでしょう。

本では、ジョブとは、解決したい事象とか事柄となります。ここでは、ミルクシェイクは、「ご飯を食べそこねたけど、何か腹持ちが良い、しかもある程度ちびちび飲みたい」ということがジョブとなります。HIREという雇う表現が出てきますが、そのために「ミルクシェイク」を雇ったというのが、独特の世界観でありそうですが、合理的な話でなく、理論化するとそういう図式になるというだけです。

このポイントはそのように説明出来ることで、抽象化できたり、まとめらえるので、共通理解や前提が進むということですね。ただ、フレームワークかというと、そう可視化することで得られるというよりも、あくまで顧客の心理や実際を考える意味で使えばいいという感じです。

つまり、普段そんなこと当たり前に見えていたり考えている人には「今更」感があるともいえます。とはいえ、そういう人にとっても、まとめているので、言語化して理論化していることで「よくぞ言ってくれた」ということもあるんじゃないかと。

僕はそこまで思わないですが、なるほど目の付け所は素晴らしいなと感じました。

それで、このジョブっぽいことが見つけられないとか、売り手が「ミルクシェイク」が売れているから、その量やアレンジをしてメニューを増やすとするじゃないですか?やりそうですよね。これもNGとか絶対だめではないですよ(笑)ただ、そうしても、「いやーそうじゃないんだよ、ミルクシェイクの味はどうでもいいよ、量も変えると逆に飲みづらいよ」となります(笑)ですので、ミルクシェイクを売っているという人と、「これは腹持ちが良い品の代表的な例」として捉える人には、マーケティングとして大差がついているわけですね。微差ではないですね。大差ですね(笑)

たばこは休憩するために雇う

他にも面白いなと思った点としては、たばことFacebookの話です。

たばこってサボるためにというか、実際にサボる=休むためといえばそうですが、休憩したいからなんですね。ニコチン的に中毒とかはありますがそこはおいておいて。

では、Facebookってついつい見ちゃう、SNS的なついついという意味でまとめてもらえばいいかと思うのですが、これも休憩とか、リラックスとか、なんとなくぼーっとするという感じです。これもまあ休憩なんですよね。または目の前のことから離れたいみたいな。

そういう意味で、手段としてたばこ、Facebookって違いますけど、実はやりたいことはジョブとしては一緒なんだよなということがわかります。

だから、たばこを吸う人に実はSNSやったらどうですかは有効かもしれないですよね。逆も然りです(笑)ですが、僕はタバコは吸いたいとかはないですね(笑)

例えばですが、ここでタバコを毛嫌いする人がいるとして、なんでタバコを吸うかというところで「たばこ」だけを見ちゃうと。そうすると、「休憩」だから他の人と共通項があるぞとか、そういう観察が出来ないし、気づけないということになります。

これも微差でなくて、致命的です。ここで、たばこが関係ないな、休憩アイテムという視点がなければ、たばことFacebookは一生つながらない、リンクしないんですよね。そうすると、その視点や世界が消えることになるので、これはマーケターはもちろん、マーケティングする仕事をする人全てにおいて痛いはずです。

くどいですが、これは微差ではなく大差です(笑)視点のズレは微かであっても、アウトプットや施策となると全くそこにたどり着けないですからね。

SHUNという大学通信課程の取り組みが面白い

詳細は本でというところですが、簡単にいえば、通信課程の学生は社会人とか働く人が多くて、例えば大学を諦めた、つまり中退した人が再度取るみたいな。日本でいうと放送大学とか、通信制の大学ありますが、そういうところかなーとか適当ですがイメージしています。

そういうサービス、学習プログラムですが、やっているところで、その顧客に対して最適なジョブとか、売り方はしていなかった。というか出来てなかったと。それをジョブ理論的に考えていくと、最適化されて、どんどん評価と売上があがったみたいな話です。

例えば、顧客は働き手で時間がないですよね。ということで、例えばじゃあ資料請求してこの通信課程がそもそも受けられそうかとか、費用とか、そもそも受けても単位とって学べるかとか。そういうのもレスポンスが遅かったんですよね。それこそ瞬時にチャットで出来れば最適ですが、なんかちまちまやっていたと。そういうのを改善していった、というところです。

こうやって事後的に言うと当たり前ですが、実際はそもそもそういう視点に気づかないというのが一番のポイントです。それで当事者=サービス側は良いと思っていたし、または改善出来ると思っていなかったかもしれないので。

さらにそうやって進めていくと前のめりになる。つまり、顧客が考えることを想定して、まさにお客様目線ってことですが、先に手を打つようになると。素晴らしいですよね。

先にフレームワークではないとかって書いたのですが、ここに当てはめればすべて分かるみたいなものではなく、フレームワーク的な部分としては、チームですよね、そこで共有できるのが強いなと。一人で分かる、肌感で分かるだけでは弱いですからね。

あと、当たり前ですがジョブ理論でやれば全部解決なんて話ではないので、実際は顧客のことを考えて、ヒアリングして非常にちまちまやっていくことです(笑)こういうことを面倒で嫌がる人はまあ厳しいですよね。というか全部そういうことなんですけどね。

アイデア出しのジョブってなんだ

これは僕の考察であって、本の内容ではないです。実際には本の内容を踏まえて、自分がサービサーとしてやっているアイデア出しってなんだ、そういうことを考えてみたというところです。こういうの大事なんじゃないかと。

僕がやっているアイデア出しは、確かにアイデア出しをしているんですが、前書いた気がしますが、実際はギフト的、またはコミュニケーション、対話なんですね。その積重ねが、かなり細かくあるので評価が高い(のだと思う)わけです。

多分ですが、

顧客のニーズ:アイデアを出したい
顧客のジョブ:事業の方向性を見極めたい/考え方を整理したい/別の方向性を感じてみたい
雇うもの:アイデア出しサービス

みたいな感じです。ニーズというと、僕がアイデアを売るので、「アイデアに困った人」となります。ですが、これって前から思ってますが、めちゃくちゃ粗いじゃないですかと。まあ実際に「アイデアが出ないので!」という人はいるのですが、一部です。例外とは言わないですが、直接そのニーズだけではない。

つまり、顧客は多様性があり、非合理的で情緒的ですということです。テンションが低いから「アイデア出し」を頼むことはないですが、良いことがあって、事業もそろそろ替え時かもなあと思った経営者の人が、うん?これ面白そうだなちょっと相談してみるか、は多分ありそうです。そういうふわっとした状況や情緒で変わると。

そういう見直したいとか、何かしたいってどういうことかといえばそれこそ、1月とか年が替わるとか。あと、年度初めの4月とかですよね。でも、これって「ダイエット」「英会話」もライバルになりますよね(笑)実際にはフレネミー(友達と敵の造語)っぽいですけど、まあそことガチで争うことはないけど、目標を掲げるとか、新しく何かチャレンジするところでは一応似ていると。

実際には違うけど、顧客からするとそんなふうに見えている可能性も高いかなと思ったりします。

これによって何が分かるかですけど、顧客の見ている世界観とか、解像度、つまり顧客が何を考えどうしているかが見えてくるってことです。そりゃ一朝一夕で見えるわけではないので、ひたむきにやっていくってことになるんですが(笑)

これも僕が考えているから出てきたのであって、何も考えてないなら出てこようがないです。というわけで、考えてみるというところで、ジョブ理論を片手に、考えてみるのはありじゃないかって感じですね。

実は求めているものは軽いかもしれない

先のアイデア出しのジョブとして考えていくと、重くてハードなものというのがありました。実際に一発アイデアで挽回するみたいな(笑)アイデアを求められることはないのですが、そういう感じがあるんですよね。でも実際はそんなことはなくて、もっと日常の暮らし、経営とか社会の中での話なんですよね。ここのズレが大きいですよね。

例えば代替となる選択肢ですよね。顧客からみて、アイデア出しなんてないと思えば、例えば美容院に通っているならそのお気に入りのスタッフさんがいて、そこで話すことが「代替」かもしれないですよね。1時間以上はなすから見えてくるものがあるというか。

普通に合理的に考えると「顧問税理士」みたいになるんですが、税理士に対してわりと不満がある人=期待値が低いのもあるのでしょうが、結構いるけど、そこで経営の話になりづらいんですよね。これは税理士側も色々と課題がありそうですが。まあ、それはともかく、経営に直結しているところでは実は灯台下暗しで拾えてない。

他にもパートナーがいれば家族との対話とかで解決しているかもしれない。他には振り返りです。リフレクションではないですが、振り返りツールとして、書き出すこと、整理するのは大事ですよね。例えばカフェとか、一人になれる時間帯や場所で紙に書き出してみる。これも、一つの代替サービスです。カフェがライバルなんて考えづらいですが、実際は比較されるかもしれないですからね。そういう話です。

そう考えていくと、アイデアが出せることをそこまで強調しなくてよくて、対話やコミュニケーションが出来るところを売りとしていくと、もっと自然に出来ることも多いのではないか、なんて思っています。

実際に手応えは、やはり対話ベース、やり取りベースで共創というイメージですが一緒に作り上げていく方が僕もお客さんも楽しいのではないかななんて感じていますから、ここにジョブ理論はスマートに入ってくるという感じですね。

おわりに

ジョブを考えて色々試行錯誤するなら、行き着く感じの話です。逆に行き着かずに、なんでだろうかという人でサービス側視点になっていると驚くほどにハマってそこから抜けられないかなと思います。

ちなみに本書にあったと思いますが、デザイン思考的なヒアリングとか定性調査みたいなのとは相性が良いはずです。ですが、定量調査とかデータ的な数字、売上とか、広告効果みたいなのは、相性が悪い感じです。なぜなら、数値で判断して「顧客が本来望んだもの」が飛ぶ=消えるからですね。これは一度体験するとよく分かる気がします。

例えば効率化していくと、無駄っぽかったものが省かれるから確かに「効率」的に動けるんですよね。でも、その無駄は余白でありスラック=余裕だったと。それが生み出していた価値があったと。そこに気づいても遅かったみたいなことですよね。

冗長=悪いみたいなことを思う人もいますよね。僕の記事も文章でわーっと書いていますが、これも冗長であると。スライドにまとめて3行は分かりやすいし端的ですよね。でも、それやると全部一緒になるので、結局示したところで、余白がいるし、その人ならではのってのがないと「記憶」に残らないんですよね。これ伝わりますかね?

合理的が悪いのではないんです。ただ合理的だけのOSだと、まあどん詰まりで、本当に「なんでだろう」ってなっちゃうんですよね。多くは身体的、情緒や感情で見えてるし、身体がメッセージを出しているんですよ。でも、そこを無視しまくっていると気づけなくなる。そういう感じがしましたね。

そういう意味ではジョブ理論ってカチっと全然してなくて、人間をちゃんと知ろうみたいなことになるし、ですよねーって感じでまとまるかなと。

そういう意味でとても非合理的な人間ということを愛する人なら面白いと思います。合理的な人には信じられない世界で嫌になるかもですが、実際は非合理も普通にある社会で生きているので実際はこっちかなって感じですね。

くどいですが、ジョブ理論が全てではないので、そこらへんよしなに考えていきましょうと。


筆者プロフィール

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。

違和感で発想のやり方が学べます

日常生活で感じる違和感を用いて、アイデアを出すやり方が学べます。「違和感発想法」は誰でも気軽に出来るサービスです。

LINE公式アカウント登録で無料で学べます。気になる方はチェックしてみて下さい。