読書感想文買取サイトなどから見る買取サービスについて考えてみた

MJを見てたら紹介されてたので、早速サイトを見てみました。

その名も、読書感想文、買います。という直球タイトルなサイト名。名前の通り、読書感想文を買い取ってくれるわけですね。メルカリで売られるような「宿題として使いたい」的なことでなくて、あくまで読んだ人の想いを体験したいという運営者さんの狙いから出てきた企画ですね。

今回はこのサイトについてちょっと調べてみました。

サイト閉鎖していたので、ねとらぼなどの記事をどうぞ。

「本気の読書感想文、十万円で買います」 感想文を買い取って載せる実験的なメディアはなぜ生まれたのか

それだけではどうかと思って類似?の買取サービスから、それらから感じたことを書いてみました。

Webサービスなり、ビジネスのネタになれば幸いです。

読書感想文を買い取るとは?

サイトを見てもらえれば分かるのですが、買取自体は期間が決められていて、いわばコンテスト形式です。

今まで八回コンテストが開催されており、応募総数は115作品となっています。あくまで応募です。応募数によりけりですが、それぞれ最優秀賞10万円から、入選は5000円まで(回によって有無はバラバラ)となり、それぞれ受賞数は1作品から4作品程度となっています。

読書感想文を書けば賞金になるというと「簡単」な印象ですが、実際は運営者の山田さんの心を動かす必要があるため、ハードルは「簡単」と考えるよりは「出してみないと分からない」であり、おそらく読んだ本の感想でなく、「その人がどう読み取ったか体験」のものが買い取られるのではないかと推測しています。ドラクエの感想文は少し見ましたが、攻略本をどう使うかがユニークだった印象です。

もちろん面白く読んだ本を純粋に出してもいいかもしれませんが、多分それでは受賞しないかもしれません。ただ個人でやられているものであり、次がいつあるかなどはサイトをチェックしていくしかないでしょう。

企画意図がユニーク

サイトについてではさらりと「ビジネス的な勝算があってやっているわけでない」というようなことが書かれています。

つまり、買取ビジネスをやっているのでなく、他の人がやらなさそうで、やってみると何が起きるかというわくわくにしたがって行ったということが書かれています。面白いですね。

またMJでも書かれていたように、Tweetでもありましたが、書籍化を目指して、つまり応募作品を買い取ったものを書籍にしていくと。そういうことを目指されているようです。面白いですね。

本日の新聞『日経MJ』で、『読書感想文、買います。』https://t.co/rU20NsCgto について取り上げていただきました!
まさかの裏一面、写真つきでデカデカと……!
日経さん、ありがとうございました!

記事中にもありますが、『読書感想文、買います。』は書籍化を目指して鋭意運営中です! pic.twitter.com/dQTSEobOAh

— 山田 裕希(ふんパレ代表取締役) (@_yhiroki) 2018年8月12日

これを見て思ったのは、しょぼこんですけど、世の中的には確かに狙ってターゲットに刺さるものを目指して成長成長!みたいなもの必要な一方で、最適かつ個人またはワクワクから始まるものも同程度に必要じゃないかなと感じました。

つまり、お金のことを考え続けると結果的にお金だけでは駄目だとなりやすく、ユーザーのためだけを考え続けるとそれ以外ではないかとなりやすく、というように同じことを突き詰めるとどっかで破裂まではいかないけど、崩壊というか疲れてしまうのかなと。

しかし、ワクワクすることやこれ面白いじゃないか、やりたいのだからやるのだという感覚があればそこにしれっとビジネス視点を入れればいい。世の中的にはこういう好きなことで飯を食うみたいなものって流行りつつあるかもしれませんが、この言葉はかなり誤解を招くし、正しい意味合いが伝わらないのであまり好きじゃないところです。実際には、本人の正しい好きと面白いという「冷めた」目線があまり伝わらず受け取り側が勝手に拡張したり、解釈を間違えてしまうんですね。

これって単にファンや信者みたいなものと同様で、良くも悪くも好きな人が言った言葉だから信じてしまうんでしょう。このあたり面白いですね。

脱線しましたが、こういった取り組みは結果的にうまくいかなくても、まずは面白く、かつ今までにない感覚や視点を提供できる素材であったり、場になりえます。

例えば、

  • 小説家になりたい人向けのコンテスト、それこ新人賞みたいなものは作品を作って応募するが、ここでは「何か読んだ」というものが作品となっている。つまり本がなければ生まれないコンテンツだけど、レビューや感想とは違う「ポジション」を感じる。書店や出版社にとっては嬉しみしかないかもしれない。タイアップの可能性など。
  • 素敵なこととは、例えば勝手に想像するに、ホメパト然り、人の好意や小さな行いが良い意味で循環していく仕掛けや仕組みみたいなイメージ。読書感想文を書いて応募する人は誰かを感動させたいのかもしれないけれど、どちらかというと「体験売ります」の感覚で、自分の体験の価値がどこまで他人に評価されるか。もちろんこれは明確な評価基準があるのでないので、再現性は低いのだけど、ただ絶対的に誰か他人に評価されることで、応募者はエッセイを書いたら誰かが喜んでくれたみたいな、インターネット初期の頃に近い「ほのぼの」感なのか、そういうものを感じるかも。そういう意味ではエッセイサービスのshortnoteとかの素敵感に近い。
  • 身銭を切って買い取ること。それはしょぼこんがお金をばらまいた的な、同時にインパクトも与えたであろう、実際に身銭を切ることで出てくる影響や心理というものでしっかりと記憶に残ること。これはどちらかといえば、身銭を切ることを他でやらない行為、買い取るということを普通はやらないということに近い。とはいえ、身銭を切り続けるわけではないので、一定の条件を持ってすれば良い意味で企画側は手応えを感じながら企画出来る。

みたいなことを感じました。

今後どうなるか見ていきたいですね。

買取という行為はわりとお金お金しているわけでない

ここで面白いのは、買取などお金を何かの行為に出すということは、ある種お金について一定の信頼があり、同時に信頼をしていないという面もあるのかなと感じました。

例えば、不満買取センターは不満を買い取るわけですが、不満自体を抱える人は「不満がお金になる」ことが信じられないわけですね。しかし、お金は信じている。

同時に、企画側は買い取るわけですが「買い取るお金」の価値はあると思っていて、同時にお金を示さないと人は動かないと考えているわけです。これがお金は出ないけど「良いことあるよ」くらいだと誰も動かないかもしれない。もちろんお金を出しても動かない人もいるし、反例はいくらでもあるでしょう。

2つの立場からみれば「お金という仲介物」を通して、不満というコンテンツを買い取る、提出するという行為が成り立っています。とはいえこれ自体は仕事もそうで、何かしらやって欲しいことがあるのでそれに対してお金を支払うということですね。

ここまで考えると、何かしら買取というのはお金はそのものの価値というよりも、「2つの立場」「マッチングするための環境」「ガソリン的な燃料」とすら思えてきます。もちろんお金自体を得ることが大変であればそのお金自体を得る価値がそのまま反映されるので、冷めた目では見えないんですが(笑)

つまり、不満が欲しい人と不満を出したい人を他の行為や代替方法で結び付けられればいいのだけど、お金はわりとわかりやすい。でも、これってお金お金しているというわけでもないなあという印象です。ちなみに、お金お金とはビジネス的なことは別にそうでもなく、より稼ぐ、より得るみたいなやや利己主義的なイメージとして使っています。そんな人は実際少ないんですが、人は「お金」が出てくると変わることも多くこればかりは仕方がないでしょう(笑)

読書感想文も、おそらくお金が介在しなくて「良い話を教えてください」でも通じる部分はあったのでしょうが、お金を出すことで応募者へのリスペクトと同時にそれに対して企画的な面白さ(他ではない)があったからなのではないかと考えました。

また、junkmartはボツアイデアを買い取ると同時に、見たい人はお金を払ってみるというモデルで動き始めました。これもアイデア買取という意味で興味深いサービスです。これらもお金がなくて成立するか、今後どうなるかは分かりませんが、お金を仲介することで、アイデアを出す、アイデアを見たいというところが成り立ち得るかどうかということです。

このように、「買取」はお金を当然出すし、売れた人はお金が得られるので「普通」と感じるかもしれませんが、新企画やこういったユニークな買取サービスは「買取」を通じて何か違う価値を提供する狙いがあるんじゃないかと思います。

それは企業理念とかサービスの想いとかをわりと馬鹿にしてしまう人もいるのでしょうが、実際には、不満買取は不満をポジティブにする力もあるし(不満が価値なんてコペルニクス的転換だ!(笑))、読書感想文は全く違う文脈でその読書体験やその人の人生を「追体験」または「ウォッチする」価値を企画側が見る(どちらかといえば社会学でいうライフヒストリーというか一人の人を調べまくって出てくる面白い視点)、junkmartは「アイデア自体を自己の評価でなく、他者の評価に委ねてそこでの価値ん託す」という価値です。

しかし、買取の先に何かがないとおそらく成功しない

と持ち上げておきながらですが(笑)、企画書買取とか、ビジネスアイデア買取とか、そういうサービスは過去色々あったのですが、ことごとく失敗しています。大体成功することが難しいのは、常にアイデアベースのものは、他者からの盗用リスクとかもですが、後出しジャンケンにならないかという問題があるからですね。

ある企画買取サービスはリリースされたものの、ユーザーが集まらず消えていきました。とはいえ0ではないので、観察した結果「ユーザーの出す企画とか、アイデアのコンテンツ自体が信頼できるか」というところになります。企画書も同様です。僕がブログ企画書を書いて作るのはわりと出来るかもしれない確率は高めですが、それを全くブログを書いたことがない人が「見ても」理解できないか、やれないでしょう。

というように、企画書にある前提やスキルが異なることで意味がなくなりやすいというか、企画の性質がそのようなものだからですね。

プログラミングコード的な売買サイトもあった気がします。これが厳しいのは、そのコード自体がどこまで使えるかという点で見えないのと、システムパッケージでもありがちですが、買う側の自己責任というかリスクが高すぎるというところでしょうか。これはプログラムがあるのでまだいいのですが、アイデアレベルだと上と同様の問題となります。

それで、先程あげたサイトが成功するかどうかはおいておいて、不満買取センターは大いに成功しているといっていいでしょうが、その買取なりを通して何をしていきたいかがまずあって、その上で結果的にコンテンツなり新規ユーザーやどう体験価値がそこにあるか(他にない、ユニーク、使えるなど)が大事になりそうです。

買取の先って何か。偉そうな事は言えないのですが、関わる人、つまり出す側、買う側、そして出来たプラットフォームなりサイトなり、サービス自体の生態系としてそこから何かを感じられるか。動けるか。まあ簡単にいえば感動とかです(笑)やっていて良い体験ならまたやるし、少なくとも人にディスらないので、広がる基盤となります。一方でその体験がないなら、まあいいかとなって、次はありません。

いわば出口戦略というか、そのサービスを体験した後に何があるかだけなんですが、アイデア買取についてはこれを示すことが結構難しいなと。少なくとも僕は示すことはできないと感じています。もっといえば「アイデアを買い取る」サービスがあってもそこから次の仕組み、またはそこでの生態系やコミュニティがうまく作れないんですね。短期的というか視点が小さくなっていく感じです。本来は逆で、そこから視点が広がる、面白くなるということにしていく必要があるのですがそこが見えない印象です。あくまで僕がやった経験からで大したことではないのですが。

それこそユーザーが生き生きした生活ができるようになったり、会話が面白くなるとか、即時性というよりもじわじわ効いてくるほうがなんか好きですしそういうものしか作りたくないし、できんぞという感じです。

このあたりは懲りずに何度も試していきたいところですね。あと評価って意味では読書感想文のは優れていて、誰かの主観でバチっと決めたほうがわかりやすいです。第三者的なものって尖ってないのでまあ面白くないという感じです。アイデアの評価なんてめちゃくちゃ難しくて、junkmartでも分かるように、僕が駄目なアイデアといってもそれを欲しがる人は多分皆無ではないと。それって評価が出来ないというよりも、評価したところで価値が固定的絶対的に決まるわけではないといういわば評価の余白があるよ、それだけではないよってことなんですね。

サービスを始めるのはわりと簡単、なはず

最後に読書感想文、買いますに話を戻します。

このサイト自体は簡単に一枚サイトで作られています。しかも応募はメールということでシンプルです。ドメインは独自で取得しても大した金額ではないです。MVPという言葉は最近使っていませんが、検証できる最小限のものであって、このサービスをやって一定の応募があり買取実績もあり、いくつか作品が溜まってきはじめたのが今と言えそうです。

シゴトづくりとして自分で何かしたい人はぜひ始めてみてください。そういうアイデアがないなら話は別ですがあれば、まずは1ページ作ったりするも良し、Twitterでつぶやくもよし、友人なり誰かに話すのも良し、妄想でもいいから自分で作ってニヤニヤするもよし。手を動かしていくことで、実際のニーズなのか、妄想なのか、それともどのレベル感が見えてきます。手を動かさないとここのあたりは何も変化はありません。

慣れてない、初めてサービスを作る、シゴトっぽいものにならんかといって試すことは最初はめちゃくちゃハードルが高いです。ただ一方で不器用ながらやってしまえば次が楽だと。その次につながるからですし、2回目は楽になります。筋トレもそうですし、なんでも学習したり成長するからですね。

もちろん何かやれば「必ず」うまくいくって話でなくて、単に考えているだけでは考え続けているだけなので、適宜アウトプットしていって探りを入れていく必要があるって感じです。あなたが感じた不満然り、疑問やこんなのあったらいいなはぶっちゃけ誰かの一人を助けることは多分普通にあります。それだけでも価値だから、歩みを止めずときには止まってもいいんですが(笑)、粘っていくことをおすすめします。

そう書いていると僕もまた何か作りたくなってきました。面白いサービスに触れるのは刺激的でいいですよね。

おわりに

今回はたまたま見たサービスを紹介しつつということでした。買取自体、または買取のその先とか偉そうなこといってますが、僕自体がそれを示せているわけではないです(笑)

ただ分かってきた、断言できるのは、手を動かして形にしていった人は強いというか、その分先に進んでいて、再現性がある同様な何か、それこそシゴトなりビジネスなり自分がワクワクする感度を高めていけるので人生が面白そうだし、実際に面白いです。

読書感想文のが駄目とか良いとかでなく、シンプルで開発者の想いから初めてどうだーという感じでされているのがとても素敵で、そういうのってもっとやってもいいし、やってみたらという感じが伝われば嬉しいです。

当然やると思いつきレベルものは多くは「なんでこんなのやってんだろう」(笑)みたいなこともありますし、そういうのもあってこそ今でしょう。

何か面白いサービスやこんなサービス作ったというものがあればぜひお知らせください。

筆者プロフィール

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。

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