書籍「機会発見」にて定量調査の面白さを確認する

機会発見という本が面白かったです。最も良かったのは、いわゆる論理的なアプローチになる定量調査的な新規事業開発でなく、あくまで定性的調査からどう統合していくかという知見があることでしょうか。

定性調査で統合する

本書のP.17にあるのがコンセプトであると感じました。

つまり、従来は分析的アプローチであるもれなくダブりなくというみんな大好きMECEであり、定量調査で確認して、分析してどうかというものでした。本書が提唱する機会発見アプローチは、枠外の視点を定性情報から得て統合していくというものです。

だから、機会発見の機会とは何か、定性調査の調査法だったり、じゃあ統合するためにリフレーミング(枠組みを再度作ること、捉え直しという意味合い)するということが書かれています。

僕なりに解釈したのは以下の通りです。

定性情報を大事にする

定性調査とはインタビューとかエスノグラフィーとかそういうものです。それを知っているとかやっているから良いとかでなく、それらのやり方を知らないといけないですよねと。定性とは、雰囲気から時代の流れからなんとなく選んだとか、自己矛盾した進路決定(笑)から人間くささがあるものと言っていいでしょう。それを大事にすると。

まさにその通りだと思っていて、本書の主張はそこではないものの、定性から組み立てるというのはまさにそんな感覚だなあとエモく感じました。

機会とは視点や着眼点のこと

ただ本書的にいえば、機会は従来のあり方や既存のあり方における違う見方であり、それが明確に見えることというようにも思えました。見えるとは顕在ということではなく、定性調査等から統合して見えたというのが機会ということですね。

機会=チャンスとかそういう意味合いもあるのでニュアンスが分かりづらいですが多分そうかなと。

僕の解釈ですが、機会とは、ユーザーが今まで顕在、潜在的にやっていることを「こういう見方もある」と再定義したことに近いかなというところです。大雑把ですが、結局視点、着眼点です。とはいえ、自分から見て生活者やユーザーのそれらが見えるかというとバイアスがかかってれば見えないですよね。だから入り込んで行って定性を浴びて行って見にいく、まさに観察の旅という感じです。

そこで見た世界を持ち帰り、ダウンロードしてチーム内で共有して広げていく。まさにこれが統合ということですね。

統合的アプローチ手法が固められている

例えば初めてこれ読んで分かるかはおいておいて、少なくとも直観的にもですが、市場調査で市場がこれだけあって、こうやれば売上になるよねというのはロジックとしては「超わかりやすい」ものです。この考えが駄目ではなく依然としてあると。またこれらは実際に可能だったりします。でも、問題は誰もが論理的ということはたどり着ける考えですね。だから、強いところが最終的に勝つ。

よって、やりづらいところで戦うみたいなことがある種の競争戦略となりますが、こういう競争って不毛ではないか。そもそも競って何かというところも価格競争だと悲しい結果になりますし、長期的に見て両者必衰みたいになりかねないと(笑)と、僕は考えています。

それに反して統合的な考え方は、定性から組み立てるので、今までにないものまさに「機会発見」となり、新市場や新しい事業開発となると。まさに物質的に満たされた中ではそういうやり方で考えないと見えないのかなと。

これは僕の感覚としても、「論理的に考えて出せることは限度がある」ということに起因します。

枠外の視点に大きな価値がある

枠外の視点とは想定してないことといっていいでしょう。それをエスノグラフィーしかり、インタビューしかり様々な定性エビデンスを得て組み立てていく、気付いていく。そこってめちゃくちゃ面白いなあと改めて感じました。

僕はサービス開発でヒアリングとしてインタビューをしているのですが、その時に思ったのは、もしかして、インタビュー的な定性調査を持って、「仮説検証する」と言ってたのですが、どちらかといえば仮説検証よりは「仮説発見」というように、新しいユーザーの考えや見方、それこそ機会を見つけることをしていたのかもしれないと感じました。

ユーザーに当然課題は何かといっても顕在的なもので、かつそこまで困ってないことしか出てこない可能性が高いです。そこを深く潜っていくと、実はこんなことでというのが出てくることもある。もちろんないこともある。そういうのが面白いと思えるのですが、それを面白いと思えない人もいるはずで、これは自分としては収穫だなと感じました。

つまり、0→1のところにおいては、定量性みたいなものも否定しないものの、定性的なものがふわっとしていて、泥臭い、曖昧でかつ分からないというわけです。それこそが好物で面白い。それどういうことがいえるのだろうか、論理的に意味がなさそうだけど実は直観的には価値があるとか。そういう説明しづらいものが最も好きで、あとどう言語化して伝えていくか。そこらへんが面白いなと。

統合が実は難しい

統合は実は難しいのではないかと考えています。リフレーミングとか色々やり方はあれど、目安や指針があれど、研究っぽいところがあるからですね。

例えば、僕の例ではヒアリングしたものをまとめるとさらっといってるのですが、そのまとめ方って結構いい出すとかなりの視点がありますし、実践の経験もありそうだなと思ったからです。

本質はこれというのもはずすこともあるし、実は見過ごしていた視点とか。4象限マップみたいにあぶり出して分かりやすくするとか。色々あって面白いわけですけど、なんで難しいのかと。

多分なのですが、著者のバックボーンとしても、社会学、デザインシンキング、マーケティングというところもあって、統合ってやはり社会学っぽいなと。社会の事象を学ぶことですけど僕も社会学好きなんですよね。大学で面白いなと思った。これは結局社会=集団として、文化や色々な経済があることが面白いと思えるか。また個人の説明ではない集団の振る舞い、それこそ僕は同調心理とかが好きなのですが(同調させたいとかでなく(笑)なんでそうなるかって考えるということがですね)、これらって社会に対する興味によるのかなと。

社会はわりと説明不可能なことがあります。心理学としてこうだーといっても、脳とか分からないことも多いわけで、決められないこともあると。買い占めの心理みたいなのがあるとして理屈ではそうだが感情的にはどうかみたいなのがあるわけですよね。そういう時もXX的にはこうだけど、という視点が違えど全く違うことになる。

そういう時の理解って部分最適化でなく、メタ認知や全体を見て統合してみるというところ、もちろんカテゴライズを勝手にして決めつけるということでなく、それで新しい知見や発見になれば色々と見えることが出てくるんですよね。多分それがリフレーミングと言っているはずだと想定しています。

そういう意味で難しさは、多分物事を普遍的に見たり批判的に見つつ、その中で共通点やアナロジーではないですが似ていることを集めたり、例えたりして感覚を研ぎ澄ませていくことなんだろうなあと感じました。

そして、ここに書かれていることを当たり前と思う人はいそうですけど、これをビジネスに活かせる人は結構レアじゃないかと。本書もデザインシンキングベースにしているとはいえ、結局それらを使えるレベルにするには学びがめちゃくちゃ必要だなと。

おわりに

というわけで、読書メモ的な仕上がりでしたが、そもそも本書を読んだのは、サービス開発における定性アプローチというのはどうなんだろうなあと。つまり、定量的なものを無視するわけではないが、定性的に見ていってどこまで見えるものかというところを深める意味で読んでみたというところです。

結論的には上で書いたように手応えを感じたのと、もっと自信を持っていいかもなあというところです。最もこれは大手企業のアプローチとしてごりごり統合されるときついですけど、そこまでお金をかけられないのも多くはあるのでどの企業もどこでもやっているとは思えないです。マーケティング予算を使えるところがやれるのかなーというある種の贅沢ではないですけど、潤沢にないと出来ないと。でないなら、より予算がシビアになる中で、定性調査をするぞ!とか統合するぞ!とか機会発見するぞ!とかでなくても、日常から定性を拾っていって、自分なりに統合したりあとは考えていって作っていくと。それは無理ゲーではないのではないかというのが僕の感じたところでした。

そういう意味ではやはり0→1の部分をもっと色々出来そうなのと、もしかしたらこういう統合的な見方ややり方で困っている人はいるかもしれないなあと想像すると、色々とアイデアが出てきそうだなとも感じました。

定性的な調査から新規事業ってどういうこと?という人はぜひおすすめですし、仮にやっていても再度おさらいしたいとかって人にもいいのではないかと。

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