バーチャルオフィス市場を調べてみた

バーチャルオフィスっていうのは馴染みがないとワケワカメですが、つまりオフィスという実際の物理的な場(仕事場、事務所、本社所在地、営業所なんでもいいですけど)がないというものです。

だから仮想オフィスってわけです。

なんでそんなものがあるかというと、例えばコストをかけずに例えば一人のプレイヤーだけで事務所を作りたいとか、個人事業主なら個人住所を晒すのが嫌なのでコワーキングスペース等をビジネスとして使うとか、そういうことですね。

まあ当然こういうものは、道具であり使い方なので、悪さをする人もいるわけですよね。それはなんでもそうですが、そんなバーチャルオフィス市場ってどうなっているか調べてみます。

仮説

リサーチにおいてはまず仮説が大事です。というのは電通本で書かれていたからというわけでもないですが、書かれていたからこそ、最初の初期仮説、アイデア仮説というか、最初の取っ掛かりがないときついなあと思います。

仮説がないと、何でも調べられるし、なんとなく調べてなんとなく終わる事もできるのもあります。つまり仮にクライアントワークならまだしもですが、自主リサーチなら終わりがないですよね。

もっといえば、何でもリサーチになってそれ自体が駄目とは思わないですが、何を得たいか、得たいものも分からずやるとキリがなく、「あれ、なんで調べたんだろ」となって終わります。

つまりなんで調べるか、何を知りたいか、どういうところまで得られれば良いのかって「あたり」を作っておくのがいいって話です。

今回は、軽くですが、

  • バーチャルオフィス市場は多分伸びている。理屈としては、副業も然り、一応個人事業主として働く人は増えているから(ツッコミは色々あれど)
  • 企業自体のコスト削減。新規事業なり何かやるでも、例えばコワーキングスペースを使うとか、何かしらサテライトオフィスを使うとか、それこそ色々な交流からアイデアを生み出すなんてコミュニティってありますが、そういう活動もあるわけで。それらがプラス要因になっていると考えるため
  • 逆に賃貸オフィスなど貸しオフィスなどは一定ニーズがあっても成長鈍化から横ばいで、増えてはないのでは

みたいな大まかに3つですが、バーチャルオフィスは多分増えているのではないか、従来の貸しオフィスはコスト高として嫌気があるのではないか、社会の他の流れからそれらを考えることはできないかって感じです。

これが正しいかどうか、つまり仮説がどうかくらいであって、科学的に真たるなんてことはリサーチで出来ることではないですよね。もちろん統計学的に調査してどうこうは言えますけど、ここでは扱わないです。

バーチャルオフィス市場

ITRの調査では、2020年度で3億円ちょっとで、前年度比から6.4倍というかなりの成長となっています。とはいえこれ元々少なすぎたのではないかって感じもあるので、そこは留意です。コロナ禍でバーチャルオフィス市場が前年度比6倍以上に成長 25年には95億円規模に

ここから言えそうなのは、今後も伸びると言っているものの、コロナ禍が影響が大きい、つまりテレワーク、リモートワークが大きいってことですよね。逆にそれ以前はなかったのかってところが気になりますよね。

ここでバーチャルオフィスの定義は省きますが、コワーキングスペースとどう違うのかとか、単にソフトウェア上のサービスだけで成立するのかとかはまあ細かいところはちゃんと見たほうが良いですね。

矢野経済研究所では、仮想オフィスツール市場と書かれていて、これがoViceみたいなブラウザ上で出勤できるみたいなやつですね。従業員はそこで出勤退勤できて、コミュニケーションもそこで行う。NeWorkとかβ版の時速攻使った気がしますが、法人向けだと27,500円/月なんですね、これはまあそんな高くないような気もしますね。あとはRemoとか見かけた気がします。色々あるんですね。

それで、この仮想オフィスツール市場は予測でも成長ですが、2020年度で2.5億円はあるというところのようです。

言葉が変わってくるというのは大事なことで、「バーチャルオフィス」といった時に従来は、「登記」できるというところが重要でした。登記とは、会社など法人の所在地登録が出来る、法務省に会社登記(法人登記)というのがあって、それが出来るかどうかなんですね。これ出来ないと「会社」として使えないんです。会社の概念が分かっていないと、「会社」って事務所があるところなんて理解ですが、抽象度高くいえば「法人という生成された概念」でしかないわけです。

株式会社ゼニスのバーチャルオフィス実態調査が面白いです。IT系が多いと思いがちですが、小売、技術サービスなど色々な仕事がありそうです。とはいえ、IT系はやはり仕事がテレワークしやすいので多いわけですよね。

使う理由は会社等でサテライトオフィスみたいに使うところもあるでしょうし、単に家でやれといっても仕事環境がないのでという人も多そうです。あと、メリットはコストがやはり大きく、登記が自宅でなくていいのもやはり大きいようです。

フレキシブルオフィス市場調査2021では、東京23区ですが文字通り「フレシキブルオフィス」が増えているというデータがありまっす。フレシキブルオフィスとは、いわゆる賃貸借契約でない利用なので、コワーキングスペースとかそういうものですね。シェアオフィスならWeworkとかありますよね、多分ああいったものになります。

コワーキングスペースのBIZcomfortの調査も面白いです。こちらは利用目的が従来よりも、自習とテレワークが増えています。新規起業が減っているのが気になりますが、副業もあるんですね。仕事場として使う人は減っているのは気になりました。仕事場っておそらくフリーランスの人が使うイメージですね。

そうやって調べていくと、コワーキングスペースなどの定量的なデータが見えればある程度バーチャルオフィスも見えてきそうというのが見えてきました。というのは「文字通り」調べつつ、見えたことなので、これらを繰り返すことが必要です。

例えばIRとして、上場企業であれば拠点数とか、売上もですが開示されるのでそれらを参考にするのは「全体」ではなくても傾向を得るにはグッドでしょう。データとしてないなら使えないですが、あればどう解釈すればいいだけですから。

TKPは貸会議室のイメージが強いですが、リージャスなどはレンタルオフィスで、そのバランスが面白いですね。ちなみに知らなかったのですが、TKPは不動産オーナーから仕入れたものを小口化して会議室なり研修なりというパッケージ化がうまく、従来のビジネスでの初期コストって高くないんですね。これは驚きでした。気になる人はこちらのP.38を見てみてください。2022年2月期 第3四半期 決算説明会 株式会社ティーケーピー

TKPの貸し会議室ビジネスなどはさすがにコロナ影響受けていますが、リージャスなどは2019年からそれほど変わらずのように見えます。資料にもあるように「市況の影響を受けにくい」というのは正しい気がします。ただ回収まで時間がかかり、初期コストが高いからこそそれらを組み合わせるというわけですね、賢いですね。リージャス自体は色々なブランド(価格やターゲットで違う)のですが、日本では170施設もあり、売上規模は四半期ベースで40-45億円なので、160億から180億円規模あることになります。こういう時は割り算してみて、170施設で160-180億なので、丁度1施設1億くらいは売上があるというのが分かりますね。しかも損益分岐率が45%ということなので、5割稼働であれば赤ではないってことも分かります。TKP単体が20%という方が驚きですが、それくらいコストかけずに回してるんですね。面白いです。

コワーキングスペース数は、調査研究レポート(第4回)「日本のコワーキングスペースの拡大」(2021年12月版)<前編>では、2021年12月で2042施設という規模感のようです。2019年6月で799施設だったので、相当の伸びですね。

リージャスのような規模感は大きめといえるので、そういったレベルの売上規模があるかは不明です。調査研究レポート(第1回) 「日本のコワーキングスペースの現状と課題」(3)では2019年ですが、法人登記サービスの有無というものがあり、登記有りの入居とドロップインを見ると、全国で見ると、66%程度が登記有りということで、都心の方がより登記サービスがある感じが分かります。名古屋が数が少ないですけど、ドロップイン登記が多いのはちょっと興味深いですね。ここで66%は法人登記サービスがあるということから、2021年でも同様にある、またはそれ以上あると考えると、2042×0.66=1347施設は登記サービスがあると言えそうです。これらのサービス価格帯はバラバラでしょうが、BIZcomforで個室ではない固定席プランで2万円以上/月なので、このあたりが相場となりそうです。ちなみに登記サービスはオプションで3300円となっています。

ある住所貸し的なサービスでは、月額5000円となっているので、このあたりが相場となりそうですね。当然こういった住所貸し的なサービスはそこで仕事をするコワーキングスペースではないってことですね。

となると、登記サービス自体を取りだして5,000円/1契約とできるとすると、コワーキングスペース1施設あたりの客席数もバラバラですが仮に10程度とすると、1施設5万円/月となりそうです。これが1347施設なので、1347×5万円=6735万円/月となり、年間ベースでは、8億くらいになります。

この数字の意味はおいておいて、金額ベースをざっくり、あとは必要に応じて住所貸しサービスなどをつぶさに調べていくとより精度が高くなるって感じですね。

仮説との検証

リサーチはこれくらいにして、では先程の仮説とどうかを見てみましょう。

1つ目は、バーチャルオフィス市場は伸びているだろうということでした。これはコロナ禍の影響でテレワーク需要からその通りと言えそうです。ただ、バーチャルオフィスツールが伸びているのか、バーチャルオフィスサービスとして住所や登記出来るコワーキングスペースが伸びているかは一応分けたほうが良さそうです。コワーキングスペースについてはかなり増えていてそれこそ選択肢として一般の人が使いやすい感覚も受けました。

2つ目は1つ目でほぼ回収されていますが、テレワーク出来る仕事は限られるとはいえ、テレワークしたいために借りている人も多そうです。厳密にこれらが会社からお金が出ているかは不明ですが、とにかく増えているというところでした。

3つ目は、賃貸オフィスなどの市場です。これらはビル賃貸系の不動産会社コンサル等が出しているデータがあるわけですが、2021年「賃貸オフィスビル市場の動向について」三鬼商事株式会社のものが面白いです。全体の流れが分かるので、今2021年の動きは別で補完するとして、やはり空室率は増えて、ただ賃料がすぐ下がるわけでなくというところで、どうなっていくかというところでしょうか。多分どこかで空室率の天井はあると思っていて、とはいえ社会情勢とどう考えていくかとなりそうです。ここは割愛しておきます。ただ、コワーキングスペースが増えるから、従来の賃貸オフィスが減るというのはありそうですが、相関はしそうですが因果とはならなさそうです。いや、相関も明確に「賃貸オフィスがコスト高→オフィスを畳んでもイケる」みたいなことはありそうですが数がどれくらいかは不明ですから、仮説のままとしておきます。

軽いまとめ

ちょっと散らかしたので、軽くまとめておきます。

  • バーチャルオフィス市場は今後成長していく予測あり、数十億規模から100億規模へ
  • バーチャルオフィスツールという仮想出勤型のソフトウェアサービスなども成長が見込まれる
  • コワーキングスペースなどの法人登記出来るスペースは、施設数2000規模のうち6,7割は可能と考え、かつこれらのコワーキングスペースが急増していることからまだ成長余地がありそう(既に成熟、飽和という見方も出来そうですが)。
  • 住所貸し的なサービスでも月5000円規模とすると、コワーキングスペースだけでも8億円規模になり、他サービスを考えると数十億規模の「登記」出来るという意味でのバーチャルオフィス市場はありそう
  • 他はリサーチして、補完するとさらに精度が高まりそう

というところで、着地させてみました。まだまだこれだけでは粗いというのもありますが、こんな感じで調べていき、確実に仮説を検証し固めていくことを繰り返すというのがリサーチの流れだと思っています。

あと、調べていくうちに思わぬ競合、代替策などがあって違う使い方で充足しているなども見込めます。例えばフリーランス等個人事業主向けで押し出すのか、中小零細企業向けとするか、大手企業向けかで全く違いますが、あえて住所貸しを大手が使うとは思えないので(ブランドイメージに関わりリスク・リターンが伴わない)、これらからフリーランス等の数も前調べた気がしますがそういうデータを重ねていくことが大事となりそうです。200万人規模であっても、コワーキングスペースが2000施設あって1施設どれくらいでしょうか、利用者数20-30名では厳しいかもしれませんが仮にそうだとすると、2000施設×20名=4万名の収容が可能です。実際にドロップイン然り様々な利用があるのと、フリーランスの利用頻度も違うのでなんとも言えませんが、これらのデータも頭に入れておくと違う見方が出来るかもしれません。

これらの施設数が充足しているのかどうかって観点と、まだ余地があるかどうかはぶっちゃけ誰も分からないからです。とはいえエイヤで分かるとか正解があるとかでなく、どうこのデータと状況を捉えるかですよね。

ライター

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
ビジネスアイデアメディア「シゴクリ」運営者。生まれてくるアイデアをビジネス化出来ないかを考え続け、アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談やビジネス企画の実績多数。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。

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