調べ方の教科書が面白かったが、仮説がどう出せるかという重箱の隅を突いてみる

電通の戦略プランナーである著者が書いた「調べ方の教科書」は良書でした。体系的にまとめられていて手元に置いておこうというところで、本自体は良いんです。ただ、さらっと書かれていた「とりあえず仮説」が気になって夜も眠れませんでした(嘘です)。

この仮説ってとりあえず出るものなのか?そのあたり重箱突きに近いんですが、別にケチをつけるわけでなく、本書から離れて切り離して考えてみたいと思います。

仮説自体はとりあえずで出せる?

まずこの本が電通という泣く子も黙る広告代理店企業での新人向けという枠にある点に留意したいです。もちろん電通に望む人が全員優秀でなんでも知っているとかはなくて、そこでも教育がいると。ただそもそものポテンシャル、頭の回転などが早いもっといえば、そもそも「自分で仮説を立てられる」人しかいないかもしれません。そうでもないかもですが、あえてそう考えてみます。

なんでそう突っ込むかというと、そもそも「与えられた材料」で「はい、考えてみよう」で考えられるって結構すごいなと思っているんです。つまり、それがある種の力、素質、またはラーニングしてきたんだなといえるからです。トレーニングしないと身につかないはずですから。

例えば「事実と意見」の違いを分けたり、「時系列で整理」出来るだけでも結構すごいみたいなのは、「当たり前」と思っている人はそういうものです。そこにいる人や環境が違うだけで、全く価値観が異なることは留意したいです。だから「こんなの当たり前で価値はない」なんて思わず「どこかで」試してみた方が良いです。

それで、仮説自体をさっと出せるか。一応そのあたりは、考えてまず出してみる、10分くらいで、いくつかの項目があるので、というところでフォローがあるのですが、多分そういうことではないかなとも感じました。

基本的に仮説とは、今までの蓄積であり、思考やトレーニング、体験などの瞬発性という感じがしたんですね。

仮説→リサーチ→打ち手の順は鉄則だが

本書にはなんとなくリサーチは駄目だとあります。同感です。その上で順序は、まず仮説があって、それでその検証したいこと、本書では「明らかにしたいこと」などと書かれていますがそれをリサーチで示すと。そして、ぐるぐるこれらを回して、仮説を明らかにしたり、リサーチで視点を得ていって、ターゲットやセールスポイントが見えたら打ち手を作りつつそこで戦うと。

それはかなり同意です。とくにぐるぐる回すのはまさにと感じました。

ただ、仮説がここでも出てくるものというところです。最初に出てくるかというところで、おそらくカジュアルに「商品Xが売れないのって、Yって理由かな?」くらいのレベルでもいいのでしょうし、「これ現場見て感じたのは、Zだからではないか」とかでもいいと。分かるんですけど、これってすぐ出せるか。とまた突っ込むわけです。

多分ここでの前提は、ある程度考えたり、リサーチしたり、それこそ「なんとなくリサーチして詰まっている」とか向けなのか、ここでの仮説が出せるかどうかは気になるんですね。

あと、当然話がややこしくなるのと本題からずれるので書かれていないような気がしましたが、リサーチすることで当然、仮説がが生まれるのもあると。その順序はいいのかなと。ただ明示的に「これかなー?」みたいな当てがないとやはりダラダラしちゃうというのは分かると。

普段のインプットで磨くのがベター

仮説については、やはり普段の観察で磨いてこうかな?これはなぜか?ってトレーニングしておかないと、多分出てこないですよね?っていうのが僕の感覚です。実際はどうかは、今後考えてみたいところです。

そういう考えやトレーニングがなくて、「この仮説はなんだ?」って考えても、情報がなさすぎとか、分からなさすぎとなります。で、多分ですがここで「その荒削りな仮説」であっても多分いいんじゃないかと。それをもって、曖昧なら曖昧な仮説なので、それを磨いて尖らせるのもいいし、そこを明確にするのがリサーチでもあるといえるからです。ただこの「客観性」がリサーチ初心者にできるかはまた疑問です。

となると、本書もやはり各自参照しつつ、自分のレベルやお困り度具合に応じて見返す類なのだろうという理解となります。

少なくとも、「リサーチするぞ!」とか「仮説立てるぞ!」とかでは遅くて、その本番が始まる前の仕込みで決まっている、とくに仮説はそういう視点がないとボロボロな気がしました。逆にいえば、知見がないところでは全然役立ちづらいのかなとも思ったわけです。

仮説へのツッコミがないということは

見かけるレビューなどでは仮説が出ないぞというツッコミがないですし、あと本のFAQでもリサーチ自体の話はあっても、仮説がどうとかはないと。だから、おそらくですが受講者は概ね何か仮説を出せたということなのでしょう。または困ったり課題になったことはなかったと。

僕の中では、仮説って簡単に出せるとは思えないのと、カジュアルな「こんなんじゃない?」も結構自分の意見なり考えがないと出せないのかなと。それこそ「商品Xが売れないのって、人気がないから」とかになって、「人気がないのを証明するリサーチ」をしてもまあそのとおりで、そうでなく、どうすれば売れるかという視点が欠如して、そのまま「なんとなくやらなくていいリサーチ」になってとかってなりそうです(笑)

その仮説の精度が低ければ曖昧であれば磨いていくことはあるのだけど、そこの仮説についての取り扱い、出てこないのはなかったのかなあとかが非常に気になったんですね。

くどいですが、本書の中では、ここは飛ばすべきか、または仮説はなんか出せるというところであれば躓かないです。ただ、これって仮説出ない人もいるんじゃないかというところで考えてみたって感じです。

本書は特に調べ方がまとまっていていい

フォローではないですよ(笑)別にPR記事でもないですし。

本書はやはり「リサーチ」というところを、なめない、舐めてもらわない(笑)意味で、その体系だってまとめたり、仕組み化しているのがグッジョブです。リサーチっていっても色々あるんですけど、で終わりがちなのですが、それを「こういう本あるのでどうですか」と言えるわけです。

僕も全部出来るわけでもないですし、アンケートや定量調査は弱い(笑)ので、なるほどなーと思って、勉強になりました。僕がやるかはおいておいて、リサーチに困ったらまず戻ってところがあるだけでもかなりありがたいわけです。重箱突きしまくってますが、本書はグッドです。

リサーチって調べられると思っちゃうんですよね。例えば、Googleで調べらればいいとか。いや実際は調べても分からないので、書籍があったり、新聞があったり、検索に載らないものも多いので、そこはやはり考える力も含めてリサーチなんですね。仮説構築もリサーチですから。なんとなくリサーチになるのって、仮説が出来てないか、そこを検証してないってだけですからね。

というわけで、リサーチに困ったとか、リサーチどうやればいいとかって本はとりあえず読んでみてください。仮説がどうとかの話は同じこと思ったらそうかもくらいで、まあ実際は「とりあえず」これかなって仮説を出したら調べると。

僕もリサーチする時は、調べたいとか、明確にしたいことを書き出したり明確にしてからやっています。そうしないと、いつまで経ってもリサーチは終わらないですね(笑)だからこそでもあるし、そこで得たことをさらに仮説やリサーチに生かすという循環もかなりしっくり来るものでしたね。

筆者プロフィール

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。

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