シェアリングエコノミー市場規模はどの程度か

ある調査で、2兆円規模とあったのでそんなにあるんだっけ?ということで調べてみたのがきっかけです。

疑問点

1つ目は、市場規模定義がプラットフォーマー(いわゆるシェアリングエコノミー事業者のこと)の売上みたいに見えるがそうではないよね?ということ。

2つ目は、プラットフォーマーの成長はあるのだけど、そこまで成長しているのか?というツッコミ。

2点のツッコミです。

シェアリングエコノミー市場規模

シェアエコ協会等のデータ

まずは、シェアリングエコノミー協会と情報通信研究所が出しているリリースを観てみます。

2021年、日本のシェアリングエコノミー市場規模が、過去最高の2兆4,198億円を記録。2030年度には「14兆2,799億円」に拡大予測。

文字通り、2.5兆円規模になったとあります。なのですが、これは市場規模であって、売上規模ではない。と明記してありますが、これを見落とすと認識がずれるのでそこは留意してください。

経産省データ

経産省も「シェアリングエコノミーに関する実態調査」なんてやってました。平成30年のデータですが、1.4兆円規模となっています。

矢野経済研究所のデータ

矢野経済研究所では、国内シェアリングエコノミーサービス市場規模は、2021年度で1,269億円としています。シェアリングエコノミーサービス市場に関する調査を実施(2021年)

これは売上高ベースとなっています。

1点目:流通額と売上の違いはどうか

まず1点目の話です。

2兆円だーというのは、市場規模として流通額と捉えるのが妥当と言えそうです。取引額と言ってもいいです。つまり、利用者が総数で払った金額ってことです。では、事業者側の売上は?

仮に2割とします。3割でもいいのですが、そうすると矢野さんの1269億円を割り戻せばいいわけです。つまり、1269億円が3割だとすると、1269÷0.3=4230億円が、流通額となります。

そうすると、2.4兆円とは5,6倍異なります。ここをどう見るかです。

もう一点付け加えると、経産省データでは、スキル等は180億円程度の取引額なのですが、シェアリングエコノミー協会のデータではスキルは2,425億円の流通額があるとしています。

収集データが異なるのでなんともって話で着地するかどうかですよね。

ひとまずここで、そこまで規模が大きいのかどうか?ってツッコミを入れておきます。

2点目:スキルシェアだけ見て成長を確認できるか

シェアリングエコノミーというのも色々ありすぎて分からん、というわけで、スキルシェアだけで見てみましょう。

まずデータとしては、シェアリングエコノミー協会ではスキルシェア系は対面型、非対面型で分かれていますが、トータルとしては2,425億円の流通額があると言うわけです。

非対面型として挙げているのは、ランサーズ、ココナラ、クラウドワークスですが、これらの直近の売上を見てみましょう。Lancersは約40億円、ココナラは27億、クラウドワークスは80億円でした。つまり三社で150億程度あるわけです。これはくどいですが、売上です。

対面型でAsmamaなどがありますが、これらはそこまで大きくないと見ています。100億もないはずという想定です。

すると、ここでいうスキルカテゴリで250億円として、手数料3割程度で割り戻すと、833億円がこれらの流通額となります。

ここでも3倍の開きがあります。あくまでサービス例なので、他の会社も入れてということなのですが、この調査自体が一般の人にシェアリングエコノミーサービスを使っているかと聞いて、そこでの分類となるので、事業者特定ではなくカテゴリ単位レベルなんだろうなと考えられます。

話はそれくらいにして、ではスキルシェア系のサービスは、今後も成長が期待出来ます。

というと明るい感じはしますが、クラウドワークスが出しているビジョンは、157億円の流通額が2兆円という壮大なビジョンです。CAGR、つまり売上総利益の年間成長率が20%以上を10年以上やるといってますが、これもすごい成長率だとは思いますよね。

Lancersはもう少し控えめですが、3年でCAGRが30%みたいなことを掲げています。

ココナラは、そこまで長期の数値は掲げてないですが、まあ成長していくぞと。

ここまでで考えると、より手足のようなサービスになると、実はテイクレートは高くできない、むしろ低くなると考えています。今のAppleとかGoogle税みたいなものですよね。それだけ強いなら根強い批判もあると思うわけです。

テイクレートは低くするがそれでも売上は増やすとなると、純粋に会員数や稼働数を上げるということになりそうです。しかもこれらは他のプラットフォームの参入等はあまり考えづらいので、社会自体の仕組みや違う切り口が出てくる。そういう意味で希望としては永続的な成長ですが、ですがこの成長は必ず鈍化するか、上手くいっているときはいいけれど、という冷めた目で見るのも必要かなと感じました。

おわりに

市場規模自体は数億円単位での話で精査とかはあんまり意味がないと思っているので、違うぞ!って話ではないです(笑)むしろ、大局として成長しているかというところを見る指標程度でいいと思っています。

一方でシェアリングエコノミーについては、市場規模=売上規模に見えてしまう感じもしますので、プラットフォーマーの売上を出した矢野経済研究所のデータが僕は好きですね。またズレがあるということを認知して構えていくのもいいと。

結局あとは個別のカテゴリの事業者がどの程度売り上げているか、これって上場してないとつかめないですが、思ったより規模は小さいのではないか。という認識でいてもいいのかなというところでした。

筆者プロフィール

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。

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