国内のスタートアップスタジオを調べてみた

スタートアップスタジオという新しい考え方が流行ってきているようです。creww studio参加を機にそういう流れがあることを強く感じたので調べてみました。

ざっとメモ的なものです。また適宜面白そうなものがあれば追加していきます。

スタートアップスタジオ

creww studio

crewwが行うスタートアップスタジオです。2018年12月頃から稼働しており、現在第一期のプロジェクトが進行中です。どうなっていくか楽しみですね。

参加している身として得たものをまた共有できれば幸いです。

crewwの強みはスタートアップ支援で4,000社以上のスタートアップを見てきた知見を活かせることですね。つまり何が売れるか売れそうかが分かる目利きというのが強みになるはずです。

XTech

XTech(クロステックと読むはず)は2018年1月に出来た会社で、スタートアップスタジオとして動いているようです。

XTechはxBridge-Tokyoというシェアオフィスでスタートアップ支援を行っていくという感じですね。Facebookページではほとんど情報がなく、プレスリリースによれば数社以上の企業が入ってという感じです。

詳細は公式サイトでいくつか調べられそうです。

U-Studio

TISが行うスタートアップスタジオです。TISはシステムインテグレーターなイメージでしたが、そこがやるとは意外です。

アイデアを持ち込んでそれをブラッシュアップしてMVPを作り検証していくというスタートアップスタジオ機能が想定されています。

プロジェクトページからは、過去プロジェクトはCAN EATのみで、他は進行中のようですね。

quantum

博報堂系のスタートアップスタジオです。大手企業との新規事業創出等がメインだと考えられます。

実績はいろいろあるのでもしかしたら見たことがあるものもあるかも。ダイドーの自販機は確かにアクセラレータプログラムだなあと思っていたらここだったんですね。

versus

エンタメ分野でのスタートアップスタジオがversusです。

特徴的なのは、起業をゼロから学んでいくワークショップがあったり、2014年からやっているイベント大会があることですね。どちらかといえば、これらは起業のエコシステムを作っていくことでコミュニティよりな印象を受けました。

findersの取材記事も興味深いです。エンタメといってるのは吉本興業とのタッグを組んでいるということですね。

吉本興業とタッグを組み、エンタメ起業をゼロからサポートするスタートアップスタジオ「VERSUS」が始動

記事からは若い人がフットワークでチャンスを掴めるコミュニティになりそうな気がしました。

Gaiax STARTUP STUDIO

ガイアックスが仕掛けるのは、どちらかといえばコミュニティ型です。

ピッチイベントが定期的にあるのでそこで参加しアイデアを出す機会が得られます。採用されたアイデアはその後事業検証をしていくという流れですね。

過去の実績としては、プログラミング教材が販売出来るテックピットなどがあるようですね。「いずれ起業したい」と思っているあなたへ。メンヘラテクノロジー社が生まれた背景には革新的な仕組み「スタートアップスタジオ」があった

ピッチに足を運ぶ必要はありますが門戸が開かれているのはいいですよね。

Sun* Startup Studio

起業家がSun*で0→1で事業を立ち上げそこからさらに成長していくモデルです。techcrunchの記事が詳しいですが、Sun*がスタートアップスタジオを提供し、パートナーはスタートアップ企業またはスタートアップ起業を志す人という印象です。シードやアーリーステージのスタートアップもどんどん支援していこうというのがこのスタジオとなりそうです。

1000名以上のエンジニアを抱えるSun Asteriskが「スタートアップスタジオ」を開始

上記事にあるようなテナンタは物件リストから探すのでなく、希望条件をあげてオファーをもらうという逆マッチングという仕組みを掲げるサービスです。

他には、HARUTAKAはWeb面接プラットフォームで、就活や転職等の面接をWeb動画で出来るものです。Tentはアウトドア系のサービスを展開していて、カウリルのようなレンタル&売買アプリを提供しています。

Your

株式会社uni’queの女性起業家向けの事業支援プログラムです。

インキュベーション事業とありますが、スタートアップスタジオ的な印象を受けたのでここに書いています。女性でかつ複業(本業がある)で出来るのでかなりユニークな印象です。

uni’que、女性の感性を生かした起業をサポートする「Your(ユア)」を開始(PR TIMES)が詳しいです。

基本的に該当する方がアイデアを提案して、それを審査してそこからプロジェクトがキックオフされる形のようです。既に2事業ほど(YourNailwakarimi)の実績があるようです。

POLAR SHORTCUT

北海道ローカルのスタートアップスタジオです。詳細は分かりませんが、ローカルのスタートアップスタジオは気になりますね。

かつて”サッポロバレー”と呼ばれた街が、再びスタートアップシティになるために。は非常に面白かったです。

Spirete

大企業人材を中心にというところが特徴のようです。現在のプロジェクトは、10個となっていました。スタジオ事業は2019年11月頃となりそうです。

大企業の人材・技術シーズを組織の垣根を超えて結集させ、グローバル規模のスタートアップとして新事業創出を行うSpirete株式会社が始動

combo

クリエイティブ集団であるPARTYとそのパートナーで組まれたスタートアップスタジオとなります。いわゆる0→1事業と、グロースするアクセラレーション事業と分かれてる形になります。

面白いなと思ったのはパートナーに、スタートアップスタジオを持つSun*がいることですね。また事例では小さなミュージアム事業を手掛けるTheChainMuseumがありますがこれはスマイルズの遠山さんが居たりするんですね。面白いですね。

combo自体は2021年7月19日稼働というところでした。スタートアップスタジオ「combo」設立のお知らせ

LtG Startup Studio

静岡県三島市に所在するスタートアップスタジオ。運営は地元建設会社の加和太建設株式会社となっている。ローカルビジネス支援でなく、あくまでスタートアップ的に世界を目指すのがスタートアップスタジオと言えそう。

その他

スタートアップスタジオ協会というのもあるようです。

スタートアップスタジオの種類

まだまだ少ないと思いますが他にもあるかもしれません。

ざっくりですが、スタートアップスタジオの分類を勝手にすると、

  • スタートアップ支援が主体(ベンチャーキャピタル的な位置づけが強い)XTech
  • 大手企業向け、アクセラレータプログラム等 quantum
  • ゼロベースで持ち込みアイデアを実現していく creww studio、u-studio
  • 起業家育成、エコシステム生成 versus,gaiax statrup studio

という感じですかね。

実際にはこんなキレイに分かれることはないと思ってますがあくまでざっくりです。スタートアップ支援という言葉も、そもそもスタートアップで自走して何か出来ればいいのですがそうでもないというところで支援があると。

あとキャピタル的な投資視点がどこまであるかもよりそうですね。スタジオであればシード期になるので投資をそこでするかどうか。あとはもっと成長しているスタートアップに投資したりするかどうかという感じです。アクセラレータプログラム自体はスタジオの機能かどうかはよく分からずです。スタートアップ支援でもよりアイデアからいけるものがスタジオという印象です。

起業家を増やすには、どんどんビジネスを興すには、人の育成が必要です。であれば、ゼロベースでアイデアから受け付けることが大事になってくるという感じですね。

海外だと先進事例がもっとありそうですがここでは割愛しておきます。

コワーキングスペースなどとの違いは?

ふと思ったのは名古屋では2011年頃から流行り始めたコワーキングスペースの存在です。東京ではもう少し前からありましたね。

今もいろいろな場所にコワーキングスペースがあるとは思います。

コワーキング自体は仕事をやることが出来るスペースで、もちろん顔を合わせて協業するメンバーと出会うこともあるでしょう。一方で僕自身は仕事をする仲間をコワーキングスペースで見つけたとか、そういうことはほぼありません。正確にいえば、仕事を一緒にする仲間を見つけるというよりも、同程度や一定程度仕事が出来る人がいてそれで成り立つというイメージです。

つまり、フリーランス的に動ける人が対等に動けるという感じです。あくまでフリーランスのためのワークプレイスなんですね。今はどうかは分からないですが、それほど違いはないでしょう。

あくまでそこはエコシステムなり、仕事の仕組みがあっても、あくまでフリーランスなり、特定のジャンルや目的のコミュニティという位置づけが強いです。またコワーキングスペース自体がスペース運用という点になり、世話好きであったり、コミュニティを作っていく魅力ある人がいて成り立つ印象があります。

スタートアップスタジオはアイデアがチャンスに変えられる

一方で、スタートアップスタジオとは、事業売却や会社設立やゴールは違えど明確になっていて、それに向けて短期間で走り抜けるイメージです。ただその走り抜けるというのが、スタートアップのようにでなく(最速で製品をつくり投資を受けてやり切る!)、あくまでスタジオのプロがいてそこでMVPを作り専門のアドバイスやサポートを受けて作れるということです。

もっといえば、アイデアのみでもいけるという時代です。僕にとってはこれは吉報なのです(笑)

アイデア自体はありふれていたりどこにもあるから価値がないと感じる人も多いのではないかと思っています。一方でアイデアがないからどうにかしてくれとか、アイデアがあればと思う人も同様に多いのも事実です。であればビジネス的にも、社会的にもアイデアをこういったスタジオに提案していくのがいいのではないかと考えられます。

上でいえば、creww studioが最も面白かったわけですが、それは本業を辞めるとかそういうことでなく(スタートアップは本来それにリソースを割くために一本でやることが多い。そうでないケースもあると思うものの)、やりながら副業的にもいけるということです。

とはいえ、副業だから本業でないから甘いわけでなく、短いスキマ時間、稼働をどう効率的にやるかが問われます。副業=楽みたいな感じだと厳しいとは思いますが、これはなんでも一緒でしょう。

アイデアを実現出来る人に任せるという時代かも

持っているアイデアを自身で形に変えていく、いける時代が今といえますが、一方で様々なマッチング手段や情報の見せ方で、以下の問いが立てられます。

「もしかして、自分のアイデアを実現するのに得意な人がいるのではないか?」

「いるのであればその人に任せたほうがいいのではないか?」

という問いです。

起業家になりたいという人は確かにアイデアと実行力をセットで持っているべきです。しかし、起業家の概念も、そもそも起業という概念もどんどん変化していきます。この瞬間にも変わっています。

プログラマとは、プログラミングが出来ることを指していたかもしれませんが、誰もがプログラミングがある程度出来るようになると、アイデアが大事になります。アイデアがなくてはプログラミングして実現するプログラム自体が出来ないからです。

厳密には全てはアイデアがなくては始まらないのですが、アイデア自体と何かしら実現スキル(プログラミング、イラスト、デザイン、Web制作、マーケティング、経営など)というのが分離されているイメージです。今まで分解不可能だったものが可能になる感じです。

分解可能=分業可能性ということです。今の時代こそ、分業で専業しているという感じもありますが、どちらかといえば専門性などのハードルがあるために参入しづらく、今までやってきた知識や経験で勝てたという感じがしています。

もちろん、「こんなのあったらいいな」という素朴なアイデアがあれば食えるということはないでしょう。しかし、そのアイデアが一定の論理や実現精度が高くなっていれば、アイデアの価値はそれ自体で高まると考えています。このあたりの根拠や精度は自分で蓄えていくしかない(他者からも学べますが、実践では経験が違いすぎるので)と思います。

筆者プロフィール

シゴトクリエイター 大橋 弘宜
シゴトクリエイター 大橋 弘宜
「シゴクリ」運営者。アイデアの力でお客様に貢献するゼロイチ大好きアイデアマン。ビジネスアイデア相談実績等は200超を超える。好きな言葉は三方良し。詳しい自己紹介仕事実績も合わせてご覧ください。お仕事メニューお問い合わせはお気軽にどうぞ。

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