電子書籍原稿買取事業は儲かるのか

タイトルの漢字連続感がやばいですが、まあそのままで、文体はである調です。若干儲かるのかで釣ってますが、結論は儲からないから辞めておけです。あとそれ以外の付随する信頼や何かが得られるかは微妙ですから、こういうのも全て経験とあと自分のやりたい持続力とかになりそうです。ええ、よくある結論ということでいいかと。

このビジネスが成り立つかは相当怪しいので、数値を仮に立てて検証してみる。仮に電子書籍自体が1万字程度のライトエッセイ(1万字は、読むのが早い人なら15分程度で読めそう)みたいなものだ。ジャンルは問わないというものが多い。

色々とツッコミどころが多い点を前提としてそれらが成立するポイントはどこかを考えてみたい。

基本的な「1冊」を考える

文字数は1万文字程度、またはもっと少なくても良い。

1冊の単価は数百円、300円から500円。AmazonであればKindle unlimited対象。ジャンルは何でも良い。出版的にこの選択肢はありえなさそうだが。

印税はない。ライターはこれらの原稿を1字1円もしない単価で買い取られる。運営側はこれらの原稿が仕入れとなり、売上は電子書籍の売上となるので、300円なら210円。他経費は一応無視する。

Kindle電子書籍はマーケットがKindle専有なら70%。ただ、他でも売るなら30%なので、専有かどうかでも違いそう。(以下の試算は70%前提の専有前提)

売上ー仕入れ(原価)の成り立つところ

例えば、1万字を2,000円で仕入れて、電子書籍を1冊作る。販売価格は300円とする。1冊売れると210円なので、10冊程度売れば回収できる。

ところで、個人の名もない人が電子書籍マーケットで売るには非常に大変で、広告費などもあるが、相当考えてどうかというところ。基本難しいと思う。自身の経験から。

1年で100冊売れば結構やったと言える(しかもそれがある程度の専門性やその人がそこそこマーケティングをやったといえる、利益度外視的な行動もありで、なんでもやったとしてこの数字)なので、1ヶ月で10冊売るのはノウハウがあるかないかはおいておいて、まあやれる方だなと。

つまり、10冊まで売る回収期間が1ヶ月なのか、3ヶ月なのか、1年なのかで大分変わってくる。ここで参考になるのは、代理販売.comという古本を代理で売ってくれるサービスで、これはすぐキャッシュ化せず、代わりに長く1年で売るということが面白い。つまり、即金性の期待値を長く期間を取ることでというやり方。ここでは、電子書籍販売運営者が1年とか長く期間を取ることということ。

仮に、1年で10冊でいいなら、月1冊。この数字はできそうかもしれないが、実際に注目されるほどのアクセスや流入や仕組みがないと困難。誰も見ないページは結構出来てしまうものだから。とはいえ、これがある程度できれば、不可能な数字ではない。

つまり、1年で1冊300円で売れば回収できる(2000円で仕入れた)ことになる。それ以降は売上があれば運営者に入る。こう考えるとうまいと思ってやる人もいるかもしれないが、まあそんなに甘くないだろう。

課題

いくつか課題がある。というか懸念点。

ちなみにメリットは売上の仕組みが作れれば適切に回収できそうということくらいか。

1.全く対等感がない

原稿を書いたライターはもちろん(紙の)出版的にも、ゴーストライター等があるので特段仕入れということは商売としてはいい。しかし、ゴーストであればそれなりの報酬がなければ、印税システムでないならその額がなければ見合わないと考えるだろう。このライターはゴーストライターではないだろう。しかし著作権(著作人格権を行使しないことも含めて、基本的に文章を自体を売る)を譲渡しているはずなので特段実績としても示しづらいし、実績ということでもないだろう。

どちらかといえばここでは書き捨てみたいな印象を受けてしまう。買い切りだから。ここで印税という言葉を使っているが、運営者が少なくてもいいので作家に還元すれば話は違ってくる。が、このモデルは多くの作家?から買い切りで集めるので買った瞬間に「作家」ではない、関係がない。むしろ、ひとりひとりの作者へのサポートを厚くしてもメリットはあまり得られない。

よって、印税はありえないので、このあたりでどう見るかということになる。

言い方を悪くすれば、書き捨てで買取1字0.1円でもいくらでもいいからお金か、電子書籍を発行したいという経験をしたいなどという人の足元を見ているかもしれない。とはいえ、このニーズで満たされる人ならば大いにありなので、特段それに関してどうということはない。

一方で、このニーズがない、そこで仮に本名やペンネームで出してもリターンは本を出したくらいなので、それでだから?ということになる。電子書籍自体は素人でも一応は出せることを知っている、または知っているが出来ない人にも良いだろう。

人間は欲が出る。出したら売れたりそれについて人が話題にすることを「想像」してしまう期待値がある。これは誰でもそうだ。だからこそこの期待値があればあるほどショックとなる可能性がある。

2.関係者のWINが見合わない

1とやや似ているが、1では運営者と作家の対等、フラット感であった。要はパートナーとして信頼できるかみたいなものだ、そこが辛いということだった。

原稿提供者は書き捨てと書いたがそれがずっと使われ続ける(売れなきゃ使われないという感じもあるが)、参照し続けられるのはいささか気持ち悪いかもしれない。ということを気にする人はまずやらないだろう。

運営者は売るために、そもそも売れそうなものを仕入れたいはずだから、利益ベースになりがちだ。

最後に電子書籍マーケットもここでは入れてみたい。つまり、運営者が独自のプラットフォームがありそこでというなら話は大分違うが、既存システムを使っている。そこで出している本がフォーマットやテンプレート的なものであると、数が多くなればなるほど、薄い本になる。というかここで本とは何かという定義も出てきそうだが、一旦は「電子書籍」というイメージのみだ。

ある種電子書籍マーケットに来る無垢な読者をある種誘導することになるが、そこでまあ見合えばいいが、仮に見合わない価値やそれを見切ったり、ブログ記事で良いというような本との期待値、そこのマーケットでの価値を減じるようになると、そもそも「電子書籍」自体の価値が低いとなり、そもそも出版社名を出すか、作家名を出すかなどもあるが、結果的に全てがルーズする。価値を減じるという仕組みは、全てにおいて価値を減らす。

最終的に売上が上がらないので、紙と一緒だが一冊売上が減るのでさらに点数を出すという構造と変わらない気がする。

ここでさらに電子書籍マーケットにくる読者の価値も損ねるとなると、最終的にどうなるかというところになりそう。

WINが見合わないというが、電子書籍マーケットはグレーというか売上になるならいいと見過ごすかも。とはいえそれだけしかないマーケットに読者は行かないはず。例えば情報商材マーケットみたいなところはそれだけで完結するというイメージなので、分野がたてば独立するという印象がある。読者にとっては色々なものが見られるがそれがブログ記事でかつ質の高くないものであればまあブロックやフィルタされるだけであろう。

3.儲かるわけでもない

さらにそういう懸念点があったり課題があってもやる胆力があればやれるだろうとは思いつつも、ではぶっちゃけお金になるかというところを考えてみたい。

上でいえば、1年で10冊売れたとして、回収できて、それ以降も同じくらいその文章が売れるかどうかだが正直不明だ。しかし売れるとして、仮に5年運用するとしよう。この5年の間に色々起きそうで読めないのであまり意味はないが、1年で回収、残り4年分はまるっと利益になる。つまり1冊8000円を4年で得られる。

当然本数は大量に集めなければならない、数十でなく100冊以上、1000を超えてもいい。多ければ多いほどいいからだ。もっとも初期投資仕入れとして、2000円×冊数は最初にいるが、仮に1年くらいで売れるとか、ノウハウがあって人が好みそうなもの(ゴシップから恋愛からなんでもいい)を狙っていけるというならそれができるかもしれない。

そうすると、100冊の蓄積で1年回せば、仕入れで20万円だが、1年で回収できるので、純粋に5年経つと、80万の売上となる。スケール的にもうちょっと欲しいので、0をつけてみよう。1000冊であれば、初期年で200万だが、5年経てば、800万円の売上となる。とはいえこれでも年間200万なので、スモールビジネスや個人事業としては良いが、人を雇うレベルではなくあっても部分的なサポートや外注、他の経費(広告等)を入れると、自身の人件費はややきついので、そこまでという感じがする。

1万冊となれば2000万で、8000万となるが、さてここまでくるとカンのいい方は気づくはずだ。そう、その投資で確実性のあるリターンがあればそこそこの企業やお金持ってる個人がやりそうではないかと。それらがやっているかどうかはリサーチしていくべきであり、それでやれてないか価値が低いか何かできない理由があるか、失敗したかは分からない。とはいえ同じことを多くの人は考えるがやれない人も多いのも事実だろう。

実際にこのアイデアはやり続ける=売り続ける必要があるし、売れないと当然なんでもそうなんですけどね、売上につながらない。つまり仕入れは安いが、ちゃんと回収できるところをまずやらないといけない。かつリピートする買い切りライターがいるかは不明で、新規の人が常にいるということになる。

それで社会貢献やボランティアや社会的企業というところでの「社会課題」でもないと思うので、お客さんとして誰かなんだけど、読者か、原稿提供者か、電子書籍マーケットなのかだろうけど、そういう人に感謝をどこまでされるかとなる。そもそも期待値が低いならいいのだろうけど、期待値が低い中でそこそこ仮にやっても、結果的に大量生産大量消費モデルなので、使い捨て感の印象が強い。

もちろん、個人がどうだろ、ドブに金を捨てた(捨てなくないけれど)として、数万から数十万でやるのはありかもしれない。しかし、回収できずに終わるか、そもそも売り続けられない、商品の質(原稿の質)も高められるかどうか、結局のところコストや時間をかけるとなると、数字的に儲かるわけでもなく、またそこで何か得られるものが多いかは不明だ。

当然、上の3つの懸念というという意味では全くおすすめしない。しかし、考えることで何をやりたいか、いわゆるタスクでいえばやりたいリストでなく、「やらないリスト」みたいに反面教師として使うということができそうだ。

やっている人がいるからあなたがやれるわけではない

これが事実だろう。

これがやれる人は、多少搾取構造と言われてもいうならやるなという強い主張やスルーすることが出来る人であり、実際に対象でない人の意見は関係がないので、その胆力が必要となる。

他に、作家との関係性は難しそうなので、次に電子書籍マーケットなんだけど、これも大量の本を売りつけてくるのでなんとも言い難いというところ。ただ売れるならいいのではないかくらいなので関係はフラット。

最後に読者との関係だけど、まあ僕は安い本だ駄目とも思わないし個人が書いた本はブログでもなんでも面白いと感じているが、その内容や構成や見せ方が、やはり経験として面白いとか、あまり知らない話とかでないとまあ見ないのだろうと。実際にKindle Unlimitedでもそんな感じで遊んで読んでいたが、それってある種の余裕読書であり、言い方を悪くすると暇つぶしになってしまう。そういうところで良いお客やリピートが得られるかは正直分からない。

単価をあげたりはきつそうで、基本的に仕入れて売るの繰り返しとなりそう。まあこういうのを作業と感じるかそうではないかで全く違うのでなんか違うなあという人はまずやらないほうがいい。

全く主観であるが、直観的に信頼が積み重なるのであれば利益があまりなくてもGOという見立てはするが、信頼が積み重なるかが疑問というところが最も大きい。

色々なビジネスや考え方が世の中にはある

ある人がこれはすごいというものが、別の人には全く刺さらないことが普通。

というか、そういう意味で「あなたの解釈」がゼロのもの、つまり「儲かるビジネス」というのは「(あなたではない人が)儲かる(と感じている)ビジネス」なんですが、そりゃそうですよね。このカッコ書きを「儲かるビジネス」と見た時に批判的に見えるか、複眼的に見えるかがポイントになる。

騙されるとか、基本的にどうなのかを冷静に考えたり客観視するには、別視点、ここでは提供者の視点ではないところを考える必要がある。それがないと、言われることを鵜呑みしてしまう。

批判的に上の電子書籍ビジネス?を書いているが、フォローしておくと、例えば自分では絶対に電子書籍を出せない人が出せたらそりゃ感動するかもしれない。一方でその場合、原稿買取でいくのか、それとも作家サポートとしてセルフで出来るようにするかとか、動画を提供するとか、色々な提供の仕方、手段がある。

そこはHOWで、やることWHATは電子書籍を売ることで変わらない。あとはWHYとしてなぜこのビジネスをやるのか、それだけ。そういう考え方として引いて見えて、何かやりたいというそれこそ情熱があれば環境に合わせてよしなにというところ。くどいけど、そのビジネスが何かというよりも、ここでは読者であれば「その本が面白い、興味深いから」かどうかだけが勝負となるのでそこは全てのことに言えそう。

そのなぜとHOWからWHATとして関わる人との整合性が取れないと、まあきつくなってくるし、取れなさそうという見立てとなる。

自分がやっていきたいビジネスや提供する価値を明確にする

最後に反面教師して上のネタをあげたとして、ラーニングを少し書いてみます。

僕が提供したい価値を少し考えたところ、やはり励ますということを何度も言ってますが、そんなところからコミュニケーションしていって、何か役立てればいいなというのが大きいです。これを貢献活動とすると、基本的にそういう立ち位置です。ですので信頼が例外はあれど毀損したり、されたりはほぼほぼないという生き方です。

ペイ・フォワードっぽいですが、自分がやってほしいことと相手のやってほしいことは常に一致しません。がコミュニケーションとして着地を探っていけばそこまでぶれないだろうと。そういう腕というか技術なのか分からないですが気づいたらそういうことをやってきた、というのが大きな強みになりそうです。まあこれもお金にしようとすると色々大変な気もしますが(笑)

やりたくない仕事ややりたくないビジネスってやっぱ大事というか、それになってないかという検証や指標になると思います。人が喜ばないものはやですし、なんかこれは悪事に加担してるのではないか?(笑)ということがあればやはり信頼できなく終わるわけですよね。

実際にここめちゃくちゃ大事なのにほとんど言われないか、知っていて当然な気がしますが、例えば、こっから「良い」ばっかり言いますが、良い人や良い集団や良い組織は良いコミュニケーションが良いようにあります。これって環境です。良い環境です。

これがない悪い人や悪い集団や悪い組織はコミュニケーションも悪く、悪い環境です。良い悪いをここでこれはこうでということはさすがにということです。哲学でもなく、僕が悪いことがあなたが悪いとはいえないのと、状況によって変わるからですよね。とはいえ、良い悪いはその場、または何かしらで評価出来ます。主観ですけどね。

長期的に引いてみて、人が良いとは長期的かつ継続的に成功します。というか、失敗してもリカバリできるし、そういう人が周りにいる、つまり良い人がいるからです。ごく当たり前のようですが、良い人が不正しないわけではないです。ただ不正しないように信じているだけでなく、様々な人間として扱われるであろう仕組みがあるってことです。

一番ポイントは、悪い環境にいる人が良い環境は幻想であると思いこんでしまうことです。それはなくて、良い環境で居続けるとそれが普通となって悪い環境がないと思ってしまう。両方お互いを見れば一緒ですよね。

だからこそ、仕事もですが、ビジネスもですが、良いと自分が思っているから何かこれをやると喜ばれるよね、感謝されるよねというところが必達というか必須条件となります。といってもそれでも、なお違ったりすることもありますが、自分が思えないのに誰かが思えるか?ということですかね。思えないなら考え直すか、違うことをやるに限ります。

反面教師を見すぎてもしょうがないので良さそうだなーというビジネスや仕事をどんどん見たりときには一緒に働いたりして、そういう人と触れることで考え方、マインドセットを盗んでいくのは全然グッドだなと思ったりしました。

筆者プロフィール

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。

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